2013年から始まった「ネットの音楽オタクが選んだベストアルバム」11年目です。今回は502のデータを集計しました。毎度同様、順位はあまり気にせず、国とかジャンルも気にせず、この記事をきっかけに2023年の作品を再発見していただければ幸いです。
残り2日間よろしくお願いします。作品にはできる限りリンクを付けているし、記事末尾にはプレイリストも付けています。ぜひご活用ください。(ぴっち)
このランキングについて
- ネットの音楽オタクが選んだベストアルバムは音楽だいすきクラブ、及びそのメンバー等の特定の誰かが選んで作ったものではありません。
- Twitterのハッシュタグ、募集記事のコメント欄に寄せられたものを集計しています。
- 502人分のデータを集計しました。
- 同点の場合、乱数を発生させて順位づけしています。
- 順位に深い意味はありません。気にしすぎないでください。
- 150位以内はすべて4人以上に挙げられたものです。
- レビューは有志によるものです。500字以内、ディス無しでやっています。
- レビューは随時追加しています。興味がある方は@pitti2210にリプかDMください。
100. 台風クラブ『アルバム第二集』
99. Joanna Sternberg『I've Got Me』
98. Daniel Caesar『NEVER ENOUGH』
97. SADFRANK『gel』
NOT WONKの加藤修平のソロプロジェクトであるSADFRANKの1stアルバム。石若駿、本村拓磨、香田悠真、岸田繁といった面々が参加した。NOT WONKとは異なり日本語の歌詞の曲がある。
ただ正直全然わからない。良い曲が歌いたいのか、音と戯れたいのか、それとも他に意図があるのか。わかんないけど俺は好き。脳が揺さぶられる。目を回してひっくり返って気絶して目を覚ましたら夕日が綺麗だった。そんなアルバムだと思う。
ぴっち(@pitti2210)
96. Squid『O Monolith』
95. moreru『呪詛告白初恋そして世界』
ノイズ、ノイズ、ノイズ。歌、ノイズ。これは全編に渡ってピュアな暴力性を音に乗せたラブレター。美しきハードコアは世界を壊す。祝祭のように、救済のように。みんなもこの境地までおいでよって、手招きしている。
94. Wilco『Cousin』
93. Unknown Mortal Orchestra『V』
92. The Lemon Twigs『Everything Harmony』
60、70年代のフォークやロックには詳しいわけではないので影響元は説明できないけど、僕がわかる作品で例えるとビートルズ中期の名盤である『RUBBER SOUL』当時に存在してもおかしくないアルバムを、2020年代の今の解像度で作ってしまったような作品だと思う。とにかくこのサウンドと伸びやかなボーカルが、音の粒まで見分けられるようなくっきりした音で聴けるこの贅沢さがたまらない。
例えるなら「シン・ゴジラ」で伊福部昭を楽曲をそのまま用いた庵野秀明、ではなく、VFXまでも駆使することで1945年に日本を蘇らせた「ゴジラ-1.0」の山崎貴のような。現代の手法を駆使して偏執的に「あの頃」に迫り、アップデートする様は2020年代のオタクっぽい。僕はこういうの大好きです。
ぴっち(@pitti2210)
91. The Otals『U MUST BELIEVE IN GIRLFRIEND』
ザ・なつやすみバンドが活動休止した1年後に、終わらない夏のようなアルバムがまたひとつリリースされた。否が応でも高揚感を煽るギターは太陽で、そのもとツインボーカルが縦横無尽に駆け回る。シューゲイザーをベースとした、とても口当たりのいい新世代の炭酸飲料オムニバスポップ。
90. Beach Fossils『Bunny』
89. Overmono『Good Lies』
88. Noel Gallagher's High Flying Birds『Council Skies』
87. Arlo Parks『My Soft Machine』
86. King Krule『Space Heavy』
擬音で言ったらビヨンビヨン。もひとつ例えてドロンドロン。相変わらず"ジャンル名、King Krule"な異次元の音楽が鳴っているが、幾分か人懐っこくはなっているのかも。もともと独特のポップさはあると思うけど、今作は浮遊感とロマンティックな悲哀を感じる。人間の内部に直に訴えかけてくる貫通攻撃型な精神と時のマーチ。
85. Foo Fighters『But Here We Are』
84. The National『First Two Pages of Frankenstein』
どう転んでも美しく磨き上がるのだな、このバンドの音楽は。ささやかな幸福で包んでくれる、柔らかなインディーロックをいつまでも噛み締めていたい。Phoebe Bridgers、Taylor Swift、Sufjan Stevensといった名だたるミュージシャンとのコラボ曲も同じ歩幅でナチュラルに溶け合っている。今までのアルバムも普遍的で素晴らしい作品ではあるけれど、いつもこういった近況報告がうれしくって暖かくなれるんだ。
83. Ana Frango Elétrico 『Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua』
