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2015年推したい「歌姫」擁するバンド2組

コラム

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昨年末、2015年メジャーデビューが決定したバンドの中で特に目を引いたのが「歌姫」擁するバンドでした。

ここで言う「歌姫」とはバンドメンバーに囲まれて、一人ボーカルのみに専念する女性メンバーのことを意味します。古くはJUDY AND MARY、2000年代には相対性理論、最近ではパスピエなど、年代ごとに様々な持ち味の「歌姫」を擁するバンドが登場してきました。今回推したい2組は、特に注目しているバンドです。

 

ふぇのたす


2012年に結成された、みこ(Vocal)、澤"sweets"ミキヒコ(Digital Per.)、ヤマモトショウ(Guitar, Key.)からなる3人組。電子音を駆使した可愛らしいエレクトロポップなサウンドとユニークで気の抜けた歌詞、そして人懐っこいキャッチーなメロディーが特徴です。

そしてバンドの「歌姫」、みこの歌声は非常に甘ったるく、一聴した瞬間に骨抜きにされる魅力アリです。ライブでみこちゃんの天性のアイドルっぷりにハートを持ってかれました。とにかく明るいし、楽しいし、かわいい。こちらが自然と頬を緩めてしまう雰囲気を纏っています。一緒に踊ったり歌ったりと、その姿は優しく素朴な「歌のお姉さん」を連想させます。バンドの頭脳であるヤマモトショウ氏の作る楽曲も、みこちゃんの存在感や雰囲気に引っ張られたようなポップさに貫かれています。「ロックバンドの音+キュートな歌声」という仕上げ方ではなく、徹底的にその甘えた歌声やキャラクター性を活かした音楽になっている印象です。

ふぇのたすは、アイドルとバンドの垣根が自然となくなったような現在の音楽シーンの状況を体現しているのです。メジャーデビューし、この音楽性がバンド界隈とJ-POP界隈どちらで受け入れられていくのかというのも楽しみです。もしフェスのメインステージにふぇのたすが出て、観客がみこちゃんの振り付けに合わせて「おばけになっても」を万人単位で踊ることになるとおもしろいことになるはず。どうか実現させてほしいです。

 

アカシック


2011年に結成された、理姫(Vocal)、奥脇達也(Guitar)、黒川絢太(Base)、Hachi(Key)、山田康二郎(Drum)からなる5人組。表立って曝け出せないような女性のパーソナルな感情を中心にした「歌姫」こと、理姫の綴る歌詞とその艶っぽい歌声がこのバンドの個性です。

ですが、より僕が推したいポイントはその振れ幅の大きいサウンドにあります。高速ビートと印象的なリフ、歌謡的なメロディーといったキャッチーな要素を見事に凝縮した「終電」や「ツイニーヨコハマ」といった楽曲たちを得意としています。一方で最新ミニアルバム『プリチー』には「アルカイックセンチメント」という直球の泣きメロのギターロックナンバーをさらっと収録するなど、振れ幅は抜群です。ルックス的にも、リード曲のチョイスにしても、イメージが固められがち、というか自ら意図的に固めている感じがありますが、アルバム全体で聴くとかなり印象が変わるはずです。

僕が最もこのバンドのポテンシャルに唸ったのは「スーパーサマーライン~消えたはずのセレブのあいつ~」です。ベース音を基調としたミニマルなイントロ、そこから徐々にサビに向かって広がっていく柔らかな爽快感が本当に気持ち良い。夏の情景をコラージュのように散りばめた歌詞も過去曲と比べると非常に挑戦的です。どういうタイプの楽曲でも生み出せるからこそ、ここでこのようなメロウな楽曲の引き出しを開けることに迷いがなかったのでしょう。しかもクオリティと普遍性は抜群。もう何年間も、この日本に「夏の名曲」として君臨していたのではないかと思わせるほどです。きゅんとなります。

今年unBORDEからメジャーデビューなのですが、このレーベルはゲスの極み乙女。パスピエといった、多彩なポップネスと強烈な個性が共存するバンドが成功した実績があるので、アカシックの飛躍にも期待できそうです。



 

月の人(@ShapeMoon

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