森高千里 with カーネーション「夜の煙突」

森高さん、「200曲セルフカヴァー」という途方も無い企画をやってたのか。

先日、ライジングサンでカーネション LOVES 森高千里としてのライブを見たばかりなんだけど、その時最後に演奏された「夜の煙突」をYouTubeで、しかもセルフカバーという形で見れるとは思いもしませんでした。しかも今回はカーネーションのトリビュートアルバム『なんできみはぼくよりぼくのことくわしいの?』収録の「夜の煙突」に自らのドラムプレイを追加したもの。それ、音源化したら売れるレベルじゃ……。

ちなみにこのYouTubeでの公式チャンネルの「200曲セルフカヴァー」の企画、これで145曲目だそうです。すでに2年間続けているとのこと。最近流行りのリリックビデオよりずっと凄い。全然知りませんでした。

最近の森高千里再評価の動きはtofubeatsとのコラボだけが理由だけじゃなかったのですね。要チェックです。

 

 

ぴっち(@pitti2210

Iceage「Forever」

f:id:ongakudaisukiclub:20140908105928j:plain

アイスエイジ、実は知ってました。

別に知らないふりをしていたわけではなく、どう反応していいのかわからなかったのです。だって自分の知ってるパンクとかけ離れているから。J-POP生まれロッキング・オン育ちの自分にとってはPIZZA OF DEATH周辺とかミッシェルとか銀杏がパンクだったのね。ちょっと前になるとブルーハーツだったり、もしくはBlink-182とかGreen Dayだったり。勉強不足なのは認めます。そういうパンクらしいパンクと比べてアイスエイジは様式を崩しまくって逆にどう反応していいのかわからなくなるくらいだし、ジャケットだって孤高そのもの。正直よくわからない。「ミッシェルを通り越してRAVENだよ!」って感じでした。

その上、先日公開されたこの「Forever」はストリングスが入っているし、MVだと最後は車いすのおじいちゃんがトランペットを吹いていたりする。「それがパンク?」という問いかけはこのインディー全盛の昨今において「野暮」以上の意味を成さないのはわかっている。そして実際、そんな問いかけなんてどうでも良くなるくらい、かっこいい。

Iceage「Forever」

よく見るとボーカルの人、すごくかっこいい。若かりし頃hydeっぽい。あれ?少しはまりつつある自分がいるかも。

3rdアルバム『Plowing Into the Field of Love,』はアメリカで10月7日、ヨーロッパで6日にリリースされます。国内盤は10月29日とのこと。

注、この記事はKVさんの「The Lord's Favorite」紹介記事へのレスの体で好き勝手に書いてます。

 

 

ぴっち(@pitti2210

高橋徹也『REST OF THE WORLD -LOST SESSIONS 1999-』

f:id:ongakudaisukiclub:20140907220340j:plain

高橋徹也の幻の4thアルバムである。本来は1999年にリリースされる予定だったが、メジャー契約の打ち切りに伴いお蔵入りになっていた。それがこの度15年ぶりに日の目を見ることになったのだが、「一筋縄ではいかない」というのが正直な感想だった。

つまり「最高!」とは言い切れないのだが、だからといって無視することもできない。このアルバムにはその後リリースされた作品に収録される曲が7曲あり、僕はその全てを聴いているわけではないが(今では入手が困難なので)、それでもその後リリースされた作品と比較すると圧倒的にクォリティが高い。それは単純に制作に潤沢な予算があり、すばらしいスタジオやミュージシャンが起用できたこともあるが、高橋徹也が年齢的に絶好調だったことも影響していると思う。つまりインディーズ時代にリリースされた楽曲がメジャー時代のクォリティでここの収録されている。

しかし「OUT OF THE WORLD=その他の世界」と題されたアルバムからうかがえるように、このアルバムは未発表作品集という側面がある。だから『夜に生きるもの』『ベッドタウン』のようなアルバムの統一感はない。だけどまるでタランティーノの「パルプ・フィクション」のように、次々と別の章へと切り替わりながら、最終的にはアルバムを通して一つのテーマが浮かび上がってくる。つまりこの作品は27歳の高橋徹也を封じ込めている。

27歳の高橋徹也はこう歌っていた。

恋人に会う暇がない 友だちに会う暇もない
かと言って別に忙しい訳じゃないけど
映画を見てる暇がない ビデオじゃ何か物足りない
かと言って観たい映画なんてある訳じゃない
音楽を聴く隙がない テレビを点けても音楽などない
僕を一瞬で参らせる音楽はない
(中略)
特別な日も 誕生日も 雪の降る夏の驚きよりも
今僕にはありふれた一日が足りないから
そばにいて欲しい 君が必要なんだ
(Les Vacances)

 

湧き上がるこの新しい感覚を
どう扱っていいのかわからないけど
とにかくついてこいよ早く
足がもつれて絡まってる
(夜明け前のブルース)

 

朝早く ふと目が覚めて
まだ誰も居ない表通り
歩き出す さあ顔を上げて
君はまだ何も成し遂げてない

旅立ちの時が近付いている
今僕はゆっくりと階段を昇るように
(ユニバース〜風を追い越して)

多分、当時の彼はこの後の出来事を予想していた。そして14年後、メジャー時代とは全く違う手触りの『大統領夫人と棺』という大傑作に辿り着いた。このようなことは一ファンでさえ軽々しく書いていいことではないが、このアルバムがリリースされなかったからこそ、今の高橋徹也があるのだと思う。

人生万事うまくいくわけじゃない。でもこのアルバムが今聴けてよかった。

 

 

ぴっち(@pitti2210