クリープハイプ 武道館1日目 バイト編

シフトを代わってもらって観てきました。夢です。

会場が暗転すると、コンビニでバイトする青年の映像がスクリーンに映し出されます。バイト中なのに持ち場を抜け出してスマホクリープハイプUSTREAMを見始める彼。「レーベル移籍ってマジかよ」ライブの配信が始まると「1曲目はそれじゃねえだろ」。中盤にも2度ほど映像が流れますが、コンビニの客(“正社員”の兄という設定だったそうです)が登場しその際にも「クリープハイプだっていろいろあんだよ」と漏らす始末。こうした演出は計算されたもので、クリープハイプを取り巻く状況に対する彼らの本音ではないかとふと考えてしまいます。

映像が終わり本人たちが登場し、演奏されたのは「左耳」。序盤からじわじわと温度をあげていき、慎重に丁寧に、今日のこの空間をつくりあげていこうとしているのが伝わりました。ほとんどMCもなく進行したのはそうした意図があったのでしょうか。キャリア初の武道館公演(しかも2days)と銘打っているのだし、彼らの口から今回の公演に対する思いをもっと聞きたかった気もします。

しかしそうした空気を感じとり圧倒されたのか、あるいはむしろ演奏する彼らに真剣に向き合おうとしているのか、これだけ大きな会場にも関わらず一切と言っていいほどに雑音のない空間でした。「傷つける」では空気が張りつめていて、ここに集まっている人みんなが一心に、この光景を忘れないよう、見逃さないよう目に焼き付けようとしているように感じました。

こうした静かな曲もあれば「マルコ」のような無邪気な曲もあり、またインディーズ時代の曲も多く披露され、新旧入り混じった豪華なセットリストでした。どの曲も高い集中力を持って演奏されていたと思います。個人的には「グレーマンのせいにする」「グルグル」「ごめんなさい」「火まつり」など、ベーシストである長谷川カオナシがボーカルパートを取る曲が多くて嬉しかったです。

数少ないMCで、リスナーの反応についての話をします。「(反応を)気にするよ。気にするからあんな曲(社会の窓だったかな、を指していると思います)ができちゃうんだよ」と言っていたのを覚えています。

彼らは彼らを取り巻く状況に対してとても敏感であり、またそれに対し何らかのアクションを起こさないと気が済まないのかもしれません。それは曲や歌詞の内容であったり、件のレーベル移籍時の発表の仕方であったり、また今回制作され流された映像もそのひとつだと思います。そうして行動するから騒動になるのか、その反応を受けてまた動くからなのか、どっちが先かはもはやわかりませんが。

私個人は彼らのそうしたスタンスに、全面的に共感しているとは言い難いです。彼らの言動、思想も含めて応援し支えるべきだと、クリープハイプのファンならばとりわけ思うかもしれません。

しかし彼らのつくる音楽は信じています。牙を向かなければ気が済まないならば、そこで負う傷も抱えて、厄介事すらも糧にして突き進んで欲しいです。そうした中で「社会の窓」のような混沌とした攻撃的なナンバーも、また新曲「寝癖」のようなまっすぐで純度の高い曲も生まれるのだと、今回のライブを観てあらためて思いました。

1. 左耳
2. SHE IS FINE
3. 蜂蜜と風呂場
4. あの嫌いのうた
5. マルコ
6. チロルとポルノ
7. ラブホテル
8. グルグル
9. グレーマンのせいにする
10. 傷つける
11. 風にふかれて
12. ごめんなさい
13. 火まつり
14. バイトバイトバイト
15. HE IS MINE
16. 身も蓋もない水槽
17. ウワノソラ
18. 社会の窓
19. 憂、燦々
20. オレンジ

encore
21. イノチミジカシコイセヨオトメ
22. 手と手
encore2
23. 寝癖(新曲)
24. ねがいり

 

 

夢(@MissTraum