レビュー

クラムボン『triology』

クラムボンが5年ぶりにリリースしたアルバム『triology』について3人でいろいろ書いてみました。20周年を迎えたバンドとは思えない瑞々しい作品だと思います。この記事が作品を手に取るきっかけになれば。ぜひ。(ぴっち)

ゲスの極み乙女。『私以外私じゃないの』

春先からコカコーラのCMで流れている楽曲「私以外私じゃないの」。CMで流れるサビこそノリやすく予測可能なフレーズだが、その全体像は実に複雑だ。イントロの流麗なピアノからは想像もつかぬほどファンクな作りになっているし、リズムパターンも頻回に変わ…

きのこ帝国『桜が咲く前に』

春は旅立ちの季節。EMIからのメジャーデビューを果たしたきのこ帝国から届けられたシングルはまさに旅立ちをテーマにした桜ソングだった。最初に聴いた時は少し暗すぎると思った。明るい/暗いの二元論で曲を評価するつもりはないが、「メジャーデビュー曲」…

BIGMAMA『The Vanishing Bride』

5月の第2週の日曜日といえば、母の日。いつの日からか、実家の母にカーネーションを贈るのと同時に、2人目の母であるBIGMAMAの音楽を聴くことがこの日の通例になってきたみたいだ。『The Vanishing Bride』。彼らの6枚目のフルアルバムにして、間違いなく最…

BOOM BOOM SATELLITES『SHINE LIKE A BILLION SUNS』

昨年からアルバムを本腰入れて作る人が増えてきたような気がする。もちろんそれまで適当なモノばかりリリースされていたわけではないけど、なんていうか、統一感を持ったアルバムが増えてきてないかな。昨年リリースされた銀杏BOYZのアルバムはそれぞれ粒ぞ…

Official髭男dism『ラブとピースは君の中』

ちょっとヘンな名前のバンドが好きだ。ライブハウスのライブスケジュールとか、YouTubeの関連動画やツイッターのタイムラインなどで、ちょっとヘンなバンド名を見つけると、どんなバンドなのか思わず検索してしまう。なぜそんなバンドが好きなのか、単純に「…

ONE OK ROCK『35xxxv』

最近いろいろ問題を起こしている彼らだけど、デビュー当初に比べたらかわいいものだよ。 2月に発売されたニューアルバムだけど、意外に僕の周りでは賛否両論だった。amazonや各メディアのレビューでは軒並み好意的だったが、知り合いの中では評判が悪かった…

大森靖子 & THEピンクトカレフ『トカレフ』

こっちであって欲しかった。つまり2枚目の『絶対少女』の後が『トカレフ』だったらとどうしても考えてしまう。このコメントの通りだと思う。 ああ、バンドの成長待てないなって思いました。若いなら共に生き急ごうとも言えましたが、なにせ最年少の私ですら…

People In The Box『Calm Society』

こんにちは。お久しぶりです。kasecoです。去年の11月に初めてCDを借りて、以来ちょっと自分でもどうかしてるんじゃないかというくらいはまっているこのバンドの新しいシングルが気に入りすぎて、どうにも何か書かずにはいられません。というわけで、People …

サザンオールスターズ『葡萄』

一言で「良い」「悪い」とはいえない奥深いアルバムだと思う。きれいごとに聞こえるかもしれないが本当にそうなのだ。最初に聴いた時に退屈だと思っていた曲が、次に聴いた時に印象をがらりと変える。サザンの中・後期以降のアルバムは一長一短で、個人的に…

椎名林檎『(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―』

*1 徹底的に美意識が貫かれたステージだった。楽曲のアレンジもさることながら衣装、スクリーン、映像、ダンサー等のステージ全体の演出が異常に作りこまれていた。2008年の林檎博も今回同様さいたまスーパーアリーナ規模(今回は大阪城ホールでの収録)なの…

may.e+丘『see you soon "session for us"』

may.eがサポートメンバー3人=「丘」との4人編成で制作したセッションアルバムなのだが、これが本当に素晴らしかった。アルバムの性質、及びカセットテープオンリーのリリース形態から単純な比較をするのもどうかと思うのだが、個人的には『私生活』『REMINDE…

Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』

彼はもしかしたらマーティン・ルーサー・キング牧師の生まれ変わりかもしれない。このアルバムを聴きながらそんなことを考えていた。3月16日にメジャー2作目となるニューアルバム『To Pimp A Butterfly』を予定より1週間早く、先行配信リリースをスタートさ…

NEWS『White』

高らかなアイドル宣言としてのNEWS『White』 白。NEWSというグループのメインイメージカラーであると同時に、白馬の王子様という王道アイドルの色。この色を何度でも纏い、セルフイメージとして掲げることにより、彼らが自覚的なアイドルであることを理解さ…

Tuxedo『Tuxedo』

ここ2週間くらいよく聴いていた。Mayer HawthorneとJake Oneのユニット、Tuxedoの1stアルバム。2013年に無料公開された『Tuxedo Funk』で知った人も多いはず。 www.youtube.com すごく当たり前のことなのだが、彼らが鳴らしているのはディスコ、R&Bだ。しか…

