ネットの音楽オタクが選んだ2018年のベストアルバム 50→1

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2018年のベストアルバムです。

このランキングは僕や仲間が選んだものではなく、510人の音楽馬鹿の2018年のベストアルバムを集計したものです。だからといって絶対的に正しいわけではないし、大層なものでもないのでアーティストに直接結果を伝えるのはやめてください。心臓に悪いので。万が一見てしまったアーティストの方は「こんな馬鹿な奴らがいるのか……」と笑っていただければ。いや、悪口を書いていただいても大丈夫です。見ないようにするので。

最後の50枚です。2018年は楽しかったです。ほんの少しでもあなたの音楽生活の手助けになればこれ以上うれしいことはありません。また遊びましょう。音楽だいすきクラブでした。(ぴっち)

 


 

50. Kamasi Washington『Heaven And Earth』

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「Street Fighting Mas」

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49. BROCKHAMPTON『iridescence』

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「J'OUVERT」

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Superorganism、88rising、BROCKHAMPTON。2018年に注目を集めた3組に共通するキーワードは「多様性」。人種や肩書きに縛られず交流し、数多くのアートフォームをその名の下に統括している。BROCKHAMPTONはその中でも、リーダーのKevin Abstractがゲイであること公表したり性的暴行を認めたメンバーを解雇したりとジェンダーをめぐる話題が多く取り上げられている。そのためか、前の2組よりも状況論で語られることが多いように思う。

では本作は実際のところどうなのか。「多様性」の笠を着た曖昧模糊な作品なのだろうか?答えはノーだ。10日間という期間とアビー・ ロードスタジオがそうさせたのかもしれないが、ドラムンベースを基調としたトラックはどれもタイト。言いたいことを言ったら間髪入れず次に行く構成や「インターネット初のアメリカン・ボーイバンド」との自称からもビジョンの明確さが伺える。清くはないかもしれないが、自分なりの正しさを通すこと。彼らの主張は紛れもなく一貫している。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

48. Kacey Musgraves『Golden Hour』

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「High Horse」

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47. Blood Orange『Negro Swan』

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「Jewelry」

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46. mabanua『Blurred』

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「Blurred」

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45. People In The Box『Kodomo Rengou』

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「かみさま」

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44. クリープハイプ『泣きたくなるほど嬉しい日々に』

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「栞」

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尾崎世界観の歌声ってこんなに優しかったかしら……と1曲目「蛍の光」でハッとする。いつになく重厚でじんわりとしたオープニング、何やら新たな幕開けを予感させるものだ。実際、全編を通して華やかで柔らかな印象が強い。「禁煙」のような彼らにとってのスタンダードなギターロックにもストリングスが導入され、今までのクリープハイプをなぞらずに新鮮味を生んでいる。とはいえ、もちろん彼らにしか出せないヒリヒリした焦燥感や、胸掻き毟る切なさは健在。変わらない核を残したまま、さっぱりとモデルチェンジを果たしている。

前作『世界観』が結果として歪な幅広さを持ったのとは違い、今作はシングルリリースを控えて音源制作にじっくり向き合うことで達した未知なる聴き心地だ。2012年以降、ロックバンドがメジャーで活動することの波乱のドキュメントで在り続けた彼らの作品群。成熟と安心を味方につけ、遂にこの祝福に満ちたタイトルへと辿り着いた。その終曲が「ゆっくり行こう」であること、それがすべてなのだと思う。

月の人(@ShapeMoon

 

43. Jon Hopkins『Singularity』

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「Singularity」

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透き通ったピアノの音も歪んだシンセの音も駆使して、精密機械を組み立てるように丁寧なプロダクションで構築された本作は、途方もないスケール感を想起させるアンビエントを主軸としながらプログレッシブ・ハウスのような踊れる機能性、さらには暖かさ・温もりを兼ね備えている。

アートワークに描かれた「SINGULARITY」のロゴのすぐ上で北極星のような天体が燦然と輝いているのを見て思ったのだけど、もし北極星の方向から地球を明瞭に眺めることが出来たら「どっちかの夜は昼間」になっている位置関係も分かり、漆黒の宇宙で途切れることなく自転を続ける地球というのはなんてダイナミックで健気で美しくデザインされているのだろうかと陶酔してしまう気がする。このアルバムがもたらしてくれる感慨は、そんな風に舟としての地球に立っていることをイメージする際に沸き起こる畏怖と通じていると思う。

大胆さと緻密さの両極を美的快楽の奔流として全編インストで描いた本作は唯一無二の特異点のようなアルバムであり、シンギュラリティをモチーフにしながら作品自体がシンギュラリティになっている。

カラカル@Apteryx_Iwk

 

42. Rhye『Blood』

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「Song For You」

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41. Mr.Children『重力と呼吸』

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「Your Song」

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3年4ヶ月ぶりに放った1枚は、これまでの彼らのどの作品とも違う「渇き」がある。肉体性を持ったバンドサウンドに重点を置いた内容からは、圧倒的な地位を築いたバンドとは思えぬハングリー精神すら感じる。

桜井和寿という人物は言わずもがな天才的なソングライターであるが、同時に、世間に対してどうカウンターを打っていくかに非常に意識的である。もはや何が音楽に対して必要とされるか分からなくなり、カウンターとは真逆の方法で自分たちの持てる全てを注ぎ込んだ23曲入りの前作『REFLECTION』を経て、直球勝負を仕掛けてきた。「リスナーの想像力を信用しなくなってきている」という発言も直近のインタビューであったが、「みんなのうた」を歌うことに徹してきたMr.Childrenが、初めて自分たちが音を鳴らす歓びや、自我に従ってアルバムを作った。そういった意味では彼らの第2のデビューアルバムとも言えるだろう。(長きに渡って共闘してきた小林武史と完全な決別後初のアルバムという観点でも)。

本作は、20数年に渡ってポップの覇権を握り続けてきたモンスターバンドが今後も第一線で闘いを続けるべく鳴らした、 新たな号砲である。

ひげ(@HIGE1989

 

ミスチル、と聞いてみんなが思い浮かべる印象ってなんだろう。歩いてる時にふと口ずさみたくなるようなメロディだったり、スタジアムみたいな大きな場所で大人数で合唱したくなる応援歌だったりとか、多分世間ではそんなイメージなんだと思う。

じゃあ今回のアルバムも、みんなのミスチル?っていうとそうではないかもしれない。この中にあるのは、好きな楽器で好きな音を鳴らしている4人の無邪気さなんじゃないか。桜井和寿は一曲目の冒頭で、開放されたように叫び、自由を感じさせてくれる。あぁ、ようやくこの人達はMr.Children謳歌してるんだなぁ。Mr.Childrenが大ブレイクして以来、初めて"ミスチル"っていう記号性から解放されて素のMr.Childrenっていうバンドが、このアルバムの中にいる。

