ネットの音楽オタクが選んだベスト平成アルバム 100→51

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延期してすみません。2日目です。こんなところで愚痴るのもなんですが、アルバムのほうが記事を作るのが大変なような気がしています。データの重みが違うというか、まあソングは1曲なのに対してアルバムは10曲くらい入ってくるからデータ量に重みがあるのは当然なのですが、時間が経っているせいか思い入れが大きくてやりにくいです。明日で終わります。よろしくお願いします!(ぴっち)

このランキングについて
  • Twitterハッシュタグ、募集記事のコメント欄に寄せられたものを集計しました。
  • 募集期間は平成最後の4/20-30の間。
  • 462人のデータを集計しました。
  • 同点の場合、乱数を発生させて順位づけしています。
  • そのため順位に深い意味はありません。気にしすぎないでください。
  • 150位以内はすべて6人以上に挙げられたものです。
  • レビューは有志によるものです。500字以内ディス無しでやっています。
  • なおレビューは随時追加されます。

 

100. Base Ball Bear新呼吸』(2011)

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僕のBase Ball Bearというバンドとの出会いは、発表から2年経った2013年の冬に初めて聴いた「short hair」だった。この曲にハマりすぎた自分は、それまで一度も触れたことも無かったギターを買った。コードの一つも知らない僕が初めて弾いたコードは、この曲の始まりのコード、D♭add9だった。正確に言えば、Capo1を知らずに弾いていたので、Cadd9だった。僕が最初にギターから鳴らした音、それはもう酷いものだった。酷い音だったけど、夢中になって鳴らし続けた。音は全然鳴らないし、想い描いてたコードと違うし、指は痛いし、言葉にするとマイナスな事ばかりだけど、あれほどキラキラした瞬間は自分の人生の中でも数少ない。「青春」なんて言葉は、思い出を後から着色して美化するための言葉だ。だけど、あの瞬間は今でも着色して美化したいと思える瞬間だった。

今、僕のギターは1年以上弾いていない状態で部屋の壁に立て掛けてある。何でも無い日にふと、立て掛けられたギターを見て、そろそろ弦を張り替えてみようかな、とあの頃に戻ろうとしては何度も立ち止まっている。

ハタショー(@hatasyo5

 

99. くるりさよならストレンジャー』(1999)

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98. Galileo GalileiPORTAL』(2012)

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97. L'Arc-en-Ciel『ray』(1999)

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リアルタイムで当時のラルクを目撃できたことは自分の人生の数少ない喜びであるのだが、あの頃のラルクはかっこいいとかロックという印象というよりも「こういう曲でシングルが切れるんだ!」という驚きが大きかった。具体的には「花葬」「浸食」「forbidden lover」だ。ゴシックだったりダークだったりするこれらの楽曲がシングルとしてリリースされたのはタイアップが付いたのが理由だが、そんな事情を知る由も無い当時の自分はそのやりたい放題のラルクがとても魅力的に映った。

同時発売の『ark』『ray』以降、彼らは巨大化していくラルクに消耗していく。活動休止以降は共同体としてのラルクに殉じるようになるので、メンバー全員が健全に音楽的な実験ができたのはおそらくこの時期までだろう。『ark』『ray』は日本語で言うと「方舟」「光」と訳されるが、そのテーマに基づいてアルバムが設計されたとはとても思えない。yukihiroのドラムが3人に馴染み、4人が化学反応を起こした頃に生まれた曲をそれっぽく並べただけの作りだと思う。にもかかわらずこれほどまでに物語があり、音楽的な刺激に満ちている。この頃の彼らは宗教そのものだった。

ぴっち(@pitti2210

 

96. 米津玄師『YANKEE』(2012)

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95. the pillows『Please Mr. Lostman』(1997)

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94. 東京事変『教育』(2004)

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93. school food punishment『amp-reflection』(2010)

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school food punishmentがメジャーで活躍し始めた頃は、ちょうどスマホSNSの普及によって、それまで匿名掲示板や会員制サイトによって顕現していた「いつでもどこでも知らない誰かとも繋がっていられる」場所としてのインターネットが、多くの人にとって当たり前のものになっていった時期と重なると思う。あらゆる情報が止めどなく溢れる広大なネットの海においては誰もが発信者になることができ、孤独感や、どこにも属していない虚無感を癒してくれる居場所となり得るという認識が (電車男のようなキャラにとってだけでなく、より一般的に)広まっていった時期だった。

