2015年春、今のところ特に稼働が発表されていないタイミングでこのブログのラルク馬鹿3人が集まって話をしました。なぜこれほどまでに我々はラルクに翻弄されているのか。どこで人生を間違ってしまったのか。否、なぜそれが幸せなのか。どうして音楽を山ほど聴くようになった今でもラルクに恋焦がれているのか。その理由が多分、ここにあるかと。
個人的にはやっぱりラルクは過小評価されているバンドだと思います。国内でスタジアム規模のバンドを何度も成功させ、世界ツアーを刊行、おまけにマジソン・スクエア・ガーデンでのライブを成功させたバンドのどこが過小評価だと言われそうだけど、でもその音楽の中身についてはあまり触れられていないのが現状だと思う。別にその状況を無理に変えたいわけでもないけど、本当はここまでファンが遊びつくせるバンドだということを、それがほんの少しでも伝われば。そんな願いを込めて。
なお#1と銘打ったけど続くかどうかは未定です。バンドの動向次第ってことで。(ぴっち)
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ぴっち こんばんはー!
やや こんばんはー!
草野 たまに思うんだよ、「オレと同じ年齢のときに、hydeは何をしていたんだろう……」とかね。
やや PVを見るたびに思いますね。
ぴっち 昨日『1999 GRAND CROSS CONCLUSION』を見返したら輝いてました。
草野 1999年だとhyde31歳。
やや 眩しくて見えない……。
草野 見えない……。
ぴっち 「見えない」だけで会話が途切れる(笑)
結構怖かったラルク
草野 ということでこのブログの中でも重度のラルクファンの3人で、まったくラルクが稼働していないタイミングで「動いてほしい!」という願いも込めてラルクについて話すことになったのですが、いつからラルクが好きでした?
やや 1998年冬のFNS。「snow drop」です。

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ぴっち 同じく1998年。「winter fall」からですね。

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草野 やっぱり1998年の6枚シングル連発期ですよね。オレその時はGLAYのほうが好きでした(笑)むしろラルクって、不気味に見えたんですよ。当時は。なんか手を出したらまずい、妖しい感じ。
やや わかる。けど気付いたらそっちにはまってしまったという。
ぴっち え、そんなに怖かった?
草野 うん。
やや 怖い。「花葬」とか「浸食」とか絶対小学生向きじゃない。

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ぴっち 多分、俺、テレビを見てなかったからかも。だってもっと怖いのいたじゃん。MALICE MIZERとか。
草野 MALICE MIZERは小学生のとき知らなかったし、X JAPANも解散していた時期。Dir en greyはもうちょっとあとの中学のころ。
やや Dirのデビューとか最恐でした(笑)
草野 比べてGLAYってとっつきやすかったよね、一瞬で歌える曲が多くて、ライブやればテレビで盛り上げ、ベストアルバムも出していて。
やや 普通にいいお兄さんたちっぽくて、攻撃的じゃないのにかっこよくて。
草野 それ!化粧してるんだけど、とんがってる感じじゃない。
やや ラルクは完全に陰と陽っていう対比もされてましたよね。
草野 「hydeは歌い方が気持ち悪い!」とか姉が言ってて。陰陽感も確かにあった。
2003年の復活
草野 で、オレが本当にハマりだしたのは高校の時。2004年にハガレンに「READY STEADY GO」提供で復活する半年くらい前にベスト盤を聴いた時にビビーっと。その頃、ROCKIN'ON JAPANでラルク特集があって、それでもうドンズバ。

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ぴっち 『SMILE』の頃ですね。
やや そのタイミングの人、結構いますよね。
ぴっち だから「READY STEADY GO」が好きな人が多くてびっくりします。そこまで思い入れのある曲じゃないから。
やや 同年代でカラオケ行くと「READY STEADY GO」は外さないです(笑)
草野 最初は「なつかしー小学校の時だったわー」とか思って聴いていて、周りも好きな人いてババっとオリジナル集めてたら、ハガレンで復活して「うおおおおおおお!」みたいなね(笑)
やや そのタイミング羨ましいかも。
ぴっち ややさんがラルクにハマったのはもっと後ですか?