でもこの人達、天邪鬼だから次の作品はいきなり180度変わってダンスミュージックに接近したりする気も……むしろ聴いてみたいけど!それだけ今のMr.Childrenは開放感に溢れてる。

のすペン(@nosupen

 

40. パソコン音楽クラブ『DREAM WALK』

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Trailer

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インターネット世代のノスタルジーを爆発させる、退廃と救済が混在した世界。アンセム化して然るべき「Inner Blue」という曲は、再生したら耳と脳がポップ広場へとワープして四肢が踊り狂い、永遠に聴いていられそうな感覚に陥るキラー・チューンっぷり。「水星」「ネトカノ」並の馬力あるミラクル・ソング。他の曲も、聴けば聴くほど耳に馴染む中毒性。怖い。気がついたら、パソコン音楽だいすきクラブになっちゃったんです。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

39. Beach House『7』

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「Lemon Glow」

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38. Noname『Room 25』

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37. Dirty ProjectorsLamp Lit Prose』

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「Break-Thru」

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36. Perfume『Future Pop』

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「Future Pop」

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前作『COSMIC EXPLORER』はEDMの影響を強く感じさせる、音の強弱や振り幅がはっきりした作品だった。あちこちへ振り回される感覚はそれこそ宇宙で引き摺り回されているようだったし、そのぶっ飛び具合がおもしろかった。そこへ行くと今作はちゃんと地に足が着いている。急激なドロップを伴う楽曲はタイトルトラックのM2程度。どの楽曲も比較的ヴォーカルに比重が置かれ切り貼りは少なめ、かつその多くが生声を主体としている。『Future Pop』という壮大なタイトルと相反するかのように、彼女たちのディスコグラフィ上でもかなり落ち着きのある部類の作品だ。

ただ、よく考えればそれも当たり前かもしれない。チームPerfumeのテクノロジーは常に受け手を驚かせるが、ドローンを一から手作りするなどそこには人の影がある。未来を作るのは人間で、それは現在の積み重ねでしかない。「ねーちゃん!あしたっていまさッ!」という台詞は、まさに今のPerfumeのためにある。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

Perfumeというアイドルの、卓越した歌って踊るスキルがこのアルバムを生み出したと思います。歌詞が出て歌のメロディが中心のJ-POP業界において、歌って踊るアイドルソングという観点からいえば、「サビ≠一番の盛り上がりポイント」「ボーカルが無いところに一番アガるところがある」という傾向が強い近年のEDMは最も参照してはいけない音楽の一つでした。

歌番組でただひたすら歌わずに踊るなんて、想像できましたか?Perfumeだからそれが成立する、じゃあしっかりそういうトラックを作っても良いよね。そう踏ん切りがついたのだと思います。Perfume3人のスキルが音楽性にも影響を及ぼした、とも言えます。その証拠にこのアルバムでは初めて「Album MIX」が存在しません。これはダンスミュージックの世界的な潮流と日本芸能としてのJ-POPとの決定的な構造的ズレを、もう補正する必要が無くなった、ということでしょう。

はっちゅ(@Hat_chyu

 

35. STUTS『Eutopia』

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「Dream Away feat. Phum Viphurit」

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34. MGMT『Little Dark Age』

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「When You Die」

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2018年7月28日、台風12号の影響で夜の苗場は大雨になった。屋根で覆われたレッドマーキー内にも時折雨水が吹き込む。昼間の暑さが嘘みたいに冷えてきた。体力が奪われていく。それでも絶対に観たいバンドがある。MGMT、彼らのパフォーマンスを観るためにフジロックに来た。

シンセサイザーがメランコリックに響く5年ぶりの新作『Little Dark Age』。サイケデリックな雰囲気は抑えられ、エレクトロポップを存分に楽しめるアルバム。こんなMGMTを待っていた。"死"をテーマにした曲、『When You Die』は僕の2018年ベストソングだ。MVも最高で、心地よいメロディーと不穏な詩、気持ち悪い映像を楽しめる。アルバムを聴き、MVを楽しんだ。苗場でMGMTを観ない選択肢はなかった。

ステージ上にはアルバムジャケットの大きなピエロの風船と植物の鉢が置いてある。神殿のような柱も立っている。意味は全くわからない。『When You Die』のイントロが始まった。前に立つ人がビールの入ったカップを振り上げ、飛沫が僕の顔に飛んでくる。わかる。僕も前の人と同じ気持ちだ。踊りたい。MGMTで踊りたいんだよ。

三角(@skmts

 

33. Tempalay『なんて素晴らしき世界』

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「どうしよう」

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今やBTSのRMもお墨付き。彼らの音源にどうやってたどり着いたのかはわからないが、本作が過去最高に気持ちいいのは間違いない。ベースが脱退し、代わりにシンセサイザー奏者のAAAMYYYが正式加入。そのおかげか上音は鮮やかに彩りを増し、全体的にもサイケデリックで浮遊感たっぷりなサウンドに仕上がっている。ただし、浮かんだ先の眼差しは淀みや皮肉、逡巡まみれだ。

今思ったんだけどこれってつまりはThe Doors『Strange Days』じゃない?《クリーンな僕がどうかしてるよ》と歌うM2なんてモロに「People Are Strange」じゃん!両者ともに、交錯する人生とそうでない人生のそれぞれにある可笑しみと孤独を冷笑ぎみに伝えている。こうしたテイストからも、ただの脱力系とはかなり異なる色合いの作品なのがわかるはず。本作は人類の誕生から滅亡までを描いた、狂気の一大民族史だ。 

まっつ(@HugAllMyF0128

 

32. 羊文学『若者たちへ』

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「ドラマ」

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モラトリアムは突如として絶たれる。追い立てられるように大人になるしかない僕らの悲しみが、"終わり"の匂いと共に立ち込めてくる。何かを失い、別れを告げ、死を選ぶことで手に入れられる永遠という概念は確かにある。羊文学の楽曲はその深淵まで迫りながら、寸前で思いとどまり、涙を流したり、茫然と立ち尽くしたり、諦めたように笑ったりしている。あの頃思い描いていた未来からはあまりにかけ離れ、後悔と虚無にまみれながらも、どうしても閉ざすことのできない営みが生々しい手触りで迫ってくる。

