欅坂46論 第3章 欅坂46とサイボーグ009

f:id:ongakudaisukiclub:20170617135710j:plain

 これまでこの欅坂46論において、第1章で"再開発"を歌っていることに着目し、それは同時に"世代交代"についても歌われているのではないかと指摘した。

 また第2章ではこの"世代交代"を"今までのアイドルとそれを乗り越えようとする欅坂46"と見立て、その中でアイドルでありながら今やアーティストとも呼ばれるようになったPerfume欅坂46ロールモデルとして考えられるのでは、と指摘した。

 そして今回の第3章ではさらにもう一つのロールモデルを指摘したい。それはアイドルやアーティストではなく、マンガやアニメ作品の主人公たちだ。正義のヒーローがチームが一丸となり悪の軍団に立ち向かうという話である。その作品の名前は『サイボーグ009』である。

続きを読む

欅坂46論 第2章 欅坂46はアイドルを超えられるのか?

f:id:ongakudaisukiclub:20170617131346j:plain

  第1章では欅坂46が"再開発"をテーマとしたアイドルであること、そして"再開発"のテーマは堤清二が森稔に、六本木waveがメトロハットに変わるといった"世代交代"のテーマも孕んでいると書いた。

 そして私はこの"世代交代"は、今までのアイドルと欅坂46であると考える。これを語るには"今までアイドル"がどうであったのかを振り返る必要性がある。少々長いがアイドルの歴史を見てみよう。

続きを読む

欅坂46論 第1章 なぜ欅坂46は渋谷を歌うのか?

f:id:ongakudaisukiclub:20170617111456j:plain

はじめに

 本稿では欅坂46というアイドルグループを扱おうとしている。AKB48の総合プロデューサー秋元康が「乃木坂46 新プロジェクト」として手がけ、2015年の結成以降、1stシングル『サイレントマジョリティー』では女性アーティストのデビューシングル初週推定売上記録を塗り替え、さらにその年の第67回NHK紅白歌合戦に出場するなど、すでに人気グループの一つになった欅坂46。この経緯から欅坂46乃木坂46の妹分ととして捉えられるかもしれない。しかし双方の在り方やその出で立ち、活動のスタンスを見ていくとまったく別物として捉えた方がいい。現在、秋元康が手掛けるAKBグループや過去に手掛けたアイドルグループに比べると明らかに異質な存在であると言ってもいいだろう。

 例えば乃木坂46だと「リセエンヌ」というのを一つの軸として活動を行ってきた。リセエンヌといえば、フランスの中・高校生の女の子という意味であり日本では1983年雑誌『オリーブ』の12月3日号「オリーブ少女は、リセエンヌを真似しよう。」特集から広まったファッションである。これをコンセプトに使った乃木坂は"可憐で美しい"ことを最大の特徴としており、メンバー内でも白石麻衣西野七瀬松村沙友理などが女性雑誌専属モデル、レギュラーモデルとして活躍している。

 それに対し欅坂46乃木坂46のような清楚で可憐というイメージはない。制服というより軍服をイメージしたような服装を身にまとい、楽曲の中では笑顔を見せることなく可憐さ、可愛さよりもクールな美しさを前面に出している。まるでその姿は何かに立ち向かう戦士のようにも見え、また歌詞に関しても常に大人を敵対しながら自分の主張が正しいと私たちに訴えかける。

  はたして欅坂46とは一体何者なのだかろうか?そんな質問を頭の中で巡らせながら彼女たちの活動を見ていくとあることに気付かされる。欅坂46は"ある場所"をテーマとして扱っている。その場所とは渋谷である。

続きを読む