いきものがかりの新曲について

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いきものがかりの新曲「ラブソングはとまらないよ」がいい。

能年玲奈が出演しているカスピスウォーターのCMでも大量OAされているけど、スラっと聴きやすく、そのまま口ずさみたくなるような、メロディの綺麗な曲だと感じた。今のJ-POPシーンの中で、このような王道ポップスは何気に異端な立ち位置にあると思う。

個人的には元々いきものががりにそこまで興味はなく、CDを購入したこともないです。ドラマやCMで流れ聞いたことのある楽曲を、サビを多少口ずさめる程度には何となく知っているレベルです。

ラブソングはとまらないよ

ただここ数年のJ-POPの中で、実はいきものがかりのような、王道ポップスはめずらしいんじゃないか?と、今回の新曲を聴いて考えた。

それこそ今のJ-POPは、売上で言えばAKB48、ジャニーズ勢を代表にアイドルが席巻していて、他にもEXILEのようなダンスグループやアニソン、ボカロにV系、そしてロックバンドなど多種多様。肝心の曲についても一言でいうなら「カラフル」である。最近ネット界隈でもよく目にするけど、今のJ-POPはとても緻密化、複雑化した曲展開、メロディが当たり前のように鳴っている。

目まぐるしく変化する曲展開、ジェットコースターのごとく変化するメロディーライン。もう僕はいい年したおっさんなんで、一回聴いただけじゃまったく覚えられません。

またロックシーンで人気を博しているバンド、楽曲に共通するワードが「高速化」「4つ打ち」といったものになる。下の記事を見てもらえれば概要は把握できるかと。

「高速化するJPOP」をどう受け止めるか 音楽ジャーナリスト3人が徹底討論 - Real Sound|リアルサウンド

柴那典(以下、柴):いろんなところで言ってきた話なんですけど、最近BPMが高速化しているというか、音数が多い楽曲が増えているという流れがあって。すべてのJ-POPが高速化しているとは思っていないんですけど、明らかに高密度な音楽が、ロックバンドとアニソンとアイドルとボカロに生まれている。沢山の言葉と沢山のフレーズと沢山のメロディが3~4分に入っている楽曲が増えた。

 

さやわか:同じことは僕もヒャダインさんから伺いました。彼はニコニコ動画で人気が出たタイプなんですが、「2分で人は飽きると言っていました。だからニコニコ動画で2分以内に動画の視聴者から面白がってもらうためには、BPMを超速くして、とにかく展開をごちゃごちゃ入れなきゃいけない。その話を聞いて何を思ったかっていうと、曲を聴く状況――場所とかメディアにカスタマイズされた曲が増えたというか、リスナーがいる場所に合わせて曲を作るようになっていて、それによってシーン全体で楽曲の方向性が生まれているんじゃないかって。

 

柴:なぜJ-POPが高速化しているか?という理由なんですけれど、まずアニソンの分野では、作り手でもあるfhánaの佐藤純一さんが面白いことを言っていて。89秒というTVサイズの尺の中に展開を詰めこむために試行錯誤した挙げ句、BPMがどんどん上がっていったという話で。つまり情報量を詰め込むためにテンポが上がっている。アイドルやボカロのシーンで、そういう高密度化現象が起こっています。

アイドルも、ロックバンドも緻密化、高速化された楽曲を武器にファンを獲得していっている。ではなぜこのような楽曲が人気を博しているか。思い当たるのは「ファンが盛り上がりやすい」ということ。演者と観客が一体になって楽しむ、とったスタンスであることがポイントなんだと思う。まぁこの手の話はすでに議論されつくしているので、ここではこれ以上発展させる内容ではないけど。

話を戻すと、これまでに紹介した楽曲などが人気を博している今のJ-POPシーンの中で、いきものがかりという王道ポップスを主体としたグループの立ち位置は、メインストリームに対するカウンターとして機能していると思う。

ここで話したいのは、あくまでいきものがかりの曲がテンポ遅いとか緻密でないという事ではないです。

一番(Aメロ、Bメロ、サビ)、二番(Aメロ、Bメロ、サビ)、大サビ、ラスサビといったスタンダートな作風で、老若男女問わず口ずさめる楽曲を作ることは簡単そうに見えて、でもその中で人気を獲得するというのは、多様性の増した現代の音楽シーンではかなり難易度の高い話であり、ましてや持続させるのはさらに難しい。アーティスティックにならず、ただひたすらポップを奏でるいきものがかりという存在は、今の音楽シーンに貴重なのではないかなと思った今日この頃。

最後に、この曲を紹介して終了。いきものがかりの曲でひたすらベタにポップで聴いてて楽しくなる曲。

「気まぐれロマンティック」

 

 

のすペン(@nosupen

南極ペンギン大冒険部屋