ひしゃげた轟音も、軽やかなクリーントーンも、全てが温度や空気を喚起させるものとして作用する。降り注ぐようなか細く澄み渡った歌声は祈りにも似ている。今にも壊れかけな儚さを漂わせながらも、人の弱さを包み込む荘厳な優しさ。手放しで世界を信じられなくなった今だからこそ必要としたい、寂しがり屋ではみ出し者の僕らのシェルター。どんな攻撃からも身を守り、あらゆる喧噪から逃避できる聖域。この生き辛い日々に赦しを与えてくれる音楽だ。

月の人(@ShapeMoon
 

31. D.A.N.『Sonatine』

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「Sundance」

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このアルバムを聴いているうちに、目の前の景色がハッキリ見える状態のまま段々意識が朦朧としていった。脳の一部が機能を停止し、音を楽しむことに寄与する部位だけが燦々と活性化していくような感覚に襲われた。流麗なファルセットとスペーシーなシンセ、そして心地よい揺らぎを湛えたリズムが牽引するD.A.Nのセカンドアルバムは、自我と世界の境界を曖昧にさせ、意識が飛んでしまう境地の瀬戸際へと私を誘ってくれる。

北野武の映画「ソナチネ」ではヤクザ抗争の気配が漂う陸地と、死体を捨てた海との間にある白い砂浜が大人たちの奔放な遊び場として描かれていた。本作「Sonatine」が連れて行ってくれる日常と恍惚の狭間も、此岸と彼岸の境界にある場所という意味ではあの映画の砂浜に通じているのだと思う。

IDMではなくバンド形態でダークな恍惚を作り出せる日本のアクトとして、独自の深化を遂げ始めていることに期待感が止まらない。

カラカル@Apteryx_Iwk) 

 

30. Pale Waves『My Mind Makes Noises』

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「Television Romance」

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29. V.A.『Black Panther: The Album』

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Kendrick Lamar, SZA「All The Stars」

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28. Travis Scott『ASTROWORLD』

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「SICKO MODE ft. Drake」

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「これが全てだよ」ラストトラックのM17でTravis Scottは幾度もそう語りかける。ただ、それにしては本人の存在が稀薄だ。M17でこそ出自を語っているものの全体的にゲストが多いし、なんならちょっと食われてる。彼がラッパーという肩書きを好まないのは知っているがそれにしたって、という気持ちになる、最初は。

何度か聴き込むにつれて、Travis本人がどうとかはきっと関係ないのだろうと思い直す。セルフボーストも内省も本作の主眼ではない。そもそもタイトルは彼が幼い頃親しみ現在は廃園となった遊園地の名前から取っているし、M4やM9のタイトルやサンプリング元も地元ヒューストンの大スターに関連している。Frank OceanからMigosのQuavoまで現行ヒップホップシーンの顔役を揃えたのは、自身のルーツを現在に再接続するためだろう。もはや本作はただの「作品」ではない。過去から現在に至るまでの「文化のショーケース」としての一枚だ。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

27. ROTH BART BARON『HEX』

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「HEX」

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『HEX』は音が良い。Chance the Rapperのサウンド・エンジニアElton Chuengがミキシングを担当した「HEX」「Speak Silence」の2曲はもちろん、全曲を通してバンドの持つ熱量の高さがギュっと詰め込まれている。この辺はマスタリングのChris Athensの仕事が光るところだが、音の良さはあくまで付け合わせ的なものだ。『HEX』の肝はそこではない。聴くべきは三船雅也(Vo/Gt)の歌詞であり歌である。

今までのROTH BART BARONは作品内でファンタジーを入れ込んで、現実を描く手法を取っていた。しかし本作では、ロケットを飛ばす、宗教を変え、名前を捨てる、といったリアリティな言葉が目立つ。そして全体を通し、LGBT、移民、和平問題、戦争……といった、今の世界の問題を『HEX』は想起させてくれる。しかし彼らは「悲しんでいる暇はない」と言い切り、エモーショナルなバンド・サウンドとともに前へと進む。まるで「行動すれば世界は変わる」と言っているかのようにだ。

最近、ニュースやSNSを見て、日本という国に失望していたが『HEX』を聴くと、「まだまだ捨てたものじゃない」と思えてくる。失望するくらいなら、希望を語ろう。本作はそんなことを僕たちに教えてくれる。

ゴリさん(@toyoki123

 

26. UNISON SQUARE GARDEN『MODE MOOD MODE』

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「Invisible Sensation」

何が今の潮流で、どんなものが流行っているのか。ユニゾンはそんな目配せに意味を感じていないのだろう。常に自分たちで自分たちを楽しみ、自分たちであることを謳歌する。それこそが自分たちにとってのモードなムードであると雄弁に物語っているアルバムだ。猛攻のような演奏で魅せるエクストリームな楽曲も、オーケストラやブラスセクションを交えた絢爛豪華なポップソングも、彼らのロックバンド流儀に則って、眩しく乱反射し続ける48分。

ニゾンは好きなものを好きであり続けることの尊さを、そのスタンスと楽曲で示している。故に外野の声からは耳を塞ぎ、鉄壁の防御を固めて時に強気で跳ね返してくる。しかし、一方で牙城は常にオープンで楽しげな空気を纏っている。ひとたび入り込めば、隙間なく施された拘りや、透徹したバランス感覚に魅了されてしまう。このアンビバレントさこそが、ユニゾンをユニゾンたらしめている。このアルバムでは、1曲目で《差し出された手は噛み千切るけど》と突き放しながら最後の曲では 《僕の手握っていいから》と締めくくる。これだから、こちらも笑って彼らについていこうと思えるのだ。

月の人(@ShapeMoon

 

25. カネコアヤノ『祝祭』

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「祝日」

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24. tofubeats『RUN』

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「RIVER」

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かねがね僕は「どうして誰かと一緒に踊りたがるんだろう」「どうしてDJに音を止めないでくれって頼むんだろう」って思ってました。孤独への耐性が無さすぎないかというか。だけど去年新木場ageHaのイベントに行った時、フロアが広くてかつ照明と爆音のせいで周りの人をまったく感じなくなって、「いま音楽と自分が完全に一対一で向き合ってる」と思った瞬間、初めて死ぬほど怖くなったんですよ。トーフさんって冴えない音楽オタクにとってクラブの入り口になってくれる"こちら側"の人だと勝手に勘違いして歌詞に共感していたけど、本当は「自分ひとり」の怖さを誰よりも知っている人だったんだなと。このアルバムは例のageHaの後に聴いたんですけど。

そういえば今回のアルバムってボーカルがトーフさん本人だけなんですね。そう思って調べると、「ふめつのこころ」を西野七瀬さんが歌うプランが無くなったって話を見て「それ決めたの誰だよ!聴かせてくれよ!」という気持ちが沸々としております。関係者、誰かいませんか。

はっちゅ(@Hat_chyu

 

