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ランク外だった2010年代上半期マイベストトラックレビュー

コラム

はじめまして。月の人(@ShapeMoon)です。佐賀県の20歳大学生です。「ネットの音楽オタクが選んだ2010年代上半期のベストトラック 邦楽編」でこのブログを知り、記事を投稿してみました。最初の記事はその企画に絡めたものがいいと思いまして、投票した30曲のうち「ランク外となったマイベストトラック」3曲をピックアップし、自分の趣味嗜好の傾向も交えてレビューすることにしました。2010年代の10年間でのベストトラックを選ぶ企画が開催されたときにはぜひともランクインしてほしいという願いも込めています。

 

1. Gotch「Lost/喪失」

ASIAN KUNG-FU GENERATIONは僕が世界で最も好きなバンドだ。「音楽が大好き」という領域に踏み込む最初の一歩目だった。アジカンのおかげで「邦ロック」と言われる音楽に出会い、そこから聴く音楽がどんどん広がっていった。

アジカンで最も好きな部分はフロントマン後藤正文が紡ぐメロディだ。「リライト」のような激しいロックナンバーよりも、たとえばアルバム『サーフ ブンガク カマクラ』に収録されるポップで優しい曲でそのセンスが特に生かされてる。

後藤正文のソロ、Gotchの音楽はまさにそのような優しいメロディを存分に堪能できるという点でとても好きだ。「Lost」は最初に発表された曲で、歌い出しのメロディからグッと胸を掴まれる。女性シンガー・YeYeのコーラスの重なりは、穏やかな春の空気のようである。

そんな優しいムードの中で歌われるのは「誰もが皆、最後は消えてなくなるという喪失の感覚」だ。それでも《全てを失うために 全てを手に入れようぜ》と歌うのが力強い。震災直後に発表されたため、どうしても暗い気持ちで語られがちだけど、歌に込められた意思の強さは普遍的であると思う。僕の生きるテーマになっている一曲。

 

2. Base Ball Bear「東京」
DETECTIVE BOYS <完全生産限定盤>

DETECTIVE BOYS <完全生産限定盤>

 

僕の中で好きなアーティストの不動の2番目がBase Ball Bearである。まぁ最近はアジカンの活動が停滞気味なので、実質トップ1という期間も多いのですが。

多くのタイアップ曲を収録した『(WHAT IS THE) LOVE&POP』。その後、初の武道館ライブを経てベボベはタイアップから離れ自由な曲作りの中で、自己解体と再構築に挑戦し、その結果生まれたのが『DETECTIVE BOYS』『CYPRESS GIRLS』という3.5thアルバムだ。

その『DETECTIVE BOYS』のほうに収録されている「東京」は、僕の中で最も「東京」というタイトルが相応しい曲だと思う。淡々と刻まれるビートに乗せられた東京の街で離れ離れになった「俺」と「君」の物語。ありきたりな型番とも言えるが、過剰に切なくならず、あくまでも冷静な視点はベボベならでは。

そして《口紅を引いてみたら君の事が分かるだろうか》と歌われる、岡村靖幸w小出祐介の「愛はおしゃれじゃない」の歌詞にも繋がっているかのようなフレーズは、クールでありながらロマンを交えることも忘れない、絶妙なバランスで描かれた「東京」だと思う。

シンプルな演奏でドラマを展開させていく手法は、後の「short hair」に応用されているという点でももっと評価されてほしい。ベボベの中でも最も好きな楽曲だけど、2010年のツアー以来、一度も演奏されないのが寂しい。

 

3. さよならポニーテール「あの頃」

邦ロックとともに、僕の音楽趣味の二本柱を成すのがガールズポップだ。YUKIを皮切りに相対性理論を経て、そこからネットのサブカル界隈で知ったのがさよならポニーテールだった。ちなみに今はアイドルソングも多少聴くようになった。

ガールズポップの好きなポイントは、ロックバンドが歌えないことも平気で歌ってしまえるところである。この「あの頃」もそう。終わっていく青春の季節の中、恋したあの娘に伝えられなかった思い。こういう気持ちをロックバンドにエモーショナルに歌われることには違和感がある。男の子のナイーブなハートを、素朴の化身のようなみぃなの歌声が、平易な歌詞で紡がれるところに意味があると思う。音圧もソフトタッチで、音の質感もさよポニワールドのDIYっぷりが伝わってきてたまらない。

歌詞のテーマはももいろクローバー「走れ!」に近い。この曲は「走れ!」で動き出せなかった少年の歌と捉えることができる。またその少年の目線を通じながらにして、誰しもに通じる青春の儚さと美しさをさりげなく表現している。ガールズポップという枠にとどまらない、普遍性のある名曲だと思う。

 

 

月の人(@ShapeMoon