だからこそ、冒頭で歌われる「暗く深い海の底」で熱を帯び出した心が、情報の海を越えて想いを届けられる世界に生きていることを祝福する最終曲に行き着く本作を聴き直す度に、ネットの力で目の前に眩しくて新しい世界が拓けていくような確かな希望とポジティブな可能性を思い出さずにはいられない。某音楽ライターさんがネット社会での情報発信を「手紙を詰めた瓶を海に流すこと」に例えていたように、この大海原のどこかで、誰かの想いは拾われる日を待っている。逃さないでね。

カラカル@Apteryx_Iwk

 

92. サカナクション『kikuuiki』(2010)

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91. マキシマム ザ ホルモン『ぶっ生き返す』(2007)

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90. ELLEGARDEN『ELEVEN FIRE CRACKERS』(2006)

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89. JUDY AND MARYWARP』(2001)

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線香花火の最後のスパークを音楽で表現すると、このアルバムになるのだと思う。90年代を鮮やかに彩ったJUDY AND MARYという稀有なスーパーポップネスをたたえたバンドは、『WARP』のリリースを最後に東京ドームでラストライヴを行い、解散した。このアルバムに収録された歌詞や曲や歌割りには、メンバー間の不協和音に対する悲痛な気持ちが表出しているように感じられる。解散すると決意したバンドの音源を追うのは切ない。

爽やかで可愛くて、ちょっぴり毒のあるトリッキーな展開をみせるアルバムの流れのなかに「あたしをみつけて」という、いつ聴いても青春時代に帰ることのできる、普遍的で人柄の良い曲が存在する。そのまま「mottö」「ラッキープール」という全力疾走で突き抜ける最高のシングル群が続くのだから、再生を止めるなんて選択肢、あるはずがない。リスナーにはその選択肢をいっさい与えないアルバム、だったのになあ。

やや(@mewmewl7

 

88. the band apart『K.AND HIS BIKE』(2003)

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自分はみんなとは違うんだ。という感情はテーンエイジの時に一度は持つと思うんだけど。そんな思春期時期にバンアパと出会い。これを待っていたという感触が全身に掛け渡ったのを今でも鮮明に覚えている。天才。鬼才。センス抜群。ボサノバやジャズ的な要素を入れながらもロックであること。当時、熱血系パンクが流行していたが、馴染めなかった私の前に突然現れた洗礼されたバンアパの音色。当時、自分だけがこの格好良い音色を奏でるバンドを知っていることが誇りにも思っていた。あれはきっと16の夏の出来事だと思う。そしてその後の人生は《Yeah, Yeah, Yeah, Everything is all right》です

ログ(@log0035

 

誰かの生活になれるものは、強い。なんとなく知って距離を縮めて、気づいたらいっしょにいる。私にとってのthe band apartの音楽もそうだった。知人の紹介で現れた『K. and his bike』はあっという間に私の日々を彩った。音楽が誰かの生活になるのは、案外大変だ。劇薬みたいな刺激じゃ飽きるし、メッセージ性が強すぎると聴けない時もある。耳障りが良いだけでは、心に残らない。バンアパの音は、私にちょうどよかった。さらっと流して聴けるけど、よく聴けばテクニカルで細かいフレーズが連なっている。英詞はよくわからないけれど、歌詞カードをめくれば皮肉を交えて日々の話をしていた。音の妙と意外な言葉選びが面白くて、ますます再生するようになった。勉強、通学、通勤、散歩、ランニング、ドライブ。たいていの場面に似合って、ちょうどいい温度で寄り添ってくれた。
幸運だったのは、本作と同じかそれ以上の質で、作風を大きく変えない新作をリリースし続けてくれていること。「FUEL」冒頭の高揚感、「K. and his bike」の胸を掻き立てられる感じ、「Eric. W」の問答無用でときめく感覚を、いまの彼らに合う詞を添えて、研ぎ澄ませていっている。出会った時には、こんなに長いお付き合いになると思わなかった。私の生活をガラリと変えた1枚。

rinko(@superbellemer

 

 

87. 東京事変『大人』(2006)

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86. くるり『THE PIER』(2014)

