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2/25 N'夙川BOYS, HAPPY @ 福岡BEAT STATION

Do you like Rock'n Roll !? (初回限定盤)

Do you like Rock'n Roll !? (初回限定盤)

 

去年リリースのアルバム『Do you like Rock n Roll !?』を引っ提げて行われたN’夙川BOYSの2マンツアーの初日、福岡公演に行ってきた。対バン相手が公演二週間前に変更になるなど、紆余曲折の末行われたライブだったが、結果的に終演時間が30分押しするほど大盛況の素晴らしい夜だった。

 

HAPPY 

HELLO

HELLO

 

先行はHAPPY。存在は知っていたが曲はそこまで知らず、ライブは初見。音源のソフトで洒落た印象と違い、ライブはかなり肉体派に感じた。自然と体が跳ねるような楽曲ばかりで気持ち良かった。ぴゅんぴゅん飛ぶレーザーとシンセの音も、享楽的な空間を生み出し、とても良い気分のまま夙川BOYSへと繋いでくれた。

 

N’夙川BOYS

そして今宵の主役、N’夙川BOYSのライブは幕が開いたその時からぶっ飛んだものになると確信した。アルバムリード曲である「BANDがしたい!」のMVに登場する「1台のドラムを2人で叩くセット(以降『ダブルドラム』と表記)」がそのままステージのど真ん中に設置されていた。そこに座るマーヤLOVEとリンダdada、そしてドラム後方のお立ち台にはギターを掲げるシンノスケBoys。僕はいまだかつてこれほどステージ中央にバンドメンバーが集まっている光景を観たことがない。早速笑ってしまう。間髪入れずに「BANDがしたい!」のあっけらかんとした歌が始まった。状況の整理はつかないが、何か凄いことが起こりそうな予感がした。

2曲目は代表曲「プラネットマジック」だ。音源と比べると明らかに音数は少ないライブアレンジだが、この曲の持つ輝きは全く失われない。マーヤとリンダのボーカルがしなやかに、時に荒ぶったシャウトを交えながら紡ぐメロディ、その一本の芯がこのバンドの音楽を支えているのだ、と実感するひと時だった。感動の中、一つ笑ってしまったのが、1曲目で大活躍したばかりのダブルドラムを2曲目にして早速使わなかったという点である。お立ち台のさらに後方に通常のドラムセットも用意してあったのだ。「プラネットマジック」の間、ダブルドラムは歪なステージ装飾で在り続けた。

ライブはアルバムからの選曲と、これまでの人気曲を織り交ぜながら進む。そのどれもが、ベースレスで低音不足な隙間だらけのサウンドなのだが、そんな現実的な面は考慮せず、どんどん演奏は熱を帯びていく。特に象徴的だったのが「悪魔のPOP」で再びダブルドラムを激しくぶっ叩いた直後に、「路地裏BE-BOP」でリンダが明らかに息切れしながら歌うというこの流れ。序盤にも関わらず、既に肉体を追い込みまくっている。それでもリンダは飛び切りの笑顔を振りまき歌う。ギリギリの状態から放たれるそのパワフルさに圧倒されてしまった。

その後も「ダブルドラム」に続くようにして、果たして音楽的に意味があるのか全く分からない、それでもとにかくこちらのテンションを上げる様々な「思いつき」を含んだライブパフォーマンスが続く。「アダムとイブがそっと」では3人同時に背面弾きをし、「kiss,kiss」ではHAPPYファンの男性客をステージのお立ち台に上げマーヤが接吻を捧げ、「わらびもちめちゃうまい!」ではファンからの差し入れである福岡名物「梅が枝餅」を曲中に食べつつ披露する(シンノスケは4つの餅を口に入れたため、次の曲中でもしっかりと咀嚼しながらギターを弾いていた)など、一歩間違えればグダグダになってもおかしくない催しが確実にライブを盛り上がる要素として機能している。実におかしなことだが、アドレナリンが出て仕方ないのだ。

こういう部分だけ書くとパフォーマンス重視のライブに思われそうだが、本編終盤に披露された「全力女子」や「Candy People」はほぼギミックなし。へろへろだけど何だか泣けるシンプル一本勝負のギターとドラム、ころころ変わる楽器編成、その中でキュートなメロディを朗々と歌うという彼らの基本フォーマットは強い武器だ。編成ゆえに音楽的なアレンジを施すのではなく、それ以外をどうにかこねくり回して届けるのが彼らなりのライブなのだ。

本編最後のMCで、あのダブルドラムは「何をやったらいいかわからなくなった時に、ファミレスであのセットを思いつきイラストを描いた」ことで生まれたものだと明かされた。そういえば最初は笑って見てたダブルドラムも、ライブが進むつれどんどん格好良く見えてくる。そしてマーヤは「あのドラムセットこそが夙川BOYS!」だと言い切り、「夙川BOYSこそロックンロール!」と言い切った。音圧でも、攻撃的なリフでも、強いビートでもない、魂だけで突っ走る彼らの姿を形容するなら「ロックンロール!」ということになるのだろう。音楽ジャンルにおける定義の話ではない。彼らの姿を形容するにはその言葉以外無い。本編を締めた「死神DANCE」の最後、マーヤが4m近い高さのアンプからフロアに飛び降りた時も、ロックンロールでしかなかった。

アンコールで披露されたのは「物語はちと?不安定」。スピーカーからぽこぽこと大きな星マークが飛び出してくるようなキラキラのアンセムだ。曲中ではシンノスケが、二階席に上がり、ギターを抱えたまま一階席へと飛び降りるという怪我寸前のアクションも見せた。やりすぎである。でもやりすぎなのがどうしても楽しいのだ。最後にはHAPPYのメンバーも交えて、曲を締めくくった。ダブルドラムにもHAPPYメンバーが座り、ちゃんとフル活用されていた。「音楽的」でなかったはずの部分が、きちんと「音楽的に豊かなビート」に変わってしまった瞬間だった。「ロックンロール」を突き詰めればこんな奇跡も起こってしまう。

もしかしたら、音楽のみを評価する人々にとってはイロモノに映って見ていられないのが彼らのライブなのかもしれない。しかし、僕はバンドが好きで、バンドが生み出すその全てが好きで、夙川BOYSが言うところの「ロックンロール」が大好きなのだ。となればこの音楽を評価するうえで何も問題となる部分はない。この夜のライブは、大好きな「ロックンロール」がピカピカと素晴らしい輝きを放ったライブだった。

N'夙川BOYS @ 福岡BEAT STATION

1. BANDがしたい!
2. プラネットマジック
3. Freedom
4. PLEASE PLEASE
5. 悪魔のPOP
6. 路地裏BE-BOP
7. ARE YOU KO.I.WA.ZU.RAI?
8. わらびもちめちゃうまい!
9. 全.力.女.子!
10. kiss kiss
11. アダムとイブがそっと
12. Candy People
13. 死神DANCE
encore
14. 物語はちと?不安定

 

 

月の人(@ShapeMoon

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