坂本真綾「レプリカ」

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簡単に2014年のベストトラックだと言ってしまうのは軽はずみな発言なのはわかってる。けれど敢えて断言する。これは2014年の中でも飛び切りの名曲だ。

元々坂本真綾という名前は声優業でしか知らなかった。本当は歌手業20年に近い大ベテランなんだよね。そして今まで彼女の音楽に全く触れることが無かった。そのことに今後悔している。恥ずかしい話だが、音楽と人という雑誌での巻頭特集を読んで初めて興味が湧いたというくらい縁が無かった。本当もったい無いことをしたと猛省している。

そんな僕の後悔はともかく、今回のこの曲はただただ素晴らしい。

坂本真綾「レプリカ」

音像が畳み掛けるように耳を襲ってくる。ストリングスとメタリックな演奏の音の洪水に全身の細胞が否応無く反応してしまった。これは、簡単に言うと、ロックなサウンドだ。ギターソロなんて完全に狂っている。もろにシューゲイズだ。

もう一つ、というよりこちらが本題。僕がこの曲に夢中になっているのは坂本真綾が紡ぐ歌詞だ。彼女はそもそも最初は曲提供を受けて歌を歌うシンガーとしての立ち位置から音楽活動をスタートしている。そこからの活動がどうだったのかは検討もつかないけれど、彼女は業が深い人間なのだと思う。楽曲に正面からガチンコで挑んでいる。でないとこんなにも力を感じる歌詞は書けない。

特に凄いのはこの二つの歌詞だ。

1番のサビの歌詞

人類の失敗は望んだこと
つきまとう影に立ち向かう力を
武器を向けたその標的が
鏡に映った自分だなんて気づきもしなかった 

これだけでも相当な威力を放っているの だけど、僕は2番のサビの歌詞にやられた。

人類の欠点は見えもしないくせに
愛とか絆とか信じられる事
僕の罪はうたがったこと
差し伸べられた君の右手初めて見たヒカリ

坂本真綾はどんなことを考えながらこの歌詞を書いたのだろう。

僕にはこの「欠点」こそが人間の弱い部分であると同時にその「欠点」が一番の「強み」であると伝えているように思えてならない。もちろんメッセージなんて人それぞれだよと言うのもわかっている。

ただ僕はこの曲を聴いて、というよりこの歌詞に心が震えた。そして単純に坂本真綾という人が大好きになったのである。これから過去の曲をたくさん聴こうと思う。その前にもっとこの曲と向き合いたい、そういう大事な曲になったことが嬉しい。

 

 

うめもと(@takkaaaan