関東インディーガイド#6 mothercoat presents ' N G ' vol.5 ONE-MAN SHOW!! @ 新宿JAM
ライブハウスのメッカと言われる場所は数多くある。下北沢、渋谷、池袋、意外と多いのは八王子、関西なら心斎橋、梅田、そして京都市があげられるだろうか。
JR在来線/私鉄/地下鉄が混在し、さまざまな人間が行き来するここ新宿もまた同じように、ライブハウスのメッカとして名高い。その中でも、1980年にオープン以降、古き良きライブハウスとして親しまれてきた名店が新宿JAMだ。
キャパシティは200人程度、この名店以後に新宿にオープンしたライブハウスは数あれど、さすがにこのキャパシティよりは多く見積もった場所は多い。しかしながら、ステージと客席とがわずか10センチ程度の高低差、ステージ前には何の柵も用意されていないここ新宿JAMは、もしかすればこの新宿で最も演者と客席とが近いかもしれない。
この日のライブは開始時間が遅く、夜9時頃から始まった。舞台上にいるのは、mothercoat。デビューから10年を超える彼らは今、2014年に彼らにとって2007年以来となる7年ぶりの晴れ舞台となったアメリカでのSXSWでのライブアクトとミニツアーを経て、国内から海外まで各国のインディーミュージックファンからの大きな注目と期待を招き寄せている。
その影響力はは計り知れず、2015年3月から開催するSXSWにも公式ショーケースとしてV-ROX Showcaseに出演予定。その後に続くUSツアーは1ヶ月におよび、Japan Nite Tour 2015のDenver公演への参加を含む23都市29公演を予定されている。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで海外へと進んでいくことになった。
2010年にカナダで行われた『Next Music from TOKYO!!!』ではandymori、オワリカラ、グーミ、Kulu Kulu Gardenらとも共演。tricot、きのこ帝国、Uhnellys、SuiseiNoboAz、thatta、グーミ、うみのて、The Flickers、アルカラ、indigo la End、ピアノガール、そして若き日のthe telephonesや凛として時雨など……海外のインディファンからの熱き視線が彼らに集中していることも踏まえても、今や彼らには『関東インディ・ミュージックの門番』と言ってもおかしくはない。
現在最も新しい音源である『5-1+1=』や、この日のライブを予約する際にゲットできた新曲「mackerelgar」など、アベフクノスケ加入後に生み出された楽曲に顕在化したエレクトロニカ・サウンドのテクスチャーを過去の作品にも完璧に落とし込んできたのには非常に驚かされた。
彼らのバイオグラフィに沿ってみれば、『+Birdless』や『パッチワーク_弐』で見せてきたポストロックのセンス、ベース/ギター/ドラムのタイム感をわざとズラしていく特異なアンサンブル、前ギタリストのニノミヤソウ在籍時に生まれた名盤『Egobag』『Allergies』の際に得たロックバンドとしての強くしなやかな肉体感、メンバー交代の度に大きく作風を変えてきた節がある。だが今宵見せた彼らの姿には、それらが一本の線となって繋がり、より強い誘惑となって聴くものを惹きつけるマジックがあった。新宿JAMの距離感ならではといったところだろうか、この日のライブはまるで、メンバーが抱えていた渡米直前の高まった気持ちと共に、前ギタリストのニノミヤソウの脱退以後数年に渡って抱えてきたモヤモヤすらも晴れやかになっていくような、そんなサウンドが拡がっていた。
過去を取り消すことなく、受け継ぎ、自らのペースで未来へと繋げてきた彼ら、次なる場所はアメリカ、そして新たなるファンの元へ。今最も注目すべきバンドの一つなのは間違いない。
3/6 mothercoat @ 新宿JAM
1. good bye
2. nipple cider
3. mackerelgar
4. trickster
5. ポトフ
6. kiDman(新曲)
7. u.n.o.
8. misync
9. story
10. poacher
11. ten pura
12. fake a fake
13. ワルツハイマー
14. mongoloops(新曲)
encore
15. no music_yes life
草野(@grassrainbow)