23. CHVRCHES『Love Is Dead』

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「Graffiti」

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本作のサウンドは伸びやかだ。80sシンセ・ポップを基調としていることに変わりはないが、音の強弱や抜き差しをよりはっきりさせたことで楽曲に物語性が生まれている。コーラスまでジリジリと焦らしながらスケール感を損なわないシンセ使いやEDM的なドロップが現代的なM6〜M7などはその最たるものだろう。総じて本作は、大規模なフェスやアリーナ/スタジアムクラスの会場を視野に入れたよりマス向けの音作りをしている。

ただ、それだけで本作を「変化作」と片付けてしまうのはいささか短絡的ではないか。なぜなら彼女たちの作品には初期から「二面性」がテーマとして掲げられており、それは本作のタイトルにも顕著だからだ。本作はAdele、Siaを手がけたGreg KurstinやEd Sheeran「Shape Of You」を生んだSteve Macらプロデューサーの力も借りながら、LoveとDeadの両極を引き裂かれんばかりにまで押し広げた結果大衆化を果たしている。もうおわかりだろう、これは「正統進化作」だ。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

2018年フジロック最終日、ホワイトステージの大トリというポジションで遂にCHVECHESのライブを見ることができた。エレポップを軸とした音楽、ボーカル・ローレンのあどけなさの残る歌声の印象が強かったけど、ライブの序盤でその考えはあっさり覆った。身体中が震えるほど鳴り響く低音の凄さ。これまで見た様々なライブでそんなことを思わされたのは、BOOM BOOM SATELLITESだけだった。過去のライブ動画を見たりもしたけど、直だとこんなに凄い音を鳴らすのか。ローレンの歌も、ステージングの力強さも、キュートが真っ先に浮かぶグループの印象をひっくり返すぐらいのライブバンドっぷり。

その根底はこのアルバムを作れたからなのかもしれない。過去の作品にあったインディー的なスタイルから脱却、ポップさは残しながらスケールアップした今作は、スタジアムで演奏されるのが似合うポップアルバムなんじゃないか。

マス向きなアルバムという意味では、余談だけど最近の海外の音楽に疎いうちの嫁が「Get Out」を聴いては「キャッチーで好き」と言ってたのが印象的でした。

のすペン(@nosupen

 

22. ASIAN KUNG-FU GENERATION『ホームタウン』

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「ボーイズ&ガールズ」

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コライトであったり、サンプリングを用いたり、従来のスタイルを逸脱しながらもアジカン印のエモーショナルなロックナンバーを堂々と鳴らしている。気怠い歌声と喉から絞り出すようなシャウト、抜けの良いメロディ、口ずさみたくなるギターフレーズ。大切なエッセンスを研ぎ澄ませながら、低音を重視し立体的な奥行きを付与したサウンドデザインは、未来を見据えたタフなプロダクトとして結実している。

UCLA」が激しく緩急を繰り返す展開ですれ違う少年少女の日常を描いていたり、「さようならソルジャー」がヘヴィな祈りを持ちながらもボーイミーツガールなラブソングであったり、後藤正文の筆致は常に生活者の感情へとリーチしていく。微笑みながら、背中をさすってくれるようなポジティブなエネルギーがアルバム全体を覆い、温かな希望を心に灯す。『ホームタウン』という安らかなタイトルは、誰しもを慈しむ視点の現れではないだろうか。いつでも明るく過ごすのは難しい時代だけれど、音楽に触れている間くらい奮い立っていたい。僕らはまだはじまったばかりなのだから。

月の人(@ShapeMoon

 

ロックとの出会いはアジカンだった。兄の部屋にこっそり忍び込み、CDコンポから流れてきた2ndアルバム「ソルファ」に完全に撃ち抜かれた。そうして少年の心を奪ったバンドは00年代・10年代のロックを引っ張り続け、元号の変わり目に「ホームタウン」という傑作を産み落とした。この狭い島国にとどまらず、いつだって世界の音楽シーンと対峙しながら闘いを続けてきた彼らの最新作のキーワードは「低音」。現行のUS・UKシーンを席巻するビートミュージック・ベースミュージックに対してロックバンドにできることはなにか?それを徹底的に突き詰めた結果、リズム隊の重心がグッと下がり、より立体的なバンドサウンドを獲得した。決して音楽的に真新しいわけではないが、良いサウンド・ソングライティング(ウィーザーのリバースクオモも楽曲提供)の両方が非常に高いレベルで結実しているという意味での新しさは、他に類を見ない。求められるアジカンとその先を、覚悟を持ってキッチリと描き切った。

ロックがあればなんだってできそうな気がした当時の少年はもういない。でも僕らにはアジカンがいる。きっと、大丈夫だ。

ひげ(@HIGE1989

 

21. Janelle Monae『Dirty Computer』

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「Make Me Feel」

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20. シャムキャッツ『Virgin Graffiti』

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「逃亡前夜」

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19. Arctic Monkeys『Tranquility Base Hotel & Casino』

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「Tranquility Base Hotel & Casino」

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ラウンジミュージックとオールディーズ。以前に「I Want It All」の中で《スペースエイジの田舎娘》が欲しいと歌ったAlex Turnerだけど、今作を聴いてそれは本当だったのだなと思った。ホテルとカジノ、鎮静と刺激を満ち引きのように往復できる机上の施設は、ギターからのインスピレーションの限界を語る彼にとって理想のサナトリウムだったわけだ。

レコーディング時のものと思われる動画では、木々に囲まれた邸宅の中で、Matt Heldersと一緒に楽しげに(『時計じかけのオレンジ』Tシャツを着て)ドラムを叩くAlexが捉えられているし、ライブのフッテージの方ではピアノを正面に据えて鳴らしたり、両腕をたっぷり遊ばせながら歌う場面が印象的だったりして、今作ではロックスターとしての重みを解除するように、何かしら一歩……小さくて大きな一歩を、踏み出せたんじゃないかと感じ入らずにはいられない。

地表は砂漠だけど、重力が6分の1ならばデザートロックにこだわらなくたっていいし、だからといってバンドサウンドデブリに帰す必要性だってもちろんないのだ。夜宙を見上げて想うべくは、日進に依らぬ月歩の美学なり。

KV(@kvtheamulet

 

18. きのこ帝国『タイム・ラプス』

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「夢みる頃を過ぎても」

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忘れたくても残り続け、覚えていたいのに朧気になっていく。記憶というのはどうにもうまくコントロールできない。過去を見つめようと凝らす瞳の先に映るのは、断片的で色褪せた景色ばかり。しかし、心を動かすには十分すぎるほどのシーンだ。きのこ帝国が10年間の集大成として完成させたこの作品には、痛みも安らぎも混ざり合った幾多もの場面がパッケージされている。揺れる感情の機微を呼び起こす自在なアレンジアプローチが光る。

