次回予告では店内BGMのことを書く予定でしたが、久々にライブに行ってきたので、せっかくだからということでライブレポートを書くことにしました!
セットリストは毎回違っているそうですが、念のためお知らせします。ネタバレです。
8月に行われる武道館公演の前哨戦ともいえる、東名阪のゼップツアー、Zepp Nambaの2days公演の二日目。今年の2月に行われた「カベニミミ」公演の成果を存分に発揮したセットリストでした。
※「カベニミミ」はNICOが2月いっぱい都内の某ギャラリーを自分たちのライブハウスに作り替え、そこで一か月ほぼ毎日ライブを行うという、雑誌やネットのニュースでは「籠城型ライブ」と解説された公演。セットリストは毎回様々なテーマに沿って変わり、一か月でバンドのほぼ全ての曲を演奏したそう。私は関西在住で行くことはできませんでしたが、公演後に上がってくるセトリを見ては羨ましく思っていました。
個人的には、開演前のいわゆるSEを聴くのがけっこう好きです。アーティストが自分たちの好きな曲、ルーツである曲を選んでかけているのを聴くのはとても興味深いものがあります。NICOのライブは初めてなので、SEがどんな感じなのか今回初めてわかるのですが、前から、ライブに行ったらぜひともやりたいと思っていた「ShazamでSEの曲を検索」を実践できました(笑)会場がざわざわしてくると雑音が入ってうまく検索できず、結局一曲しか調べられなかったのですが……。
※Shazamは、音楽を聴かせるとタイトルやアーティスト名を検索してくれるという、私にとっては大変便利なアプリです。
検索で出てきた曲はこちら。↓
Fleet Foxes「Ragged Wood」
アイリッシュやカントリー調の曲が多めで「この雰囲気からどうやって本編に入るんだろう」と若干気になったものの、上手い具合にはじまりました。
1曲目は「ローハイド」。ここから4曲、アップテンポで盛り上がる曲が続きます。「チェインリアクション」の変拍子部分で一瞬ノリがガタっとしてしまうのが、おもしろいというか何というか。
4曲終わったあとのMCで「今日のテーマは『夜』です」と発表。なるほど、カベニミミでも夜をテーマにしたセトリの日があったなあと思いました。あの実験的なセトリを、Zeppでやってしまおうということか!と始まったのがインディーズ時代の渋~いバラード「行方」。「これはすごいセトリかもしれない」と確信しました。
「夢一号」もアレンジがCDよりも渋い、ブラックテイストの印象が強くなっていておもしろかったです。
そして「君だけ」。狂気すら感じるずっしりとしたバラード。まさかこれを聴けるなんて!3rdアルバム「PASSENGER」の中に入っている曲で、いつかライブで聴けたらいいなと思っていたところ、どんぴしゃで来てびっくり。横揺れのノリさえ止まってしまう、なかなかの重い曲です。
さらに、これまたインディーズの曲で「僕がいなくても地球はまわってる」。何だか中二病チックな歌詞で、なのにメロディや雰囲気がやたらブルージーで歌謡曲っぽくて、やっぱり渋い。NICOのインディーズ曲って、やけに渋い曲が多い気がします。これもいつか聴きたいと思っていたので、静まり返る会場で心の中で狂喜。
といった感じでしばらくしんみり系の曲が続き、徐々にアップテンポに、明るめの曲に持って行ったところで、本編ラストの曲。「ライブではあまりやらない曲ですが…」とアコギをジャーンと鳴らして始まったのは「PASSENGER」。CDでは7分超の壮大なバラードです。ここまで来ると、もはや自分の中では贅沢なセトリすぎて、どうしようかと思いました。中間部の「ラーラーラー」のメロディが泣けます。
ラストにふさわしい曲とはいえ、この曲のあとにアンコールの拍手をするのが一瞬ためらわれるほど、緊張感に包まれました(私だけ?)……結局手拍子しましたけどね。笑
NICO Touches the Walls「PASSENGER」
「ラーラーラー」の大合唱、いつかやりたい…。
アンコール一曲目の「天地ガエシ」はアイリッシュ、カントリー調の新曲でアニメ「ハイキュー!」のEDにも使われています。何気にタイアップの多いバンドです。ここでSEの雰囲気と繋がり、おお!ってなりました。
NICO Touches the Walls「天地ガエシ」
これはたぶんアニメEDで流れている尺です。中間部でテンポが上がるところがカットされているのが残念。フル尺アップ希望。
最後の「手をたたけ」は、自分がNICOを知った曲でもあるので、わりと思い入れがあります。おそらく多くの人がこの曲で知ったんじゃないでしょうか。昔からのファンやバンド自身でさえ、これまでとあまりにも違う雰囲気にいろいろと思うところがある、というくらい、明るくてポップな曲です。
何というか、最近になればなるほどNICOはどんどん曲や歌詞が若くなっているというか、爽やかでポップになっているというか。逆に昔の方が、若い割には作る曲がやたら渋い、って感じでしょうか。オールマイティーなのはやはりボーカル光村さんのジャンルレスなルーツと類まれなるソングライティングの才能に尽きます。普段こういうことを書いたりしないので、どう言ったらいいのか、難しいですね……。
という感じで、私としては贅沢すぎるくらいのセトリでした。ワーッと盛り上がるのもいいけど、こういったしんみりした曲を静かに聴く、というのも良いものですね。いい意味で痛々しいほどの青さに浸ったライブでした。まあ、基本NICOの曲は心理的にも思い浮かぶイメージ、風景的にも「青い」というか。
2回目の武道館はメンバーいわく「リベンジ」ということですが(1回目はお客さんが思うように集まらず、ファンにとってもメンバーにとっても悔しい結果に終わってしまったそうで)行けるものなら行きたいです。初の武道館が確か4年前で、何と「手をたたけ」も「夏の大三角形」もまだ出ていない時だったということに、地味にびっくりしているkasecoでした。
kaseco(@palam_ai)