ネットの音楽オタクが選んだ2017年のベストアルバム 50→1

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ネットの音楽好きのランキングを一方的に集計しているいつものやつです。最後の50枚です。ぜひリンクを踏み、聴き倒してください。あとアーティストに直接結果を伝えるのはやめてください。インターネットのごくごく隅っこでやってることです。大層なものではありません。2017年の一つの記録となり、あなたと音楽を繋ぐ一つのきっかけになれば幸いです。(ぴっち)

 

50. RHYMESTER『ダンサブル』

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「梯子酒」

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「ダンスミュージックとは?」と聞かれたら、自分なら「反復」と答える。今作は全体を通して、ヒップホップの原則である「反復」というテーマの恐ろしさと美しさ、その両方を描いていく。

「反復」は「次に進まない」と同義だ。10曲目の「マイクの細道」でのカウントダウンが顕著な例だろう。秒読みを繰り返しながら、しかしゼロになることはない。望んだ瞬間が訪れるのかはわからないままこのアルバムは終わる。かつて描いた夢物語などかすりもしないまま人生が終わるかもしれないという恐れ。自分は何者にもなれないのか。それでも未来に向かって何度でも進んでゆく。僕らはどうにかなろうとなるまいと生きてゆくし、手を伸ばすし、反復するのだ。「次に進まない」と同様、「何度でもチャンスは訪れうる」もまた「反復」という言葉の持つ意味である。泥水を浴びるほど飲みながらそれでも約30年間チャレンジを辞めず、最盛期を迎えたRHYMESTER。この言葉の重みよ、確かさよ。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

49. Sampha『Process』

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「(No One Knows Me) Like The Piano」

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48. indigo la End『Crying End Roll』

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「想いきり」

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47. Bonobo『Migration』

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「Break Apart (feat. Rhye)」

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46. 坂本龍一『async』

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「async」

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45. Arca『Arca』

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「Anoche」

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44. Vince Staples『Big Fish Theory』

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「Rain Come Down」

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43. Wolf Alice『Visions of a Life』

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「Beautifully Unconventional」

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Wolf Aliceは2010年代らしいバンドだ。2010年代に入り、SpotifyApple Musicといったサブスクリプションが登場し、インターネットさえあれば、いつでも、どこでも、無数の音楽と出会える。そしてそれは、様々な音楽に「出くわす経験」が増えたと言ってもいいだろうし、だとすればルーツとして深堀するバンドだけでなく、年代からジャンルを横断して横へ広がりを見せるバンドがいるのでは、と思う。そこで出てきたのがWolf Aliceだ。

実際に『Visions of a Life』を聴けばわかるが、本作には90年代のロックがすべて詰め込まれている。シューゲイズ、グランジオルタナポスト・ロック、そのすべてが本作に詰め込まれており、さらにはボーカルであるエリー・ロウゼルの美しい歌声が合わさった瞬間に一つのバンドの音楽として同一直線状に並べられているのだ。ロック・バンドが力を無くなってしまった現代においてWolf Aliceは、もしかしたら希望の光なのかもしれない。

ゴリさん(@toyoki123

 

42. Julien Baker『Turn Out the Lights』

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「Appointments」

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41. Phoebe Bridgers『Stranger In The Alps』

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「Motion Sickness」

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40. Phoenix『Ti Amo』

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「J-Boy」

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39. St. Vincent『Masseduction』

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「New York」

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アニー・クラークは役者である。彼女は常にSt.Vincentという名前のキャラクターを借りて、ステージ上で、時にはSNS上で演じ続けているのだ。そしてこのSt.Vincentというキャラクターを演じることに関してはアニー・クラークは異常なほどの完璧主義者のように見える。そういう意味では『MASSEDUCTION』は他者を寄せ付けない作品だといってもいいだろう。

本作でSt.Vincentは精神病院に収容されたSM女王という設定であるのだが、そのため徹頭徹尾、自分がコントロールできるサウンドを構築しているのが今作の特徴である。例えば80年代終わりのインダストリアル・ミュージックからインスピレーションを受けてはいるが、ビートがすべてプログラミングで形成されているのは、まさにその象徴である。加えて、ホステス・クラブ・オールナイターで彼女を目撃した方ならおわかりかもしれないが、現在、彼女は一人でステージに立っている。長年パートナーを務めるトーコ・ヤスダを離して、今回のようなステージングを行うのは自分の描く設定を誰にも触れさせたくない気持ちの表れではないだろうか。確固とした信念を持ち、自らを作品と共鳴して伝えるアニー・クラーク。そんな彼女は、今日もSt.Vincentを演じ続けている。

ゴリさん(@toyoki123

 

38. Kamasi Washington『Harmony Of Difference』

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「Truth」

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37. Tyler, the Creator『Flower Boy』

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「Who Dat Boy」

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36. For Tracy Hyde『he(r)art』

