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4/5 Hemenway ラストライブ 「The Music」@渋谷WWW

ライブレポート

はじめまして。いきなりの長文で申し訳ないですが、昨日見に行ったライブのレポートを書きました。昨年は110本ライブを見にいきました。主に邦楽ロックのライブレポが中心になりますが、これからよろしくお願いします。

本来ならここで「これから自分がオススメする若手バンド」という紹介の仕方をするところなのだが、そうならないのは、このバンド、Hemenwayが先日突如として「音楽の方向性の違い」を理由にバンドの解散を表明してしまったからだ。

2年前にシングル「Listen」でメジャーデビューした、Isaac、Charm、Ogachig、Toshiによる4人組。IsaacとCharmは韓国系アメリカ人であり、4人は音楽の名門バークリー大学の出身。高いスキルを持ちながら「J-ROCKのど真ん中で勝負する」ことを活動方針に定めたバンドである。

デビュー時にロッキン・オン・ジャパンでのインタビューで興味を持ち、そのあとのSWEET LOVE SHOWERオープニングアクトとして出演したライブを見た。それから配信シングルや、アニメのタイアップシングルなどのリリースを重ね、昨年12月に待望の初フルアルバム「The Music」をリリース。直後のCOUNTDOWN JAPANにはMOON STAGEの大トリとして出演。動員は非常に厳しいものだったが、メンバーはライブ後に「最高の1年のスタートが切れました!」と言っていただけに、先日の解散発表はまさに晴天の霹靂。よって、本来はアルバムのリリースツアーであった今回のライブが解散ライブとなってしまった。

ラストライブにもかかわらず、場内はスペースには余裕がある状態。最前ブロックにいる観客が「バイマイサイド」を合唱しながらメンバーの登場を待つというのは最後のライブならではの現象だったのだろうか。

開演予定時刻の18時をかなりまわったころ、場内が暗転してメンバーが登場。タイトル通りに燃え盛るような演奏と赤い照明の「炎」からスタート。「半分人間」「花降る夜に」と「The Music」収録曲を続く。

メンバーの演奏が本当に上手い。このバンドは曲をポップにするために高い技術を活かす。特にギターのCharmは合間にアクションを挟みながらタッピング奏法を軽々と披露したり、それをギターで弾くのか!?というところまで再現してみせる。そのことがよくわかる「スタート革命」「幻想とダンス」というアッパーな曲を終えると、Isaacによる挨拶的なMCから、アコギに持ち替え、「Tonight」「Dreamboat」と聴かせる曲を続ける。

解散ライブには何度か行っているが、いつもと違うある種の異様な空気を感じてしまうのは、演奏された曲はもう二度とこうして演奏されることはないということ。こういう聞かせるような曲を演奏されると、そういうことを考えずにはいられなくなる。

しかしカラフルかつハイパーなダンスナンバー「The Music」から再びアッパーな展開に。IsaacとCharmが向かい合ってギターを弾いたり、CharmとOgachingが並んで演奏したりと、解散ライブとは思えないメンバーの仲睦まじさを見ると、ただただ楽しい空気に包まれていく。

開演前、観客が合唱していた「バイマイサイド」では当然のように大合唱が起こり、まさにこの時を予期していたかのようになってしまった「Goodbye」では演奏中からすすり泣くような声が聞こえた。

そしてIsaacによるMC。解散が決まった時にこのライブをやるかどうかも話し合ったが、やはり今まで応援してくれた人達に直接会って説明したかったということで、改めて4人がやりたい音楽が少しずつズレてきてしまったこと、それでも今まで作ってきた曲に4人は心から真剣に向き合ってきたこと、メンバーはこれからもそれぞれで音楽を続けて行くつもりであるので今は前向きな気分であることが語られた。最後に来てくれた人や、聴いてくれていた人、スタッフへ感謝の気持ちを告げると、Isaacの目から堪えていた涙が溢れ出した。

