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大森靖子について考えている

コラム

わたしは大森靖子のファンではない。

大森靖子「魔法が使えないなら」

「魔法が使えないなら」は特段好きだけど、彼女がライブをするたびに聴こえてくる奇行まがいのライブレポート。ちぎれんばかりの拍手と絶賛か、飛びでんばかりの嗚咽と阿鼻叫喚の感想。「ミュージシャンにそういう不思議ちゃん的なの求めてないんだよね〜」とは引いてはみるものの、それでもどうしても喉に引っかかる小骨のごとく気になって気になってしょうがない。いや、べつに小骨に対しては無視を決め込むこともできるのだけど、ごはんを飲み込んだりチーズを食べたりなんとかしてどうにか違和を取り除きたいのが人間の習性。川の底にある小石が川の流れに抗わないがごとく、「無料で」「近くに来る」なら「観に行く」以外の選択肢はなかろう、ということで、タワレコの「きゅるきゅる」リリース記念インストアライブに行きました。大阪府NU茶屋町

40分ぐらい前にとりあえず店舗に到着。するともうすでに15人ぐらいステージ付近にスタンバイ。おやおや熱心なファンがたくさん……と少し離れて新譜を物色していると壁の向こうでリハーサルが始まる。「おーリハしてる」と思いながら新譜視聴を続け、ぐるっと店内を一周してから戻るとリハ終了しており、壁が取り払われたにも関わらず先ほどのスペースには、人だかり!もう人だらけ!人の壁!これはいわゆる飛ぶ鳥を落とす勢いってこういうことだわ……と圧倒されつつとりあえず壁に加わる。開場してCD予約購入者は優先的に前へ。買うつもりはとりあえずないのでゆったりと後ろ。メジャーデビューシングル「きゅるきゅる」のMVがステージのバックで流れては終わり、流れては終わる。予想以上の人出だったのか柵が少し横に広げられたので少し斜め前に移動しつつ時間を持て余していると、タワレコの店員さん?が「さて、まもなく大森靖子のインストアライブが始まりますが皆さん準備はできてますかー?」客「(ざわざわ…)」タ「じゅ、準備は、できてますか!?」客「い、いえーーい!!」という若干引っ込み思案なファンの様子を垣間見つつ、定刻スタート。

イントロが流れてから無表情でスタスタ歩いてきて早速「きゅるきゅる」。1番はきちんと歌うけど2番は最前列のお客さんと遊ぶ。グロス塗ってあげてたのかな???5人ぐらい。ラストのサビに間に合わせてなんとか「きゅるきゅる」し終わる。そのあとは「絶対彼女」しか曲がわからなかったけれど、40分弾き語りノンストップ!!!!そこから初MCだったのだけど、弾き語り中に張りつめていた、微動だにしようもんなら電撃でもくらってしまいそうなあまりの緊張感にこちらの集中力が切れまくりだったので、初大森靖子はこれで退散することにした。あとからツイ検索したら「インストアだからって短いと思った?長くやるよばーか!」と言ったらしい?ね?意識はとっても素晴らしいと思う!真剣勝負で行かなかったから単純にこちらが負けてしまった。

大森靖子「絶対彼女」

ということでここから書きたかったことを書きます。全部妄想だからね☆

生で観ると(椎名林檎中島みゆき)÷2ー冷静さに激情の3乗、というような超激情型の印象。ギターも荒いし鋭い早口言葉の羅列が突き刺さるせいで体の細胞まで痛くなる。だけど歌うという行為にあたっては、ただ叫ぶだけじゃなくて緩急を絶え間なく起こせて、本当に自己コントロール力が凄い。極めてクレバーでいて、内側が凍るほどに冷静な人なんだろうなと感じた。それでいてきっと、自分の激情を突き動かすものは諦念のうわずみの欲、せっかく生きるのなら可愛くたのしく愛されたい!ということなのかなと思う。

もう少し噛み砕いて例えると、きっと歌いながらも「あいつなに?ひそひそ指差し」「えっうけるwwひそひそ笑い」「もっと可愛かったらゆるすわ〜ぼそっ」「大人しくしてろよキャラじゃないんだから」そういう類のフラッシュバックがいまも歌うとき普通に、むしろ普段から普通にあるんだと思う。だから他人に期待なんてしたくない/していないという諦念が根底に存在している。でも、だからこその激情、だからこその生や性への執念、だからこその振り切れない諦めや欲がぐちゃぐちゃに混ざりつつ澱みのように存在しているし、その上の層には、せっかくこんなに毎日しんどいんだから楽しい時は楽しくしていたいよ!という「きゅるきゅる」した感情がうわずみとなって存在しているのだと思う。だからこそ放っておけない。勝手に同化して考えてるけど、わたしもそうだから。ただ違うことは、彼女はそんな自分を自分なりに乗りこなす/見せたいように見せる方法を1つでも熟知している。それが表現力の自信の源だと思う。

わたしは大森靖子のファンではない。パーソナルに興味はないし気にならない。歌だってCDや音源で聞くと、彼女の感情の行き場をわたしの心の容量やわたしの部屋の空気は持て余すのであまり再生しないし、ライブならまだいいかなと思うけどこの間みたいにノンストップだと正直それもまたきつい。だけど、彼女のことは全肯定したい。なんならいっそ抱きしめたい。彼女からくらった衝撃波のもやもやに、一度観ただけなのに4日も苦しめられている。悔しいし羨ましい。もしあの日握手できてたら「いろいろひっくるめてめっちゃかっこいいよ」って言いたかった。

ということで、初めてインストアライブを観た感想としては、彼女の言動、人物への好き嫌いや、曲や歌がいい悪いに関わらず、大森靖子というアイコンのことは全肯定していこうということでした。メジャーデビューおめでとうございます。

ところで「きゅるきゅる」ってなんですか???

大森靖子「きゅるきゅる」

 

 

やや(@mewmewl7