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特別な味噌汁って、どんな味噌汁なんだろう。豆腐屋のおじさんを止めてまで買うくらいだから、豆腐が主役なんだろうか。それとも、味噌汁を作ること自体が特別なんだろうか。その味噌汁を一体誰と、どんな顔で、どんな言葉を交わしながら食べるのだろう。そんな架空の誰かの日常を色々想像してしまう。豆腐を買う、味噌汁を作る、そんなことは何でもない日常の1シーンに過ぎないけど、そんな何でもない日常の美しさを切り取れるのが良い。くるりを聴いているときは、いつだって少しだけ日常が幸福になる。どうでもいいけど、僕の特別な味噌汁はニラと卵の味噌汁。卵は黄身も白身も完全に固まるまで熱を加えるのが、僕の特別だ。なんとクセの強い特別だろう、書きながら少し笑ってしまった。 

ハタショー(@hatasyo5

 

85. キリンジ『3』(2000)

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84. X『Jealousy』(1991)

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83. 中村一義『金字塔』(1997)

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82. cero『POLY LIFE MULTI SOUL』(2018)

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81. ももいろクローバーZバトル アンド ロマンス』(2011)

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なんて素敵なタイトルだろうか!ゼロ年代終盤のポップスシーンに対して徹底的にオルタナティブな姿勢であり続けた楽曲たちは主流と"闘う音楽"と呼ぶに相応しい。それらを用いて日常に至上の高揚感をもたらしながら異端なまま勝ち上がっていった彼女たちのエンターテイメントは甘美なるドラマ。ももクロイズムを言い当てる「バトル アンド ロマンス」。これ以降の作品群が難解かつコンセプチュアルなものになっていくわけだが、根幹を成すこのスタンスは揺るぎない。

この1stアルバムにはももクロのアイドルとしての剝き身な真価が納められているように思える。時にはヒーローの姿で、時には忍者に成り代わり、時には恋に生きるヒロインとして、時には夏休みが終わる寸前の女学生のままで。バラエティに富んだ楽曲を次々と乗りこなし、変幻自在に表情を変えながらも、全てを”皆の笑顔”に向けてすっ飛ばしていく様は痛快でしかない。J-POPを引っ搔き回すトリックスター、その快進撃の号砲である。

月の人(@ShapeMoon

 

80. bloodthirsty butchersKOCORONO』(1996)

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79. 折坂悠太『平成』(2018)

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78. チャットモンチー『生命力』(2007)

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77. 東京事変『スポーツ』(2010)

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76. BLANKEY JET CITY『BANG!』(1992)

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75. Galileo Galilei『Sea and The Darkness』(2016)

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74. NUMBER GIRL『NUM-HEAVYMETALLIC』(2002)

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より「和風」なハードコアに接近し、日本語ラップも取り込み、かつての青春ギターロックを置き去りにしたようで、しっかりと青春の足跡を残している。そんな混沌としたオリジナリティを爆発させたアルバム。"諸行無常""性的衝動"をエネルギッシュに体現し、殺気立つ物騒な世界観がお祭り騒ぎのエンターテイメントへと落とし込まれている。イントロからワクワクするキラーチューン「NUM-AMI-DABUTZ」は、This is 雪崩れのような怒涛の音の絡まり。国宝級のアンサンブルが鳴り響く冷凍都市への鎮魂歌の如し。劇的でドラマチックのようでもあるが、不特定多数の妄想を暴発させた日常の裏側を照らす世界。最後は「黒目がちな少女」で、ごくごく普通の日常を壮大に歌い上げ、祭りが終わる。呆気なく熱は冷めようとも、またふと湧き上がる。以下、振り出しに戻る。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

73. ASIAN KUNG-FU GENERATION『ファンクラブ』(2006)

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72. globe『globe』(1996)

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71. Mr.Children『シフクノオト』(2004)

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70. Cornelius『POINT』(2001)

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69. BUMP OF CHICKENorbital period』(2007)

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68. レミオロメン『ether』(2005)

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大学生の頃、たまたま立ち寄ったCDショップで手に取ったアルバム。帰宅して、一周通して聴いた頃にはすっかりレミオロメンに夢中でした。美しい四季を歌う「春夏秋冬」で周りの世界が輝いて見えたし、「アカシア」「深呼吸」にはどれだけ救われたかわからない。「南風」で恋の楽しさを感じて、「海のバラッド」で愛について考える。そこには間違いなく、私の青春の1ページがありました。

