ボカロにも目配せ、今時の新人女性SSW
動画を定期的に投稿するスタイルのブログ(Blog)のことを、ブログ(Vlog)と呼ぶそうです。今まで知りませんでした。インターネットの環境は日々、変わっているのですね。
さて本日、ご紹介するのはアメリカのブロガー(Vlogger)テッサ・ヴァイオレットのデビュー・アルバム。YouTubeのページはこちら。
もちろん曲がいっぱい聴けるわけですが、ニューオリンズの街に繰り出してのガールズ・トークや自宅での日曜大工的な映像など、いろいろな動画があるようです。……。かなり高レベルのキャピキャピだな、と感じました。自分がやるには敷居が高いですね。まぁ、それはそれとしてちょっと見入ってしまいました。だって、高レベルのキャピキャピですもの。
本作はギター弾き語りのシンガーソングライター作。彼女の弾き語りが基本ではありますが、多くの曲で打ち込み、またはバンドが入っています。大きく分けると激しいビートによるダイナミックなロック・サウンドと、シンセサイザーや打ち込み、プログラミングによる華やかでフェミニンなサウンド。この2つが同居したカラフルなアルバムとなっています。とは言え、一部の曲ではボカロ調テクノ・ナンバーや、ダークなゴシック・ナンバーなどもあり。やりたいことを全部やるというファースト・アルバムらしい姿勢があらわれたと言えるでしょう。
音楽性はカントリー及びカントリー・ポップをベースとしたポップスをやっています。24歳という彼女の年齢を合わせて考慮すると影響を受けているミュージシャンは同年代のヒロイン、テイラー・スウィフトでしょう。インディーズ制作ゆえ、分厚いアレンジはされていないものの、アップ・テンポ・ナンバーでの弾けたポップ・センスはテイラー・スウィフト譲りのもの。時には情緒に流され過ぎて、クサくなってしまう所もありますが、これがデビューと考えれば十分合格点。
内省的なナンバーでは、70年代に登場した名シンガーソングライターを思わせる気品があります。一方で溌剌としたアップテンポでのキュートな歌声が印象的で、女の子らしい魅力を発揮。様々な楽曲を難なく歌いこなし、色々な表情をアピールすることに成功しています。その分、はっきりした個性が打ち出されていないところは問題ですが、それもファースト・アルバムならではの魅力でしょう。ポテンシャルの高い新人であることは間違いありません。
Tessa Violet「Just Right」
アルバム・ヴァージョンのクリップが無かったのでこちらを。弾き語りでのライヴ・ヴァージョンとなります。この曲はオープニング・ナンバー。iTunesやiPhoneのCMで使われてもおかしくない、優秀なウキウキ・ポップスに仕上がっています。こちらの映像では弾き語りなのでより素朴な佇まいになっています。平賀さち枝みたいだ、と思いました。
アルバム本編のダイジェストを収めたティーザー・ビデオはこちら。
アルバムの内容がうかがい知れるかと思います。尚、現在ディスクとしては流通しておらず、ダウンロードのみとなります。
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