2013年から始まった「ネットの音楽オタクが選んだベストアルバム」12年目です。今回は418のデータを集計しました。
例年同様、順位はあまり気にせず、国やジャンルも気にせず、この記事をきっかけに2024年の作品を再発見していただければ幸いです。
3日間よろしくお願いします。作品にはできる限りリンクを付けました。記事末尾にはプレイリストもあります。ぜひご活用ください。(ぴっち)
このランキングについて
- ネットの音楽オタクが選んだベストアルバムは音楽だいすきクラブ、及びそのメンバー等の特定の誰かが選んで作ったものではありません。
- Twitterのハッシュタグ、募集記事のコメント欄に寄せられたものを集計しています。
- 418人分のデータを集計しました。
- 同点の場合、乱数を発生させて順位づけしています。
- 順位に深い意味はありません。気にしすぎないでください。
- 150位以内はすべて3人以上に挙げられたものです。
- レビューは有志によるものです。500字以内、ディス無しでやっています。
- レビューは随時追加しています。興味がある方はX(Twitter)の@ongaku_club、もしくはBlueskyの@pitti2210.bsky.socialにリプを下さい。
50. パソコン音楽クラブ『Love Flutter』
49. Mount Eerie『Night Palace』
48. Waxahatchee『Tigers Blood』
47. Tempalay『(ika)』*1
微睡の最中に放たれたうわごとが、実は今ここにある現実を言い当ててる、みたいな。私の日々も、本当は誰かの見てる夢、みたいな。異化された現実を描く、幻想的なサイケデリア。
月の人(@ShapeMoon)
46. a flood of circle『WILD BUNNY BLUES/野うさぎのブルース』
45. The Last Dinner Party『Prelude to Ecstasy』
44. Bialystocks『Songs for the Cryptids』
そのちょっとした違和感に固定観念を少しずつ解体されるような音楽だと思う。たとえば、2曲目にこういう曲が来そうという予兆があっさりと裏切られ、心地よいメロディに身を委ねていると《最近2人はビタミン足りない》とクリシェでなさすぎる言葉がやってくる。タイトルは“未確認生物たちへの音楽”という意味。納得しかない。
月の人(@ShapeMoon)
43. ストレイテナー 『The Ordinary Road』
結成26年目の12thアルバム。まだまだ自分たちの可能性を研究し、現状維持を許さない気迫が滾っている。最も俗っぽい言葉を選ぶならば、ここにきて更にブレイクを果たそうとしている!と思うほどのギラつき。決して一般道などでない、特別なロマンが溢れている。
月の人(@ShapeMoon)
42. 離婚伝説『離婚伝説』
カラオケ行こ!って言いたくなる。歌いあげて、歌いあげて、気持ちよくなりたくなる。J-POP、ビカビカに磨き上がってる。
月の人(@ShapeMoon)
41. Tyla『TYLA』
40. Father John Misty『Mahashmashana』
39. Kim Gordon『The Collective』
38. Dos Monos『Dos Atomos』
何度も「お、次の曲になった?」と思って確認したらまだ同じ曲だった、ということを繰り返す。それぐらい異様な目まぐるしさ。言葉と音の絶え間ない連鎖反応。圧と密に奇襲されるインパクト。まだまだ、自由な音楽ってある。
月の人(@ShapeMoon)
37. toe 『NOW I SEE THE LIGHT』
36. The Smile『Wall of Eyes』
35. Official髭男dism『Rejoice』
最初にこのアルバムを聴いた時の感想は「ずっと怒っている」だった。アルバムタイトルである「Rejoice」の意味が「喜び・朗報」であるから、収録された曲の雰囲気はとにかくポップだ。でもそのポップさの裏、というか核には凄く怒りの色が見えて、それが楽しい日々の中にも楽しさと相反する怒りは必ずあるという感覚を思い起こさせた。そしてそれは、怒りは何かを駆動させる事ができるエネルギーになり得るという事や、怒ることが良くないとされる社会に対するアンチテーゼのようにも感じられた。
Official髭男dismはバンド名に「男」や「ダンディズム」を背負っているが、今作で歌われるのは従来のイメージで語られるそれとは一線を画したものだ。その姿はさながらGalileo Galileiが2023年のアルバム『Bee and The Whales』で新しい男性性の在り方を模索していたように、男性の粋な様を表した『ダンディズム』という概念の再定義をしようとしているようにも感じられる。セルフケアができずに悪い形で外に発散する危険性を孕んだダンディズムを怒りと共にぶっ壊し、自分で在り直すための実践がここにある。
ハタショー(@hatasyo5.bsky.social)
34. トリプルファイヤー『EXTRA』
33. BUCK-TICK『Subrosa』
32. Adrianne Lenker『Bright Future』
6枚目のソロアルバム。森の中にあるアナログスタジオで、アナログの機材で録音された。まるでレコーディングされること自体が目的のような作品だ。ライブで聴いても最高だとは思うけど、これらの楽曲を信頼するミュージシャンと演奏し、信頼するエンジニアに録音された時点で目的を達しているように思える。
僕らは製品化された音源を様々な機器を通して聴く。ある人はアナログでレコードの針を落として、僕はAirPlayで繋いだスピーカーやBluetoothイヤホンで。もしかしたら間違った聴き方なのかもしれない。でもどんな機器で聴いてもこの音楽はあたたかい。
