Black Boboi『Agate』

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多分これは新しいタイプのバンドなのだと思う。

小林うてな、Julia Shortreed、ermhoi=Black Boboiは全員が曲を書き、トラックを作り、なおかつ歌うソロアーティストのグループだ。そういう意味では昨年発表されたJulien Baker、Phoebe Bridgers、Lucy Ducusのバンド=boygeniusに似ている。ただ、エレクトロニカアンビエント、アシッドフォークなどのジャンルから「バンドとは?」と思われそうだが、それでもこれはきっとバンドだ。音の取捨選択がシビアで、発想がソロの時よりもランダムだが、何より共同で音楽を作る喜びに満ちている。

ところで小林うてなはD.A.N.や蓮沼執太フィル参加時のスティールパン奏者としての側面が強く知られているが、ソロで活動する時はそれを大きく取り上げたりしない。というか使っていない。Balck Boboiの今作では「I'm just into」でスティールパンが使われているが、すべての楽曲で用いるといったルールはない。同様にJulia Shortreedのギターが必ず使われるわけでもない。大まかなクレジットしか確認できていないので詳細はわからないが、おそらく曲を作る上で全員がプロデューサーとして関わること以外にルールはなかったはず。

結果、自身のアイデンティティを強く主張することなく3人それぞれの要素が落ち着いた。逆説的ではあるのだが、3人がそれぞれ自らの持ち味を強く投影しようとはしなかった結果、よりそれぞれの個性がうまく共存できたのだ。実際にソロの楽曲を聴いた上で本作を聴くとそれぞれの持ち味が驚くほどうまく同居している。

妥協点を探ったというわけではなく、曲ごとにエッジが立ち、それでいてソロとは違う場所に到達する。コラボとはまた違った形の、全員がプロデューサーとしてのバンド、これが2019年の新たな水準になると思う。

 

 

ぴっち(@pitti2210

 

OTO TO TABIにおいでよ!

自分、今回はじめてOTO TO TABIに参加するんだけど、出演者が大変なことになってます!

なんじゃこりゃ!良すぎない?実は例年出演者が良くて気になっていてタイムラインの友だちの反応も良くてずっと参加したいと思ってたのね。で、第一弾の発表でiri、カネコアヤノ、小山田壮平、STUTS、Predawnでズドーンと来て、即チケットを買っちゃいました。

わからない人に説明すると、これ札幌のイベントです。3月2日というまだまだ寒さが厳しい時期に、しかも札幌芸術の森アートホールという札幌駅から地下鉄で15分の真駒内駅からさらにバスで18分というなかなかの場所でやります。いい場所だけど遠いです。ライジングよりは近いけど遠い。おまけに寒い。だから北海道在住の人以外にはなかなか勧めにくい(とはいえ気になった人は行ったほうがいいです。ラインナップがラインナップだから!)。

ところが今、北海道ふっこう割がやっているじゃないですか。道内在住だからいまいちわかってないのですが、3月31日まで延長したみたいだし、OTO TO TABIを観に来て翌日まで遊んでから帰るとかどうでしょう?交通付き宿泊なら一泊5000円から20000円まで補助金が出るみたいです。

というわけで、公式アカウントの方もそう言ってるし、ふっこう割を使ってOTO TO TABIにおいでよ!

ぴっち(@pitti2210

 

Vampire Weekend『Harmony Hall / 2021』

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このブログを動かすことは結構気が重くて、なぜかというと一年に一度だけアホみたいにアクセスがあって見られている錯覚に陥るから。実際はただの思い込みで本当は誰も読んでないけど(そうに決まってる)、みんなが幽霊部員になってコメント欄も閉ざしたら少し気が楽になった。誰も読んでないブログって書く分には気持ちいいですね。そんなわけで他の人が書く前にVampire Weekendの新曲の感想を書いてる。タイムラインではみんなが聴いてたけどここでは誰も聴いてないから。

Vampire Weekendがとうとう新作を出すね!6年ぶりだって!タイトルは『Father Of The Bride』とのこと。花嫁の親父?なんて彼らっぽい。

今作はその新作からの先行シングルなのだけど、「Harmony Hall」やはり特徴的なのはリズムセクション。というのもドラムが主導している印象が薄い。ピアノのループとパーカッションがリズムを担っていて、ドラムはむしろそこに合わせている印象。打ち込みを用いるバンドが増えて久しい昨今だけど、アナログ感を損なわせずにバンドの構造にメスを入れることにはかなりびっくり。6年もアルバムを出さなかったけど、ちゃんと活動する意味を提示できているのはすばらしい。ロスタムがいなくてもやってける!と思ったら当のロスタムも参加してました。脱退してもこういうふうに関われるのは素敵だ。

「2021」は細野晴臣の楽曲のサップリングとのことで、当の「花に水」を聴いたら本当にそのままで笑った。でもそこに載せられるボーカルとギターがたまらなく良い。

バンドってその構成が縛りになりすぎてしまうことがあるけど、Vampire Weekendは長い休止期間を経てそこを抜けたような感じがする。今までより自由な存在になった。ジャケットのドリームキャストとは逆の渦巻きにSONY MUSICのロゴ。気が利きすぎ。去年のフジロックはすばらしかったので(中継で見た)なんなら今年もお願いします。

 

 

ぴっち(@pitti2210