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5/31 People In The Box「空から降ってくるvol.7〜空想する春のマシン〜」

People In The Boxの恒例ワンマンライブ「空から降ってくる」、vol.7の今回は全17公演に及ぶツアー形式。そのファイナルの東京公演に行ってきた。

会場の中野サンプラザはホールながら彼らの馴染みの劇場で、客席いっぱい3人の音色を待ち望む人々で埋め尽くされていた。

いつものSEで登場するメンバー。まだ座ったままの客席を見やると、大きな身振りで立ち上がるよう促す。ユーモア溢れる仕草に、伝染するくすくす笑い。ドラムに合わせた手拍子とともに、ライブが始まった。

1曲目は「ストックホルム」。

《気を失うほど楽しいのがいいね》

そんな出だしに心をぐっと掴まれる。続いて「時計回りの人々」。サーチライトみたいな真っ白な照明が客席をぐるぐる照らす。3曲目は最新アルバムから「潜水」。一オクターブでハモるサビは、なぜだか聞こえるはずのない水中の音のよう。そして、「はじまりの国」。

《まばたき忘れ 呼吸忘れ》

、聴き惚れていたことに初めて気づく。

年齢ばらばらな3人による事故寸前の加齢臭トークを、普段ほとんど喋らないベースの福井さんが珍しく締めた。と思ったら、次はベースとコーラスが不穏な魅力を醸し出す「市民」。ホイッスル鳴り響く「金曜日/集中治療室」と続くと、場面転換華やかな「冷血と作法」。新旧織り交ぜたセットリストは開けるのが待ちきれない宝箱みたい。

「新曲をやります」、「初披露です」、「嘘です、他の会場では2曲やったけどここでは3曲やります」と、ファイナルしか来ていない人には分からない嘘つきトークを挟むと(ツアー全公演で新曲は3曲やっている)、ギターボーカルの波多野さんがキーボードに座る。「もう大丈夫」、歌詞そのままのタイトルの曲は、途中にラップ調のパートを挟むのがとても新鮮。つづいて、ギターに持ち替えて「さまよう」。「ふわっふわっ」とメンバーが声を合わせる出だしのように、掴み所のない印象。そして新曲最後の「おいでよ」は、数フレーズしかない歌詞が泣きたくなるくらい色鮮やかな、3人の掛け合いが特徴的な曲だった。

波多野さんが再びキーボードに座り直す。先ほどと似たような和音が、テンポを違えて紡がれ始めたのが「ブリキの夜明け」。水が滴るようなきらきらした音色から、更に水圧をあげていって「マルタ」へと続く。13曲目の「気球」は最新アルバム『Weather Report』のリード曲であり、今ツアーのサブタイトル「空想する春のマシン」を歌詞に持つ。軽快なテンポに乗せて死と生を歌い上げる「八月」は、ラストフレーズをアレンジ違いで何度も繰り返し、それがとても楽しい。「最後にすっごい速いテンポでやろう」、波多野さんが言い二人が乗るが、「あんな提案されたの初めて!」とドラムの大吾さんが返して客席までどっと笑いに包まれる。

恒例のグッズ紹介では「カビと緑青の生えたTシャツ」の表現が可愛いデザインのそれとミスマッチすぎてまた笑い。ハウリングまで駆使したMCにお腹が痛くなりながら、ライブはラストスパートへ。 

15曲目は、蔦が絡み合った巨木のようなセット背景がよく似合う「ニムロッド」。手拍子で盛り上がる「完璧な庭」と続き、メロディとリズムが別々の拍子を刻む「球体」。うねるベースに釘付けになる間もなく、ピチカートの音色がきらびやかな「鍵盤のない、」。ポエトリーリーディングから最大限に盛り上がって、これでおしまいかと思ったらそうではなかった。再び波多野さんがキーボードへと向き直る。

《みて 晴れた 空から降ってくる》

このライブのタイトルにもなっているけど、毎回必ずやるわけじゃない「JFK空港」。会場いっぱい透き通る声が響き渡り、その音に包まれて、それで終わりだった。

舞台が暗くなってからも鳴り止まない拍手。一度も途切れることなく刻まれ続けるビートは、まるで演出の一部のよう。そして再び登場する3人。「恒例のメンバー紹介やりまーす!」と驚きの展開。いやいや、何回もライブ行ってるけどメンバー紹介したことなんてないじゃないですか……。どうやら今回ツアーの途中から始まったらしい。福井さん、大吾さんが名前を呼ばれてカッコいいフレーズを披露したのに対し、波多野さんは「ジャッ!」の一音のみ、その後ディープパープルのスモークオンザウォーターを弾き始めるも、客席が盛り上がった頃合いで止めるという悪ノリ。そんなこんなで始まったアンコールは、「ダンス、ダンス、ダンス」、「開拓地」と続き、最後は「旧市街」。「今まで20公演近くやってきて、今日は集大成になるはずだったんだけど、中野にくるとやっぱり全然違う物になっちゃう」、とそんな言葉のとおり、雑然と積み上がっているのに決して崩れないその城塞は、いつ見ても違う表情に感じられる。 

ダブルアンコールは「びしっと決めます」と言ったとおり「ヨーロッパ」の一曲だけ。この後に及んでそんな曲やられちゃお腹いっぱいになり過ぎちゃう、…ってそんな心配は杞憂だった。そんなの吹き飛ばす衝撃発表がその後控えてた。

まるで映画のようなエンドロールが流れた後のスクリーン。「People In The Boxからの大事なお知らせ、皆様カメラをご準備ください」と何やら不穏な文句が映し出される。そして発表されたのは、

  • 2014/8/6  ニューアルバム「Wall,Window」発売
  • 2014/8/6 ニューシングル「聖者たち」同時発売

さらになんと、

  • 「聖者たち」が7月クールTVアニメ「東京喰種 トーキョーグール」EDテーマに決定!!!

客席の阿鼻叫喚たるや思わず冷静になってしまうほどだったけど、落ち着いて考えてみてやっぱり大興奮。アニメとのタイアップなんて、夢想したことすらなかった。ライブ中のMCで「近々良い発表がありますから」とにまにましていた3人を思い出し、近々ってこんなすぐにか!と嬉し悔しくなる。大満足のライブの余韻そのままに、これからへの期待も膨らむばかり。素敵な空間にいられて本当に良かった。

1. ストックホルム
2. 時計回りの人々
3. 潜水
4. はじまりの国
5. 市民
6. 金曜日/集中治療室
7. 冷血と作法
8. もう大丈夫(新曲)
9. さまよう(新曲)
10. おいでよ(新曲)
11. ブリキの夜明け
12. マルタ
13. 気球
14. 八月
15. ニムロッド
16. 完璧な庭
17. 球体
18. 鍵盤のない、
19. JFK空港
encore1
20. ダンス、ダンス、ダンス
21. 開拓地
22. 旧市街
encore2
23. ヨーロッパ

 

 

かがり(@14banchi