やや 好きになったのですか?98年です(笑)
ぴっち いや「そのタイミング羨ましい」って言ってたから、その頃まで離れてたのかなーって。好きすぎるバンドって離れたりするじゃないですか。
やや ああ!いや、あの頃は"解散するバンドナンバーワン"って言われてたじゃないですか。だから復活の時期に好きの矢印が上がってる頃だったっていいなーって。まあ『AWAKE』の時は離れてたけど(笑)
ぴっち 自分は『REAL』の時離れてました。
やや 『REAL』で!?(笑)
意外な人とのつながり
草野 『REAL』は確かにわかるかも。「NEO UNIVERSE」で「ん?」って感じはあります。
ぴっち 「LOVE FLIES」のリリースを知らなくて、「NEO UNIVERSE」は苦手で。当時はアルバムまで手が回らなかったのもありますし。
やや 「NEO UNIVERSE」ね。《あなたに巡り合えてよかった》ね。

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草野 そこまでの流れから結構変わったからね、『REAL』だと。
ぴっち 『REAL』、今は大好きだけど、コアファン向けですよね。
草野 だよね。「bravery」の歌詞とかコアファンを殺しに来てるけども(笑)
草野 《昔はよかったなんて言わないで》とか歌えるバンド、そういないよ本当に。
やや 「bravery」の前にも「Perfect Blue」があります!「bravery」はとどめ。『REAL』は当時から好きだから「なるほどー」と思ってます。コア向けなのか。知らなかった(笑)
ぴっち 「bravery」は地味に亀田誠治が参加してますよね。
草野 うっそ。
やや だから超ポップなの。本当、殺しにきてる。
草野 岡野さんじゃないのか、プロデューサー。
ぴっち この曲だけアレンジやってるんですよ。なぜか。
やや 「bravery」単体ですよね確か。
草野 さすっがコアファンのお2人、スゴイところまで知ってる
やや 意外と佐久間さんとかCHOKKAKUさんもラルクには参加していたりします(笑)
ぴっち 「the Fourth Avenue Cafe」でスカパラも参加してるしね。
やや 『TRUE』のクレジットは、今見ると豪華だな〜って理解できます。『TRUE』は売れるためのアルバム、っていうか。
草野 『TRUE』好きなんだよなぁー。初期の作品だと一番好き。
やや 『TRUE』がわりとブレイク前夜だったんですけど、活動休止を余儀無くされて、爆発的に売れることに戦略的になってたあたりですね。
過剰なまでの露出
ぴっち 『HEART』の前にyukihiroが加入して、『ark』『ray』ではいろいろはじめたんだけど、『REAL』はもうまとまらなくなった時期だと思います。
草野 ラルクのブランドイメージ/ストーリーラインってやっぱり『HEART』以降かなり巧みにできてると思うんだ。東京ドームを10分とかで一気に埋めるバンドになって、それまでと確実に違う方向に流れた、と思ってるけど。
ぴっち 露出が桁違いでしたもんね。
草野 うんうん、箭内道彦さんが参加してコンセプチュアルに世の中を驚かしにきてた。
やや 箭内さんの広告楽しかったなー。
ぴっち 藤原組長とかあったよね?
やや 藤原組長ありました。なつかし!(笑)
草野 とんでもない燃料投下しますね。
やや BOSSのCM大好き!!
ぴっち 「DIVE TO BLUE」はNTTのタイアップだったのか。はじめて知った。
やや 関西限定だったみたいなんですけど、いかんせん記憶がないのが悔しい関西人。
草野 一番記憶に残ってるのはやっぱりトマラルクとBOSSだわ。
やや トマラルク楽しいですよ!

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ぴっち やったことない(笑)トマラルクって2000年ですよね?その頃って露出が落ち着き始めて、一番危ない雰囲気が漂っていたような。
やや 踊ってましたけどね(笑)
草野 露出しなくなると「解散か?」と言われる、ロックバンドにもそんな時代があったんですよみなさん!