かえで(@kaede_lily

 

67. ASIAN KUNG-FU GENERATIONワールド ワールド ワールド』(2008)

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『ソルファ』でバンドを取り巻く状況が一変し、結果として内省を深めた『ファンクラブ』。その塞ぎ込んでいた季節を通過し、「新しい世界」へと突入せんとする冒険譚のような1枚。完成に至るまでのセッションは過酷を極めたと度々インタビューなどで語られているが、その果てで手にした多様なサウンドはジャケット通り、アルバムを高彩度で鮮やかなものにしている。

夜明け前を描いた「アフターダーク」から、主観・客観・俯瞰を交えながら現代社会と対峙し、「ナイトダイビング」で再び夜に沈む。遥か宇宙の闇へと思いを響かせながら、ただ「朝」を待つ終盤へ。生まれ落ちたこの世界で何を愛し、何を祈るのか。そんな自分の在り方を巡る肉体と心の旅。タイアップシングルを交えながらこのタフなコンセプトを練り上げたのも圧巻。また、世界観を共有する『未だ見ぬ明日に』と、本作の反動で瑞々しい青春をラフに描いた『サーフ ブンガク カマクラ』は連星のように輝く関連作だ。アルバムという媒体が失われようとする今、最も思い出すのがこの一連の作品群。血の通ったメッセージはこう伝えて欲しいのだ。

月の人(@ShapeMoon

 

66. YUKIうれしくって抱きあうよ』(2010)

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解放的なポップソングの嵐。13通りもの多種多様なアプローチで彩られた現実みのある幻が、高揚感をグイグイ後押ししてくれる。赤帽子のヒゲが手にするスターな無敵っぷり。パワフルな生命力、やりたいことなんでも表現しちゃう自由さ。これからどんなに老いていこうとも、喜怒哀楽を朗らかに噛み締められますようにと、潤いを求めたとき、このアルバムが役に立つことでしょう。

わど。つまり、ウラニワ(@wadledy

 

65. スーパーカーFuturama』(2000)

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64. 中村一義『ERA』(2000)

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10年に1人の天才と言われデビューし、1stの『金字塔』でまさしく金字塔を打ち立ててしまった中村一義の3枚目のアルバム。ロッキンオンジャパンで90年代日本のロックのベストアルバムの投票があって、並み居る強豪を抑えて見事1位を獲得したのがこの『ERA』だった。バンドでもなく、ライブもしないひとりだけで作った音楽がまさしくERA=時代を作ってしまった。自由自在に動くメロディーに、ここまで言ってしまうのかというような歌詞。近年のライブでもこのアルバムからの選曲がメインになっている。中村一義はこの『ERA』という怪物のようなアルバムを作ってしまったから、この後に100sというバンドに行かざるを得なかった気がする。

文人@FesNatsu

 

63. サカナクション『シンシロ』(2009)

 

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通算3枚目、北海道から東京へと活動拠点を移しての1枚目。環境が変われば作るものもそれに即して自在に変化させていくのがサカナクションの生態だが、先攻シングル「セントレイ」の突き抜けるようなシンセリフからも明快な通り、より広い海を目指して泳ぎ始めた瞬間を捉えた1枚である。現在の作品群を構築する上で欠かせない編曲の分業制もこの頃から導入され、バンドがより一塊の音楽集団へと変貌しようとしている季節でもあった。

派手に耳を惹きつける前半から、インストの「minnanouta」を挟んで以降の3曲は内向きな楽曲が並ぶ。北海道時代から存在する「雑踏」、シュールに展開していく「黄色い車」、山口一郎の弱さを明け透けにした「enough」。アルバム内に表と裏、メジャーとマイナー、陰と陽をしっかりと印象づけながらバンドをデザインしてきたことは今に至るまで続く。ポピュラリティを獲得しながら、自らの内面との対話も深めるという、自分たちの信じるバランス感を掴み取り始めたことが伺える構成を持った作品だ。”新しい白”を意味するタイトルからも、これから始まる途方もない音楽探究の幕開けを感じる、始まりの音が鳴っている。

月の人(@ShapeMoon

 