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「Floor」

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貴方は、胸が高鳴る儚い初期衝動に満ちた映画を見てみたくはないか。様々な感情との出会いと別れを繰り返すような小説をお探しだろうか。東京という都会が織り成すドラマを求めているだろうか。心の底から鳴らす現在進行形の音楽の先端に触れてみたくはないであろうか。

シューゲイザー、ドリームポップなどに乗せて東京のあらゆる情緒を凝縮された、グラデーションの美。「美しいことはなんて美しいんだろう」と敢えて言葉にしようとも、剥がれるようなメッキの装いなんてハナから纏わない剥き出しの反骨精神。洗練されて刃先を研ぎ澄ました青春の暴力。それがシティ・ポップといったお手頃な括りには屈しない強度を誇っている。夢見て憧れる東京とは、正にこんな歌が映し出す都会なのかもと思う。現実の東京でそれが見えなくても、このアルバムに確かにそれは詰め込まれている。理想ではなく、幻想でもなく、紛れも無い生きた人間たちの思想であり、この音楽を経由して顔を出す。そんな現実や音楽を信じれる燃料となり、冷めた日常の中で失われていくような…いつかのハイになるまで燃え尽きんとする情熱を呼び醒ますトリガーとして、試しにこの新種の薬に溺れてみませんか?

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

35. SZA『Ctrl』

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「The Weekend」

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ある程度アメリカの雰囲気がわかっている人には当たり前の話だけど、SZAのライブを観ると10代の熱狂的なファンが声を張り上げている。それこそ日本だと絶頂期の浜崎あゆみのように、と書くと何を昔話をこのおっさんは、とか言われそうなので西野カナあたりを想像してください。テイラー・スウィフトでもいいけどほんとそんな感じ。どちらかと言うと同性のファンが多いように見えたけど、男も結構いました。YouTubeに公式のものが上がってるのでみんな観ましょう。

なぜそんなことを書くというとアルバムを聴いただけだとその現象は微塵も想像できなかったから。音数が少なく派手さのないR&B、ネオソウル色の強いトラック。そこにこれ以上ないほど滅茶苦茶上手で自由自在に歌われる愛の歌。悲しさとか切なさと一概に言うことができない、かと言って力強い女性像で括れるわけでもないリアルさ。ゾクゾクが止まらない。叫ぶようにこの歌を染み渡らせたい。そういうことなのだ。

ぴっち(@pitti2210

 

34. Cloud Nothings『Life Without Sound』

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「Modern Act」

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33. The Horrors『V』

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「Something To Remember Me By」

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32. YUKI『まばたき』

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「さよならバイスタンダー」

 

31. GRAPEVINE『ROADSIDE PROPHET』

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「Arma」

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ここ数年、新作を聴いているいちリスナーとしては毎年良すぎるもんで「今年のバインも素晴らしい出来」とか「11年に匹敵する傑作」とかボジョレー・ヌーボーかって失礼な扱いをいつのまにかしてしまってるんですけど。今作のトピックとしては1曲目で《このままここで終われないさ/先はまだ長そうだ》とめずらしくはっきり歌い切ってしまったところですね。やった。これでまたしばらくは田中さんの歌詞に頭抱えながらカッコいいバンドアンサンブルとメロディラインで泣きそうになる日々が続きそうだぞー!

はっちゅ(@colorfulwhite

 

30. Father John Misty『Pure Comedy』

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「Leaving LA」

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29. LCD Soundsystem『American Dream』

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「call the police」

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28. 台風クラブ『初期の台風クラブ

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「台風銀座」 

台風クラブのサウンドを解体すればウェストコースト・ロック、モータウン・ビート、ネオ・ソウル、J-POP。バンドで言えば、はっぴいえんど、the ピーズ、サニーデイ・サービスも出てくるかもしれない。しかしこれらはあくまで欠片みたいなものであり、それが台風クラブというバンドに集結した途端、確信のない淡い希望を持ち続ける独りの人間の物語になる。

その台風クラブがリリースした初のフル・アルバム『初期の台風クラブ』は「台風銀座」と「ダンスフロアのならず者」以外は過去に発売された楽曲で構成されている。そしてそれは今までの活動の総括という意味でベストアルバム的な印象を受けるかもしれない。しかし本作は以前に収録されたものの寄せ集めでない。今回のためにアレンジや音を変えており、例えば本作のラストを飾る「まつりのあと」を2015年に自主制作で発売された「ずる休み」の中に収録されている物と聴き比べると、音数が減りシンプルでタイトになっていることがわかる。寄せ集めではない、過去から進化した2017年の台風クラブというバンドのドキュメント。それが『初期の台風クラブ』である。

ゴリさん(@toyoki123

 

27. Special Favorite Music『Royal Blue』

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「スタンドバイミー」

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子供のころ、ハローマックトイザらスに感じたようなワクワクが、大人になってから、このバンドのアルバムを聴くと思い起こされてくる。手の届きそうで届かない、たくさんの宝物から、厳選して側に選びたくなる珠玉のポップメロディ。 