青春の光と影、と区分けしてしまうのは容易いが、それほど簡単に白黒つけられないのが若き日々だろう。ヒリついた鬱屈を込めた「Thanatos」や「ラプス」も、爽やかな思い出に浸る「金木犀の夜」も「WHY」も、現在の佐藤千亜妃は等しく抱きしめる。それはこの上なく美しい光景だ。最後に収められた「夢みる頃過ぎても」では、これからも続く毎日を開け放った心で迎え入れた。積み上げた過去のハイライトたちは、連続写真のようにして今の自分へと連なっていく。年を重ねていくことを肯定する、狂おしい程の生命の躍動にそっと触れる傑作。

月の人(@ShapeMoon

 

真っ暗闇の夜の中から手紙が届いた。『復讐から始まって終わりはいったい何だろう?でも、夜が明けたら許されるようなそんな気がして』

絶望と孤独と怨念と愛の、どうしようもない手紙。そして、私はそれを盗み見して、同じように苦しくて泣いて、それからずっとお守りのように大事に持っていた。やっと返事が届いた。優しい言葉が歌われていた。こんな素敵な返事があるだろうか。夜は明ける。そしてまた次の夜が来る。そうして、また金木犀の香りをたどって歩く。読んだ私は今度は胸がいっぱいになって、泣いた。

チャイルドロック@yama51aqua

 

17. 七尾旅人『Stray Dogs』

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「きみはうつくしい」

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10枚組になるやら何やら冗談ともとれぬ膨大なアルバムがリリースされるかもしれないのを恐々と待機していたところに、シンプルに纏まったポップソング集が届いた。長いこと待ち望んだこのアルバムは、今までの七尾旅人のキャリアのどんなアルバムよりもポップで身近に寄り添う、暖かみのあるものになっていた。抜群に聴きやすく、ポジティブなパワーに溢れている。嘘っぱちじゃない確かな説得力がある。それはあくまでも側面的で、今のモードが生んだカタチでありながら、ブレずに尖り続けたひとつの結果でもある。いくら必至に訴えようとも誰にでも届くものなんて無いけど、牙を向けても愛らしいものは自ずと人が足を止めて目を向ける。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

16. lyrical school『WORLD'S END』

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「つれてってよ」

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アイドルが普段リリースイベントを行うCDショップなどのステージでは音量制限があったりそもそも音質が良くなかったりします。故にアイドルソングではライブでの再現可能性が非常に重要です。クラブのような重低音が響くしっかりした環境なら栄えるトラック、そして5人の声質や話すスピードが違う中計算されたマイクリレーやハーモニー。これらリリスクの音源を構成する要素はお世辞抜きに本格的であり、同時に本格的であればあるほど本人の首を締めるものに本来はなるのですが、今のリリスクは「しれっとすごいラップやダンスを平然とやる」「その様子がすごくかわいい」「どの写真みてもかわいいし動いてるところはもっとかわいい」と完全にゾーンに入ってる印象です。

ちなみにタイトル『WORLD'S END』ですが、リリスクはデートにせよ街にせよ"終わり"があることの美しさを感じる歌を歌ってきたグループです。結成当初のメンバーは全員卒業し、今のメンバーになってから初のアルバムですが、大事な核の部分はまったく変わってません。僕のこの文章きっかけで「パーティ」に参加してくれる人が一人でも増えてくれれば幸いです。

はっちゅ(@Hat_chyu

 

明日急に世界が終わる可能性があるなら、みんなは何をしますか?好きな人に告白?会いたかった人に会う?フェイクニュースだと言って強がる?映画みたいにスーパースターが助けてくれるのを待つ?結局、なにもできずに、なにもせずに、「普通」をするんだと思う。朝起きて、会社や学校にいって、いつもの人と顔あわせて。世界が終わる時ってそれくらい呆気ないものかもしれない。

そんな退屈で臆病な私たちの手をひいて、ここじゃないどこかへと連れてってくれる人がいたらどうだろう。そんな誘拐のような逃避行と、2人だけの最期があれば、僕はなんだか幸せな気がする。贅沢な暮らしよりも、大きな愛よりも、100万円よりも。私たちに必要なのは、ここじゃないどこかへ連れてってくれる存在なのかもしれない。12曲44分の、儚いけれど、笑っちゃうような。そんな逃避行をlyrical schoolが教えてくれた。

さこれた(@bewith0301

 

15. Tom Misch『Geography』

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「It Runs Through Me (feat. De La Soul) 」

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《Art is a mirror of society, you know…》の声で幕を開ける本作は心地良さがありながらどこか神経症的だ 。それはM3における一定のリズムにきっちり合ったバイオリンや、M5で常に鳴る時計の針の音が感じさせるものだろう。本作からはR&B/ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ディスコ/ハウスなど様々なジャンルを感じるが、そのいずれもが「解放」とは真逆の厳格な規律によって成り立っている印象だ。さながら砂上の楼閣、もしくはささくれ立ったユートピア

どうだろう、そんな情景はどこか現在のイギリスと重ならないだろうか。穏やかなメロディと歌詞を包むのは、これまたスムースながら何者かに駆り立てられているようなトラック。その切迫感と、ブレグジット目前というイギリスのシリアスな現状がダブる。Tom Misch本人が意図したかどうかはともかく、この絶妙なバランスおよび『Geography』というタイトルはあまりにも示唆的だし、2018年的だ。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

14. 三浦大知『球体』

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Teaser

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13. くるり『ソングライン』

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「ソングライン」

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12. Superorganism『Superorganism』

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「Everybody Wants To Be Famous」

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ところで最近のマイブームは花王のバブなんですが、シュワシュワする浴槽の中で「Superoraganismのレビュー、どう書こう?」と考えあぐねていたところ、Gorillazの友達にいそうとか(公式でリミックスしてた)、アルバム33分で今っぽいとか、出自年齢バラバラでネットで集まったのガッチャマンクラウズみあるとか、色んなことが泡のように浮かんでは消えていきました。うーむ、掴めそうで掴めない。

そう言えば昔読んだ何かの記事(確かArcaのレビュー)に、ブラウザで複数の音源を一気に再生したときのような気持ち悪さ、みたいな表現があったのを思い出した。うん、それに近いかも。実際、彼らのvaporっぽいMVはCGやらミームやらの闇鍋状態だし、「Everybody…」では〈以下のビデオは(中略)気をそらしながらの鑑賞を推奨します〉なんて注意書きが出る始末。MGMTをキャトってスーパーマリオ64の顔をいじりまくるあの空間にぶち込んだら、いつしかこんな音楽が出来上がってそうな気もしてきた。

