サカナとライブ SAKANATRIBE
3月12日、SAKANAQUARIUM 2014 SAKANATRIBE @ Zepp Tokyoに行ってきました。楽しかった!おもしろかった!と素直に思いました。
全体的なテンポ感やグルーヴ感が、これまでのサカナクションのライブとは違っていた気がします。開場中の照明が落ちたらメンバーがすっと出てきて音を立ち上げるオープニングから新鮮でした(いつもはSE→メンバー登場の流れなので)。
そういった今までのセオリーから少し外してきた部分が随所にありました。だから「すごい!」というより「楽しい!面白い!」という感覚が強かったです。そのオープニングに、今回のツアーのテーマの「0から100」の1つ目の意味が込められていました。
「0から100」の1つ目の意味、それは音です。
スピーカーを通さないギターの音から始まり、次第に重なっていく楽器と、増していく音数やボリューム、そして照明の光度や色合い。音楽を鳴らすこと、届けること、そしてそれに関わる多くの人の存在を感じさせてくれました。「サンプル」では時間をかけてじわじわと熱量が上がり、ゆっくりと飲み込まれていきました。そんな幕開けでした。
サカナクション「サンプル」
「0から100」の2つ目の意味、それは「アンダーグラウンドからオーバーグラウンド」です。
これは特にアンコールで見せてくれました。ばりばりDJブース&ダンスフロアな演出で、地下的な閉ざされた空間がしだいに解放されていき、最終的には歓喜の「100」に至るような。イビザをイメージしたという泡を降らせる演出とともに、盛り上がりは最高潮に。
そこからの「ミュージック」に惹きつけられました。紅白でも披露したこの曲は、結果的にライブハウスをホームとしながら、お茶の間にも進出していこうとする姿勢を映し出しています。ある意味「不健全な」場所から、メインストリームにも乗り込むような流れを、クラブシーンの変遷とサカナクションの姿勢を重ねた上で、しっかり表現したアンコールでした。
サカナクション「ミュージック」
テーマとは少し違うのですが、もうひとつ。
「流線」では、いつにも増して怒り、哀しみ、混乱といった感情、色でいえば黒まじりの赤の印象が強く、サカナクションのライブでそのように感じたのははじめてでした。実際、背景で投影されていたオイルアートも、後半にばーっと赤いオイルが投入されていました。そこからしばらく赤のイメージを引きずっていたら、後半のどこかでサスシンの4カウントで「SAKANATRIBE」のロゴとともに真っ赤な背景が登場して本当にびっくりしました。
だから私の中での今回のツアーのイメージカラーは赤です。そのカラーがTRIBE、つまり民族的なものを意味していたような感覚があるし、これまでのサカナクションとはちょっと違う、土っぽいグルーヴも含むライブのように感じました。
あれもこれも聴けて、あれもこれも聴けなかった。それでも大満足でおなかいっぱいの2時間半でした。
おとべ(@tobe_msc)