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

26. King Krule『The OOZ』

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「Dum Surfer」

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18歳でBBCサウンド・オブ・2013にノミネートされたKing Krule。あれから4年。King Krule名義として、2ndアルバムとなるのが『The OOZ』である。「King Krule名義」と書いたのは、2015年彼は本名のアーチー・マーシャル名義で『ANew Place 2 Drown』という作品を出しているからだ。この作品は彼の中で、トラックメーカーとしての立ち位置で作られており、環境音やテレビのナレーションをサンプリングしつつ、ロンドンの風景を紡ぎ出す作品であった。

ではKing Kruleの立ち位置は何かと問われれば、まぎれもなくシンガー・ソング・ライターであろう。ジャズ、ヒップホップ、インディー・ロックを飲み込んだサウンド、そして耳にまとわりつくダビーの残響は私たちを、ここではないどこかにトリップさせてくれる。音楽では時折、サイケデリックやアシッドなんてドラッグと関連する呼称を使うが、King Krule『The OOZ』は完全にその類のものだ。しかもダウナー系の中で、極上の物だと言っていい。しかしそんなサウンドと裏腹にKing Kruleは悲壮感を漂わせながら、しゃがれた声で、自らの破滅や朽ち果てた街の状況などを歌う。そしてそれこそが彼が身をおいている現実そのものであり、私たちがいる世界そのものである。多分、こんなサウンドでなければ語りたくないくらい、いま私たちが身をおいている現実は荒んでいるのかもしれない。

ゴリさん(@toyoki123

 

25. Dirty ProjectorsDirty Projectors

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「Up In Hudson」

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24. Yogee New Waves『WAVES

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「World is Mine」

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23. The War on Drugs『A Deeper Understanding』

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「Pain」

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22. スカート『20/20』

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「視界良好」

澤部渡の歌声はいつだって物哀しい。何かにずっと思い焦がれているような、切実で誠実な歌声だ。変化や別離を眺め、葛藤と受容を描くのにあまりに相応しい。移ろいゆく時間や心象を丁寧にキャッチできる力がある。

街を歩きながら目に留まった景色をスナップしたような本作には、強いメッセージや提言は見当たらない。街並みが動く様子をじっと見つめ拾いあげる。大らかで親しみやすいメロディがその視点をより押し広げ、誰の身にも覚えがある情景として届く。目に映るものたちに意味を持たせる瑞々しい言葉たちは僕らの視界にも色を足し、日常にささやかなドラマを与えてくれる。生活の上で起こる大小様々な別れ、ちょっとした旅立ちの決意にフォーカスした物語たちは、この歌声だからこそ生み出せる温かな切なさに満ちている。シティポップがどういうものなのか、未だに判然としないけれど、これは紛れもなくぼくらが生きる都市・街・町に寄り添うポップスだと思う。

月の人(@ShapeMoon

スカートの音楽はツルっとしている。いわゆる引っ掛かりがないのだ。『20/20』を聴けばわかるが、メロウでアーバンなサウンドが耳にすんなり入っていき、アルバム収録時間35分間は現実世界を忘れさせてくれる。そしてすんなり没入できるその理由は、歌詞にも音にもノイズがないからであろう。

ノイズとは「不要な物」だという意味だが、常に現実世界にはびこっている。部屋で一人でいれば、換気扇の音や外で聴こえる車の音、子供たちの笑い声、なんて聴こえてくる。ノイズキャンセリグ・イヤホンでもしない限り、ノイズがない世界は考えられないし、言い換えるならばノイズとはリアルその物なのである。スカートの音楽にはノイズがない。そしてそれは現実を忘れるためにあるし、ひたすら音楽の世界へ没頭するためにあるのだ。35分間の桃源郷、それが『20/20』である。

ゴリさん(@toyoki123

 

21. 赤い公園『熱唱サマー』

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「恋と嘘」

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目が醒めるようなけたたましいホーンの音で始まる本作。その勢いをそのままに、夏というテーマの下にバラエティに富んだ濃密なJ-POPが集結している。永遠と焦燥が表裏一体となった季節を転がるように駆け抜ける奔放さがひたすら気持ち良い。すぐに口ずさみたくなる情感たっぷりのメロディを、聴き返す度に新たな発見を生む捻ったアレンジで包み、赤い公園史上最もオープンで取っつきやすい作品に仕上がっている。

そしてボーカル佐藤千明の脱退前最後の作品でもある。バンド結成前から存在する青春の1ページを刻んだ楽曲「ほら」、《死ぬまでヤングでいようぜbrother》と熱く歌い上げる「journey」、そして旅の小閑をふわりと描く「勇敢な子ども」に連なる終盤の流れは、赤い公園の1シーズンの締めを飾るのに相応しい。別れもまた夏の切なさに混ぜ合わせて、少し大人になった彼女たちは別々の道へと。物語を経た赤い公園佐藤千明はこれからどこへでも行ける自由を手に入れた。

