2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

風俗街の中心で愛を叫ぶ

「あの、これ」 そう言って、雑貨屋で見つけたドラゴンボールを、僕はアヤに手渡した。 「ありがとう」 とある風俗店の一室に、穏やかな空気が流れる。 彼女と初めて会ったのは、去年の春だった。地方出張のついでに訪れた風俗街。フロントに張り出された数…

椎名林檎『(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―』

*1 徹底的に美意識が貫かれたステージだった。楽曲のアレンジもさることながら衣装、スクリーン、映像、ダンサー等のステージ全体の演出が異常に作りこまれていた。2008年の林檎博も今回同様さいたまスーパーアリーナ規模(今回は大阪城ホールでの収録)なの…

太平洋不知火楽団という青春

2015年3月28日、下北沢屋根裏で大好きな太平洋不知火楽団が解散する。 これまでにフジロックやサマーソニックに出演もしたけれど、自分にとっての彼らは小さなライブハウスで歌うのが一番好きだ。東京に出てきてすぐ知った彼らの最後を、とうとう観に行くこ…

3/23 ASIAN KUNG-FU GENERATION @ Zepp Fukuoka

特に名前のない この喜びを集めていまひとつ抑揚の無い日々に魔法を仕掛けて ライブ中盤で披露された「マジックディスク」の歌詞にあるこの2行は、音楽の本質、そして僕が足繁く通うライブというものの意義を見事に言い当てた数少ない言葉だと思っている。ア…

tofubeats「STAKEHOLDER」

tofubeatsが4/1にリリースする3rd EP『STAKEHOLDER』の表題曲。tofubeats、なんてめんどくさいんだ!「STAKEHOLDER」は日本語で「出資者」を意味し、tofubeatsは《君と利害関係したい》と歌う。これは彼なりのラブソングなのである。つまり彼は「君が好き」…

映画部#2 アイドル映画としての『幕が上がる』

メンバーの玉井詩織さん本人の舞台挨拶にまんまと釣られて「幕が上がる」を観ました。 劇作家・平田オリザさんの原作小説をももいろクローバーZ主演で映画化。ももクロ演じる弱小演劇部のところに黒木華さん演じる新任教師の吉岡が赴任してきます。かつて「…

may.e+丘『see you soon "session for us"』

may.eがサポートメンバー3人=「丘」との4人編成で制作したセッションアルバムなのだが、これが本当に素晴らしかった。アルバムの性質、及びカセットテープオンリーのリリース形態から単純な比較をするのもどうかと思うのだが、個人的には『私生活』『REMINDE…

Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』

彼はもしかしたらマーティン・ルーサー・キング牧師の生まれ変わりかもしれない。このアルバムを聴きながらそんなことを考えていた。3月16日にメジャー2作目となるニューアルバム『To Pimp A Butterfly』を予定より1週間早く、先行配信リリースをスタートさ…

lyrical school「ゆめであいたいね」

www.youtube.com 正直に言うとリリスクの新作『SPOT』はまだ買っていない。前作『date course』が好きすぎて、新作の本格的なヒップホップ路線に個人的にまだついていけていないのだ。印象をガラリと変えることはもちろんリスクを伴う。でも長い目で見ると結…

Galileo Galilei「恋の寿命」

Galileo Galileiの新曲「恋の寿命」が良い。 最近の(といっても2年ほど前からの話だけど)Galileo Galileiは本当にずっと良い音楽を届けてくれている。インディポップ愛が詰まった傑作『ALARMS』、歌がより響いてくるようになった『SEE MORE GLASS』。この2…

関東インディーガイド#6 mothercoat presents ' N G ' vol.5 ONE-MAN SHOW!! @ 新宿JAM 

mothercoat ONE-MAN LIVE 約3年ぶりの都内ワンマン ライブ後にメンバー主導で飲み会やるとか新しすぎだろ 草野 虹さん(@grassrainbow)が投稿した写真 - 2015 3月 6 3:37午前 PST ライブハウスのメッカと言われる場所は数多くある。下北沢、渋谷、池袋、意外…

NEWS『White』

高らかなアイドル宣言としてのNEWS『White』 白。NEWSというグループのメインイメージカラーであると同時に、白馬の王子様という王道アイドルの色。この色を何度でも纏い、セルフイメージとして掲げることにより、彼らが自覚的なアイドルであることを理解さ…

Tuxedo『Tuxedo』

ここ2週間くらいよく聴いていた。Mayer HawthorneとJake Oneのユニット、Tuxedoの1stアルバム。2013年に無料公開された『Tuxedo Funk』で知った人も多いはず。 www.youtube.com すごく当たり前のことなのだが、彼らが鳴らしているのはディスコ、R&Bだ。しか…

Toro y Moi「Buffalo」

トロ・イ・モワ(Toro y Moi)が4/8にリリースされる4thアルバム『What For』に収録の新曲。ずいぶん書くのが遅くなったけどやっぱりいいので。 ホワット・フォー? アーティスト: トロ・イ・モワ 出版社/メーカー: Hostess Entertainment 発売日: 2015/04/08…

Belle and Sebastianの『Girls In Peacetime Want To Dance』について話してみた

関西と関東に住むアラサーなおっさん2人がskype上で語り合う対談企画。今回は先日のHostess Club Weekenderでも素晴らしいライヴを繰り広げ、今年のフジロックにも出演をするBelle and Sebastian(ベル・アンド・セバスチャン)の新作『Girls In Peacetime W…

