The Black and White Years『Strange Figurines』

The Black and White Years『Strange Figurines』(2014、US)

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甘く退廃的なメロディー。ニューウェイヴの伝統を受け継いだ、エレクトロ・ポップ新作。

(読者の皆様全員というわけではありませんが)新しい環境に慣れ始めた今日この頃、日常を煌めかせるBGMとしてピッタリの音楽を見つけましたので、ご紹介。これまで全くノーマークでしたが、こんな魅力満載のポップ・グループが存在していたとはうれしい誤算。

本作は、ブラック・アンド・ホワイト・イヤーズの通算4枚目にあたるアルバムです。テキサス州オースチン市出身。2007年のサウス・バイ・サウス・ウエスト(SxSW)において、トーキング・ヘッズや(ジョナサン・リッチマンのバックバンドとして知られる)モダン・ラバーズのキーボード奏者、ジェリー・ハリスンに見出されてデビューしたグループ。80年代を彷彿とさせるディスコティックなダンス・ビートを軸とした、ニューウェイヴ風エレクトロ・ポップをやっています。

大らかでスペーシーにうねるシンセサイザーとギター、ソリッドにビートを刻むリズム隊、リリカルな音色を紛れ込ませているピアノとアコギ。これらが重なるアンサンブルによって生まれる音楽は、ポップながらも都会の夜をイメージさせるスタイリッシュなもの。トーキング・ヘッズ等、ニューウェイヴ・シーンの音楽からの影響を感じさせます。電子音と生演奏の融合が理想的に行われており、音に温かみと甘さを加えているのがポイント。また、儚さをたたえる女性コーラスの貢献も大であり、ノスタルジックな雰囲気を演出しています。クールな中にも妖艶さを見え隠れするヴォーカルも素晴らしい。

個性としては伝統を踏襲したオーソドックスなもの。しかし、楽曲は、練りに練った痕跡が伺える凝った曲展開が楽しめるものが揃っており、隙のない構成。ニューウェイヴが持つデカダンス(退廃的)な雰囲気もしっかり継承しており、その筋のファンなら間違いなく楽しめることでしょう。

「Strange Figurines」

ジワジワと浸透してくるポップなメロディー。「しゃっと・あっぷ、あ(ん)きすみい」サビでのハーモニーは、夢見心地。ふわふわとしたシンセサイザーの裏で、切なく泣いているピアノが効いています。

「Embraces」

こちらがリーダー・トラック。爽やかハーモニーとキラキラのシンセサイザーが、あなたのノスタルジーへの扉を開きます。無邪気に演技している子供を羨ましく思ってしまうナイス・クリップ。尚、本作は大手通販サイトでも取り扱っています。

 

 

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