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People In The Disc

コラム

People In The Boxという人たちに魅せられて3年以上が経ちました。そりゃ昔から見ている人と比べたらきりがないけれど、それでも自分としてはずいぶん長いこと心を傾けてきたなと思います。

彼らは残響レコード所属の3人組ロックバンドです。2009年にミニアルバム「Ghost Apple」でメジャーデビュー。インディーズ時代も合わせると合計11枚のCDを出しているけれど、収録曲はどれ一つとして被っているものがない。歌詞は難解だし、変拍子に満ち溢れているのに、美しいメロディと音の重なりが心に残って離れない。

そんな彼らの「ちょっと変わった一枚」を、いくつか紹介したいと思います。

People In The Box『Ghost Apple』(2009年) 
Ghost Apple

Ghost Apple

 

1. 月曜日 / 無菌室
2. 火曜日 / 空室
3. 水曜日 / 密室
4. 木曜日 / 寝室
5. 金曜日 / 集中治療室
6. 土曜日 / 待合室
7. 日曜日 / 浴室

どれも明るい曲調なのに、そこはかとなく死のにおいのする7曲。順に聞きながら一週間を想像するのも面白いし、一体ここはどんな部屋なの?と答えを探すのも楽しい。

Ghostは彼女の幽霊、Appleは2人が食べた禁断の果実、と解するのはもしかしたら深読みに過ぎるかもしれないけれど、晴れ渡る月曜日には、雨の降る土曜日には「無菌室」、「待合室」がそれぞれ聴きたくなってしょうがない、そんな一枚。

People In The Box『Family Record』(2010年)
Family Record

Family Record

 

1. 東京
2. アメリカ
3. ベルリン
4. レテビーチ
5. 旧市街
6. ストックホルム
7. リマ
8. マルタ
9. 新市街
10. スルツェイ
11. JFK空港
12. どこでもないところ

空想の中で無秩序な世界旅行に飛び出す12曲。その場所らしさがあるわけじゃなくて、やはり最初から最後まで一つのストーリーみたい。「東京」の時計のアラームで目が覚めて、ラストの「どこでもないところ」は壮大な映画を見終わった後のエンドロールのよう。

リード曲の「旧市街」は混沌と開放に満ちた6分超のPeople In The Box代表作。こんな問題児を抱え込んでなお平然とそこにある、とある家族の一枚。

 

People In The Box『Lovely Taboos』(2011年)

1. 笛吹き男
2. 市民
3. 子供たち

もしこのCDを手にすることができたなら、そんなに長い一枚ではないので、ぜひ最初から最後まで通して聴いて欲しい3曲。そうすればきっと聴き返したく、いや訊き返したくなるはずだ。「え、今何が起こった?」

それぞれが紛れもない個性を主張しているのに、どこか輪廻し、再生を繰り返す一枚。

 

People In The Box「Weather Report」(2013年)
Weather Report

Weather Report

 

気球 / 砂漠 / 亀裂 / 岩 / 皿(ハッピーファミリー) / 起爆 / 投擲 / 穴 /空地 / 塔(エンパイアステートメント) / 真夜中 / 夏至 / 潜水 / 新聞 / 大陸 /船 / 脱皮中 / 脱皮後 / 大砂漠 / 鉱山 / 開拓地

円盤からこぼれ落ちるような、世界へのささやかなオマージュに満ちた21曲。耳に残って離れないメロディがいくつもここにある。

最初はさらっと聴けてしまっても、ふとした一音が気になって歌詞に手を伸ばしてみれば、想像を超えて広がる世界。気球を見上げ、皿の上でダンスを踊り、覗き込んだ穴の大陸から船で脱出。砂漠の亀裂から塔が生まれ、新聞が脱皮後まもない開拓地に届けられる。幾重にも重なり合う物語を70分超のワントラックにおさめた、実験的1枚。

 

 

かがり(@14banchi