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NEWS『White』

レビュー

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高らかなアイドル宣言としてのNEWS『White』

白。NEWSというグループのメインイメージカラーであると同時に、白馬の王子様という王道アイドルの色。この色を何度でも纏い、セルフイメージとして掲げることにより、彼らが自覚的なアイドルであることを理解させられる。アイドルとは、リアルな人間性を覗かせれば覗かせられるほどにアイドルをやっている姿=偶像に紗がかかり美化されていく愛すべき虚像であると、アイドル自身によって思い知らされる。今回のアルバムも、ここ数年NEWSの流れから、リアルなスタンスでのアップデートを想像していた。

ところが、アルバムタイトルと同時に発表された収録曲一覧を見て驚いた。

前回のアルバム以降に発表されたシングル曲は2曲。日テレ系FIFAW杯2014のテーマソングだった、サムライブルーを基調にした「ONE -for the win-」、蜷川実花カラーとも言える赤ベースの極彩色が目立った和風EDM「KAGUYA」、さらに以前から日テレ系FIFAクラブW杯のメインテーマとして7地域に色を与えてたびたび披露されてきた「SEVEN COLORS」という曲も収録されている。思わず『Vivid Colors』とでも名付けたくなるような色主張の激しい曲たちをまとめる言葉が、なぜ、今、満を持しての『White=白』なのか?



感想から言うと『White』は、当初の予想を気持ちいいほどに裏切る、コンセプチュアルな王道のアイドルアルバムだった。

未来はいつでも真っ白でとにかく前を向こうという「MR.WHITE」は単純にやる気が漲る。増田と加藤のラップの効いたダンスチューン「SuperSONIC」は心底かっこいい。ほかにも「渚のお姉サマー」のサイドストーリーを想起させるアッパーな「NYARO」、ライブでのC&Rが今から楽しみな「Weather NEWS」、真冬のとろけそうな激甘の告白「White Love Story」が混在する中、白とは絶対に相容れない相手、黒をフィーチャーした「Black Jack -Inter-」に続いて流れる「BYAKUYA」はとにかく異質。ハロウィンに出てくるモンスター達に囲まれ闇の中に存在する古びた洋館での明るく白い夜。まっしろの布にしわを寄せると影ができるように、この曲はアルバムに奥行きをもたせている。

アルバムの最後を飾るのは、2013年に10周年ライブに向けてメンバーだけで制作された「愛言葉」。この曲は、掛け値なしで本当に名曲だと聴くたびに惚れ惚れする。優しく美しいメロディーにあたたかい歌詞が相まって、少女のころに春の陽だまりのなかでシロツメクサの冠を貰ったような、ぽかぽかとうれしい気分にさせてくれる宝物のような曲である。2014〜15年のジャニーズカウントダウンコンサートでは、リリース未定で限られた人しかわからない曲(コンサート・DVD・ジャニーズ初となったこの曲の映像配信を見た人)にもかかわらず、NEWSが「愛言葉」を披露してファンが歓喜の涙を流したという愛らしいエピソードを記しておきたい。

逆に個人的にとても残念だったのが、わたしの、そしてみんなの大好物でもある、ヒロイズムさん作曲が1曲もなかったこと。ヒロイズムさんはNEWSのリアルさ・エモさを勇気へと昇華してくれる、相思相愛の作詞作曲家だといまなお実感してやまない。でもNEWSにとってはこの別離もまた爽やかな前進なのだろう。前を向くための応援歌が最も似合うのがこのグループだし、最大の長所だと思っているし、そう理解している。彼らはこの別離を持って、お互いに「あの日泣いた自分にけりつけ<た>」のではないだろうか。だから作家チーム内での橋渡しも行われた。ああ、こちとら業が深くて本当にごめんなさい……。

 

さて、ここまでアルバムの感想を書いて、むしろここ数年の活動こそがコンセプチュアルだったのではないかと、ふと気付かされる。彼らのリリーススタンスは、アルバムを出すということはツアーを行うときであり、ツアーを行うということはステージ映えのする演出を考えるときである。つまり、アルバムができたからツアーを行うのではなく、アルバムはツアーのために作るという逆説が成立する。

NEWSは4人になってから、新曲「チャンカパーナ/フルスイング」を引っ提げての復活ツアーを行い、アルバム『NEWS』で4人のNEWSという軸をはっきり示した10周年ツアーを行ってきた。しかし今作『White』のツアーは、4人になってからは初めての純粋な新作披露ツアー。ある意味NEWSとしては裸での勝負となるだろう。絶対的な祝福のないステージを行うことができるほどに、いよいよ時が満ちたのだ。4人体制としても4年目に入った。ようやく物語を脱ぎ、そのままの自分たちとしてのまっさらな魅力を発信する十分な準備が整ったからこその、白を冠したアイドルアルバムなのではないか。


バラエティ/キャスター/小説家としても個人がそれぞれに躍進し、一般層にも着実にキャラクターが浸透しつつある真っ最中のいま現在。アイドルの枠をはみ出た才能たちがそのままアイドルの枠をやすやすと超えていくことは、往々にして起こる。存在が巨大になり、グループ名がジャンルになってしまうこともしばしば起こる。だが、NEWSはそうなることを選ばないと確信している。NEWSは絶対にアイドルを譲らないし、手放さない。目の前に投下された『White』を通して、何をおいてもNEWSは王道アイドルなのだというグループの決意表明が明白な意思として受け取れるのではないかと気付いた。色は、光がなければ目に映らない。絵画において光とは、白を足すことで表現される。アルバムタイトルは、アイドルという光そのもの、またどんな色をも光に染めかえていく、その『White=白』なのではないだろうか。

復活おめでとうツアー、10周年おめでとうツアーではない、原点としての「アイドル・NEWS」を表現するツアーを目指した今回のアルバム『White』。これらの色彩豊かな楽曲を元に、まっしろなキャンバスにどのような輝きの筆が踊っていくのだろうか。自分と同世代のお兄さんたちが、自身の存在を賭して本気でアイドルをアイドルとして肉付けていく姿が見られるこの春。これを楽しみにせずになにを楽しみにできるだろう。言葉以上に、楽しみで仕方がない。『White』は、NEWSの高らかなアイドル宣言だ。

 

 

やや(@mewmewl7

always see you in dream

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