5/17 KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー @新木場STUDIO COAST

まだフルアルバムは1枚しかリリースしていない20代前半のバンドながら、今や最も勢いのある若手の1組であるKANA-BOON。昨年のツアーの東京公演は渋谷のクアトロだったが、シングル「結晶星」のリリースツアーである今回のツアーの東京公演は一気に新木場STUDIO COASTへと拡大。すでにフェスでは一万人規模のステージでも入場規制がかかるほどなだけに、会場は人で埋め尽くされている。そしておそらく10代であろう女子が非常に多いのが目を引く。

メンバー登場前から観客が前方につめかける中、SEもなしにメンバーが登場。初っ端の「ワールド」から早くも満員の観客は踊りまくり。序盤はひたすらアッパーな曲が続いたが、

「ワンマン3回目なんですけど、せっかくのワンマンだから普段はなかなかできない曲を」と、

「夜をこえて」や「東京」などの、聴きいるような曲も演奏される。

KANA-BOONといえば、「4つ打ちで踊れて楽しい」というイメージが定着しているが、決してそれだけのバンドではないというのが本当によくわかる曲達だし、このバンドは何よりもメロディがどの曲も抜群にいいという事実を再確認させてくれる。

谷口のハイトーンボイスは日々の鬱屈を忘れさせるかのように澄み渡り、古賀は新世代のギターヒーローの座を射止めるかのように前に出て来てギターソロを弾き倒し、「単調だ」と言われることも多い飯田と小泉のリズム隊も、音源よりもはるかにパワフルで、バンドとして確かに実力を向上させている。

後半には「さくらのうた」「桜の詩」の2曲が続けて演奏されたのだが、「さくらのうた」は歌詞の

《国道沿いを走って》

の通りに疾走感あふれる、桜の並木道を駆け抜けて行くイメージだが、「桜の詩」は立ち止まって桜の木を眺めているようなイメージ。発音が同じ曲を続けてきたのには遊び心を感じるが、こうして続けたことによって、曲の対比がわかりやすく伝わる。

ラストは「結晶星」から「ないものねだり」「盛者必衰の理、お断り」とキラーチューンを連発して終了し、アンコールでは月末に発売されるニューシングル「フルドライブ」「A.oh!!」と、ひたすらにアゲまくりの踊らせまくりで締めくくってみせた。

大多数を占めた10代~20代のファンからしたら、おそらくKANA-BOONは自分達のヒーローに映っていると思う。しかし、谷口はカリスマというタイプではないし、メンバーはむしろ観客とほとんど変わらない普通の20代の男子といった雰囲気である。MCで飯田が

ご当地グルメツアーなのに胃潰瘍になったからお粥しか食べられへん」

と言ったり、古賀が江頭2:50のモノマネをしたり、小泉が開演前のBGM用に作った曲にめちゃくちゃ時間をかけたことや、毎日渋谷の電気量販店に出向いてることを話すなど、まるで大学生のようなノリである。

しかし、だからこそ谷口が、来週のミュージックステーションに出演する旨を告げた時の、

「絶対に、遠くに行ったとか、寂しい思いはさせないから」

というファンの想いを全て引き受けた発言には頼もしさを感じた。このバンドはただの「四つ打ちの踊れて楽しい」だけのバンドでは絶対終わらないはず。ツアーを経て、去年新人の顔見せという立ち位置だった夏フェスではどんな景色を見せてくれるのだろうか。

1.ワールド
2.クローン
3.ウォーリーヒーロー
4.MUSiC
5.ストラテジー
6.ミミック
7.目と目と目と目
8.夜をこえて
9.1.2.step you
10.見たくないもの
11.東京
12.羽虫と自販機
13.さくらのうた
14.桜の詩
15.新曲
16.結晶星
17.ないものねだり
18.盛者必衰の理、お断り
encore
19.フルドライブ
20.A.oh!!

 

盛者必衰の理、お断り

ないものねだり

 

 

ソノダマン(@yoppeleah

主にロックバンドのライブのセトリや全体の空気感をなるべく早くアップするブログ