俺たちの2015年の音楽 前編

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また、こんなことをやってしまいました。テーマは「俺たちの2015年の音楽」。ずいぶんと大それたテーマですが、これは簡単に言えば音楽好きによる情報交換(のようなもの)です。「最近、なに聴いてる?」という音楽好きの情報交換が、はたして記事としておもしろいのかどうかは分かりませんが、今年僕らがおすすめしたい音楽を出し合っています。新しい音楽の出会いのきっかけにこの記事を使ってもらえれば。相変わらずダラダラとゆるいトークをしていますので、そちらの方はご愛嬌ということで。(うめもと)

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うめもと 今回は2015年の音楽を語りたいと思います。

かんぞう  ですね。テーマは「2015年期待しているもしくは絶対くる音楽」です。1人2組の紹介。バンドでもアイドルでもソロでもなんでもオールOKで。

Ai 了解です。もう超私的でいきます!

 

うめもと1組目 NOT WONK

うめもと まず、僕が最初に紹介するのは北海道の苫小牧で活動しているNOT WONKというバンドです。

かんぞう ふむ、初耳。

うめもと 先日1stフルアルバムが出ることが発表されて、僕が発狂したというタイムリーなバンドになります。

Ai おお、じゃあまだフィジカルリリースはミニアルバムのみですか?

かんぞう 若手?ベテラン?

うめもと 超若手ですね。ミニアルバムのリリースもなく、デモはあったみたいですが、カセットでのリリースが去年ありました。ちなみに私の去年の年間ベストでもあります。まずはこちらをお聴き下さい。

soundcloud.com

うめもと 爆音推奨。最初から最後まで沸点が臨界点突破しまくる感じです。

Ai おお、I HATEからのリリースですか。カセットでのリリースもある意味でトレンドですよね。

かんぞう そうなんですか?カセットが?

Ai USやUKの若手が最近結構カセットでリリースしたりしてるんですよね。レコード屋さんでも大型店だとカセットコーナーあったりします。

うめもと そうなんですよ。ただ、ちゃんとMP3のDLコードも付いてるのでパソコンでも聴けます。

Ai この溢れ出るガレージロック感とダウンピッキングで押し切る感じがたまらないですね。ちょっとストロークっぽかったり、The Libertinesっぽさも感じます。ぶっちゃけ、好きです!あと、いい意味で全然日本人っぽくないですね。歌い方も含めてですが。真っ先にこれを感じました。

www.youtube.com

うめもと 音楽だいすきクラブでも投稿されていた宅イチローさんのブログで紹介されていたバンドなんですよね。詳しくはこちらを読んでもらえると分かりやすいかと思います。MC4や初期Green Dayに影響を受けていたようです。

ongakushitz.hatenadiary.com

かんぞう これ全員10代なの!?

うめもと そうです。ヤバいよね!

かんぞう 今からこんな音鳴らして音楽やってたら絶対27歳で死ぬぞ(笑)

Ai The 27 Clubの仲間入り(笑)インタビュー中で出てくるバンドが10代っぽくないなぁなんて思ってたらエルレ出てきてちょっとほっとしましたね。

うめもと こちらの動画も最高です!熱さを感じ取ってもらえれば。

www.youtube.com

Ai 10代特有の青臭さというか、「とにかく前のめりでもいいから突っ走ってやる!」って感じの音がもう愛おしいです!

かんぞう たぶん今じゃないと鳴らない音ですよこれ。少年性、ユース性があってこそかなって。

Ai こういうバンドがどう大人になっていくか、化けていくかを見れるってのが楽しみなんですよねえ(←完全におっさん目線)。

かんぞう そうですねぇ。ルーツに対して馬鹿正直な感じがとてもいいです。Cloud Nothingsしかり、Green Dayしかり。いるようでいないですよこういうバンド。

うめもと で、単純に好きな音を鳴らしても明らかにセンスがいいのがわかるんです。なにしろ曲がめちゃくちゃいい。ほんとに今後が楽しみなバンドです。5月に1stアルバムが出るんでぜひチェックしてみてください!

LAUGHING NERDS AND A WALLFLOWER

LAUGHING NERDS AND A WALLFLOWER

 

かんぞう THE BAWDIESも最初は物珍しく思われましたけど、彼らのおかげでというか、その類のジャンルも聴けるだけの耳は日本人にも育った感がありますよね。こういうポップパンク、ガレージロックが受け入れられる土壌はもうすでにあるもの。1stアルバムでドカンといくかな?

