宇多田ヒカル『Fantôme』

母に捧ぐ、終りと始まりの歌 私たちが始まりと呼ぶことは、しばしば終わりであり、終わることは始まることである。 終わりは私たちの始まりの場所である。( T・S・エリオット『四つの四重奏』より) もう、何度目だろうか。今年、この言葉を思い出したのは…

『君の名は。』を聴く RADWIMPSと新海誠の結びあい

『君の名は。』、大好評である。 新海誠の監督作品が好きで、2007年の『秒速5センチメートル』から観ている身としては期待していたし、主題歌がRADWIMPSという点も良きマッチングだと思っていた。何を隠そう、当時の僕の周りの友人ら(サッカーサークル)は…

焚吐「ふたりの秒針」

今年の5月に発売したこの「ふたりの秒針」はシンガーソングライター焚吐の二枚目のシングル。アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマとして流れていたので、聞いたことがある人も多いのではないだろうか。 そもそも焚吐とは?という方のために少し紹介…

深化・進化が止まらない カラスは真っ白

*1 相対性理論やパスピエなど、女性のゆるふわウィスパーボイスのバンドが少し前からちょっとブームになってますね。パスピエなんかは最近メディアへの露出も増えてきてまさに人気バンドへの仲間入りしたように思います。 そこでぜひ紹介したいのが、カラス…

Pokemon Songs GO 〜もう一度子どもに戻ってみたくなる10曲

Hello Kids! キミはもう、たっぷりポケモンつかまえた?ポケモンと一緒に大きくなったキミも、初めてのキミも、ポケモンGOに挑戦だ! ……ということで、初めまして。あじぽんと申します。アラサー男子です。今まで投票企画で作品に対してレビューらしきものを…

同じ月を眺めている - フジファブリック @ 長崎DRUM Be-7

12会場を巡る1年ぶりの全国ライブハウスツアー「TOUR 2016"三日月ADVENTURE"」。そのツアーファイナルが隣の長崎県で開催されるということで、少し遠出して行ってみた。 会場の長崎DRUM Be-7、キャパは400人という小規模なライブハウス。開演時間を少し過ぎ…

Radiohead『A Moon Shaped Pool』

Radioheadの5年ぶりの新作『A Moon Shaped Pool』について合評しました。相変わらず好き勝手なことを書いています。長いです。今後もよろしくお願いします。

AL『心の中の色紙』

真の友をもてないのはまったく惨めな孤独である。と言ったのはフランシス・ベーコンだがandymori時代の小山田壮平はそんな感じだったのかもしれない。もちろん自分の音楽を鳴らしてくれる信頼のおけるバンドメンバーはいたし、長澤知之という親友もいた。で…

リリースカレンダー 2016年4月号

お久しぶりです。また間を空けてしまったのですが(かなり)、めげずにひっそり上げます。よろしくお願いします。

穏やかに歪み、ポップにねじれる "三回転とひとひねり”の景色

ミュージシャンたちが音楽で描く世界は様々である。壮大なスケールや発想を持った圧倒的な音楽もあれば、僕らの日々に寄り添ってくれるような音楽もある。しかし時折出会ってしまう。これは何の世界を描いているのか、距離が近いのか遠いのか、さっぱりわか…

カート・コバーンと小沢健二

「なあ、日本でカート・コバーンにあたる人物って誰なんだろうね」 友人は唐突にこんな質問を僕に投げかけてきた。カートが亡くなってから20年以上が過ぎたある日の昼下がり、僕たち二人は喫茶店でコーヒー片手に大好きなニルヴァーナについて話していた。友…

リリースカレンダー 2016年2月号

もう2月も終わりそうなのですが、2月以降のリリース情報をまとめました。今月はインフルエンザと胃炎にかかってすっかり更新しなかったのですが、こんな時もあります。気楽にやってます、と言い訳をしておきます。(ぴっち)

いちごが染まる

一念発起して長年の夢だったイチゴ狩りへ。自宅から車ではるばる約40分。ストロベリー・フィールドとかいうソープランドみたいな名前の農園。バイトの女の子に説明を受ける。時間無制限。1800円。はぁ。いっそのことソープランドだったら良かったのに。イチ…

音に愛されている異色ロックピアノトリオ、センチメンタル岡田とがんばれ根本くんバンド

*1 都内だけに限っても、いったい何百のバンドが夜な夜なスタジオで練習に励み、ライブを行い、打ち上げで「売れてぇ……」とぼやきながら酒を飲んでいるのだろうか?僕は安い居酒屋で一人読書しながら酒を飲むのが趣味なのだが、往々にして打ち上げに使われて…

岡村靖幸『幸福』

岡村ちゃんの約11年ぶりのオリジナルアルバムを聴いた。 最初に聴いた時は、流れが良くない、と思った。タイトルに合わないムーディなオープニングに困惑したし、3曲目でがらりと変わる展開に違和感を覚えた。他にも細かい部分で2箇所ほど気にかかるところが…