月の人(@ShapeMoon

 

20. Lorde『Melodrama』

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「Perfect Places」

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数年前にフジロックでLordeを観たのだが、その時は舞台の上に立ち歌う少女がホントに16、17歳の女の子であるのかと唖然とした記憶がある。フジロックを観た後で遅ればせながら『Pure Heroine』を隅々まで聴いた。驚いたのは彼女の声に合わせたプロダクションであることだ。音数は少なくビートは重い。しかしそれに負けないの彼女の歌声。だが、少女であるLordeに対して、女性的なアプローチを行う『Pure Heroine』にどこか居心地の悪さみたいなものを感じた。もっと等身大の彼女を観たい。それが形として現れたのが『Melodrama』である。

本作は失恋と孤独を扱ったアルバムというテーマが指し示す通り、パーソナルな部分に触れるような歌詞があったり、「Liability」のようなセッションをそのままパッケージングしたような曲があり、まるで20歳の彼女を映し出した鏡のような作品に仕上がっている。加えてビートを比重としたアプローチから、メロディー比重のアプローチにした結果、前作よりも華やかな印象を持つのだが、この辺あたりはプロデューサーがFun.のギタリストであり、Bleachersのジャック・アントノフに交代したことが大きくかかわっているようにも感じる。少女から大人へ、成長を感じさせる一枚だ。

ゴリさん(@toyoki123

 

19. シャムキャッツ『Friends Again』

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「Coyote」

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18. サニーデイ・サービスPopcorn Ballads』

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「クリスマス」

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17. 土岐麻子『PINK』

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彼女はクイーン・オブ・シティポップと呼ばれているらしい。シティポップという言葉(近年バンドを中心に盛り上がっているが)、個人的にこれまで馴染みがなかったなと思っていたところが、土岐麻子の新譜を聴くと、これがそのシティポップという枠で展開されていることに納得いってしまった。それまでイメージ的には「なんとなく洒落た人が、洒落た仲間たちと、それっぽい洒落た音楽をやっている」みたいな感じ(偏見)がしていたが、この作品の中には、極端な言い方をするともっと(生きているという意味での)生々しい体温や肌の感触が伝わってきた。

シティポップにおいて重要視されている音像の心地よさだけではなく、今作のハイライトであろう都会の女性の人生についての歌詞表現まで含めてこの作品を"シティポップの決定盤"と呼びたい。男性ながら女性の気持ちがわかったような、すこし覗いたような気にさせてくれる粋な作品。 

アベゴウタ(@got_ab

 

16. Mura Masa『Mura Masa

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「1 Night (feat. Charli XCX)」

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15. Suchmos『The Kids』

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「A.G.I.T.」

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このアルバムは最高傑作ではない、過渡期の作品だと言いたい。そもそもSuchmosはネオ・ソウルやアシッドジャズ、クロスオーバー・ジャズ、といった音楽を日本のロックシーンと共鳴する形でやってきたバンドだ。そしてその集大成であった作品であったのが『LOVE&VICE』であり、「STAY TUNE」であったのだが、次作『MINT CONDITION』では、ザ・ローリング・ストーンズの『Sticky Fingers』をオマージュしたジャケットからわかる通り、完全にロックの方向性へと傾倒している。例えばビートを前面に打ち出すのではなくギターを前に出す楽曲の作りや、フレット・ノイズの残し方、ギター・ソロの入れ方、などこの作品以降の楽曲はロックの文法に則った形へシフトしている。

つまり『LOVE&VICE』以前/以降ではSuchmosの魅力も性質も全く異なる訳であり、そして『THE KIDS』にはこの両時期の楽曲が収録されている。そのため作品内で魅力が解離し、トータルバランスとしては歪な形に仕上がってしまった。しかしながら去年の快進撃を目の当たりにし、この歪さこそ、次のステップに行くための証であり、本作こそ今後のSuchmosを包括するためのメルクマークになる作品だと確信した。

断言する、彼らの実力はまだこんなものではない。最高傑作という言葉は、次回作のために取っておく。

ゴリさん(@toyoki123

 

14. 私立恵比寿中学『エビクラシー』

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「なないろ」

エビ中が掲げる「永遠に中学生」というコンセプトは、どれだけ歳を重ねても戻ってこれる場所があるという約束だと思う。止まらない成長を受け入れながら、終わらない中学生活という起点へと常に集約するスタンスは決してブレない。過去作と比べて、メンバーそれぞれの歌心を素材そのままに活かした楽曲が多く並ぶ本作。活動の中で綺麗に磨いた個性を発揮した進化の賜物のようなアルバムだが、歌われる事象はやはり「フォーエバー中坊」な彼女たちの日々で、聴けば一瞬で実際には決して戻れない楽園のような時間へとアクセスできる。