Ai このまま突っ走って燃え尽きるのもおもしろいし、どっかで大きく方向転換してもいいかもしれないですね!彼らがスーパーカーの『スリーアウトチェンジ』に影響受けてるって話も気になります! 

スリーアウトチェンジ

スリーアウトチェンジ

 

うめもと ちなみに彼ら今回初のフルアルバムを出すんですが、そのレーベルがキリキリヴィラというレーベルなんです。まだ去年始動したばかりのレーベルなんですが、その中心人物が元銀杏BOYZのあびちゃんこと我孫子さんなんです。

kilikilivilla.com

かんぞう ほう。

Ai おお、アビちゃんがレーベルを始めた話は聞いてましたが、キリキリヴィラなんですね。アビちゃん、いいバンド見つけたなぁ。

うめもと まだ今回のNOT WONKのアルバムでレーベルとして出す作品は3枚目なんすけど、これまでの2枚はどれも彼の愛情がたっぷり注がれてるのは間違いないであろうという作品ばかりなんですよね。

Ai ほうほう。

うめもと で、今回のNOT WONKも勿論レコーディングに一緒に参加(ミックス?)しているようです。Twitterでもコメントがありましたね。合宿していたそうです。

Ai 合宿!さすが銀杏イズムですね(笑)

うめもと あびちゃんの愛情がたっぷりバンドに注がれているので間違いない作品かと。そう思ってます。

Ai こういうユース性持ってるバンドにはいくつになってもドキドキワクワクさせられますね。しょっぱなからいいの教えてもらってよかった!この流れで僕が行ってもいいですか?

かんぞう  どーぞどーぞ◎

 

Ai1組目 ゆゆん

Ai ではでは。まずはこの動画を御覧ください!

www.youtube.com

かんぞう 斬新!

うめもと 最後の展開が最高すぎる……!あと歌われるメロディーがなんだか懐かしいですね。日本的というか。

Ai 東京は新宿紅布を根城に活動しているゆゆん(正式名称:ゆ、ゆゆゆゆゆん)です。ただし、「ゆ」の数は気分で毎回変わります(笑)

かんぞう 初ライブの1曲目とは思えないですね。

Ai まさにそうなんですよ!彼女たち、実は若い(20前後です)にもかかわらずキャリア長いんですよね。つい数年前に主にロッキンオグ周りでちょっと話題になっていたスカートの中というバンドと日本マドンナというバンドを覚えていますか?

バンドやめろ

バンドやめろ

 
スカートの中

スカートの中

 

かんぞう ああ、いましたね。日本マドンナはRO69 JACK*1を獲ってませんでしたっけ?

Ai そうですそうです。どちらもガールズバンドだったのですが、結構きわどい歌詞にパフォーマンスが話題になってました。

かんぞう あいさんは、どうしてこのバンドを?なんか日頃のイメージからはあまり結びつかないのですが…...。

Ai 僕は結構初期パンクとか大好きなんです。で、このバンドはボーカルとベースの方が元スカートの中、ギターの方が元日本マドンナなんですよね。

うめもと ほうほう。

Ai 僕はこの両バンドが結構好きだったんです。両方ともパフォーマンスが自分たちを削るような激しさがありまして、結果すぐに散ってしまったのですが。

かんぞう まあ、曲名が「生理」とか「バンドやめろ」でしたからね。

www.youtube.com

Ai 両方とも過激な歌詞やパフォーマンスを売りにしていたのでよく比較されてたんですよね。その2組の主要メンバーが手を汲んだってだけでワクワクしませんか?

かんぞう なーるほど!銀杏BOYZのガールズverですよそれこそ!

DOOR

DOOR

 

Ai そうそう、そういう感じです!

うめもと それはその2組のバンドがですか?それともこのゆゆん?

かんぞう 総じて、かな。バンドにこだわってってわけじゃないですが。このドサ回り的なパンクロック加減が銀杏っぽいなぁと。

Ai で、このバンド推す理由ですが、今ガールズバンドって結構出てきてるじゃないですか。ただ、ねごとにしろ赤い公園にしろ技術力もポップセンスも素晴らしいものを持っていて巧すぎるんですよね(disじゃないですよ、両方好きなので)。

うめもと ふむふむ。

かんぞう たぶん、赤い公園は絶対に引き合いにだされますね。

Ai ちょっと最近蔓延しがちな「ポップセンス」あればいいバンドみたいな風潮がそろそろ飽きてきたなぁ感が個人的にありまして。天邪鬼なもので(笑)

うめもと ふふふ。「もっとはみ出せよ!」と。

Ai ぶっちゃけスキルは高くないけど、「バンド」然としてひたすらに音をかき鳴らしてる女子4人って構図がもうかっこいいなぁ、と。キャリアあるだけにステージングだけは堂々として魅せられるというか。

かんぞう ずるいなそれ(笑)衝動でかき鳴らすガールズバンドはそういないですもんね。そこでいくとつしまみれもその類じゃないですか? 