マルチブルかつニュートラルで噛みきれない、カラフルなハリボー社のグミみたいなポップミュージック。私は絶賛中毒中です。

KV(@kvtheamulet

 

11. KID FRESINO『ai qing』

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「Coincidence」

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本作はバンド形態による楽曲と自身のビートによる楽曲、トラックメイカーによる提供曲の3本柱で構成され、そのいずれにも緊張感がある。ギター、ベース、ドラムが各々の間隙を縫うようにせめぎ合い、そこにスティールパンの乱打が重なるM1がいきなりの白眉。各楽器によるストイックな鍔迫り合いで現出するのはむしろ、桃源郷と呼ぶべき空間だ。ギリギリの生は死を想起させる。こうしたシリアスなモードの背景には、KID FRESINOの幼なじみであるラッパー/プロデューサー/ DJ、Febbの死が関連しているだろう。

本作で彼はChance the Rapper『Coloring Book』とKendrick Lamar『Good Kid M.A.A.D City』を目指したらしいが、かと言ってトラップにもジャズ、ファンクなどの黒人音楽にも接近しなかった所に本気が伺える。本作には矢継ぎ早に作品をリリースしていた頃の適当さがない。死も生もきっちり昇華するために、彼は何かに寄りかかるのをやめたのだ。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

10. Snail Mail『Lush

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「Heat Wave」

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Animal CollectiveやBeach House、Future Islandsなどを生んだ、アメリカはボルチモア出身の少女、Snail Mail。Avril Lavigneをみてギターを始め、Paramoreオルタナを覚えた彼女がBandcampで最初に作品を出したのは15歳の頃。その3年後には、インディ大手のマタドール・レコードから『ラッシュ』こんな素晴らしいアルバムが出るとは誰が予想したであろうか。本作は多用されるダウン・チューニング、シンプルなコード進行にファズを効かせたギター・サウンド。さらには淡々さとエモーショナルの狭間で揺れ動く彼女の歌声が素晴らしい。しかしなんといっても、彼女は常に自由であり続けることを歌う姿勢が最高だ。本作におけるテーマは"開かれた未来に対して、何者でもない私がどうあり続けるか"ということとであり、10代の彼女がそれを歌う事で説得性が出る。その気になればアブリルのようなポップスターにもなれるかもしれないが、たぶん彼女はそれを望んではいない。誰にも汚されず、ひたすら清らかなに自分の進むべき道を行く。それが彼女の一番望むことであろう。

ゴリさん(@toyoki123

 

9. Homecomings『WHALE LIVING』

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「Songbirds」

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ピュアな音色がよくって、柔らかい歌詞もよい。締めが英詞なのも絶妙。そこら辺、名前の通りホームカミングって気分。畳野彩加というボーカリストの魅力を、より一層感じることができた。青いバンドサウンドも煌めきを失わず、洗練されつつある。最早、エバーグリーン職人の振る舞いの域に達しているのでは。エバ職人。日本語で歌い出したり、変わっていくことはあるけど、いつまでも根っこは揺るがないまま成長していく。次はどう攻めてくるのか。飄々とまた安心のネオアコサウンドで固めてくるのか…期待は尽きないです。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

8. Mitski『Be the Cowboy』

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「Nobody」

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Soccer MommyやSNAIL MAILのような、オルタナティブ・ロックを敬愛する若き女性シンガーソングライターが2018年には一目を置く存在になったのだが、オルタナを敬愛しつつ、さらに一歩前に進んだのが去年のMitskiであった。『Be The Cowboy』とそれ以前のアルバムを比較すれば一目瞭然なのだが、明らかに本作はキャッチーさが増している。確かに「Townie」ようなキャッチーなナンバーは以前にもありはしたが、でも「Nobody」のように観客全員で大合唱されるようなディスコ的なアンセムは彼女の曲では存在しなかったし、それこそ「Why Didn't You Stop Me?」のような完全にダンス・ナンバーとしても機能する曲なんかは、去年の彼女からは想像すら出来なかった。つまりこれらが何を指しているかといえば、Mitskiの大衆化、すなわちポップスへの接近である。それはジャケットのメイクをして着飾っている本人の顔からも明らかだ。自然体ではなく、魅了するアーティストへ。それが2018年のMitskiである。僕はそんな彼女の姿に、私は2014年頃のSt. Vincentを思い出してしまった。

ゴリさん(@toyoki123

 

7. 小袋成彬『分離派の夏』

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「Selfish」

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《この世はすべてがフィクション》「E. Primavesi」で彼はそう歌う。つまりここで論じたいのはこのアルバムで歌われていることが事実か否かであるのだが、仮に事実だとしてもそれを言葉に置き換えた時点で正確さは失われる。ましてこれは音楽だ。そこに嘘が入ることもあろうだろう。嘘が含まれていようが音楽が良ければすべて許される。逆に音楽が良くなければ嘘に意味はない。しかしそれゆえに彼が歌っていることが事実なのか、もしくは事実に基づく創造なのか、もしくは完全な嘘なのか考えてみたくなる。本当に夜一時に呼び出されたのか、本当に父親の誕生日に彼女は燃えたのか。もしくはこんなふうにこれまで生きていたのか。

いやそうではなくて、そんなすり合わせに想像を巡らせたくなってしまうほどに、僕は彼の音楽に気持ちよくされてしまっているのだ。音数の少なさ、構成、響き、そして美しいボーカル、すべてが一段階違うのだ。1998年のJ-POP絶頂期に本物のR&Bを日本語やってのけた彼女のように、2018年に僕らの感受性を一段階引き上げる彼に日本のポップスの将来を見てしまうのは僕が年を取りすぎたからなのだろうか。

ぴっち(@pitti2210

 

6. 折坂悠太『平成』

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「平成」

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去年から浪曲が好きになり度々聴いているのだが、たまにこんなことを思う。それは浪曲の持つフロウはポップ・ソングとして生かせるのでは、という事である。現に2018年にはそのような曲が散見された。たとえば

だったりする。では浪曲×歌謡曲×フォークとなれば答えはどうなるか。折坂悠太の『平成』がその答えだ。

そもそも彼の『たむけ』を聴いたときにこの人は遠藤賢治をやろうとしているのかと考えていたのだが、本作を聴いて考えを正した。彼の歌い方はエンケンがやろうとした囁きながら、ある一瞬でエモーションを爆発させる歌い方ではなく、浪曲やデロレン祭文の節回しに近い。そしてそのような節回しを歌の中にフックとして活用としており、「逢引」にみられる変わった歌い回しはまさに典型だともいえる。そして、だからこそ『平成』は歌謡曲が持つ懐かしさはありながら、古臭くはならず心地良さだけが残る作品となっているのだ。国府達矢、米津玄師、そして折坂悠太が浪曲的な節回しを使いだした。今年はもしかしたら浪曲的節回しがトレンドになるかもしれない。