82. The Chemical Brothers『For That Beautiful Feeling』
シンプルに良い。何が良いかと訊かれると素直に踊りたくなっちゃうところ。ダンスチューンはそれがすべてでしょう。
曲をかい摘むことばかりしてしまうサブスク全盛期の世の中で、アルバムを一枚通して何度も何度も聴き続けたのは2023年はこのアルバムだけかもしれない。それはなぜか。アルバムの流れが素晴らしぎて単純に気持ちが良いのだ。47分間の浮遊感とリズムが。
特に「No Reason」と「The Darkness That You Fear」は心を楽しくしてくれた。あ。音楽って理屈抜くに楽しいなってね。そして美しいなってね。
Y(@y_3588)
81. Peter Gabriel 『i/o』
80. KIRINJI『Steppin' Out』
79. Loraine James『Gentle Confrontation』
78. Disclosure『Alchemy』
今作は前作『ENERGY』と比べて明らかにテンポが速い。前作のテンポの平均値が115、中央値が120、最頻値が120であるのに対し、今作は途中のビート無しトラックを除き、平均値が138、中央値が135、最頻値が135だ。今作は決して派手なビートに彩られてはいないけれど、テンポに引っ張られるように思わず身体が動き出してしまう音が集まっている。
コロナ禍が始まって誰しもが先の見えない不安の中で発表された前作において、彼らはリスナーに踊ることの楽しさを取り戻してくれた。前作よりもさらにコロナ禍真っ只中で制作された本作は、本人達の口から「今、僕たちが自由でいられることを祝福するもの」と語られたように、あらためてコロナ禍とダンスに向き合った作品である。そんな作品に、彼らは『Alchemy』という名前を与えた。
キリスト教が神の存在を証明するために用いた、卑金属から貴金属を生み出す中世の錬金術は失敗した。そんな失敗と不可能の産物を使ってでも、彼らはコロナ禍において人はダンスと繋がれるものだという事をこの作品であらためて強く証明したかったのかもしれない。我々は錬金術が成功した瞬間に立ち会ったのだ。
ハタショー(@hatasyo5)
77. Daughter『Stereo Mind Game』
76. Skrillex『Quest for Fire』
75. Lil Yachty『Let's Start Here』
74. Beirut『Hadsel』
73. Vaundy『Replica』
72. Yves Tumor『Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』
71. Slow Pulp『Yard』
70. TESTSET『1STST』
69. Galileo Galilei『Bee and The Whales』
「男なら泣くな」最近は耳にすることも減ったけど、自分は父親からこう言われて育った。それを真正面から受け取っていた幼い頃は泣くことが恥ずかしいことだと思っていたし、泣くことは男らしくないことだと思っていた。だけど大人になってふと考えた時、「男らしさ」ってなんだろうと思い始めた。
自らの暴力性をアピールすること?権力を誇示すること?長時間働くこと?弱音を吐かないこと?黙って全てを抱えること?私が「男らしさ」と言われて教えられてきたこと、それらはすべてゴミみたいな価値観だった。それに気がついた時、ようやく私はこの社会に蔓延る「男らしさ」の呪いから解放されたのだ。
本作において、Galileo Galileiは父親のようにはなれない/ならない事を選択した。弱くあることを恐れず、涙は拭かず、本音を語りながら生きる。それはきっと、今までより勇ましくあらねばならない人生なることだろう。だけど、もう死ぬまで続くデスゲームでクイズ王なんかになっている場合じゃないのだ。そんな男性像なんてさっさと捨ててしまえ。んー、と考える時間は終わった。今なら確信を持って言える。これがまっとうな人生だよ。
ハタショー(@hatasyo5)
68. PAS TASTA『GOOD POP』
楽しい音を鳴らす人が6人も集まりまた別の個性と掛け合わせて連なる愉快痛快な空間。ピーナッツくんとの「peanut phenomenon」は目が覚めるほどブチ上がるアンセムだし、どのコラボ相手も新たな側面が引き出されているようで印象がアップデートされる。ベッドルームでお祭り騒ぎする際のお供に、よろしゅう。
「未来にはこんな音楽あるのか!」と言わせてみたい 騙してみたい
月の人(@ShapeMoon)
67. 揺らぎ『Here I Stand』
66. ART-SCHOOL『luminous』
傷痕に意味などないと拒むには あまりに優しく脆い心だ
月の人(@ShapeMoon)
65. Yo La Tengo『This Stupid World』
64. CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN『tradition』
63. KNOWER『KNOWER FOREVER』
62. PinkPantheress『Heaven Knows』
61. TOMOO『TWO MOON』
60. Lamp『一夜のペーソス』
59. slowdive『everything is alive』