度重なる解散説
ぴっち ラルクがあの頃危なく見えたのは「finale」とか歌ってるから。きっとわざと。
草野 あれは「世紀末!」っていうイメージで歌ってるような所ありますし(笑)
やや hydeが嫌になっちゃったんですよ。表に出るの。あのころは繊細だったから。
草野 『ray』の「死の灰」とか「DIVE TO BLUE」あたりで自殺願望があったというお話か。
やや 「バンドを辞めたい」と思ってたぐらい*2で、それをリーダーが説得というか手紙書いたり、ご飯に行ったりなんとかしてソロに。
ぴっち あまり自殺のイメージは、今から見ると特にないけど、ほのめかすというか、歌詞の世界観的には好きな感じはするような。
やや むしろ初期からありますよね。《光をなくした》(夏の憂鬱)だったり、《枯れたい!》(flower)だったり。
草野 だからこういうのもあれなんですけど、アイドル的に外に出まくって「世紀末だー!」ってお祭り感を煽ってたのは『ark』に、hyde自身の内省的な感じが『ray』に入っていて、『REAL』で「これが本当の僕らです!」となってひとまず完結してる。初期の内省的な雰囲気は「なーんでこの頃の歌詞ってこんな後ろ向きなの?」と2012年のアニバーサリーライブのMCで言っちゃうくらい強いんすよ。
ぴっち その解釈は結構好きだけど、でも『ark』『ray』はそこまで分けてる感じがしないです。ただ単に分量多くて分けただけのような気も。というか「ただ分けただけであの完成度かよ!」という話でもあるんですけど(笑)

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草野 雰囲気分けではあるにせよ、そこにコンセプチュアルが垣間見えるのがおもしろいんすよね。
ぴっち うん。
やや わたしは『REAL』は「危ういギッリギリに音楽だけを成立させてる様子が今のREALだ!」っていう受け取り方です。

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ぴっち むしろ『REAL』はラルクでありながら「もうファンタジーとか言ってる場合じゃね!現実が追いついてきたよ!」という『風立ちぬ』の宮崎駿的な切羽詰まった感が出ている気がします。
草野 「ファンタジーから目を覚まそう!」的な。突っ込んだ話になるけど、『REAL』のギリギリ感って、全体的に音がドンシャリっぽくイコライジングされてるのも結構でかいと思う。
ぴっち うん。「目を覚まそう」まではいかないけど、あ、でも『The End of Evangelion』的な目を覚ませ!はあるかも。メンバーにエヴァファンもいるわけだし。いやないか(笑)
草野 いやいや影響は大ですよ「あなた」はアスカに向けて歌ってると言われてるし。
ラルクはファンタジーではない?
やや この流れでこう言ってしまうとあれなんですけど、あんまりラルクにファンタジーを思ったことってないんですよね。
ぴっち それ斬新です!
草野 うん、斬新!
やや ファンタジーっていう言葉に対して思うことが違うのかもしれないけど。
草野 ええ。
やや 非日常とか、ぐらい。
草野 僕がどこぞに書いた論考では、幻想郷とか異郷って書きましたね。
L'ARC-EN-CIEL 20th L'Anniversary Live〜やまない雨はない - COOKIE SCENE
やや ファンタジーっていうのは「あり得ないこと」って捉えているんですが、ラルクの音楽はそれがあり得るように思えるんですよね。だからファンタジーではないというように思う。だから幻想とも違う。
草野 これは認識論的にすげぇツッコミが来たな!
やや や、べつにこれに共感してほしいとか認めて欲しいわけじゃないです。そう思うんですよねーってノリです(笑)
草野 この差異ね、実は誰も気づかなかったかも。僕は、ラルクが場所の中にいて招き入れる存在だと思ってるんですよ
やや おおお!?
ぴっち 全然正しさとか主張する気はないんですけど、自分はやっぱり幻想とかファンタジーとかお伽話だと思って聴いてました。特に初期は。
やや わ、おもしろくなってきた。
hydeの歌はあり得ること
草野 僕としては、幻想とかファンタジーを「生み出す」んじゃなく、すでに「幻想」とか「ファンタジー」の中にいて、僕らを招いてるようなイメージです。多分、こういう風に捉えてるのは少数派だと思う。
やや あくまで自分にとっては非日常だけど、異郷では行われていることなのかもしれないと思わせられてるかな。時代とか国とかはぐっちゃぐちゃにしても、人だ、って。
ぴっち ファンタジーって現実の何かを置き換えたもので、それ自体は何かを意味しているけど、それを見せられている立場からすると、あまりその先にまでは届かなくて。
やや 村上春樹の「世界と終わりとハードボイルド」って感じでいいのかな?

