中毒性新世代バンド 感覚ピエロ

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最近、関西の新世代インディーズロックバンドがアツいです。メジャーに移ってからも大躍進中のKANA-BOONをはじめとして、先日メジャーデビューしたばかりのキュウソネコカミや、もうすぐメジャーデビューするTHE ORAL CIGARETTESに、僕の大好きなボールズ(ex.ミラーマン)。他にも、HAPPY、フレデリック、ジラフポット、ココロオークション夜の本気ダンス、などなど要注目バンドが大量発生中。

そんな中でも、最近特に勢いがあるバンドと言われて思いつくのが、感覚ピエロというバンドです。大阪で結成された4人組バンド。結成が昨年の7月で、まだ結成から約1年という若手バンドですが、このバンドがなんだかいろいろスゴいのです。何がスゴいって、まず結成直後に自主レーベルを設立してるのです。現在までにリリースされたアルバムは3枚。いずれもライブ会場限定のミニアルバムですが、1stと2ndは既にソールドアウトしています。そして3枚のアルバムそれぞれのリードトラックには、ちゃんとしたMVも作られています。結成から1年経っていないインディーズバンドがセルフプロデュースでここまでやってしまうという行動力とスピードはハンパないです。ライブの本数も多くて、数々のイベントにも出演。それに伴って、人気も急上昇中です。

「感覚ピエロ」と言っても、メンバーにピエロのお面をかぶった人がいるわけじゃないのですが、楽曲はピエロみたいにひとクセあるものばかり。

まず、1stミニアルバム「ソンナノナイヨ」リードトラックの「メリーさん」。都市伝説の「メリーさん」をモチーフにしてるんですね。「感覚ピエロ」というバンド名なだけあって、独特の感覚。新人バンドとは思えない完成されたサウンドに驚きました。

「メリーさん」

まあ正直言うと、「メリーさん」聴いただけの段階では、奇をてらった感じのちょっととがったバンドが出てきたのかなぐらいの印象でした。ところが、スゴかったのが、次に聴いた2ndミニアルバム「妄想するのだ。」リードトラックの「O・P・P・A・I」。これに完全にやられました。

 「O・PPAI」

そうです。ただひたすらOPPAI(!)のことを歌った曲です。下ネタ?コミックバンド?と思った方も、一度聴いてみてもらいたいです。OPPAIを連呼しているのに、思いっきりクール。一つ一つのフレーズも語感が良くて、キレのあるギターロックサウンドとマッチしてます。中毒性も高くて、一度聴いたら頭の中がOPPAIだらけ(!)になってしまうはず。このMVもなかなか作り込まれていて見どころ満点。こういうバカバカしいことを本気でやってしまうノリ、大好きです。ライブではコール&レスポンスも定番の曲なので、大声で「OPPAI」と叫びたい人は感覚ピエロのライブに行くと良いと思います。

そして、3rdミニアルバム「「I」から「J」への宣戦布告」リードトラックの「Japanese-Pop-Music」。

「Japanese-Pop-Music」 

「メリーさん」と「O・P・P・A・I」のインパクトが強すぎたので、あまりに正統派なロックサウンドに最初拍子抜けしてしまいました。でもあらためて聴いてみると、商業音楽としてのJ-POPへの批判と皮肉がテーマでした。歌詞の内容は実はわりと過激なのに、曲調はポップでキャッチー。この曲自体がまさに、彼らなりに提示したポップミュージックなのだと思います。「「I」から「J」への宣戦布告」ってどういう意味なんだろう。「Indies Rock Band」から「Japanese Pop Music」への宣戦布告っていうことなのかなと勝手に思ってますが、何かわかる方いたら教えていただきたいです。ただいずれにしても、ヒットチャートがアイドルだらけの日本の音楽シーンを変えてやるぜ的な意気込みが感じられて、このバンド、ひとクセもふたクセもあるなという印象を受けました。

一度聴いたら、そのインパクトが心に引っかかってきて、また聴きたくなってしまう中毒性のあるバンド、感覚ピエロ。最近ではライブの動員も徐々に伸ばしていてソールドアウト公演も多くなってきたようです。先日のSAKAE SP-RINGでも規制かかってました。完売になっていた1stと2ndの楽曲が収録されたカップリングアルバムも先日リリース(会場&通販限定ですが)されて、そちらも好評みたいです。縦ノリで四つ打ちの踊れるギターロックっていうのが飽和しつつあるライブシーンで、次に脚光を浴びるのは、彼らのようにそこにひとヒネリ加えたサウンドを作り出すバンドなのかもしれません。

 

 

なっくる(@nacl18

カゼマチミュージック