ゴリさん(@toyoki123

 

5. 中村佳穂『AINOU』

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「きっとね!」

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天才的な新人と呼べる才能が急激に表に出た2018年。崎山蒼志、諭吉佳作/men、長谷川白紙、Mom、Itaqなどの、中学生から大学に入りたての若い才能たちが、お互いSNSで繋がったり、米津玄師・アジカンのゴッチ・くるりの岸田・川谷の絵音などの既に知られている大物からのフックアップ、Apple MusicやSpotifyといったサブスクリプション内でのプッシュで恐ろしいほどに広まり知れ渡りつつある。中村佳穂は世代的には彼彼女らよりも少しは上だが、ツィッターのライブ動画から始まり、上記の、所謂「バズり」をひと通り起こし、2019年の国民的な大ブレイク筆頭株と呼べる。

個人的にはFishmans相対性理論を聴いたときのような圧倒的な世界観、音の響きの独特さ、音楽への愛が抑えきれていない貪欲さを受け取り、ライブパフォーマンスの吹っ切れっぷりなども含めて、どこをとっても破格の才能です。インディーもメジャーも縦横無尽に横断し、ジャンルレスに突き進む……その幕開けとなる名刺がわりの名盤ですね。2010年代後半の和製ソウルミュージック、ポップミュージックの決定打は、こんなところから飛び出してきました。感性豊かな国内の新鋭SSWたち、まだまだ盛り上がってきそうです。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

ジャケットの黄色はなんの色だろうと思っていた。花みたいだと捉えていて、マリーゴールドとか、そういうのかな、なんて印象だった。

「ゴレンジャーに例えるなら」みたいな話をした時、わたしはほぼ100パーセントの確率で黄レンジャーだって言われる。黄色なんだって、イメージカラーが。連想される言葉を調べたら、愉快とか陽気とか、とにかく明るい単語が並んでいて、そんなふうに見えているらしい。でも似合う色、に、黄色はあんまり入ってなかったし、中村佳穂の黄色はわたしと違う気がする。

この盤の黄色は明らかに「躍動」だと思う。音が動いてる。跳ねる、漂う、歪む、形を変える。光が当たると金色。きっと信頼する人たちに光を当ててもらってすくすく健やかに躍動していくんだろう。彼女のピアノそのものみたいに。なんて生命力。

ジャケットの謎は本人もしれっと明かしてはいたけど、歌詞カードにヒントがあって、わたしが思っていたよりももっと生命力のあるやつで、ニヤリとした。『リピー塔がたつ」が青だったから、次は赤かな。たのしみだなあ、彼女の赤。

はやしこ(@rinco_hys) 

 

4. 星野源『POP VIRUS』

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「Pop Virus」


『Thriller』がリリースされた1982年の熱狂を僕は知らない。『いとしのエリー』が流行した頃、僕は生まれていない。昭和の最後に生まれた僕はマイケル・ジャクソンやサザンのベストアルバムを聴き、そのなかで気に入った曲が収録されたオリジナルアルバムを順番に聴いて、お気に入りのCDを増やしていった。それはとても楽しい時間だったけど、寂しかった。後追いだったからだ。それらのレコードが発売された当時、興奮を共有できた人たちが羨ましかった。2018年12月、『POP VIRUS』を発売直後から繰り返し聴いた。イエローミュージックはどこまで広がるんだろう。軽快な明るさと陰の雰囲気を共存させ、ソウルやヒップホップ、多彩なビートを感じながら踊れるアルバムはまさに名盤だった。何より聴いていて楽しい。

《いつかあなたに 出会う未来 Hello 笑顔で会いましょう》と星野源は歌う。何十年も先の未来の人が『POP VIRUS』に感染した時、現在の僕らと同じように笑顔になるだろう。2018年に興奮を共有していた僕らを羨むかもしれない。ポップミュージックは笑顔で時空を繋ぐ。過去も未来も、現在も。

三角(@skmts

 

3. 宇多田ヒカル『初恋』

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「初恋」

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《燃え盛る業火の谷間が待っていようとも守りたいのはあなた》《もしあなたに出会わずにいたら私はただ生きていたかもしれない 生まれてきた意味も知らずに》《私の終わりなんて怖くない もしかしたら生まれ変わっても忘れない》《己を慰める術の日に日に増していくことよ》《全てが例外なく必ず必ずいつかは終わります》《言えるよ どんなに謙遜したとこで嫉妬されるべき人生だったと》

これ、村上春樹の『1Q84』でも、庵野秀明の『シン・エヴァンゲリオン』でも、クリストファー・ノーランの『インターステラー』でも、キューブリックの『アイズ ワイド シャット』でも、冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』でも、吉田秋生の『海街diary』でも、是枝裕和樹木希林に捧げた弔辞でも、『水曜日のダウンタウン』のモンスターの言葉でもなく、宇多田ヒカルの新譜の歌詞なんだよ。

ぴっち(@pitti2210

 

2. cero『POLY LIFE MULTI SOUL』

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「魚の骨 鳥の羽根」

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最初に断言する。このアルバムは全くポップではない。

『街の報せ』の頃に首の皮一枚で繋がれていた"可愛げとキャッチーさ"を完全に断ち切り、変則的なビートやポリリズム。そして「夜になると鮭は」はレイモンド・カーヴァ―/村上春樹訳の同名小説から、そのまま引用。最後の「Poly Life Multi Soul」に至っては8分近い長尺のダンス・ミュージックである。もはや1st、2ndの頃にあった、御伽噺と現実を交差するようなceroではない。いまの彼らにはそれが必要ないくらい、サウンドの情報量が圧倒的すぎるのだ。

ただ、このアルバムが2018年のオリコンデイリーで1位になった。それは言い換えれば「ceroが作る音楽に大衆は信頼を寄せている」ということだ。もし本作を聴いて「次に何を聴こうかな」と思っている人がいるなら、DCPRGの『アイアンマウンテン報告』を聴いてみよう。Arto Lindsayや『No New York』も悪くはない。何にせよ、本作だけで完結させてしまうのは余りにもったいない。枝葉は広がっている。さあ、今宵はサブスクリプションという大海原に身を投げ出し、音楽を探す旅をしようではないか。

ゴリさん(@toyoki123

 