アルバム制作途中で起きたメンバー松野莉奈の急逝。その理不尽な絶望は穏やかな日々を根幹から揺るがしかねない出来事だった。それでも残された誰もがエビ中を諦めなかったのは"永遠に中学生"という約束を守るためだろう。大好きな人のことをいつでも思い出せるように、楽しさも悔しさも全て混ぜ込んでいつもと変わらぬ景色を歌に刻んだ。愛しさと祈りに溢れる彼女たちの思いは、全方位型の普遍性を持つポップミュージックとなって燦々と輝きを放っている。 

月の人(@ShapeMoon

「もう終わっちゃう」と思って、よみうりランドのアンコールで泣いていたりななん。それから4年後、一番悲しいことが起こった。テレビ画面に映る生前のりななんの姿はとてもとても綺麗だった。だからなおさら悲しかった。数ヶ月後、私立恵比寿中学は立ち上がった。発売された『エビクラシー』は週間1位を獲得。豪華なミュージシャンたちに生み出されたカラフルな名曲の数々は聴く者の魂を震わせた。『エビクラシー』は間違いなく2017年を代表するアルバムの一枚だ。

これからもエビ中の形は変わっていく。メンバーの増減があるかもしれない。でも、頑張る上手な彼女たちに心配はいらない。何回だって転んでもいい。文春砲だって怖くない。今まで関わったすべての人の愛情を詰め込んで、エビ中はなないろの未来へ進んでいく。りななん、ぁぃぁぃ、みぞっち、みんなの想いを乗せてエビ中の感情電車は止まらない。

三角(@skmts

 

13. CHAI『PINK』

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「N.E.O.」

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CHAIといえば、『アナと雪の女王』的なフェミニズムさと、ニュー・レイブ、フレンチ・ポップ、エレクトロ・クラッシュ、といったジャンルを縦横無尽に泳ぐ名古屋出身の4人組バンドであるのだが、このバンドには違和感がある。それは歌い方だ。CHAIの歌い方は異常に耳に残る。その理由を分析すると、サウンドも思想も海外的であるのに対して歌い方だけがまったく海外に寄せてないという点に尽きる。そしてそれは、日本的だと言い換えても良いのかもしれない。そのためサウンドと歌唱の間に齟齬が生じてしまい違和感が生まれるのだ。しかしその違和感が彼女達の個性でもあり、私たちの耳を離さないのも事実である。ただこのCHAIのもつ違和感には既視感を覚える。そう彼女たちの違和感を既に私たちは一度体験しているはずである。水曜日のカンパネラのことだ。

水曜のカンパネラもまた、ビートは海外のレイヴ・シーンに通じるサウンドであり、ステージのやり方もThe Flaming Lipsを参照したように感じるが、コム・アイの歌い方も日本的な歌唱であり耳に残る。しかしながら今日現在、その双方が日本だけでなく海外でも売れているという事は、この違和感こそが海外に受ける日本の形なのかもしれない。

ゴリさん(@toyoki123

 

12. SlowdiveSlowdive

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「Sugar for the Pill」

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11. Base Ball Bear『光源』

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「すべては君のせいで」

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青春というものは、その期限の外にいても思い起こすものなのだろうかと、Base Ball Bearの『光源』を聴いていると考えてしまう。高校生であり、青春の当事者ということになる僕にとっては、勿論のことなのかもしれないが、実感が湧かずにそうなってしまうのだ。当然、高校でバンドを結成した彼らもかつては当事者であったし、その時代から遠ざからないうちに青春性の高い作品を発表してきたが、小出祐介は年齢を重ねるとともに、その枠から外れたテーマを書くことが増えていった。しかしそこで、詞だけでなく音楽性としても多角的な視点を打ち出した『C2』という傑作のなかには再び青春という言葉、あるいはテーマを含む楽曲が収められたというのは非常に興味深い。

そしてこの作品が完成した。今作に「二週目の青春」というコピーを使っているが、一度蓋をしたにも関わらず、どこからか瞼を刺激する『光源』を振り返って眺めるような、熟されたものを思い返すような、そんな世界が広がっていた。小出祐介はもちろん、僕らも尊敬する岡村靖幸も歌ったように、青春とは「1,2,3 ジャンプ」なのであろう。僕もそのうち思い知る。単純ながら、それがすべて。

アベゴウタ(@got_ab

「あの日、あの娘に想いを伝えていれば」であるとか、「あの時、別の進路を選んでいれば」であるとか。不可逆な時間の流れの中で生きる日々に後悔は尽きない。今日の自分が正しい選択の先にあるものなのか、それとも間違い続けてきた結果なのか、それは誰にも分からない。