Sex on the Beach

Sex on the Beach

 

Ai そうですね。つしまみれはすごく近しいものを感じてます。ぶっちゃけ、多分ゆゆんは大型フェスででかいステージ出ちゃうような全方位から受け入れられるバンドではないと思うんですね。実際、去年の出れんのサマソニにもエントリーしてたみたいですが、結果は出ていませんし。

かんぞう まあね。大衆性ってところとは無縁な気がします。

Ai ただ、こういうバンド然としたバンド、すなわちスキルなくても楽器持ってその時の気持ちを鳴らせばカッコいんだぜ、みたいなものが体現できてる女子バンドが今ちゃんといるってことがすごく大事だし嬉しいなぁと。軽音部にいるけど可愛い曲できない、みたいな女子高生達の憧れになってほしいです(笑)

かんぞう いたー!そういう後輩いたー!!

うめもと いたんだ(笑)彼女達音源はリリースしてるんですか?

Ai 音源は会場限定販売のみなのでまずは紅布に行ってゲットせねば!という感じです。

 

ポップとロックの違いについて

うめもと なるほど。これからって感じですね。個人的にはガチャガチャしてるけどポップのセンスもちゃんと持ってるような気がしました。

かんぞう でもこういうことを話す時に最近思うのがポップであることとバンドであることは、全く別のベクトルであるってことをいい加減認識しなきゃいけないと思うんですよね。

うめもと というと?

Ai 僕も気になりますのでかんぞうさんよろしく!

かんぞう 本来バンドはどこまでもバンド然としていてほしいと僕は思っています。そこが大前提で。

うめもと 下手に売れにいってほしくないってこと?

かんぞう うーんまあ、そうとも言えるかなぁ。難しくなってきたぞ……。

Ai 言わんとしたいことはなんとなくわかるんですけど。誰しもが受け入れられるポップであることだけが、バンドであることじゃないというか。

かんぞう ポップなものが売れるのは当たり前なんですけど、それをバンドに求めるのはなんか違う気がするんですよね。セカオワがああなってる以上棲み分けは難しいかもしれませんが、本来(バンドとは)もっとアンダーグラウンドな存在であるべきかなって思いますし。

Tree(通常盤)

Tree(通常盤)

 

うめもと うーん。

Ai ポップの定義って難しいですよね。

うめもと 難しいですね。「ポップ=売れる」というわけでは無いと思いますし。

かんぞう Aiさんが最初に言ってた『最近蔓延しがちな「ポップセンス」あればいいバンドみたいな風潮』がまさにそれで。

Ai 僕がここで言いたかったのは、今主流になっている「ガールズバンド」像みたいなものにこだわる必要はないし、そういうものに縛られずに自由に音鳴らすのは素晴らしいなあと。おしゃれじゃない、キュートじゃない服をきて、女の子が髪を振り乱して弾こうが叩こうが歌おうがいいじゃないか、と。うめさんが最初にそういう今の「ポップセンス」的なものからは離れているバンドを出してくれたので僕もこの流れに乗ってみました!

うめもと ああー、なるほど。ちょっとわかったかも。媚びなくていいじゃん!ってことっすね?

かんぞう いや、そういうわけでもなくて。ただ、バンドはどこまでも泥臭いバンドのままでいてよっていう僕のわがままな願望です。

うめもと なるほど。ただ、そういうバンドが今そんなに多くいるっけ?という疑問もありますが。

かんぞう すいません脱線して且つ回収不可能になりました(笑)

Ai いやいや、泥臭いバンドであってほしいってのはすごくよくわかります!ポップなバンドもいいけれど、たまにはこういうスパイスもどうぞってことで。

 

かんぞう1組目 My Hair is Bad

かんぞう 私、ご存知の通り新潟出身なんですが、どうにもこうにもその新潟のバンドが最近調子良すぎでして。

Ai ほうほう。

かんぞう この流れの中これを打ち込むのも少々気が引けるのですが。

www.youtube.com

narimi

narimi

 

かんぞう 本当に、稀有な存在だと思うんです。このバンド。新潟県上越市出身の3ピースバンドMy Hair is Badです。

Ai 名前は聴いたことありますね。

かんぞう 私ね、この曲を聴いてると本当に泣きそうになってどうしようもなかったりするんですよ。歌詞も、音も、このPVでのボーカル椎木さんの表情も。がっちり心を鷲掴みにされちゃいました。

