大森靖子「ノスタルジックJ-pop」

真面目は話、今自分が中学生でなくて本当に良かった。大森靖子がエイベックスという会社を最大限に活用し、クスリにも毒にもなりうる音楽を、公共の電波で垂れ流された日には洗脳されるのも時間の問題に違いない。それはもう浜崎あゆみを浴びるように聴いていた自分にはわかる。冷徹にイメージとしてのJ-POPの雰囲気を再現し、そこに《きみが好き/返事はいらない》《せんせいあたしパーなんです》のキラーフレーズを忍ばせるその手練が恐ろしい。

以前の「夏の魔物」でのライブ映像を見た時、本気で観客を凝視しながら正直な自分の思いを叫んでいる時ほど、彼女の腕から鳴り響くギターの音色が柔らかいことに気付いた。彼女の音楽は鞭とアメの両面を兼ね備えている。だとすれば、この曲の鞭はどこにあるのだろう。はたしてこの歌詞は本当に"ただのフィクション"なのだろうか。そんなことを考える僕はすでに洗脳されているのだろうか……。

 

 

ぴっち(@pitti2210