62. Mr.Children『IT'S A WONDERFUL WORLD』(2002)

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61. サカナクションDocumentaLy』(2011)

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60. X『BLUE BLOOD』(1989)

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59. Mr.Children『Q』(2000)

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58. ELLEGARDEN『RIOT ON THE GRILL』(2005)

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57. PUNPEE『MODERN TIMES』(2017)

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量子の世界では、粒子はいくつかの状態が複数重なりあった状態で存在している。いまいち何を言っているかわからないのは、量子世界の状態は僕らの世界では起こり得ないし、たとえようもない状態だから当然のことだ。この「僕らの世界の状態と異なる量子世界の状態」に疑問を呈す思考実験が、シュレディンガーの猫だ。元々は量子世界を考えるための思考実験の筈が、いつしか「箱を開けるまで中身は分からない」という別の意味を持つものになってしまった。

僕らの世界には、量子世界のような状態は無い。それは間違いないけど、人間の感情って量子みたいだな。ふと、そう思った。好きと嫌い、愛情と憎悪、自信と劣等感、悲しさと嬉しさ。こんなふうに言葉にすると何か違う矛盾した感情を、僕らは常にこの世界で言葉という形にできないまま生きている。あながち量子世界というのは僕らが理解しづらいものでは無いのかもしれないな、最近勝手にそう感じている。PUNPEEも、そこまで考えて「箱の中の猫」を歌ってくれていたらうれしいな。さすがにそれは無いか。なんてことを考えて少し笑ってしまった。偉大なる暇潰しを前にすると、どうやら想像力は惰性で流せないらしい。

ハタショー(@hatasyo5

 

56. L'Arc-en-Ciel『HEART』(1998)

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私にとって、彼らを好きになった時期に最新アルバムとして存在していたのが『HEART』だ。一人きりの部屋や、小学校や塾の行き帰りに母の運転する車の中でよく聴いていた。温度も湿度も低く、聴く者をも寄せ付けないクールな雰囲気がとにかくかっこよく、この地球上のどこよりも居心地がよかった。このアルバムは彼らの作品の中でもっとも繊細な雰囲気を纏っている反面、ライヴの定番曲も多く「Shout at the Devil」はいつだって興奮で脳内が爆発するし、「fate」「あなた」はいつだって言葉を失い感情に埋もれる。

あの頃のラルクは、おそらく旋律そのものだったのだと思う。息をするのもやっとの曇天に突如現れる閃光と雷鳴のような、それでいて静謐な森林を深々と満たしてゆくもやのような、圧倒的な静に揺れる明らかな動。このアルバム誕生に関する、バンドにとっての最重要ストーリーも存在するが、もはや限られた文字数で語るには蛇足と化すほどに、この作品は名盤としての地位を確立している。すべては真実とともにある、と、彼らは時を奏でたのだ。それ以外に語るべきことなど、一体なにがあるというのだろう。

やや(@mewmewl7

 

55. フジファブリック『TEENAGER』(2009)

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例えるなら恐ろしい色をしてる外国のカラフルなお菓子みたいな、ぶっちゃけ「若者のすべて」ですらこの曲順だと浮きまくってるくらいサイケでカオスなアルバムだと僕は感じているのです。「東京炎上」とか「パッション・フルーツ」とか。しかしえぐい色の飴の中にスースーするさわやかな味のがある、それが「ペダル」とか「星降る夜になったら」とか。スースーする飴だけの缶を作っても成立するけど、混ざってるからこそどっちも美味しいみたいなアルバム、という例えはどうでしょうか。

はちくん(@Hat_chyu
 

54. MY LITTLE LOVER『evergreen』(1995)

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53. BUMP OF CHICKENTHE LIVING DEAD』(2000)

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2000年代半ば、小学校高学年でネット環境を手にした僕は、クラスメイトの誰かが見つけてきたおもしろフラッシュの山を見漁る日々を送っていた。そんな折に、思いがけず見つけた「K」のフラッシュ動画、幼心に感動してしまった。当時はバンドがどうだ、歌がどうだ、という以前にお話として面白い!という感覚で惹かれていった。それがBUMP OF CHICKENの楽曲である。インターネットの中で生成された特有の閉塞感と、楽曲の持つ繊細なムードが溶け合って、独特な中毒感があったような思い出。

