スピッツ「プール」

こんにちは、クラークです。

今回取り上げる曲はスピッツの初期の名曲「プール」です。

この曲は1991年にリリースされた2ndアルバム『名前をつけてやる』に収録されています。「ライド歌謡」を標榜するなど当時の海外のシューゲイザーの影響を色濃く受けたこのアルバムは初期の傑作として多くのファンに愛されています。

スピッツ『名前をつけてやる』

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今でこそ国民的バンドとして老若男女に愛されるバンドとなり、少しばかり「爽やかで安全なPOPバンド」の印象がつきまとうスピッツですが、初期の彼らを知ってるリスナーならそれがいかに誤ったイメージかは理解頂けると思います。

周りにも1人ぐらいいますよね、実は獣姦とか死姦が好きなすっげえ性癖のくせになぜか爽やかなイメージで通ってる男。そんな釈然としない感じを今のスピッツの立ち位置に覚えている人も少なくないのではないでしょうか。草野マサムネさん本人も「曲のテーマは死とセックス」って言ってますし、三輪テツヤさんもどう見てもカタギじゃないですよね。余談ですが僕の母親はヨージ・ビオメハニカと三輪さんが同一人物だと思ってました。

そもそも、この不思議なアルバムタイトル「名前をつけてやる」って何に名前をつけてやるのでしょうか?大学の仲良しのスピッツファンの女の子はジャケットの猫ちゃんだと思ってたらしく「マサムネのそういうとこ大好き☆」とかノータリンでお花畑なことを言ってましたが、全然違います。マサムネ舐めんな、って感じですよね。

彼が名前をつけようとしたのは「いきり立った俺のイチモツ」です。マジだぜ。狂ってるよな。歌詞をみれば一目瞭然です。

マンモス広場で8時わざとらしく声をひそめて

ふくらんだシャツのボタンをひきちぎるスキなど探しながら

回転木馬回らず駅前のくす玉も割れず

無言の合図の上で最後の日が今日だった

 

名前をつけてやる残りの夜が来て

むき出しのでっぱりごまかせない夜が来て 

さて今回取り上げる「プール」ですが、サウンドとしては彼らが目指した「ライド歌謡」の完成形ともいえる素晴らしいものです。ギターのフィードバックノイズと鳴り続ける鈴の音が「向こう側」に僕らを誘います。

スピッツ「プール」

こんな曲を1991年にリリースできるバンドが日本にいたことに驚愕。因みにフィッシュマンズの1stやフリッパーズの世界塔やピチカートの女性上位時代も同年ですね、凄まじい。

さてこの「プール」の歌詞も例に漏れず死とセックスがテーマになっています。冒頭から草野マサムネの才気が炸裂する天才的なリリックとなっています。

君に会えた夏蜘蛛になった

ねっころがってくるくるにからまってふざけた

風のように 少しだけ揺れながら 

「夏蜘蛛」という美しくも少しグロテスクな言葉。蜘蛛の8本の手足、重なり合う男女の手足。風に揺れるように絡まる夏の蜘蛛。夏の情事が汗の匂いと白い肌の質感と共に目に浮かぶ、素晴らしい歌詞です。

孤りを忘れた世界に

水しぶきはね上げてバタ足大きな姿が泳ぎ出す

 

孤りを忘れた世界に

白い花降りやまずでこぼこ野原を静かに日は照らす 

もはや解説するのも赤面ですが水しぶきは女性のアレで白い花は男性のアレですよね、バタ足もまあ女性のエクスタシー的なアレですよ。「でこぼこ野原を静かに日は照らす」ってのもまあ処女か童貞じゃなきゃわかりますよね、事の後の虚脱感をこんなに詩的に表現した歌詞ってあるのでしょうか。

この曲は2分40秒ぐらいから長い間奏があるのですが、そのこの世のものとは思えない美しさと儚さはフランスのこんな素敵な言葉と共鳴します。

エクスタシーとは、小さな死である。 

精液と汗と女の子と血と夏の匂いに満ちた、ノスタルジックでセンチメンタルな大名曲です。ぜひこの夏に聞いてみてください。

以上です、ありがとうございました。

 

以下蛇足。

このアルバムがリリースされた1991年は世界的に大豊作な1年として有名です。日本も前述した通り渋谷系の終焉とポスト渋谷系の始まりを象徴する顔ぶれとなっています。海外に目を向ければすぐに思い出せるだけでもU2「Achtung baby」,MASSIVE ATTACK「blue lines」,primal scream「screamadelica」,La's「La's」,RIDE「Nowhere」,my bloody valentineloveless」,METALLICAMETALLICA」,a tribe called quest「low and theory」etc...

そして勿論忘れてはならないNIRVANAの「Nevermind」も1991年リリースです。さてそんな歴史的名盤に収録された「On a Plain」という曲があります。

Nirvana「On a Plain」

「I love myself better than you」というリリックがフロントマンのカートコバーンの苦悩に結びつけられがちですが、この曲は彼のユーモアセンスが光る笑える曲だと僕は思っています。

I'll start this off without any words

I got so high I scratched 'till I bled 

I love myself better than you 

I know it's wrong so what should I do?  

 

俺はこれを無言で始める

すげー気持ち良くて血が出るまでこすっちゃう

俺は誰よりも上手に自分を愛せる

間違ってるのは知ってるけど止めらんないんだ

もうこの曲が何についての歌かは分かりますよね。コーラスの感じも男なら共感できるし笑えるんじゃないかな。

I'm on a plain, mmmm 

I can't complain, mmmm 

I'm on a plain, mmmm 

俺は草原の真っ只中

もう最高

草原の真っ只中、ふぅ

いつ聴いても楽しい最高な気分にしてくれる大好きな曲です。

 

 

くらーく(@kimiterasu

いまここでどこでもない