レビュー

結束バンド『結束バンド』

Spotify Apple Music 結束バンドのアルバム『結束バンド』をずっと聴いている。2020年代のコンセプトアルバムとして金字塔と言える作品だと思う。 作曲にはLiSAの「紅蓮華」を手がけた草野華余子、音羽やZAQといったクリエイターから、日本のロックの当事者…

君島大空『映帶する煙』

Spotify Apple Music 君島大空の1stアルバム『映帶する煙』を聴いた。 これまでリリースされた『午後の反射光』『縫層』『袖の汀』の3作はどれも28分以内のEPという扱いで、今作が正真正銘の1stアルバムとのこと。 タイトルの『映帶する煙』の「帶」は「帯」…

カネコアヤノ『タオルケットは穏やかな』

カネコアヤノの6枚目のアルバム『タオルケットは穏やかな』を聴いた。 とにかく聴きやすい。以前より洗練されている。ロックとフォークが主体のサウンドであることに変わりはないが、シューゲイザーのような轟音、それからジャズ的なアレンジが導入され、全…

GEZAN『狂(KLUE)』(合評)

GEZAN『狂(KLUE)』の合同レビューです。僕らの周囲で話題になりみんなでレビューすることになりました。この作品について考えるきっかけになれば幸いです。

サカナクション『834.194』

先に書いてしまうけど僕の中では現時点における2019年のベストアルバムです。

KOHH『UNTITLED』

Apple Music Spotify 御徒町周辺はおもしろい。特にアメ横のカバン屋が。その店は閉店セールと称して定価数万円(らしい)カバンを3000円均一で売っている。そして実際に店を畳むのだが、しばらくすると何100メートルか離れた別のスペースで同じことをやり、…

tofubeats『FANTASY CLUB』

tofubeatsの通算4枚目、1年8ヵ月ぶりのアルバム『FANTASY CLUB』がリリースされた。多彩なゲストを配した前作までと対照的にフィーチャリングを2曲に抑えた本作は、ところどころ棘を含みながらも全体的にはフラットな雰囲気で統一され、この国で生きる人にと…

椎名林檎『椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015』

以前観た『(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―』同様、ライブ映像作品として優れていると感じたのでとりあえず思ったことを羅列しておくね。 現時点において日本で最高級のプレイヤーが集まっている ただでさえ評価された楽曲を演奏しているにも関わらず、ほぼ全…

tofubeats『FANTASY CLUB』

tofubeatsの『FANTASY CLUB』をずっと聴いている。正直に言うと、このアルバムはtofubeatsの最高傑作ではないと思うし、おそらく現時点における彼の最高傑作は『lost decade』なのだが、ただ滅茶苦茶いいのだ。 今作は前作の『POSTIVE』やさらに前の『First …

チャットモンチー『Magical Fiction』

破壊の末に戻ってきたらしさ 先日ブックオフでマンガを漁っていた時「あれ?チャットモンチーみたいな曲だけどもしかしてこれチャットモンチー?」みたいな曲が流れてきて、Shazamで確かめたら本当にチャットモンチーだった。チャットモンチーらしいチャット…

チャットモンチー『変身』

過去と今を繋ぐ魔法 2012年にリリースされたチャットモンチーの5thアルバム『変身』は魔法がかけらた作品だ。そしてその魔法により、これ以前/以降でチャットモンチーの存在定義が変わった作品でもある。 そもそもチャットモンチーはどんなバンドか。シンプ…

THE YELLOW MONKEY『砂の塔』

少しだけ振り返ると吉井和哉は2013年にベストアルバム『18』をリリースし、「GOOD BY YOSHII KAZUYA」というツアーを敢行。その時点でTHE YELLOW MONKEYの再結成は確定的なものだと思われていた。ところがその後は音沙汰がなく、カバーアルバムを挟みながら…

カラスは真っ白『バックトゥザフューチャー』

カラスは真っ白『バックトゥザフューチャー』に見る大きな変化 前回、カラスは真っ白を紹介させていただきましたが、先日6thアルバム『バックトゥザフューチャー』が発売されたので、今回はこのアルバムについて書いてみようと思います。公式にアップロード…

宇多田ヒカル『Fantôme』

母に捧ぐ、終りと始まりの歌 私たちが始まりと呼ぶことは、しばしば終わりであり、終わることは始まることである。 終わりは私たちの始まりの場所である。( T・S・エリオット『四つの四重奏』より) もう、何度目だろうか。今年、この言葉を思い出したのは…

Radiohead『A Moon Shaped Pool』

Radioheadの5年ぶりの新作『A Moon Shaped Pool』について合評しました。相変わらず好き勝手なことを書いています。長いです。今後もよろしくお願いします。