アルバムの全貌を聴いたのはその少し後なのだけど、全ての楽曲が物語形式であるという構成は、こういう出会い方をした少年としては興奮しかなかった。全部フラッシュで観たい、とすら思っていた。なんなら頭の中でフラッシュ動画を作ってた、「ベストピクチャー」とか作りやすかった。こう考えると、役には立たないけれど、現実をちょっと楽しくさせる想像力を養ってくれたバンドだな、と思う。この数年後に「Opening」と「Ending」が「プレゼント」という曲だったと明かされるのだけど、それはまた別のお話。

月の人(@ShapeMoon

 

52. くるり『ワルツを踊れ Tanz Walzer』(2007)

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なんで自分はこのアルバムがこんなに好きなのかを考えると、ファルセットで何を言っているかよくわからない「ミリオン・バブルス~」、ツボだったりする関西弁で喋るようなメロディやアウトロでストリングスとエレキギターが競い合う「アナーキー・イン~」とかポイントは多くある。全体を通して言えるのは曲の軽やかさ。Eテレで流れていても違和感の無い、ポップで人懐っこくて親密なメロディ。そこに乗る歌詞は、大層なことでなく可愛らしい。家族や友達との親しい間柄で交わされるような想いや会話。くるりのそんな歌は元々好きだったけど、その純度やピュアさはここである種極まっている。だって「ハム食べたい」の連呼だし。「ブレーメン」や「ジュビリー」はスケールの大きな曲だけど、どこか民謡みたいでゆるい雰囲気でそれがまた良い。

本作の特徴であるオーケストラのアレンジは、曲の感情を揺さぶったり研ぎ澄ましたりしていく。だけど、あくまでギターがメイン。その音はとてもきれいで重くなく、全体的に音に隙間が残り、聴いていてまったく疲れない。いろんなスタイルがあるくるり、一つの到達点は間違いなくここ。この可愛らしい作品を、これからも猫可愛がりしていきたい。

けんじ(@knj09

 

51. RADWIMPSRADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』(2006)

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ネットの音楽オタクが選んだベスト平成アルバム 100→51

51. RADWIMPSRADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』
52. くるり『ワルツを踊れ Tanz Walzer』
53. BUMP OF CHICKENTHE LIVING DEAD
54. MY LITTLE LOVER『evergreen』
55. フジファブリック『TEENAGER』
56. L'Arc-en-Ciel『HEART』
57. PUNPEE『MODERN TIMES』
58. ELLEGARDEN『RIOT ON THE GRILL』
59. Mr.Children『Q』
60. X『BLUE BLOOD
61. サカナクションDocumentaLy
62. Mr.Children『IT'S A WONDERFUL WORLD』
63. サカナクション『シンシロ』
64. 中村一義『ERA』
65. スーパーカーFuturama
66. YUKIうれしくって抱きあうよ
67. ASIAN KUNG-FU GENERATIONワールド ワールド ワールド
68. レミオロメン『ether』
69. BUMP OF CHICKENorbital period』
70. Cornelius『POINT』
71. Mr.Children『シフクノオト』
72. globe『globe』
73. ASIAN KUNG-FU GENERATION『ファンクラブ』
74. NUMBER GIRL『NUM-HEAVYMETALLIC』
75. Galileo Galilei『Sea and The Darkness
76. BLANKEY JET CITY『BANG!』
77. 東京事変『スポーツ』
78. チャットモンチー『生命力』
79. 折坂悠太『平成』
80. bloodthirsty butchersKOCORONO
81. ももいろクローバーZバトル アンド ロマンス
82. cero『POLY LIFE MULTI SOUL』
83. 中村一義『金字塔』
84. X『Jealousy』
85. キリンジ『3』
86. くるり『THE PIER』
87. 東京事変『大人』
88. the band apart『K.AND HIS BIKE』
89. JUDY AND MARYWARP
90. ELLEGARDEN『ELEVEN FIRE CRACKERS』
91. マキシマム ザ ホルモン『ぶっ生き返す』
92. サカナクション『kikuuiki』
93. school food punishment『amp-reflection』
94. 東京事変『教育』
95. the pillows『Please Mr. Lostman』
96. 米津玄師『YANKEE』
97. L'Arc-en-Ciel『ray』
98. Galileo GalileiPORTAL
99. くるりさよならストレンジャー
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