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ぴっち ああ、そんな感じかも。hydeの考え方とかは含んではいても、あくまで物語というか、架空のものだとは思ってました。「だから現実にありえそう」っていうのは新鮮です。
草野 ちょっと簡単には察し得ないけども、これは何かしら現実にあるものを代入して形作られてるファンタジーと。もちのロンですけど、ミュージシャンが歌ったりする歌詞って、本人の経験から導き出されてるものばかりじゃない、架空性の強い物語なわけで。
やや うん。それを架空だけじゃないっていう風に捉えてしまうんですよねー。hydeの歌詞を信じてるというか(笑)
ぴっち いや、そう思えるのはもうすばらしいというか、うらやましいです!
『AWAKE』でラルクは外の世界に目を向けはじめた
草野 俺から見てhydeがスゴイのは「明らかに架空の世界でおきてることなのに、現実の僕らに繋がってしまう」ことなんですよね、それがラブソングであれ、ロックンロール的なアゲアゲな曲であれ。
ぴっち 『AWAKE』はその極みですもんね。
やや 苦手なんですよ。現実っぽすぎるからかな……。好きな曲はいくつかあるんですけどね。どうも単語の醸し出すコンセプチュアルな匂いが。
草野 『AWAKE』って凄いですよ。AWAKEって何からの覚醒かって話でいうと、あの時イラク紛争でアメリカ介入があって「平和を!愛を!」っていうアルバムじゃないですか
ぴっち うん。
草野 それまで自分たちの世界を構築するためだけに生み出してきたサウンドと歌でもって、外の戦争に向けて歌う。
やや それがちょっと血なまぐさいんですよ。
草野 でも、今まで自分のことばっかり見ていたりしていた人がさ、急にいきなり優しくなったらすごく驚きません?。それにとても似ているように思ったんですよね。内省的でもなんでも、自分たちの世界を構築するために生み出してきた音と声を、現実の世界のために使う、ってストレートに言えばそうなるのかな。俺はそれがすっごく嬉しくて、「ああ、この人らってこうして外に向けてメッセージを出そうとすると、こんなにすごいことできるんだ」って。
ぴっち ああ、なるほど。多分、『AWAKE』と『Link』ってセットなんですね。
草野 そうそう!その通りですよ!活動休止直前の動きにしてもそうだけども、この人たちほど、自分たちの音楽と活動に筋を通すバンド、いないんすよ!
やや それに「うおおおお!!」と思う気持ちもめっちゃわかります。ただラルクに関しては箱庭が宇宙に通じてる感じだったので、「いいんだよ……」という気持ちのほうが当時強くて、「そのまま今まで……」って。
草野 ややさんの言うこともすごくわかります。
やや そのころ子どもが生まれたのも大きいですよね。守りたいものができた。
ぴっち つまり「外の世界に目をやること」と「子供に目を向けたこと」が違和感なく重なった。確かに優しいんですよ。『AWAKE』と「Link」以降って。
やや 内側にこもってた繊細な青年が、奮起して外に出ざるを得なくなった時期ですね。
草野 「守らなくちゃいけないものができた!」とも言いますが、いずれにせよ、大海に出なくちゃいけない。
ぴっち 自分は以前、それを世界進出のためだと思っていました。でもそれ以外も全部繋がっている。
草野 そうそうそう!そこにも繋がっていくんですよ!!それがすごく感動的にも見える!