吉井和哉「(Everybody is)Like a Starlight」

www.youtube.com 吉井和哉が3/18にリリースするニューアルバム『STARLIGHT』より「(Everybody is)Like a Starlight」がすごく良かったので。オリジナルアルバムとしては約4年ぶり。本当に長かった。 STARLIGHT (初回限定盤)CD+DVD アーティスト: 吉井和哉 出…

自己紹介(TKSY)

はじめまして。TKSY(顔の人)と申します。北の大地で暮らしている大学生です。9歳の時に親の影響で聴いたブルーハーツ、13歳の時に再結成したユニコーンが大きなルーツです。今では邦楽のパンクやテクノポップ、オルタナ、弾き語り等々を年代問わずに聴くま…

SEBASTIAN Xが選んだカバーソングを聴く

SEBASTIAN Xは女性2人男性2人で構成され、東京を中心に活動してきた。インディシーン全体でも一際アイコニックなボーカル・永原真夏のよく映える歌声と、ギターレスながら大胆でパワフルな演奏が魅力的だ。主な全国流通盤としてミニアルバム5枚、フルアルバ…

映画部#1 たまこラブストーリー

突然ですが映画部です。「いきなり映画の話?」ってならないようにこの序文を書き、シリーズ化しました。以前『テレクラキャノンボール』特集とかやってるし、別に音楽だけにこだわっているわけでもないのですが、やっぱり前置きしたほうがいいと思って。 僕…

おはようからおやすみまで

個人的なはなしになるが、音楽をきくのは、朝がダントツで多い。だから、どんな音楽がすき?と聞かれたら「朝聞いても夜聞いても心地よいもの」と答えることにしている。 526MBのiriver(今でも愛用している)をシャッフルにして、通勤時に1日のペースをつ…

音楽を語るのは楽しい

音楽だいすきクラブではディスを禁止しています。めんどくさいからです。 例えば僕はラルクが大好きで、好きすぎるあまりtwitterでは逆に貶したりしているくらい偏愛しているのですが、それをラルクのことが好きでもなんでもない人間にやられると宗教戦争に…

ザ・なつやすみバンド『パラード』

「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ」という気持ちになった記憶がない。まだ大学生で、社会人になっていないから休みは結構ある、というのも理由の一つだろう。しかしそれ以上にそういった理想を抱いて生活することを不可能だと諦めて、夢想することす…

音楽との出会いについて

今、自分の生活の中心には「音楽」があります。 そんな自分も高校一年の時、音楽「なんて」と言えるくらい全然興味なかった。中学の時はGOING STEADYとかMONGOL800とかが流行っていて、借りて一度聴いてみただけ。音楽番組も高校に入るまで見たことなかった…

Shakti with John Mclaughlin「Mind Ecology」

サラーム海上のラジオでかかってた。NHK FMの音楽遊覧飛行。その中で紹介されたインド音楽ユニット=シャクティが、ジャズギタリストのジョン・マクラフリンを迎えて作られた1977年発表の『Natural Elements』収録の1曲目。タブラ、ムリダンガム、ガタムとい…

関東インディーガイド#5 イツエ『今夜絶対』

初めて聴いたのは数年前、1stミニアルバム『いくつもの絵』を試聴機で聴いた時だ。 いくつもの絵 アーティスト: イツエ 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC 発売日: 2012/03/07 メディア: CD クリック: 1回 この商品を含むブログを見る ボーカルを務める瑞…

3月9日

2011年の3月9日、横浜アリーナにいた。座席は覚えてない。舞台から遠く離れてはいたけど、真正面だった。「3月9日」が聴きたくて、3月9日にきた。 思えばその日は、その「3月9日」からちょうど十年の節目の日だったんだろう。友人の結婚披露宴に、三人で演奏…

the band apart『謎のオープンワールド』

2012年にリリースした『2012 e.p.』以降、これまでの英詩から日本語詞による曲を作り続けている彼らの7枚目となるフルアルバム。冒頭と結末にインストを、楽曲の間に二つのインタールードを挟んでおり、三つの短編小説が含まれた作品集のようでもある。 楽曲…

マンスリー・レコメンド 2015年2月号

2月のマンスリー・レコメンドです。いつも同様、いまいち役に立ってるのかわからないのですが、適度に参考にしていただければ。時系列、ジャンル、媒体さえ自由にやってます。「みんなに提供できるような立派な情報ないかも」とか弱気に作っているのですが、…

椎名林檎『至上の人生』

椎名林檎の新曲なんだけど、発表当時は意味不明だった。ドラマの主題歌として正しいのかもわからなかった。そして何よりも椎名林檎の新曲としてどう反応すればいいのかわからなかった。サウンドは僕らが待ち望んでいたロック。「自由へ道連れ」や「NIPPON」…

アニソン連載 #7 ここではないどこかへの誘い 堀江由衣と悠木碧に手を引かれ

音楽には"ここではないどこか"へ聴く人を連れて行く力がある。同様に、アニメにも"ここではないどこか"へと観る人を連れて行く力がある。なればこそ、この2つの媒体を行き来する声優には、大きな可能性が有ると見られても不思議ではない。良き声優ならばなお…