Isaac「前向きだって言ったばかりだから絶対泣きたくなかったんだけど…」

その姿には思わずもらい泣きをしてしまった。そしてあっという間の本編ラストは、これまでもずっと大事にしてきた曲だというアルバムのラストナンバー「迷い道の上で」の

《だから今 未来が見えなくても迷わないよ 迷わない》

という最後のフレーズは、メンバーそれぞれの今の心境そのもののように響いた。

再び観客が「バイマイサイド」を歌いながら待っていると、メンバーがアンコールに登場。ここで最前の観客から、4人分の花束と、ファンからの寄せ書きが手渡されるというサプライズが。嬉しそうに受け取ると、メンバー一人一人の最後のMCに。ドラムのToshiが観客やスタッフに感謝を告げ、

Toshi「こんな俺に背中を預けてくれてありがとう」

と、他のメンバー3人に対しても感謝を告げた。

Charmは日本に来た時にIsaacと一緒に暮らしていたことを話し、Isaacはアメリカから来た自分を応援して、受け入れてくれた日本に本当に感謝していると語ったのだが、途中でOgachingを飛ばしてしまったことに気付き、そこでOgachingに譲った。Ogachingは5年前にCharmが日本に来るIsaacを迎えにハチ公にいたところに偶然出くわしてそれが結成のきっかけになったこと、Charmは最初は全然日本語が話せなかったことなど、結成以前から今に至るまでのバンド秘話を喋った。

そしてIsaacの最後の感謝の言葉。

Isaac「これからも僕は日本で音楽を続けていこうと思ってます。だからまたどこかで必ず会いましょう!」

という宣言とともに、久しぶりの「Will you be there」、そして

Isaac「最後に僕たちのデビュー曲を聴いて下さい、Listen!」

で「Listen」がはじまる。でもこれで終わりではないのはわかっていた。何故ならそのあとに

Isaac「あと1曲だけやっていい!?最後に元気よく終わりたいよね!?」

と話して演奏された「フューチャー考察」があるからだ。最初にSLSで見た時、豪雨のあとで人がまばらだったMt.FUJI STAGEでこの曲を聴いて、このバンドはいずれこのステージを人で埋めるような存在になると思っていた。しかし残念ながらそうはならず、ここが最後の場所になってしまった。

これまでにもSyrup16g毛皮のマリーズなどの解散ライブを見てきたが、それらのバンドは結果も残したし、独自の確固たる存在のバンドの最後の大舞台として武道館で解散した。しかしこのバンドが真っ当に評価されたとは思えない。だからこそ、メンバーにはこれからの活動がHemenwayの再評価につながって欲しい。

そしてアンコールで演奏された「フューチャー考察」の

《はるかな未来が少しずつ近づく今の僕に/さらば古い僕よ笑いながら会いに行くよ会いに行くよ》

 という最後のフレーズがこれからの宣誓のように響いた。メンバーが全員前に出てきて観客とハイタッチしたり、ピックやスティックをばら撒いたりして、最後の時間を惜しんでいるみたいだった。そして観客とともに写真撮影をしてステージから去った。こうして結成から3年、デビューから2年というHemenwayの短い物語に幕が下ろされた。

1.炎
2.半分人間
3.花降る夜に
4.スタート革命
5.幻想とダンス
6.Tonight
7.Dreamboat
8.The Music
9.GET UP
10.Escape
11.あのさ
12.バイマイサイド
13.Goodbye
14.迷い道の上で
encore
15.Will you be there
16.Listen
17.フューチャー考察

結果だけを見たら、Hemenwayは負けた。音楽は勝ち負けではないが、確固たる結果を残せなかったのは紛れもない事実である。

しかしこれからも日本で活動する宣言をしたIsaacの、韓国系アメリカ人という難しいアイデンティティを持ちながら日本に来ようと思ったのは本当に大きな決断だと思う。ほとんど喋れなかったという日本語で歌い、喋れるようになったのは凄まじい努力をしてきたから。これからの活動がHemenwayの再評価につながりますように。

最後に、短い間だったけど、本当に今までありがとう、Hemenway

  

 

ソノダマン (@yoppeleah)

主にロックバンドのライブのセトリや全体の空気感をなるべく早くアップするブログ