AL『心の中の色紙』

真の友をもてないのはまったく惨めな孤独である。と言ったのはフランシス・ベーコンだがandymori時代の小山田壮平はそんな感じだったのかもしれない。もちろん自分の音楽を鳴らしてくれる信頼のおけるバンドメンバーはいたし、長澤知之という親友もいた。で…

岡村靖幸『幸福』

岡村ちゃんの約11年ぶりのオリジナルアルバムを聴いた。 最初に聴いた時は、流れが良くない、と思った。タイトルに合わないムーディなオープニングに困惑したし、3曲目でがらりと変わる展開に違和感を覚えた。他にも細かい部分で2箇所ほど気にかかるところが…

クウチュウ戦『Sukoshi Fushigi』

少し不思議どころか、かなり不思議。彼らの言うSFとはフィクションではない。本作は世界と宇宙に潜む不思議な心髄を捉えている。 ある雑誌が彼らの音楽を「どこを向いているのかわからない」と評したが、僕も彼らの音楽はどこを向いているのかわからない。Pi…

星野源『YELLOW DANCER』

結論から先に言うと、星野源の『YELLOW DANCER』というアルバムは日本の『Random Access Memoris』である。本作を聴くとそれまでの彼のアルバム作品とは桁違いにソウルやディスコミュージックの成分が多く配合されている事がわかる。 Michael Jacksonのソウ…

BUGY CRAXONE『Lesson』

傑作なのは間違いないし、正直最高傑作だと断言したいけど、ここで安易に宣言すると次作でそれを超えてきそうなのが怖い。そういうわけでブージーの新作が最高だという話です。 2012年からのアルバムの毎年リリースしていて、その周期でいうと今回は4枚目(…

Base Ball Bear『C2』

かっこいいバンド、美しい思考 Base Ball Bearの6thアルバム『C2』がかっこいい。音も言葉も込められた思いもすべてがかっこいい。 まず音。『C2』リリース前に開催されたTour「三十一歳」の福岡で語られていたのは、今回のアルバムは、メンバー4人が演奏し…

THE BACK HORN『その先へ』

THE BACK HORN『その先へ』はさえない現状をいますぐ打破したくなる歌 もうすぐ彼らの11枚目のアルバム『運命開花』が発売される。その前に、先日出されたシングルについてやはり書いておきたい。 といっても、記事のタイトルが全てだ。やる気が出ない、成果…

きのこ帝国『猫とアレルギー』

きのこ帝国のメジャー1stアルバム。良い歌詞、良いメロディ、良いサウンド、三拍子そろった傑作。風通しの良い楽曲群からは、相手と正面からコミュニケーションしようとする意思を感じる。 アルバム『eureka』以前は心にまとった鎧の隙間からコミュニケーシ…

高橋徹也『The Endless Summer』

twitterで馬鹿みたいに呟いているのでフォロワーの方には「またか」と思われそうだけど、最近は高橋徹也の新譜ばかり聴いている。 2013年に前作『大統領夫人と棺』、2014年にはソニー時代にお蔵入りになっていた幻の4thアルバム『REST OF THE WORLD』、そし…

髭『ねむらない』

髭の2年7ヶ月ぶりのアルバム。その間にアイゴンが勇退し、オリジナルメンバーのフィリポも脱退した。事務所も独立し、自主レーベルも設立した。 率直に言って大傑作だと思う。 ただ、髭という名前を聞いて大半の人が思うような曲はほぼない。つまり「ロック…

Couple『Brief Pop』

以前このブログでも紹介されていたCouple『Brief Pop』を聴いてみた。シンプルなギターリフ、シンプルな楽曲構成、ボーカルmomoのキュートなフィメールボイス、パワフルに叩かれるドラムスやバッキングギターの休符を生かしたフレーズに惹きつけられる。 特…

Homecomings『HURTS』

Homecomingsの『HURTS』を聴いた。すばらしい。リリースされてから何度も聴いてる。今回のアルバムは以前よりも感傷的で激しい。聴きながらその理由をずっと考えていた。 彼女たちは想像以上にハングリー精神を持っているバンドだったのかもしれない。あるい…

the chef cooks me『RGBとその真ん中』

the chef cooks meが今年2月にリリースしたニューシングルのレビューです。かなり時間が経ってしまいましたが、今からでも聴くきっかけになれば。これからものんびりやっていこうと思います。

Alabama Shakes『Sound & Color』

このブログでは久しぶりの洋楽の合評です。普段から洋楽を聴かないわけでもないのですが、元々邦楽リスナーであることの比重が大きくて、なかなか書くのに慣れてなくて。そしてそういう人たちの集まりでもあって。そんな邦楽好きな僕らが、それでも聴き入っ…

WHITE ASH『THE DARK BLACK GROOVE』

WHITE ASHが3月にリリースした3rdアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』についてみんなでレビューしました。『THE DARK BLACK GROOVE』とは何なのかについてそれぞれ考えました。(ぴっち)