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何番煎じかの「東京」

コラム

東京は◯◯な街である。

この空欄になにを入れようか。

最新が生まれる街、流行発信の街、センスがいい街、憧れの街、欲望の街、金のなる街、育った街、働く街、生活に欠かせない街、遊びに行く街、苦い街……

タモリ、又吉、東京ポッド、マツコ……それぞれの「東京」論 - てれびのスキマ

この記事は各有名人の東京論がまとまっていておもしろい。中でも、かんぞうさんも書かれていたけれど、マツコ・デラックス峯田和伸に言った「東京って、病気の人は一生病気でいられる街よ」というのは至言だと思う。街のどこかに、矯正されることなく、何かをこじらせたまま大人になってしまった病気仲間が必ずいる。さらに病気のそれがお金になる方法も教えてくれる。凄くて、変な街。

6年間東京で暮らし、その後地元に出戻りをしたわたしは「東京は諦めの似合う街である」と空欄を埋めたい。その最中や前後に体験した気持ちを踏まえたうえで、5つの側面と真正面から、東京という街がテーマとなる曲を紹介しようと思う。このブログでも数々の「東京」記事がアップされてきたため、曲かぶりなどごめんなさい。

東京に住む前は「なんでもかんでも東京発信だから東京が一番みたいな顔しやがって、仮にも首都だからかなんか知らんけど偉そうに、たかがいち都市なのに」とテレビや雑誌にいちいち苛立っていた。京都・大阪・神戸という3都市を有する関西の都市部で生まれ育つと、それが教室の共通認識となったものでした。

SADS「TOKYO」

東京に住み始めるときの「まあ何はどうあれ初めてのひとり暮らし、自由な大学生という立場、夢の新生活!不安も大きいけど、なんだかんだ何もかもが揃っている東京様に期待はしてしまう!」ような気持ちは、きっと普遍的なんだろうね。

チャットモンチー「東京ハチミツオーケストラ」
タニザワトモフミ「東京ハロー」
NICO Touches the Walls「TOKYO Dreamer」

意外とホームシックなどはなく、東京に馴染み始めてしばらくは、こういうような2つの気持ちが入り乱れていた。必死に居場所を見つけようとしていた頃。

すれ違う人との小さなひび割れに「あーもー、さも東京人ですよ?風なすました顔しやがって!自分どこ出身やねん!…ああこんな無駄な戦いはむなしいなあ」なんて。もう出会わないのに。

LUNKHEAD「東京にて」
サカナクション「モノクロトウキョー」
GO!GO!7188「東京」

街のあたたかさに「意外と都民は冷たくなくて、逆に心に血の通った人がきちんと存在して、落とし所さえ見つければ案外やっていけるかも?」と、ここで生きる覚悟が少し芽生えたりもした。

cinema staff「tokyo surf」
きのこ帝国「東京」
GOING UNDER GROUND「東京」

大切な時間を過ごしせっかく好きになれた東京だったけど、あるきっかけから「もしかしたらみんな”東京”という名の幻想に取り憑かれていて、なんだか街にまるで実体がないような気がする、なんかこわい」という漠然とした恐怖をおぼえてからは、離れることを決めた。

plenty「東京」
BUMP OF CHICKEN「東京賛歌」
椿屋四重奏「トーキョー・イミテーション」

東京の街は深夜何時になってもどこにでも誰かしら人がいるから安心するし、一人暮らし同盟はフリーダムだし、夢のような楽しい時間を過ごしたけれど、そろそろ自分の生活に備えて現実に帰らなくちゃ。

よそ者も都民もみんな踊っている。しかもその事実に気付かないフリができてしまう。ある人は「自分のなかの東京」をどんどん肥大化させ、街ごとつくり変えてしまう。この街は、個人の欲望と集団の欲望との境目が、きっと曖昧なのだと思う。

あらゆる変化を楽しめるか、鈍感でいられるか、受容することに長けていないと、あの街で暮らすことは難しい。冒頭で「諦めが似合う」としたのはそういう点。切り替えが早いのは長所でもあると思うけど、自分にはインストールできなかった。こういうことを受け入れられて東京に暮らせたらよかったのになあと思う、だって独身として生きるには何もかもが身近にあって最高だし、毎週誰かがどこかでライブやってるし、演劇だって展覧会だってなんだってある。友人もいるし遊びには行くけど、ただ街に違和を感じるわたしはもう住めない。

最後に、向いていないとわかりつつそれでも東京を離れられない人へ、3曲紹介させてほしい。

ANCHANGさんいつまでも最高かよ。

SEX MACHINGUNS「東京よりさいたま」

あっ、ごめんなさい、まちがえた!

 

それでもこの街で、自分として生きていかなきゃいけないのよね。

フラワーカンパニーズ「東京タワー」

もしいまも東京に暮らしていたら、この歌をお守りにしていたと思う。

メレンゲ「東京」

生まれ育った東京の変わりゆく姿を、ずっと葛藤しながらも咀嚼して得た自らの強さ。

エレファントカシマシ「武蔵野」

本当はここに挙げただけじゃ全然足りてないけど、それでもこんなにもたくさんの名曲が生まれるのだから東京は凄い街。それはまぎれもない事実。森羅万象を引き寄せる魔術的なパワーがある、底知れぬ街。出会いや夢があれば、別れや挫折もある。光があるから影は濃い、刹那な街。そんな街で、きょうも新しい音楽や生命が生まれている。東京はそれを変わらぬ顔で受け入れ続ける。

 

 

やや(@mewmewl7