Base Ball Bearは結成15年目にしてギタリスト脱退という予期せぬルートを辿ることになった。バンドサウンドを決定づけてきたリードギターの不在はあまりにも巨大な穴である。しかしベボベはそこで立ち止まることを選ばなかった。リズム隊を主軸としたグルーヴを追究し、アレンジ制約からの解放でギターロックの域をゆるやかに飛び出した。歌詞においても、バンドの状況を生々しく反映させながら、これまで描いてきた青春譚とは位相の異なる新たな物語を展開させている。予期せぬ展開でどんな道を選ばせられようとも、自らの意思でその現在地を肯定する。ベボベはこの形態でしか開拓し得なかった道筋で確かな正解を導き出した。「ロックバンドは生き物」であることを力強く体現しながら、リスナーの心にも光をそっと灯す傑作。

月の人(@ShapeMoon

 

10. 米津玄師『BOOTLEG

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「灰色と青( +菅田将暉 )」

「あのバンドの音楽性にあの漫画の世界観をくっつけたい!」「あの人と一緒にあの映画みたいな歌を作りたい!」想像力というより空想力が先走ったような膨大なアイデアを、童心に誘われるがままに具現化した彼にとっての「僕が考えた最強の音楽」。あらゆるカルチャーの集積の上で高らかに鳴り響くこのアルバムは米津玄師の誇りと愛着に満ちていて、聴いていると彼の趣味遍歴を辿っているような気分になれる。

ひたすら自分の「大好き」を繋げ合わせた無邪気さの裏側で、ギラギラとした目つきで繰り出されるシーンへの批評も見逃せない。その両面が全く喧嘩することなく同居しているバランス感覚にも唸らされるばかりだ。大衆に迎合するわけでなく、しかしエゴに終始することはない。海賊盤と銘打ったタイトルでありながら、間違いなくここでしか聴くことの出来ない彼の音楽は、多くの人々の心を掴んで離さない確固たる域に到達した。これからも気の赴くまま、飄々と時代を撃ち抜いていって欲しい。

月の人(@ShapeMoon

 

9. Cornelius『Mellow Waves

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「あなたがいるなら」

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8. Thundercat『Drunk』

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「Tokyo」

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7. The National『Sleep Well Beast

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「'Walk It Back」

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これはレビューとしてどうなのって感じですけど、僕はこのアルバムの良さを上手く人に伝えられないです。アダルトでクールな音の中にある生を感じるようなギターが好きだったり、ピアノと声のバランスがただただ僕のツボだったり、このアルバムにある温度感が人間的で安心する「家」のようだなと思ったり。感覚的でざっくりとした理由ばかりが浮かんでくる。

この上手く言い表せないけど、でも自分の感覚としか言えない部分を掴まれてしまう。それが心地よくて、呼ばれるように何度も何度もこの作品に触れていた。いつか、しっかり人にこの作品がいいことを説明できるようになりたいような。なりたくないような。近いのに、まるで遠くにいるような作品でした。そこのあなたも呼ばれる感覚を味わってください。 

さこれた(@bewith0301

寝かせておくといい味が出る、カレーみたいな音楽。p.s.寝かせたカレーは衛生面ではヤバいらしいけど、この音楽は健康に良さそう。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

6. Calvin Harris『Funk Wav Bounces Vol. 1』

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「Feels ft. Pharrell Williams, Katy Perry, Big Sean」

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5. tofubeats『FANTASY CLUB』

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「LONELY NIGHTS」

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嫌だけど傷つくというほどでもない。悲しいけど泣くほどでもない。声を荒らげることでもない。ストレス耐性という言葉があるが、人は泣いたり怒ることに境界線を引いているのではないか?あらゆることに怒れば疲れるし、かといってすべてを許していたら心がパンクしてしまう。でも引き金にすらならない小さな傷が積もり身動きが取れなくなる。そんな時に音楽を聴く。効果があるものもあるだろう。このアルバムにそれを求める人もいるはずだ。

しかしこのアルバムの意義は、むしろこの社会を描くことにあるのではないか。高値が続く日経平均、狂騒の仮想通貨。報道を見る限りおそらく景気は良い。恩恵を受ける人もいるだろう。だけどその世界の片隅で僕らは何かと戦っている。傷ついている自覚がないまま傷ついている。本当は誰か悪いやつがいるのかもしれない。でもその正体が掴めないまま必死に日常を耐えている。希望はあるか?わからない。わからないけどこのアルバムを聴いてると同じだな、と思う。何が同じなのかはわからないし、もしかしたら仲間でもないのかもしれないし、会ったこともないけど(見たことはある)、それでも同じだなって。それはとてもありがたいことなのだ。

ぴっち(@pitti210

 

4. Kendrick Lamar『DAMN.』

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「HUMBLE.」

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ケンドリック・ラマーは神になろうとしている。その証明が『DAMN.』であろう。1曲目の「BLOOD.」で盲目の女性を助けようとするというのは新約聖書ヨハネ福音書第9章にある盲人の開眼の奇蹟を思わせるし、ケンドリックはあっけなく銃殺された後に最後の曲「DUCKWORTH.」で逆再生が始り、最初の「BLOOD.」の冒頭へ戻るのはキリストの復活を思い起こさせる。ケンドリックが敬虔なクリスチャンであり、過去の作品でも神に対して言及していた事や『DAMN.』の発売日が4月14日、すなわちキリストが亡くなった聖金曜日にこの作品をリリースした事などから考えると、自らを神に見立てた作品だと言える。

