レビュー

「僕は真ん中をゆく」/tofubeats『FANTASY CLUB』

tofubeatsの通算4枚目、1年8ヵ月ぶりのアルバム『FANTASY CLUB』がリリースされた。多彩なゲストを配した前作までと対照的にフィーチャリングを2曲に抑えた本作は、ところどころ棘を含みながらも全体的にはフラットな雰囲気で統一され、この国で生きる人にと…

現時点で国内最高のサービス精神/椎名林檎『椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015』

以前観た『(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―』同様、ライブ映像作品として優れていると感じたのでとりあえず思ったことを羅列しておくね。 現時点において日本で最高級のプレイヤーが集まっている ただでさえ評価された楽曲を演奏しているにも関わらず、ほぼ全…

ドキドキを取り戻すための/tofubeats『FANTASY CLUB』

tofubeatsの『FANTASY CLUB』をずっと聴いている。正直に言うと、このアルバムはtofubeatsの最高傑作ではないと思うし、おそらく現時点における彼の最高傑作は『lost decade』なのだが、ただ滅茶苦茶いいのだ。 今作は前作の『POSTIVE』やさらに前の『First …

破壊の末に戻ってきた「らしさ」/チャットモンチー『Magical Fiction』

先日ブックオフでマンガを漁っていた時「あれ?チャットモンチーみたいな曲だけどもしかしてこれチャットモンチー?」みたいな曲が流れてきて、Shazamで確かめたら本当にチャットモンチーだった。チャットモンチーらしいチャットモンチーの曲を聴いたのはい…

過去と今を繋ぐ魔法/チャットモンチー『変身』

2012年にリリースされたチャットモンチーの5thアルバム『変身』は魔法がかけらた作品だ。そしてその魔法により、これ以前/以降でチャットモンチーの存在定義が変わった作品でもある。 そもそもチャットモンチーはどんなバンドか。シンプルなギターロックを…

THE YELLOW MONKEY『砂の塔』

少しだけ振り返ると吉井和哉は2013年にベストアルバム『18』をリリースし、「GOOD BY YOSHII KAZUYA」というツアーを敢行。その時点でTHE YELLOW MONKEYの再結成は確定的なものだと思われていた。ところがその後は音沙汰がなく、カバーアルバムを挟みながら…

カラスは真っ白『バックトゥザフューチャー』に見る大きな変化

前回、カラスは真っ白を紹介させていただきましたが、先日6thアルバム『バックトゥザフューチャー』が発売されたので、今回はこのアルバムについて書いてみようと思います。公式にアップロードされている楽曲が少ないので曲の紹介というよりは、すでに手に入…

宇多田ヒカル『Fantôme』-母に捧ぐ、終りと始まりの歌-

私たちが始まりと呼ぶことは、しばしば終わりであり、終わることは始まることである。 終わりは私たちの始まりの場所である。( T・S・エリオット『四つの四重奏』より) もう、何度目だろうか。今年、この言葉を思い出したのは。リアーナは『アンチ』でポッ…

Radiohead『A Moon Shaped Pool』

Radioheadの5年ぶりの新作『A Moon Shaped Pool』について合評しました。相変わらず好き勝手なことを書いています。長いです。今後もよろしくお願いします。

AL『心の中の色紙』

真の友をもてないのはまったく惨めな孤独である。と言ったのはフランシス・ベーコンだがandymori時代の小山田壮平はそんな感じだったのかもしれない。もちろん自分の音楽を鳴らしてくれる信頼のおけるバンドメンバーはいたし、長澤知之という親友もいた。で…

岡村靖幸『幸福』

岡村ちゃんの約11年ぶりのオリジナルアルバムを聴いた。 最初に聴いた時は、流れが良くない、と思った。タイトルに合わないムーディなオープニングに困惑したし、3曲目でがらりと変わる展開に違和感を覚えた。他にも細かい部分で2箇所ほど気にかかるところが…

クウチュウ戦『Sukoshi Fushigi』

少し不思議どころか、かなり不思議。彼らの言うSFとはフィクションではない。本作は世界と宇宙に潜む不思議な心髄を捉えている。 ある雑誌が彼らの音楽を「どこを向いているのかわからない」と評したが、僕も彼らの音楽はどこを向いているのかわからない。Pi…