やや 本当にいいバンドだと思いますよ。ファンだからあーだこーだ言いたいだけで(笑)
次の稼働についての希望的観測
草野 でも『AWAKE』からもう10年ですよ……。
やや ソロの『666』でK.A.Zくんに出会うというVAMPSへの布石。あれは2003年か。10年は戦慄。
ぴっち VAMPSはなんか真面目な遊び感があるので安心してます。むしろソロで『FAITH』の続きを作ってないことに安堵してるというか。あの後を作ったらやばい……。
やや VAMPSがあってよかった!(笑)
ぴっち もっと言うと『AWAKE』を作れてなかったら『FAITH2』みたいなこともありえたかもね。
草野 結構周りの状況を踏まえつつ活動してるんだなーとは思うけどね、2003年復活以降のラルクに関しては。hydeもここぞとソロをやって、VAMPSに繋げてるわけで。RADIOHEADのトム・ヨークが『Hail To The Thief』リリース時のインタビューで「なぜRADIOHEADとしてもっと活発に活動しないんですか?」と言われて、「あれはものすごくデカイ現象を起こすボタンで、すごく気を使うんだ」と答えたのがすごく印象的に覚えてるんですけど。彼らと同じで、ラルクもビッグプロジェクトなんだわなーと。
やや でかくなりすぎましたからね。来年25周年だから動くはず……!
ぴっち 自分は今年の10月頃だと思ってます。多分シングル。これはもう願いです(笑)
やや わたしそこにアルバムが欲しいです(ない)
ぴっち アルバムは多分2017年……。
やや いや、せめて来年中に!世紀の名盤を!!
草野 25年活動してきてマジックがあるかどうかもファンからは定かに思えない。そんなロックバンドに今はちょっと期待は置けないなーっと辛辣に見てしまいますけどね。むしろ、ラルクにマジックを期待しすぎる感じって結構ある。
やや 言いたいだけです。でも願いが本当になってくれたら嬉しいじゃないですか(笑)
ぴっち 自分は逆で割と期待してます。というのも、次はロックやると信じてるから。というのも、マジソン・スクエア・ガーデンでのライブまでにやってたことって『TRUE』の2周目なんですよね。ポップサイドのラルクを見せていたというか。だから次は98年以降の『HEART』以降のロックサイドのラルクが帰ってくると。
草野 そうかなー。VAMPSであれだけロックやってる人があの4人でロックをやるかが本当に難しい。ただそこで『EVERLASTING』を聴くと、ああこれもう、本当にスゴイの作ってもおかしくないけど。
ソロについて
やや VAMPSのロックとラルクのロックって違いません?ジャンルから。
草野 ちがう。
ぴっち LAメタルとUSインディーくらい違う。
草野 あんなハードドライヴィンなロック、kenちゃん大好きだろうけどてっちゃんは「無し」って言うだろうな。
やや kenちゃんはよくVAMPS会場で共演したりしてますね(笑)
ぴっち kenちゃん、もっと稼働してよ!っていつも思います(笑)
やや kenちゃんの『IN PHYSICAL』は名盤ですよ!

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ぴっち 自分はSONS OF ALL PUSSYSの「Grace」を推します。3分5秒辺りからのギターソロの輝きは全史の中でも屈指の出来!
草野 『ANGEL TRIP』のギター処理ぱねぇ。あと『DEVIL SIDE』のギターも本当にすんばらしい。
ぴっち VAMPSを聴くと、バンドの魅力よりもむしろ「hydeのソングライティングがやばい!」ってなります。
やや ああ、わたしもそっちです。
ぴっち 「VAMPIRE'S LOVE」名曲すぎ、みたいな。むしろこれ、ラルクで……的な(笑)
やや 「X X X」をラルク持ってきてくれたから「VAMPSありがとう!」みたいなところあります。あー、でもラルクでVAMPIREモチーフやって欲しくなかったりする(笑)
草野 ラルクでそういうのはやらないでしょ(笑)
ぴっち 持ってくるのはグッドメロディーだけだよ!(笑)
やや 幻想が濃いと胃もたれしちゃって。各自ソロ曲は結構ラルクでやってよーって思いますね(笑)
ぴっち でも吸血鬼は明確にファンタジーですね。
やや そこまでいくとさすがに幻想って理解できます。ただてっちゃんがC/Wでそれぞれの曲ラルクでカバーしようって言ったらメンバーに断られたって話が(笑)
草野 ラルクでやってほしいソロ活動曲か。
ぴっち geek sleep sheepの「kaleidoscope」はラルクでやって欲しい。
やや ゆっきー実はソロで一番アルバム出してますよね。acid androidで3枚。geek sleep sheepで2枚。
ぴっち えーと、hydeはソロ3枚、VAMPSで3枚。まだhydeが勝ってるはず。
草野 hydeのほうが多いよ!