ちなみにキリストが生き返るのは聖金曜日から3日後なのだが、ケンドリックは撃ち殺されてから1時間程度で復活する。つまり神より早く生き返る事で、ドナルド・トランプが大統領になるような神なきアメリカで俺が人々を導く神となるという宣言する。名実ともに今の勢いを証明させてくれる一作、それが『DAMN.』である。

ゴリさん(@toyoki123

ケンドリック・ラマーは神ではない、人間だ。その証明が『DAMN.』だといえる。『To Pimp a Butterfly』と同じく、本作でテーマとして扱っているのは"自身へのリスペクト"である。「DNA.」「HUMBLE.」ではアーティストとして強気な姿勢を崩さないが「ELEMENT.」では"そんな自分は誰も私を祈ってくれる人はいない"と語り「PRIDE.」では"私は完璧でないし、人を信じることのできない"とナイーブになるケンドリックが描かれる。

このように見ると、本作が「神なきアメリカへの批判」だけでなく、ケンドリック・ラマーという人間を描いた作品でもある事がわかる。すなわち、現在の姿とその内面での葛藤を描くことで、彼も様々な悩みを持つ一人の人間であり、ケンドリックのようになるには自分自身をリスペクトしなければならないと聴衆へ説いているのだ。では自身を変える事で世界はどうなるか。本作の最後の曲「DUCKWORTH.」は最後で逆再生が始り、最初の「BLOOD.」の冒頭に戻る。つまりは今とは違った新しい物語がスタートすると私たちに伝える。苦境に立たされている今、自分自身をリスペクトすれば新しい世界が始まる。そんなことを『DAMN.』という作品で、ケンドリックは私たちに伝えてくれているのではないか。

マーガレット安井(@toyoki123

 

3. Beck『Colors』

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「Up All Night」

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Beckの要素を解体すれば大きくローファイとアコースティックの2つ分けられる。例えば『Odelay』ではローファイの成分を強めに出し、『Morning Phase』ではアコ―ステックの成分を強めに出したりと、作品ごとに二つの要素の比重を変えることで、Beckの作家性は担保されていたと言ってもいいだろう。ところが本作にはその二つの要素は感じられない。プロデュースにアデルやフー・ファイターズ等を手掛けるグレッグ・カースティンを起用していることからもわかる通り、過去作と比べると異常なまでにポップである。音数も多く、クリアで華やか。本作を一言でいってしまえば「BECKらしくないアルバム」だと言ってもいいだろう。

しかしそれは言い換えるならば、本作はBeckとして未知なる挑戦だともいえるし、新しい道を切り開いた作品だとも言える。衰えを知らず、常に自らの形を更新をし続けるBeck。これからますます見逃せない。

ゴリさん(@toyoki123

 

2. The xx『I See You』

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「I Dare You」

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森絵都の小説「カラフル」で、絵を描くのが得意な少年が自分の世界に閉じこもる安心感の中で暗色・寒色を好んでいた様子が描かれている。彼は感情的な殻の外へ出て人と触れ合うようになることで、世界が豊かな色彩に満ちていることと、この世があまりにもカラフルだからこそナイーブな迷いが生じることに気づいていく。

1st、2ndには、静かな冷たい暗闇の中で息づいている親密さが伝わってくるような魅力があった。続くJamie XXのソロ作「In Colors」ではバンドが持っていたミニマルなイメージの逆を行く曲であっても、トラックを彩るプロデューサーとしての手腕が遺憾無く発揮できることが証明された。そして本作では、メンバーの連帯感というシェルターの中で丹念に築かれてきた音楽が、冷たい手触りをちゃんと残したままで開放的に鳴っている。その感覚は冒頭で書いたような、シェルターの外側の空気に触れたことで世界が色づきながら、迷いや寂寥感と生き続ける境地にきっと通じている。バンドのストーリーとリンクした変化を経て結実したサウンドにエモーショナルな納得感を抱いた。こんないいアルバムが聴けて素直にうれしい。 

カラカル(@Apteryx_Iwk

 

1. PUNPEE『MODERN TIMES』

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PUNPEE、パンピー、一般ピーポー。《キミはオレで オレはキミなんだ》と言うようにPUNPEEとは特定の人間を指す言葉ではない。初っ端から《別に俺なんかいなくてもね KOHH君, tofubeats, 弟とかがいる》と卑下し、続く「Happy Meal」では《ありったけのチーズバーガー チミチャンガにワッパー/端からまとめて食っちゃうんだ》と大量生産の品物を食す幸せを口にする。自分は特別ではなくありふれたものという認識。でもそれだって何年も前に「NO.1にならなくてもいい」と歌うアイドルがいたわけで、不定期で社会に訪れる考え方なのだろう。そんな人間が最後の最後ですべてひっくり返し《だけど君は言うよ でもヒロインがそういうならば つまり僕はHero》と叫ぶのもそう。人は愛する人のために英雄となり殺戮を繰り広げた。すべては反復であり、僕らもそこに立ち、それも過去となる。