31. 長谷川白紙『魔法学校』
30. MONO NO AWARE『ザ・ビュッフェ』
今回のアルバムとの出会いはテレビ東京の赤ちゃん向けの番組「シナぷしゅ」だった。この番組では毎月各アーティストが赤ちゃん向けに楽曲制作している。そこで今作に収録された「もうけもん」と出会った。この曲は親が思う子供の可愛さ、尊さが歌われている。ギターのやさしさが子を思う優しさとリンクしてとてもよかった。
今作『ザ・ビュッフェ』は、全編を通して“食”をモチーフにしている。食べ物を題材にすることで、これほど身近に感じられることに驚いた。食事作法や生活レベルの違和感を言葉少なに表現している点がおもしろい。
「もうけもん」の歌詞にはミルクやピーマンといった食べ物が登場する。幼児や子供の様子を食べ物で表現しているからこそ、聴き手はより身近に感じられるのだと気づかされた。「食」という普遍的なモチーフを通して現代社会を鮮やかに切り取った本作は2024年を代表する一枚だ。
mokko(@mokko)
29. NewDad『Madra』
28. Kendrick Lamar『GNX』
27. Cindy Lee『Diamond Jubilee』
26. Beth Gibbons『Lives Outgrown』
25. 折坂悠太『呪文』
24. LINKIN PARK『From Zero』
潔い。再始動を告げたライヴ配信で「The Emptiness Machine」の一音目が鳴らされた瞬間、あるいは新ボーカルのエミリー・アームストロングが登場し第一声を発した時からそう思っていた。旧曲も存分に織り交ぜながら進んだライヴの中で、彼女は故チェスター・ベニントンの歌い方を踏襲してみせる。いくらでも新しいモードに切り替えられただろうにそれをせず、ファンが求めるバンド像を引き受けたように見えたのだ。
本作でも印象は変わらない。ラウドで、タイトで、DJのスクラッチがアクセントになっていて。今までのLinkin Parkの最も良質な部分を凝縮させた作品が、よもや2024年に産み落とされるとは思うまい。『From Zero』というタイトルはもちろん仕切り直しの意だろうが、同時に『Hybrid Theory』以前のモードをもう一度やり切る、という覚悟にも似た意志を感じるのだ。
まっつ(@HugAllMyF0128)
23. Magdalena Bay『Imaginal Disk』
22. Nala Sinephro『Endlessness』
21. The Smile『Cutouts』
20. Beyoncé『COWBOY CARTER』
19. リーガルリリー『kirin』
18. The Lemon Twigs『A Dream Is All We Know』
17. Friko『Where we've been, Where we go from here』
16. Floating Points『Cascade』
15. Geordie Greep『The New Sound』
14. 米津玄師『LOST CORNER』
作る、創る、ひたすら造る。しかし粗製には決してならず、血と汗の味を染み渡らせて丹精込めてつくる歌。働いて、想像して、創造して、生きる。彼の作品を前にすると、生きることだけはサボれないなと思う。
月の人(@ShapeMoon)
13. Fontaines D.C.『Romance』
12. Mk.Gee『Two Star & The dream Police』
形はあるのに掴めない。手にしたそばから逃げていくのに、そこにあったことだけは覚えている。エフェクトがかかったボーカルやリズムトラックの存在感の薄さ、はたまた構成の定型感のなさがその原因かもしれない。ジャンルとしてはオルタナティブR&Bに分類されそうだが、ギターフレーズを主軸に据えているため既存のそれらとも違った感触である。
水や記憶、あるいは録音技術が存在しなかった時代の音楽体験。本作が想起させるのは、そういった流れ過ぎ去って行く何かだ。
まっつ(@HugAllMyF0128)
11. Jamie xx『In Waves』
10. The Cure『Songs Of A Lost World』
9. Bring Me the Horizon『POST HUMAN: Nex Gen』
8. Tyler, the Creator『CHROMAKOPIA』
7. Homecomings『see you, frail angel. sea adore you.』
電子音と轟音に託された祈り、生と死が揺らめく海辺に舞い降りる天使のモチーフ、新たに際立つ畳野彩加の聖なる歌声。全てが混ざり合いながら、寄る辺ない不安と共に居てくれる。柔らかさだけでは守れない心があることを知った、覚悟と気迫に満ちた革新的な1枚。
月の人(@ShapeMoon)
6. ZAZEN BOYS『らんど』
5. Billie Eilish『HIT ME HARD AND SOFT』
Billi Eilishの3枚目のフルアルバム。単純な好みとして自分は今作が一番好き。曲単位で言うと「bad guy」や「Happier Than Ever」のように場外ホームランみたいな曲はないかもしれないが、だけどBillie Eilishという存在をアルバムで構築したら今作になると思う。静けさと叫び、悲しみと怒り、両極端なものが違和感なく同居している。どちらもSOFTでありHARDだ。溶け合っている。矛盾が成立している。でもそれが彼女っぽい。
ぴっち(@pitti2210)
じめっとした空気。張り付く肌着。リバーサイドのカフェテラス。BGMは千と千尋の神隠し。お腹いっぱいの河川敷、伸びっぱなしの草、凪のお昼寝ゴロゴロうとうと。カラスが鳴いたら帰りましょう。花屋の店先にプロテア。
