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みんなが選ぶくるり#3(ゴリさん)

くるりのアルバムで何が1位か。それは音楽ファンにとっては最大の問題である。過去10枚のオリジナルアルバムを出し、そのどれもがスタイルの違う物であるにもかかわらず、くるりファン、そして音楽ファンから高評価である。その証拠に2000年代に出たアルバム7作品だけを取ってみてもミュージックマガジンの2000年代ベスト100に4作品も取り上げられている。くるりの10作品は個人的にはどれも1位にしたい。それくらい、どれも素晴らしいアルバムなのだけど、強いて言うならこのアルバムを僕は1位にしたい。

1位 くるり坩堝の電圧

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もちろん他のアルバムも素晴らしい事は前提において、このアルバムが素晴らしい点は「このタイミングでしか絶対にできない作品」であり「くるりというバンドが反映されたアルバム」という点である。

このタイミングでしか絶対にできない作品

それまで、くるりはアルバムごとにテクノ・ジャズ・ブリティッシュロック・クラシックと様々な音楽ジャンルを取り込んできたがが、本作では「chili pepper japonês」ではイスラエル音楽であるマイム・マイムを取り入れたり「china dress」では新メンバーであるファン・ファンが中国語で歌ったりと”世界の音楽“を取り込もうとしている。さらに、この世界全体の音楽を包括しながら “今の日本”を歌っている点である。東日本大震災後初の作品という事もあり、歌詞の内容は今の日本に対する特に震災以降の日本を歌った内容が多くみられる。ここまでストレートに“今”という物を歌った作品は10作品でもこの「坩堝の電圧」しかないであろう。

くるりというバンドが反映されたアルバム

そして、このアルバムのもう一つの特徴なのが“くるりというバンドが反映されたアルバム”であるという点である。先ほども書いたが、くるりのアルバムは岸田繁の音楽への興味を色濃く映し出した作品が多く、そのため作品ごとに音楽ジャンルが変わったりするのだが、今回は岸田だけでなくメンバー全員が1曲ずつ歌を担当している。さらにサポートドラマーのあらきゆうこの意見を取り入れて作られた曲もある。そういった意味では今回の作品は岸田自身というよりかは、バンドとしての色が強まった作品になったのではないだろか。そして、この色が最も色濃く出た作品こそラストの「glory days」ではないだろうか。

くるり「glory days」

このアルバムでやってきた今の日本に対する、特に原発への非難が出た歌詞もさることながら、最後に今までくるりが歌った楽曲の歌詞がでてくる。

everybody feels the same

everybody feels the same

everybody feels the same

安心な僕らは旅に出ようぜ 思い切り泣いたり笑ったりしようぜ

裸足のままでゆく 何も見えなくなる

君がいない事 君と上手く話せない事

そして、このPVは「ばらの花」のPV地である福島県の薄磯海岸で撮影されている。「everybody feels the same」から過去の名曲の歌詞を歌い、1stシングル「東京」の歌詞を歌うことで、くるりは“自分たちのバンドの過去を振り返り、未来へつなげようとした”のではないだろうか。新体制になり、震災という未曾有な事態が起こったからこそ、一度原点に立ち返えり、バンド自身を見つめ直し、これからに繋げようと考えたのではないだろうか。

この曲はくるりの集大成であり、あらためてスタートラインに立つ決意表明の曲でもあると私は考える。くるりが今まで行ってきたこと、それを振り返る意味でもこの『坩堝の電圧』は個人的にはくるりのベスト1位にあげたい作品である。

 

 

ゴリさん(@toyoki123

ダラダラ人間の生活