星野源『YELLOW DANCER』

結論から先に言うと、星野源の『YELLOW DANCER』というアルバムは日本の『Random Access Memoris』である。本作を聴くとそれまでの彼のアルバム作品とは桁違いにソウルやディスコミュージックの成分が多く配合されている事がわかる。 Michael Jacksonのソウ…

BUGY CRAXONE『Lesson』

傑作なのは間違いないし、正直最高傑作だと断言したいけど、ここで安易に宣言すると次作でそれを超えてきそうなのが怖い。そういうわけでブージーの新作が最高だという話です。 2012年からのアルバムの毎年リリースしていて、その周期でいうと今回は4枚目(…

かっこいいバンド、美しい思考/Base Ball Bear『C2』

Base Ball Bearの6thアルバム『C2』がかっこいい。音も言葉も込められた思いもすべてがかっこいい。 まず音。『C2』リリース前に開催されたTour「三十一歳」の福岡で語られていたのは、今回のアルバムは、メンバー4人が演奏していることがはっきりわかるよう…

THE BACK HORN『その先へ』はさえない現状をいますぐ打破したくなる歌

もうすぐ彼らの11枚目のアルバム『運命開花』が発売される。その前に、先日出されたシングルについてやはり書いておきたい。 といっても、記事のタイトルが全てだ。やる気が出ない、成果が出ない、隣のアイツは華々しい活躍を遂げているのに俺ときたら未だゴ…

きのこ帝国『猫とアレルギー』

きのこ帝国のメジャー1stアルバム。良い歌詞、良いメロディ、良いサウンド、三拍子そろった傑作。風通しの良い楽曲群からは、相手と正面からコミュニケーションしようとする意思を感じる。 アルバム『eureka』以前は心にまとった鎧の隙間からコミュニケーシ…

高橋徹也『The Endless Summer』

twitterで馬鹿みたいに呟いているのでフォロワーの方には「またか」と思われそうだけど、最近は高橋徹也の新譜ばかり聴いている。 2013年に前作『大統領夫人と棺』、2014年にはソニー時代にお蔵入りになっていた幻の4thアルバム『REST OF THE WORLD』、そし…

髭『ねむらない』

髭の2年7ヶ月ぶりのアルバム。その間にアイゴンが勇退し、オリジナルメンバーのフィリポも脱退した。事務所も独立し、自主レーベルも設立した。 率直に言って大傑作だと思う。 ただ、髭という名前を聞いて大半の人が思うような曲はほぼない。つまり「ロック…

Couple『Brief Pop』

以前このブログでも紹介されていたCouple『Brief Pop』を聴いてみた。シンプルなギターリフ、シンプルな楽曲構成、ボーカルmomoのキュートなフィメールボイス、パワフルに叩かれるドラムスやバッキングギターの休符を生かしたフレーズに惹きつけられる。 特…

Homecomings『HURTS』

Homecomingsの『HURTS』を聴いた。すばらしい。リリースされてから何度も聴いてる。今回のアルバムは以前よりも感傷的で激しい。聴きながらその理由をずっと考えていた。 彼女たちは想像以上にハングリー精神を持っているバンドだったのかもしれない。あるい…

the chef cooks me『RGBとその真ん中』

the chef cooks meが今年2月にリリースしたニューシングルのレビューです。かなり時間が経ってしまいましたが、今からでも聴くきっかけになれば。これからものんびりやっていこうと思います。

Alabama Shakes『Sound & Color』

このブログでは久しぶりの洋楽の合評です。普段から洋楽を聴かないわけでもないのですが、元々邦楽リスナーであることの比重が大きくて、なかなか書くのに慣れてなくて。そしてそういう人たちの集まりでもあって。そんな邦楽好きな僕らが、それでも聴き入っ…

WHITE ASH『THE DARK BLACK GROOVE』

WHITE ASHが3月にリリースした3rdアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』についてみんなでレビューしました。『THE DARK BLACK GROOVE』とは何なのかについてそれぞれ考えました。(ぴっち)

クラムボン『triology』

クラムボンが5年ぶりにリリースしたアルバム『triology』について3人でいろいろ書いてみました。20周年を迎えたバンドとは思えない瑞々しい作品だと思います。この記事が作品を手に取るきっかけになれば。ぜひ。(ぴっち)