夕焼けは蒼き紫。飛行機雲が伸びている。黄昏のひらめき、晩御飯は肉屋のコロッケにしよう。通り雨が踊るバス停とバスが来たら役目を終える青い傘。音の鳴らない風鈴とシケって火がつかない太巻き蚊取り線香。いつもより少し早く盛り上がりをみせる蝉の声。そんなに驚かないで、まだ梅雨はやって来てはいない。
椎名林檎を思い出して、丸い四角を選ぶ。きっとあの人達も嗚呼しくじったと思ってんだろうな。こんなことになるなんて思ってなかったな。あれから僕たちは……。なんてちょっとブルーになってみただけ。
ジョリボッサ(@nan4y9jack.bsky.social)
4. Charli xcx『BRAT』
「360」度「365」日パーティーガールであると証明し、ポップカルチャーへのカウンターと亡きSOPHIEへのトリビュート、A.G.Cookへの敬意がつまった、愛が溢れる15曲。
あの店の水を飲むと腹がくだる(@showhaya)
3. Vampire Weekend『Only God Was Above Us』
2. Clairo『Charm』
「Nomad」のライブ映像で《でも私は見知らぬ人でいるなら一人でいたい》という歌詞をお客さんが熱狂的にシンガロングしていて、ほんとClairoは信頼できるアーティストだと思った。過激!
1. 柴田聡子『Your Favorite Things』
「My Favorite Thing」という曲が好きだった。映画「サウンド・オブ・ミュージック」で歌われるあれ。家で母に見せられたのか、学校の戦後教育で見せられたのか。劇中で歌われるのも好きだったけど、コルトレーンのカバーも好きで今でもよく聴いている。母は本の虫で音楽はからきしだったけどクラシックや映画の音楽はわりと知っていた。死んだ祖母が授業料をちょろまかしてブロマイドを買って洋画を観に行くような人だったからかもしれない。
そんな母も10年くらい前から病気がちになり今は病床に臥せっている。あなたの好きだった音楽を、ドラマをひとりで見ているよ。もうトンネルは閉ざされた。このアルバムの「Your Favorite Things」という曲が特に好きだけど、こんなふうに実感を伴うのは想定外すぎた。まるで映画みたい。
ネットの音楽オタクが選んだ2024年のベストアルバム 50→1
1. 柴田聡子『Your Favorite Things』
2. Clairo『Charm』
3. Vampire Weekend『Only God Was Above Us』
4. Charli xcx『BRAT』
5. Billie Eilish『HIT ME HARD AND SOFT』
6. ZAZEN BOYS『らんど』
7. Homecomings『see you, frail angel. sea adore you.』
8. Tyler, the Creator『CHROMAKOPIA』
9. Bring Me the Horizon『POST HUMAN: Nex Gen』
10. The Cure『Songs Of A Lost World』
11. Jamie xx『In Waves』
12. Mk.Gee『Two Star & The dream Police』
13. Fontaines D.C.『Romance』
14. 米津玄師『LOST CORNER』
15. Geordie Greep『The New Sound』
16. Floating Points『Cascade』
17. Friko『Where we've been, Where we go from here』
18. The Lemon Twigs『A Dream Is All We Know』
19. リーガルリリー『kirin』
20. Beyoncé『COWBOY CARTER』
21. The Smile『Cutouts』
22. Nala Sinephro『Endlessness』
23. Magdalena Bay『Imaginal Disk』
24. LINKIN PARK『From Zero』
25. 折坂悠太『呪文』
26. Beth Gibbons『Lives Outgrown』
27. Cindy Lee『Diamond Jubilee』
28. Kendrick Lamar『GNX』
29. Newdad『Madra』
30. MONO NO AWARE『ザ・ビュッフェ』
31. 長谷川白紙『魔法学校』
32. Adrianne Lenker『Bright Future』
33. BUCK-TICK『Subrosa』
34. トリプルファイヤー『EXTRA』
35. Official髭男dism『Rejoice』
36. The Smile『Wall of Eyes』
37. toe 『NOW I SEE THE LIGHT』
38. Dos Monos『Dos Atomos』
39. Kim Gordon『The Collective』
40. Father John Misty『Mahashmashana』
41. Tyla『TYLA』
42. 離婚伝説『離婚伝説』
43. ストレイテナー 『The Ordinary Road』
44. Bialystocks『Songs for the Cryptids』
45. The Last Dinner Party『Prelude to Ecstasy』
46. a flood of circle『WILD BUNNY BLUES/野うさぎのブルース』
47. Tempalay『(ika)』*2
48. Waxahatchee『Tigers Blood』
49. Mount Eerie『Night Palace』
50. パソコン音楽クラブ『Love Flutter』