おはようからおやすみまで

個人的なはなしになるが、音楽をきくのは、朝がダントツで多い。だから、どんな音楽がすき?と聞かれたら「朝聞いても夜聞いても心地よいもの」と答えることにしている。

526MBのiriver(今でも愛用している)をシャッフルにして、通勤時に1日のペースをつかむ。最近のおきにいりは、はいざらこうかんの「おはよう」という曲。

明るい光の似合ううた。軽快なリズムと朗らかな楽器の音が心地よい。誰かを優しく想う歌声が中心にありつつ、散りばめられたコーラスの存在が、全体を包み込んでまあるくしている気がする。

明日もまた話そうよ
明日もまた聞かせてよ

のところがすきだ。この曲が入ったアルバム『のるかソウルか』、個人的には超スルメ的名盤と思っている。

 

ある日の朝、いつものように「おはよう」を聴いた後、次に流れてきたのは静かなやさしいピアノの音だった。

正直、朝きくうたではないか、と次の曲へいこうと思ったのだが、穏やかなメロディに抵抗するのがもったいなくてそのままにした。

ピアノソロからストリングスの音が広がる。じっと流れ星を見ているような雰囲気。子守唄ともいえる歌。彼には珍しい、ギターかき鳴らし系ではなくシンプルで短い曲。

教えてくれていつもありがとう
聞かせてくれていつもありがとう

の部分がすきで……あれ、さっきの曲とちょっと似た感覚だなあ。

 

友人とシェアしている我が家にはひとつだけ決まりがあって、「挨拶だけはすること」。どんなに悲しいことやつらいことがあっても、むしろ嬉しくてスキップして帰っちゃうような日もそれがあると、ああ日常だなって思うことがある。

ことばを交わすこと。当たり前のように思えること。それが、ありがたいこと。

 

そして偶然が必然か、どちらもアルバムの最後の曲だということがなんだか嬉しかった。たくさんのメッセージを詰め込んだ1枚のまとめが、こうして日常に寄り添うものであることがわたしにとっての音楽のありかたに似ていると思った。

そんなふうにすっと腑に落ちた日はいい日だ。

 

 

はやしこ(@rinco_hys

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