やや 無意識にhyde抜いてた。失礼しました(笑)
草野 っ
やや 「Can't stop believing」今聴いてた!これラルクで聴きたいですよね!
ぴっち TETSUYAのYouTube Official Channelがあることにびっくりした。ラルク作ってよ!
草野 ほんとそれ!
やや みんな、ソロのはありますよね。
草野 ソニー的にアウトなんすよきっと。むしろ作らないことで利益損失してる。
ぴっち まあでもYouTubeの件は多分、次の活動再開で作ってくると思います。Short Versionあたりで。
やや Shortでしょうね。ソニーもラルクでどれだけ儲けるかは考えてるはずなので。やってみてくれたらいいのになー。
ラルクのサウンドについて
ぴっち 最後に一つだけ話しておきたいというか、ここまであまり触れられてないんだけさっき「DIVE TO BLUE」を聴きながら歩いていたら、なんていうか、サウンド的にちょっとあり得なさ過ぎてびっくりしたんですよね。で多分、ラルクのロックのオルタナティブ性って過小評価されていると思うんですよ。語る人がいなかったというか。
草野 ここにいるじゃないですか、語る人が!
やや 語ってください!(笑)
草野 「DIVE TO BLUE」のAメロって異常だと思う。
ぴっち まあ「DIVE TO BLUE」に限らなくてもいいんだけど、ラルクってハードロックとメタルは避けてますよね?
やや 避けてます。でもルーツはそこにもあります。
草野 kenちゃんがめっちゃ大好きなんだけど、てっちゃんが「すまん、全開は勘弁な」と。ストレートにいうと、ラルクは日本における80年代洋楽文化をそのまんま詰め込んだようなバンドだと思ってます。U2にもなり、デュランデュランにもなり、時にモトリー・クルーにもなるようなバンドだと。
ぴっち この間New Orderを聴いてたら「Regret」でびっくりした。
やや 「ラルクが音楽を聴く入口になってくれたら」って発言がありますね。「自分たちを通して自分たちが好きだった音楽に触れて欲しい。必ず好きだから」っていう感じで。
草野 「DIVE TO BLUE」のAメロだけで相当すごいんすよ、なんでこのバランスでポップソングになるんだ?って。
ぴっち あれ、ギター2人いないと無理ですよね?
草野 うん。でもそれはオーバーダヴィングでなんとかなります。
ぴっち kenちゃんのギターがあまりに自由すぎるんですよ。にも関わらずバランスが崩れない。
やや Aメロすごいんだ。だめだ、ラルクがそもそも音楽の入口だったからわかんない。これがデフォルトだからわかんない(笑)
草野 イントロからAメロにかけての話で行くと、kenちゃんのギターがイントロだとノリノリで、Aメロになると急に止まるんですよね、U2ばりのディレイサウンドで引きずるように残響として音を残し、それがすごく綺麗にキラキラした感じになってる。tetsuyaはボトム支えともメロ支えともいえないよくわからんフレーズを引きまくって、yukihiroは当時流行ってたドラムンベース的なフレーズパターンを叩いてる。そこでhydeがしれっとした顔で唄うんすよ。意味分かんない。なんでこれでオッケーにしてしまうのか、それが本当にわからない、そのセンスが本当にスゴイし、ポップスとして成り立ってるのが本当にスゴイ。
ぴっち tetsuyaは我流ですよね。
yukihiroの加入は必然だった
ぴっち ここ数日、ラルクの20週年のライブを見てたんですけど、ユッキーがうますぎるんですよ。正確無比すぎて、あのバンド何でもやれるんです。
草野 「yukihiroのドラム音が調整されてる!人が叩いたと思えない!」っていう話、Twitterでネタにされてましたけど、あれ、本当に機械レベルで叩けているからこそなんだよーってね(笑)
ぴっち あれはもう間違いなく足してる。でも問題はそこじゃなくて、むしろ淡々と叩きながらきちんとバンドを回してるんですよね。
草野 プロダクションで音を足し引きしてるとは思う。けどそれ以上に、元の音源を元にして足し引きしても、バランスが崩れないように叩く技術が必要だし、加工した後に叩ける技量だってもちろん必要。それをあそこまで淡々と叩くのがもう……。あの人機械ですよ、マジで。
やや 「いばらの涙」最高!