ゲスの極み乙女。『私以外私じゃないの』

春先からコカコーラのCMで流れている楽曲「私以外私じゃないの」。CMで流れるサビこそノリやすく予測可能なフレーズだが、その全体像は実に複雑だ。イントロの流麗なピアノからは想像もつかぬほどファンクな作りになっているし、リズムパターンも頻回に変わ…

きのこ帝国『桜が咲く前に』

春は旅立ちの季節。EMIからのメジャーデビューを果たしたきのこ帝国から届けられたシングルはまさに旅立ちをテーマにした桜ソングだった。最初に聴いた時は少し暗すぎると思った。明るい/暗いの二元論で曲を評価するつもりはないが、「メジャーデビュー曲」…

BIGMAMA『The Vanishing Bride』

5月の第2週の日曜日といえば、母の日。いつの日からか、実家の母にカーネーションを贈るのと同時に、2人目の母であるBIGMAMAの音楽を聴くことがこの日の通例になってきたみたいだ。『The Vanishing Bride』。彼らの6枚目のフルアルバムにして、間違いなく最…

BOOM BOOM SATELLITES『SHINE LIKE A BILLION SUNS』

昨年からアルバムを本腰入れて作る人が増えてきたような気がする。もちろんそれまで適当なモノばかりリリースされていたわけではないけど、なんていうか、統一感を持ったアルバムが増えてきてないかな。昨年リリースされた銀杏BOYZのアルバムはそれぞれ粒ぞ…

Official髭男dism『ラブとピースは君の中』

ちょっとヘンな名前のバンドが好きだ。ライブハウスのライブスケジュールとか、YouTubeの関連動画やツイッターのタイムラインなどで、ちょっとヘンなバンド名を見つけると、どんなバンドなのか思わず検索してしまう。なぜそんなバンドが好きなのか、単純に「…

ONE OK ROCK『35xxxv』

最近いろいろ問題を起こしている彼らだけど、デビュー当初に比べたらかわいいものだよ。 2月に発売されたニューアルバムだけど、意外に僕の周りでは賛否両論だった。amazonや各メディアのレビューでは軒並み好意的だったが、知り合いの中では評判が悪かった…

大森靖子 & THEピンクトカレフ『トカレフ』

こっちであって欲しかった。つまり2枚目の『絶対少女』の後が『トカレフ』だったらとどうしても考えてしまう。このコメントの通りだと思う。 ああ、バンドの成長待てないなって思いました。若いなら共に生き急ごうとも言えましたが、なにせ最年少の私ですら…

People In The Box『Calm Society』

こんにちは。お久しぶりです。kasecoです。去年の11月に初めてCDを借りて、以来ちょっと自分でもどうかしてるんじゃないかというくらいはまっているこのバンドの新しいシングルが気に入りすぎて、どうにも何か書かずにはいられません。というわけで、People …

サザンオールスターズ『葡萄』

一言で「良い」「悪い」とはいえない奥深いアルバムだと思う。きれいごとに聞こえるかもしれないが本当にそうなのだ。最初に聴いた時に退屈だと思っていた曲が、次に聴いた時に印象をがらりと変える。サザンの中・後期以降のアルバムは一長一短で、個人的に…

椎名林檎『(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―』

*1 徹底的に美意識が貫かれたステージだった。楽曲のアレンジもさることながら衣装、スクリーン、映像、ダンサー等のステージ全体の演出が異常に作りこまれていた。2008年の林檎博も今回同様さいたまスーパーアリーナ規模(今回は大阪城ホールでの収録)なの…

may.e+丘『see you soon "session for us"』

may.eがサポートメンバー3人=「丘」との4人編成で制作したセッションアルバムなのだが、これが本当に素晴らしかった。アルバムの性質、及びカセットテープオンリーのリリース形態から単純な比較をするのもどうかと思うのだが、個人的には『私生活』『REMINDE…

Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』

彼はもしかしたらマーティン・ルーサー・キング牧師の生まれ変わりかもしれない。このアルバムを聴きながらそんなことを考えていた。3月16日にメジャー2作目となるニューアルバム『To Pimp A Butterfly』を予定より1週間早く、先行配信リリースをスタートさ…