だけど確か2017年、あの頃の僕らの心を震わせたあのアルバム。ポップでドープでヒップホップでハートウォーミングで、それまで聴いたことのない音楽。なんて名前だったっけ?それは確か……

ぴっち(@pitti2210

こういう評価をしてる人が殆ど居ないのは「見当違いだから」だと思うんだけど、あえて。少なくともフリースタイルダンジョン以降の日本語ラップでこの作品くらい「歌える」のって殆どなかったと思うんですよね。

「間違ってもカラオケで日本語ラップは歌うな」「放り込んでいいのはリップにケツメイシが相場」(Creepy Nuts「だがそれでいい」より引用)みたいな現象に陥ったことのある人って少なくないと思うんですけど、そんな僕たちに朗報ってアルバムだと感じました。サビのメロディーも良いし、トラックかっこいいし、汚い言葉も少ないし、超高速って訳でもなく。でも突き詰めるとめっちゃ高度で、でもやってみたくなるってラップはひっさびさに感じました。COUNTDOWN JAPANでPUNPEEを見て、周りでめっちゃ合唱起きてたのを思い出しながら書いてます。

はっちゅ(@colorfulwhite) 

ヒーローってのは因果な商売だと、特撮作品を数々観てきてそう思う。ヒーローは人から望まれてはじめてヒーローになるからだ。「させられてしまう」と言い換えてもいい。この「させられてしまう」という状況はまさにPUNPEEの、今作をリリースするまでのストーリーと重ならないだろうか。自身が所属するユニットPSGやSTUTSとのコラボレーション「夜を使いはたして」の異様な盛り上がりによってプロップスが青天井に釣り上がってしまった現在。のらりくらりと生きてきた一般人のはずなのに、彼はいつのまにか引き返せない所まで連れられてしまったのだ。数多のヒーローを求める声によって。

本作はそんな引き返せない状況を自ら引き受けた一枚と言える。曲を追うごとにカッチリしていくビートの質感は、自堕落な男が自堕落なまま、しかし意思を固めていく過程を辿るようでもある。そして最後に《ヒロインがそう言うならば、つまり僕はヒーロー》と、愛しきヒットガールのために宣言する。弱っちい一人の男は今、弱っちいまま大衆と対峙せんとしている。これがプリクエル。時代が望むとき、ヒーローは必ず蘇る。

まっつ(@HugAllMyF0128

 

ネットの音楽オタクが選んだ2017年のベストアルバム 50→1

1. PUNPEE『MODERN TIMES』
2. The xx『I See You』
3. Beck『Colors』
4. Kendrick Lamar『DAMN.』
5. tofubeats『FANTASY CLUB』
6. Calvin Harris『Funk Wav Bounces Vol. 1』
7. The National『Sleep Well Beast
8. Thundercat『Drunk』
9. Cornelius『Mellow Waves
10. 米津玄師『BOOTLEG
11. Base Ball Bear『光源』
12. SlowdiveSlowdive
13. CHAI『PINK』
14. 私立恵比寿中学『エビクラシー』
15. Suchmos『The Kids』
16. Mura Masa『Mura Masa
17. 土岐麻子『PINK』
18. サニーデイ・サービスPopcorn Ballads』
19. シャムキャッツ『Friends Again』
20. Lorde『Melodrama』
21. 赤い公園『熱唱サマー』
22. スカート『20/20』
23. The War on Drugs『A Deeper Understanding』
24. Yogee New Waves『WAVES
25. Dirty ProjectorsDirty Projectors
26. King Krule『The OOZ』
27. Special Favorite Music『Royal Blue』
28. 台風クラブ『初期の台風クラブ
29. LCD Soundsystem『American Dream』
30. Father John Misty『Pure Comedy』
31. GRAPEVINE『ROADSIDE PROPHET』
32. YUKI『まばたき』
33. The Horrors『V』
34. Cloud Nothings『Life Without Sound』
35. SZA『Ctrl』
36. For Tracy Hyde『he(r)art』
37. Tyler, the Creator『Flower Boy』
38. Kamasi Washington『Harmony Of Difference』
39. St. Vincent『Masseduction』
40. Phoenix『Ti Amo』
41. Phoebe Bridgers『Stranger In The Alps』
42. Julien Baker『Turn Out the Lights』
43. Wolf Alice『Visions of a Life』
44. Vince Staples『Big Fish Theory』
45. Arca『Arca』
46. 坂本龍一『async』
47. Bonobo『Migration』
48. indigo la End『Crying End Roll』
49. Sampha『Process』
50. RHYMESTER『ダンサブル』