58. Gorillaz『Cracker Island』
57. ASIAN KUNG-FU GENERATION『サーフ ブンガク カマクラ (完全版)』
あの頃と同じ海を見つめながら 違う未来を噛み締めている
月の人(@ShapeMoon)
56. Noname『Sundial』
55. Mom『悲しい出来事 -THE OVERKILL-』
ゴールの無いマラソンを独走している。圧巻のパフォーマンスをしながら、延々と。これが2023年のオルタナティブフォークなのか。親しみやすさがありつつも掌からこぼれ落ちていくような詩とメロディ。愛想笑いじゃ辛くなるばかりのハイパーナードポップ。
54. 坂本龍一『12』
53. Ray『Camellia』
52. Kassa Overall『ANIMALS』
51. People In The Box『Camera Obscura』
何十年何百年を経たら辿り着くのかってくらい遥か彼方で鳴っているギターロックじゃないか。ピープルの作品はいつもまるで歴史書だけど、とうとうストーリーテラーの枠組みを飛び越えて、擬似世界を音で創造してしまっている。架空のキャラの繰り出す必殺技(具体例、聖鼻毛領域〜ボーボボワールド〜)のように。なんだか大変な生々しさだ。VR要らずだ。自分の場合は映像が鮮明に浮かぶ訳では無い。音で充分なのだ。鉄壁のバンドアンサンブル。アバンギャルドな狂気を孕みながら、牧歌的に流離うはなむけの歌の束が、アカシックレコードに限りなく接近しつつある。
ネットの音楽オタクが選んだ2023年のベストアルバム 100→51
51. People In The Box『Camera Obscura』
52. Kassa Overall『ANIMALS』
53. Ray『Camellia』
54. 坂本龍一『12』
55. Mom『悲しい出来事 -THE OVERKILL-』
56. Noname『Sundial』
57. ASIAN KUNG-FU GENERATION『サーフ ブンガク カマクラ (完全版)』
58. Gorillaz『Cracker Island』
59. slowdive『everything is alive』
60. Lamp『一夜のペーソス』
61. TOMOO『TWO MOON』
62. PinkPantheress『Heaven Knows』
63. KNOWER『KNOWER FOREVER』
64. CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN『tradition』
65. Yo La Tengo『This Stupid World』
66. ART-SCHOOL『luminous』
67. 揺らぎ『Here I Stand』
68. PAS TASTA『GOOD POP』
69. Galileo Galilei『Bee and The Whales』
70. TESTSET『1STST』
71. Slow Pulp『Yard』
72. Yves Tumor『Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』
73. Vaundy『Replica』
74. Beirut『Hadsel』
75. Lil Yachty『Let's Start Here』
76. Skrillex『Quest for Fire』
77. Daughter『Stereo Mind Game』
78. Disclosure『Alchemy』
79. Loraine James『Gentle Confrontation』
80. KIRINJI『Steppin' Out』
81. Peter Gabriel 『i/o』
82. The Chemical Brothers『For That Beautiful Feeling 83. Ana Frango Elétrico 『Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua』
84. The National『First Two Pages of Frankenstein』
85. Foo Fighters『But Here We Are』
86. King Krule『Space Heavy』
87. Arlo Parks『My Soft Machine』
88. Noel Gallagher's High Flying Birds『Council Skies』
89. Overmono『Good Lies』
90. Beach Fossils『Bunny』
91. The Otals『U MUST BELIEVE IN GIRLFRIEND』
92. The Lemon Twigs『Everything Harmony』
93. Unknown Mortal Orchestra『V』
94. Wilco『Cousin』
95. moreru『呪詛告白初恋そして世界』
96. Squid『O Monolith』
97. SADFRANK『gel』
98. Daniel Caesar『NEVER ENOUGH』
99. Joanna Sternberg『I've Got Me』
100. 台風クラブ『アルバム第二集』