NEWS『White』

高らかなアイドル宣言としてのNEWS『White』 白。NEWSというグループのメインイメージカラーであると同時に、白馬の王子様という王道アイドルの色。この色を何度でも纏い、セルフイメージとして掲げることにより、彼らが自覚的なアイドルであることを理解さ…

Tuxedo『Tuxedo』

ここ2週間くらいよく聴いていた。Mayer HawthorneとJake Oneのユニット、Tuxedoの1stアルバム。2013年に無料公開された『Tuxedo Funk』で知った人も多いはず。 www.youtube.com すごく当たり前のことなのだが、彼らが鳴らしているのはディスコ、R&Bだ。しか…

ザ・なつやすみバンド『パラード』

「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ」という気持ちになった記憶がない。まだ大学生で、社会人になっていないから休みは結構ある、というのも理由の一つだろう。しかしそれ以上にそういった理想を抱いて生活することを不可能だと諦めて、夢想することす…

the band apart『謎のオープンワールド』

2012年にリリースした『2012 e.p.』以降、これまでの英詩から日本語詞による曲を作り続けている彼らの7枚目となるフルアルバム。冒頭と結末にインストを、楽曲の間に二つのインタールードを挟んでおり、三つの短編小説が含まれた作品集のようでもある。 楽曲…

椎名林檎『至上の人生』

椎名林檎の新曲なんだけど、発表当時は意味不明だった。ドラマの主題歌として正しいのかもわからなかった。そして何よりも椎名林檎の新曲としてどう反応すればいいのかわからなかった。サウンドは僕らが待ち望んでいたロック。「自由へ道連れ」や「NIPPON」…

Don Friedman『Circle Waltz』

以前も少し書いたけど、最近はジャズとかクラシック、それから昔の洋楽アルバムを聴いていることが多い。多分「ネットの音楽オタクが〜」みたいな記事を編集して疲れていたのだと思う。きっかけは近所のCD屋さんの一角にあった「ジャズの100枚。」という1000…

大森靖子『洗脳』

大森靖子のメジャー1stアルバム『洗脳』についての合評です。2013年に2枚のインディーズでリリースし、その音楽ファンを唸らせる音楽性で話題を集めながら、まさかのエイベックスでメジャーデビュー。昨年のフェス出演での豪快なパフォーマンスや発言が何か…

KANA-BOON 『TIME』

等身大で痛快。作曲やアレンジ段階の試行錯誤はもちろんあったでしょうけど、自分たちの気持ち良いポイントに忠実に、赴くままの音が鳴らされているような清々しさ。こんなアルバムを聴いたらこちらだって批評やレビューなんて格好つけてはいられない。素直…

OK?NO!!『Rhapsody』

いきなりだが、僕はCymbalsというバンドが大好きだ。それはというと、リアルタイムでCymbalsを体験できていないことをどこかコンプレックスに感じるぐらいだ。しかし、そんな僕のCymbalsコンプレックスも、ほんの少し晴れた気がする。だって、2015年にはOK?N…

私立恵比寿中学『金八』

私立恵比寿中学はつかみどころのないアイドルグループです。 PerfumeやBABYMETALのように楽曲のジャンルで定義付けできないし、LinQやNegiccoのようにある地方に根付いたローカルアイドルという括りにも入らない。先輩であるももいろクローバーZのような話題…

東京カランコロン『笑うドッペルゲンガー』

去年発売された曲なのだけど、あまりにも素晴らしかったので。随分と知名度も上がっているのでご存知の方も多いはず。東京カランコロンの「笑うドッペルゲンガー」という曲だ。 この曲はボーカルのいちろー*1の「もし自分がミュージシャンじゃなかったら」と…

赤い公園『猛烈リトミック』

赤い公園の2ndアルバム『猛烈リトミック』の合評です。 本来一人で書き上げるはずがこのアルバムを聴いた感情を言葉にする事が出来ず、四苦八苦していた時に合評の募集をかけたところ3人の方がレビューを書いてくれました。ありがとうございます。遅くなって…

森は生きている『グッド・ナイト』

ここ最近、東京インディー(その名称が適当なのかは知らない)の代表的存在になりつつあるバンド、森は生きているの2ndアルバム。はっぴぃえんどやキセル、くるりなどの日本語ロック/フォークを思わせる前作と比較して、サイケ、プログレ寄りになったと評さ…