去年の頭くらいから「日本の名の売れたロックバンドでどこが最初にトラップを曲に組み込むか」ということを考えていました。個人的にはくるりサカナクションかなあ、と思っていましたが。ceroについては今思えば2016年に出た「街の報せ」「ロープウェー」が完全に伏線でした。

『POLY LIFE MULTI SOUL』のリリース時、「トラップ以降の〇〇(〇〇には譜割やフロウ、リズムなど様々な言葉が入る)」と様々な人が反応しておりましたが、言われてみれば厳密にはトラップとは違うパターンである「街の報せ」などが今回収録されてないことに加え、「歌声と伴奏」ではなく「演奏に合わせて歌う」という前作との違い/今作の特色は確かに明確だなあと思います。

(追伸)8月に新木場でcero主催イベントがあったのですが限定ドリンクで「レテの水」が販売されてました。歌詞とは裏腹に、高城さんがごくごく飲んでいたことも合わせて報告します。

はっちゅ(@Hat_chyu

 

ceroの影響源の一つにFlying Lotusがあるという見立ては、前作でATCQから至る潮流を踏まえて研究したという彼らの発言からも成立するだろうが、今作についてはポスト・ディラの側面とは異なるFlyLoのシネマティックな複合性/編集性に着眼して検証されねばならないだろう。コンポジション有機性と換言可能なその意趣に連なるように、PLMSはアタックのみならずテクスチャも含む包括的なリズムの編み物として解釈できそうだ。多様な要素が同時に走査する多層性、すなわちクラブミュージックのニュアンスを匂わせる俯瞰的なアンサンブルは初期Soft Machineや近年のLaurel Haloに近しく、ポストロックの方法論で再生された「Africa Brazil」、またはURの12インチ群に紛れ込んだ「アトムの子」といった、暴挙にも等しい近似の挟み撃ちを、無比の独自性を知りつつも/知るがゆえに唆ってやまない。種々の解釈を内包するソノリティの星座。折衷と模造をめぐる図式を溶かしきったことで、結果的に偉大な先達のguiroへ比肩する鬼盤が鋳造されたが、これを祝福せずして何を祝うというのか。

KV(@kvtheamulet

 

1. The 1975『A Brief Inquiry into Online Relationships』

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「Sincerity Is Scary」

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音楽界にヒーローは必要だ。それが正義じゃなかろうが虚像だろうが、称賛も批判もひっくるめてエンターテイメントへと盛り上がるのがあるべき姿なんだ。もう次世代のアイコンになるような、絶対的なポップスターは生まれないかもしれない。細分化され流行り廃り激しいこの時代で、ロックバンドはどう足掻いていけばいいのか。その最適解に接近しているのがこの4桁の数字を名乗る4人衆です。ナードなメッセージも華やかに音で彩り、過去の様々な音楽を血肉として吐き出す姿こそ真にオルタナティヴ。マイケルもボウイもプリンスの魂も、みんなこの中に生きているようなワンダーランドが構築されてるのではないでしょうか。いや、知りませんが…。このバンドの鳴らす音楽が無くても世の中は何も変わらないかもしれません。でも変わることも沢山あるかもしれません。そんな熱量を有しながら、あくまでクールにキラキラと輝いてみえるのです。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

当たりの強いカピバラさんにも、女の子の服ばっかり見るマイメンにも、手書きのカービィややたらエモいボブ・マーリーにも、いつも待ち合わせに遅刻してくる彼にも、ときメモガールズサイドのメソッドで後輩を落とした彼女にも、求められる優しさに押しつぶされそうになってるあの人やモテるのにこじらせてるあの人、最高の童貞にも最高のビッチにも、もちろん他にもたくさん、ネット上の人間関係がなければ私は出会えなかった。

みんな「オルタナティヴ」ってことになっちゃうのかな。擬似、もしくは異形。そんな僕らを引っ張ってくれるのが、もしかしたらThe 1975なのかもしれない。ヒーロー、確かにそうだね。あらゆる要素を掬い上げて、どこでもない異形として立っている。ネット上に限らずクソみたいな事がたくさんあるけど、それすら飲み込んで堂々と歌い上げる音楽がここにある。The 1975含めたそんなそれぞれの異形のことが私は大好きだし、愛している。《いつだって死にたいよ》と歌う声を聞きながら、私は「でもまだ死ねないな」と思った。

まっつ(@HugAlMyF0128

 

ネットの音楽オタクが選んだ2018年のベストアルバム 50→1

1. The 1975『A Brief Inquiry into Online Relationships』
2. cero『POLY LIFE MULTI SOUL』
3. 宇多田ヒカル『初恋』
4. 星野源『POP VIRUS』
5. 中村佳穂『AINOU』
6. 折坂悠太『平成』
7. 小袋成彬『分離派の夏』
8. Mitski『Be the Cowboy』
9. Homecomings『WHALE LIVING』
10. Snail Mail『Lush
11. KID FRESINO『ai qing』
12. Superorganism『Superorganism』
13. くるり『ソングライン』
14. 三浦大知『球体』
15. Tom Misch『Geography』
16. lyrical school『WORLD'S END』
17. 七尾旅人『Stray Dogs』
18. きのこ帝国『タイム・ラプス』
19. Arctic Monkeys『Tranquility Base Hotel & Casino』
20. シャムキャッツ『Virgin Graffiti』
21. Janelle Monae『Dirty Computer』
22. ASIAN KUNG-FU GENERATION『ホームタウン』
23. CHVRCHES『Love Is Dead』
24. tofubeats『RUN』
25. カネコアヤノ『祝祭』
26. UNISON SQUARE GARDEN『MODE MOOD MODE』
27. ROTH BART BARON『HEX』
28. Travis Scott『ASTROWORLD』
29. V.A.『Black Panther: The Album』
30. Pale Waves『My Mind Makes Noises』
31. D.A.N.『Sonatine』
32. 羊文学『若者たちへ』
33. Tempalay『なんて素晴らしき世界』
34. MGMT『Little Dark Age』
35. STUTS『Eutopia』
36. Perfume『Future Pop』
37. Dirty ProjectorsLamp Lit Prose』
38. Noname『Room 25』
39. Beach House『7』
40. パソコン音楽クラブ『DREAM WALK』
41. Mr.Children『重力と呼吸』
42. Rhye『Blood』
43. Jon Hopkins『Singularity』
44. クリープハイプ『泣きたくなるほど嬉しい日々に』
45. People In The Box『Kodomo Rengou』
46. mabanua『Blurred』
47. Blood Orange『Negro Swan』
48. Kacey Musgraves『Golden Hour』
49. BROCKHAMPTON『iridescence』
50. Kamasi Washington『Heaven And Earth』

 

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