Ai ちょっとLOST IN TIMEのようなものを感じます。こういう染み渡っていく感じ、結構好きなんですよね。

DOORS

DOORS

 

かんぞう そうそう。LOSTAGEとかね。 

Guitar

Guitar

 

うめもと さらっと聴いた感じですけど、かんぞうさんの好みなのがわかる。歌心がありますね。

Ai ですね。かんぞうさんはエモーショナルなの好きですよね、だから僕とよく話が合う(笑)

うめもと うんうん、根底がエモーショナル。絶対に。

かんぞう そうですそうです、エモだいすき。彼ら、一昨年フジロックにも出てるんですよね。新潟の星です。

Ai え?フジ出てたんですか!見ればよかった。

fujirockexpress.net

うめもと この曲を聴いた限りだとまだどういうバンドなのかは想像できないですね。この人たちは以前から活動していたんですか?

かんぞう もうずいぶんと長い気がします。大学時代にライブハウス出入りしてる時は確実にいましたし。僕なんでこのバンドが来てるかって、世の中の流れには一切乗らずに、自分のために歌ってるところが好きなんです。

Ai わかります。いくつか曲を聴いてみたのですが、しっかり歌モノを紡ぎ続けてる感がありますよね。この曲、僕はドンズバでした!

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かんぞう 「優しさの行方」はいい曲ですよね。というか、歌詞をみると男にしかわからない感情のオンパレードで超おもしろいですよ(笑)

Ai お、歌詞ちゃんと見てなかった。

かんぞう これとか。

www.youtube.com

うめもと うわー。超良いじゃん!

かんぞう きっと女性から見たら非難轟々ですよ。「ナヨナヨしてんじゃねーぞ」みたいなこと言われそう(笑)

Ai 歌詞、読みました。いいですねぇ。納得して別れたはずでも今の彼氏いけてないなんて噂聞くとこう思っちゃうのが男なんですよね(笑)

今は君の彼氏じゃない でも今の奴とお似合いじゃない なんか騙されちゃってんじゃない?元君の彼氏より

はいいですねぇ。久々にキラーフレーズを感じまくってます。

うめもと うーん、なかなかの情けない男像ですね(笑)

かんぞう でも男って基本バカじゃないですか。自分が1しかあげないけど女の子からは100欲しいみたいな。

うめもと しかも自分は10以上あげてる気分になってるし、みたいな。

かんぞう それ!(爆笑)

Ai 耳が痛い。

うめもと というかそれ俺!(笑)

かんぞう 「ふたり」って曲にね、こういう歌詞がでてくるんですよ。

君じゃなきゃダメなんてことはないけど、僕じゃなきゃダメだって言わせたいんだよ。
僕じゃなきゃダメなんて馬鹿みたいだろ。でも、でも...。
君じゃなきゃダメなんてことはない。君より綺麗な人だっているし。
君じゃなきゃダメなんて馬鹿みたいだろ。でも、でも...。

Ai ひどい!(でもわからなくはないなぁ……)

かんぞう そうなんですよ。わからなくもないんですよね。この「でも、でも...。」が。

Ai かんぞうさんはもうこのバンドの歌詞に完全に持ってかれちゃってるってのがよくわかりましたよ(笑)

うめもと これは言ったら殴られるね。

かんぞう 嫁さんには言わないでおこう。

Ai (言えないですね、お互い)

うめもと 完全にキンキの「愛されるより愛したい」の逆バージョンですね。

愛されるより愛したい

愛されるより愛したい

 

かんぞう 「愛するよりも愛されたい(どーん!!)」とまあ、こんな感じで私の1つめは終わりです。地元の素敵な男臭いバンドでした。

うめもと 「でもそれが俺なりの愛だ」とか思ってるんだろうなあ。あかんでー!いや、好きです(笑)

Ai 歌詞をゆっくり読もうと思います、今夜(笑)

かんぞう いろいろ心えぐられないようにご注意ください。

Ai ダイジョウブ、ボク、ハートダケハツヨイ

かんぞう ちょっと!!いつの間にか男心を無下に晒す会になってるから!!私のせいだけど!(笑)

うめもと だって男しか集まってないもの。しょうがないっすよ。この記事は女性に見られるとダメですね(笑)

(後編に続きます)

 

 

Ai(@Ai_Tkgk)×かんぞう(@canzou)×うめもと(@takkaaan

*1:ロッキング・オンでやっているバンドコンテスト企画