草野 そう「いばらの涙」、あれもおかしい。ドラムなんであの刻みなのに、kenちゃんなんでそのタイム感でソロ弾くのっていう(笑)
ぴっち バンドっぽさとかで言うとsakura/yukihiro論争が今でもあるじゃないですか。でも多分、今の活動をやる上でユッキー以外はありえないというか。
やや 派手で厚いドラムか、淡々と刻むドラムかみたいな。最近「ゆっきーが入ってなるべくしてなった形になった」って何かで読んで大号泣しました……。
ぴっち 淡々と叩いてるんですけど、どこか派手なんですよ。すごく派手。
草野 音が重いんですよ、sakuraのドラムって。その意味でてっちゃんのベースと音が被って食い合せあんまり良くないんすよね。でもユッキーのドラムって音が軽くて、てっちゃんの低い音とすっげぇ食い合せが良い。しかも2人共めちゃくちゃ動くし叩くしで、せわしない二人だからとんでもないプレーをお互いにしあってボトムを作っているんですよね。一聴するとなんでもないんですけど、演奏プレーヤーとしてやろうとすると「え?これで本当に合わせるの?!」ってびっくりする。あのプレーを互いにやりあえるあの2人だからこそ、お互いがお互いを映えさせてると思ってますよ。
やや ふむふむ。
草野 俺、ベースやっていて、もちろんラルクにも挑戦しましたけど、いちばん唖然としたのは「Blurry Eyes」っすね。
やや あ!ブルーリー、変!
草野 8ビートの表で合わせてないんすよ、裏で合わせていて……こんな話しても通じるかわかんないんだけど(笑)
やや 理論的にはわかるけど耳がついていかない(笑)
草野 なんだろ・・・バスドラムでいうと、
ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン
これで言うと、ドンとドンの間にあるスペース辺りで音を鳴らして、フレーズを作ってるんですよイントロの部分とか。単純にバスとスネアに合わせた8ビート感でフレーズを作ってない、それでいて運指が結構動くし、音も特徴的だからミスると一発で分かる、でもライブではミスったのを見たことがないんですよね……。本当にすごいなーと思います。
ラルクは尊い
ぴっち 時間なので強引にまとめるけど、この人たちプレイヤーとしても相当変なんですよ。にも関わらず特に『KISS』以降は普通の曲をやってるんですよ。スタンダードをやろうとしていたというか。
草野 あ、それ言うか兄さん、そう、プレイ的に非常に普通に、変態的じゃなくなったよね、てっちゃんが特に。
ぴっち 98年頃だと変なプレイヤーたちが集まって変な曲をやりながら、それが圧倒的にかっこ良かった。でも近年は本来的な変なプレイヤーが、個性を押し殺してスタンダードな曲を作ろうとしている。それが2012年の『BUTTERFLY』までだとしたら?今やってもちょうかっこいいから「HEAVEN'S DRIVE」以上にかっこいいのをやってよ!ってことで、ラルクへの願望を述べておきます(笑)

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やや 世界進出を本格的にやるなら、変なスタイルに戻ると思います。今までは国内向け。
草野 (フレーズは変態的だけどなー)
ぴっち まあ『X X X』とかは変だけど、でも昔ならもっと散らしてたというか。
やや それは曲の個性ってことで(笑)
ぴっち 最後に何か言っておくことありますか?
ぴっち まぶしいよ、あんたら。
草野 この対談やってる間、ずっとラルクを聴いてたけど飽きないね。
やや うん。尊い。
草野 そうね。尊い。
草野(@grassrainbow)×ぴっち(@pitti2210)×やや(@mewmewl7)
*2:tetsu「哲学」より