アニソン好きと元アイドルオタがアニソンについて話したようですpart5 <水樹奈々というキメラ/あるいはその後の流れ>

アニソンが好きすぎてアニソンシンガーにインタビューまでしてしまった草野、バンドとアイドルを長年追いかけ続けてきたかめ。とある事情でアニソン関係の記事を書いていた草野が、休憩がてらにかめ君へ後先考えずに絡み、何気ない会話から発展した。そして…

紅白で見てみたい

前回の紅白歌合戦は日本のロック勢の枠が広がり意外なゲストもいて、普段紅白をろくに見たことがなかった自分でもそこそこ楽しめました。まあなんといっても星野源(with伊藤大地、石橋英子ら)とBUMPと林檎(with向井秀徳、浮雲ら)の3組が大きかったのです…

Galileo Galilei「ウェンズデイ」

いやいや、これをやるか……と思わずにはいられないMVだ。元ネタを言い当てられるわけではないけど、それこそ00年代後半から10年代初頭におけるインディーロックを、彼らなりに咀嚼した上で、より純度を高めたような印象を抱いた。彼らと実際に交流のある元The…

BUGY CRAXONE「たいにーたいにー」

去年アルバムがリリースされてからも事あるごとに言ってた気がするけど、その甲斐があったのか(←そんなわけない)、それとも彼ら自身がこの曲を良く思っていたのかついにMVが公開された。何はともあれ聴いてみて欲しい。音楽の嗜好は人それぞれだから、あな…

クウチュウ戦『Sukoshi Fushigi』

少し不思議どころか、かなり不思議。彼らの言うSFとはフィクションではない。本作は世界と宇宙に潜む不思議な心髄を捉えている。 ある雑誌が彼らの音楽を「どこを向いているのかわからない」と評したが、僕も彼らの音楽はどこを向いているのかわからない。Pi…

王舟「Moebius」

え、これ、宅録なの?まじか!言われてみればどこか籠もってるような……と思わないこともないけど、言われないとわからないよ。宅録という概念が覆されるような。スチールドラムまで鳴ってるし。 ディスコでありながらダークな雰囲気が、どこか90年代のJ-POP…

2015年僕たちは何を聴いていたか 曲単位篇 part2

関西と関東に住むアラサー2人がskype上で語り合う対談企画。今回は『2015年僕たちは何を聴いていたか 曲単位篇』と題しまして、2015年にこの2人は何を聴いていたかとを話し合いました。今回は後編です。

花澤香菜「透明な女の子」

今までクラムボンのミト、シンバルズの沖井礼二、カジヒデキ、やくしまるえつこ、Base Ball Bearの小出祐介、NONA REEVESの西寺郷太、北園みなみ等が関わってきた花澤香菜。今度は空気公団の山崎ゆかりが参加!人選がひたすらわかっていて怖いほど。ここまで…

スガシカオ「大晦日の宇宙船」

スガシカオが約6年ぶりに新作をリリースした。アルバムタイトルは『THE LAST』で、小林武史がプロデュースしている。ただし、サウンドプロデュースというよりも、スガシカオがどこへ向かえば良いのかを導くようなトータルプロデュースの立場とのこと。 ナタ…

リリースカレンダー 2016年1月号

2016年1月以降のリリース情報をまとめました。内容は随時更新中です。海外も含めているので、輸入盤/国内盤の違い、それから単純な間違い、漏れもあるので目安程度に使っていただけたら。情報の取捨選択は、某ランキングの集計中によく見かける名前を優先し…

2015年僕たちは何を聴いていたか 曲単位篇 part1

関西と関東に住むアラサー2人がskype上で語り合う対談企画。今回は『2015年僕たちは何を聴いていたか 曲単位篇』と題しまして、2015年にこの2人は何を聴いていたかとを話し合いました。2016年に入りボウイが亡くなり、イエモンの復活して。テレビを見ればゲ…

POP ETC「Please, Don't Forget Me」

うわーいいぞー!本当にずっと、それこそ2013年くらいからアルバムを待ち続けていたのに、なぜかGalileo Galileiや木村カエラあたりで名前が出てたPOP ETCがついにアルバムを。The Morning Bendersからだと4枚目、POP ETCとしては2枚目。4年ぶり。本当に長か…

LUCKY TAPES「MOON」

そろそろ「ブラックミュージックって言い過ぎだよ」って言われそうだけど、でもやっぱりDaft Punkの『Random Access Memories』以降のディスコブーム(リバイバル?)があって、で、今のようなcero、入江陽のようにD'Angelo、Flying Lotus、Kendrick Lamerの…

入江陽「おひっこし」

すごっ。なんだろう、このFlying Lotus感は。2016年もceroが切り開いたブラックミュージックの潮流が日本でも進められるかはまだわからないけど、でも確実に2015年が終わり2016年がはじまったことを実感させられるような。そんな音がする。 編曲のTeppei Kak…

アニソン好きと元アイドルオタがアニソンについて話したようです part4  <アニソンと音楽情報量と女性ボーカル/京アニを添えて>

アニソンが好きすぎてアニソンシンガーにインタビューまでしてしまった草野、バンドとアイドルを長年追いかけ続けてきたかめは、好きなものが被ることもあってかいくつか会話をしたことのある間柄だ。とある事情でアニソン関係の記事を書いていた草野が、休…