きのこ帝国「クロノスタシス」
今年の前半に発表されたFor Tracy Hydeの無料配布CD『In Fear Of Love』に収録されたラブリーサマーちゃんの「笑い話」のセルフカバーを聴いた時から、こういうバラードともつかない、スローテンポのメロウな曲の流れがきているのかもしれないと思っていたのね。YUKIの最新作『FLY』もそうだったし、tofubeats「Poolside」や「20140803」もそんな感じだった。
90年代後半にエイベックスがJ-POPを蹂躙している影で、椎名林檎が「丸の内サディスティック」を出したこと、2000年に入ってから宇多田ヒカルが「For You」を出したことに近いかもしれない。あとSPEEDの「STEADY」とか。あの頃、身体が動いてしまう音楽にジャンルは関係なかった。
とかいいつつ、上記の解釈は完全に的はずれかもしれない。
要はきのこ帝国をどの文脈で解釈するかの問題なのだ。インディー・ロックの文脈で捉えられがちなきのこ帝国だけど、案外くるりやチャットモンチーのような00年代ロキノンの文脈で捉えられると思っている自分もいる。インディー・ロックの文脈から少しずつJ-POPに接近している。それなのにダサくならない。きのこ帝国はジャンルの壁を軽やかに飛び越える。
ぴっち(@pitti2210)