SOUL'd OUT解散、ラストアルバム『To From』を聴いて

ヒップホップや日本語ラップの枠にとらわれず、自由な個性を爆発させているモンスターラップグループ、SOUL'd OUTが解散します。

9年ほど前、自分が中学生だった頃にレンタルしたシングル『To All Dreamers』からはじまったSOの新曲リリースと自分の思い出に終止符が打たれてしまうのですね。家で自由にインターネットできない環境の頃「ALIVE」を友達の家のPCで公式サイトで試聴して興奮したり。「Starlight Destiny」がラジオで深夜に流れる日、夜中に興奮しながらカセットテープで録音したり。「MEGALOPOLIS PATROL」がスポーツ番組のタイアップに決定したことを知って、番組はそっちのけで耳を澄まして聴いて興奮したり。

活動休止して各々がソロプロジェクトをはじめた以降は冷めては再燃しての繰り返しでしたが、いざ解散が発表されて、そして今回のアルバムを聴くと、SOUL'd OUTに一心不乱だったあの頃がフラッシュバックします。まるで走馬灯のように。死ぬのか俺は。いや生きてこれからの活動を見届けなければ。

≪永遠のものは果たしてあるのだろうか だから俺たちは… そうさ俺たちは 煌めく瞬間をフルに生きてたいんだ≫*1

さてSOUL'd OUTについて、これほどまでに他に例えようのない音楽はあったでしょうか。SOUL'd OUTはSOUL'd OUTでしかない。それぞれのメンバーの個性や影響を受けた音楽のごった煮がとてつもなくハイブリッドな爆弾サウンドとなってしまっています。ヒップホップもロックも関係なく、独自の色に染めて吐き出していました。

メンバーはDiggy-MO'(MC)、Bro.Hi(Human Beat Box、MC)、Shinnosuke(Trackmaster)の3人。Diggyは岡村靖幸(実際に影響を受けているハズ)に並ぶ強烈にファンクでロックでポップなボーカリストです。ソロアルバム2作目『Diggyism Ⅱ』のハチャメチャPOPS満漢全席っぷりはどの時代どのジャンルの中で比較しても稀有な作品ではないでしょうか。久しぶりにiTunesで聴いてみたらやはりとんでもなかったです。

SOUL'd OUT『To From』 

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ラストアルバムにしてはアッサリとしていますが、まちがいなく集大成です。変わらないSOUL'd OUTらしさを残しつつそれぞれのメンバーの現行モードが詰まった極上の一枚です。最初はエネルギーに圧倒され高揚した反面、物足りなさや個人的な願望についていろいろ考えてしまいました。でも何度も聴いてるとそれがどうでもよくなるくらい最高の出来だと思いました。

今や現在のSOとしてはこれ以上ないほど出し切った作品だと言い切れます。そして最後だというのに「Sweet Grrl パイセン」という曲のタイトル、そして

《オレごと転送 君の方角へバビューン》*2

の歌詞など、要所要所で磨きがかかったコミカルなセンスを発揮していて、聴いていて思わずニヤニヤしてしまいます。まさしくニタニタTHERAPY。喜怒哀楽の風林火山

 

ラウドなミクスチャーバンドEdgePlayerで培ったロックなスピリットが味付けされ、言葉を詰めこまずともキレよく刻んでくverseが最高にクールです。随分ハスキーなボイスになりましたね。解散後はEdgePlayerを再開させるのでしょうか。どちらにせよ歌い続けてほしいです。

disco shit

 

 

ラニワ、そしてわど(@wadledy

ちょうどいいサイズの世界

 

*1:「To All Tha Dreamers」

*2:「MARTIAN MARTIAN」