ザ・なつやすみバンド『パラード』

「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ」という気持ちになった記憶がない。まだ大学生で、社会人になっていないから休みは結構ある、というのも理由の一つだろう。しかしそれ以上にそういった理想を抱いて生活することを不可能だと諦めて、夢想することす…

the band apart『謎のオープンワールド』

2012年にリリースした『2012 e.p.』以降、これまでの英詩から日本語詞による曲を作り続けている彼らの7枚目となるフルアルバム。冒頭と結末にインストを、楽曲の間に二つのインタールードを挟んでおり、三つの短編小説が含まれた作品集のようでもある。 楽曲…

椎名林檎『至上の人生』

椎名林檎の新曲なんだけど、発表当時は意味不明だった。ドラマの主題歌として正しいのかもわからなかった。そして何よりも椎名林檎の新曲としてどう反応すればいいのかわからなかった。サウンドは僕らが待ち望んでいたロック。「自由へ道連れ」や「NIPPON」…

Don Friedman『Circle Waltz』

以前も少し書いたけど、最近はジャズとかクラシック、それから昔の洋楽アルバムを聴いていることが多い。多分「ネットの音楽オタクが〜」みたいな記事を編集して疲れていたのだと思う。きっかけは近所のCD屋さんの一角にあった「ジャズの100枚。」という1000…

大森靖子『洗脳』

大森靖子のメジャー1stアルバム『洗脳』についての合評です。2013年に2枚のインディーズでリリースし、その音楽ファンを唸らせる音楽性で話題を集めながら、まさかのエイベックスでメジャーデビュー。昨年のフェス出演での豪快なパフォーマンスや発言が何か…

KANA-BOON 『TIME』

等身大で痛快。作曲やアレンジ段階の試行錯誤はもちろんあったでしょうけど、自分たちの気持ち良いポイントに忠実に、赴くままの音が鳴らされているような清々しさ。こんなアルバムを聴いたらこちらだって批評やレビューなんて格好つけてはいられない。素直…

OK?NO!!『Rhapsody』

いきなりだが、僕はCymbalsというバンドが大好きだ。それはというと、リアルタイムでCymbalsを体験できていないことをどこかコンプレックスに感じるぐらいだ。しかし、そんな僕のCymbalsコンプレックスも、ほんの少し晴れた気がする。だって、2015年にはOK?N…

私立恵比寿中学『金八』

私立恵比寿中学はつかみどころのないアイドルグループです。 PerfumeやBABYMETALのように楽曲のジャンルで定義付けできないし、LinQやNegiccoのようにある地方に根付いたローカルアイドルという括りにも入らない。先輩であるももいろクローバーZのような話題…

東京カランコロン『笑うドッペルゲンガー』

去年発売された曲なのだけど、あまりにも素晴らしかったので。随分と知名度も上がっているのでご存知の方も多いはず。東京カランコロンの「笑うドッペルゲンガー」という曲だ。 この曲はボーカルのいちろー*1の「もし自分がミュージシャンじゃなかったら」と…

赤い公園『猛烈リトミック』

赤い公園の2ndアルバム『猛烈リトミック』の合評です。 本来一人で書き上げるはずがこのアルバムを聴いた感情を言葉にする事が出来ず、四苦八苦していた時に合評の募集をかけたところ3人の方がレビューを書いてくれました。ありがとうございます。遅くなって…

森は生きている『グッド・ナイト』

ここ最近、東京インディー(その名称が適当なのかは知らない)の代表的存在になりつつあるバンド、森は生きているの2ndアルバム。はっぴぃえんどやキセル、くるりなどの日本語ロック/フォークを思わせる前作と比較して、サイケ、プログレ寄りになったと評さ…

Rei『BLU』

とんでもない人を見つけてしまったかもしれない。先日の東京旅行中、個人的に目的の一つだったタワレコ渋谷店に行った時のことである。タワレコ渋谷店では毎日フリーライブをしているらしく「うおお!さすが東京!」と感動しながら近くに寄って聴いていたら…

YUKI『FLY』

YUKIが今年9月にリリースしたアルバム『FLY』を合評しました。本当は先月半ばくらいに掲載する予定だったのですが、遅れに遅れました。まあ僕が疲れてたからなのですが、そもそもこのアルバムは説明しようとすればするほど、そこから逃げていくような作品で…

Julian Casablancas + The Voidz『Tyranny』

未知の音楽に遭遇した時に僕らができることは主に2つある。1つは過去と比較すること。未知ゆえに比較できる対象が思い当たらなくても、少しでも頭に思い浮かんだものを羅列する。サウンド、ジャンル、歌詞だけでなく、登場した背景、付随する映像やパッケー…

椎名林檎『日出処』

ありきたりの表現で申し訳ないけど、東京事変のアルバムはもちろん、『無罪モラトリアム』や『勝訴ストリップ』、もしくは『加爾基 精液 栗ノ花』の初期三部作を軽く超える椎名林檎の最高傑作だと思う。ただ、次くらいにそれを上回りそうなので、そう呼ぶの…