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高橋徹也『The Endless Summer』

レビュー

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twitterで馬鹿みたいに呟いているのでフォロワーの方には「またか」と思われそうだけど、最近は高橋徹也の新譜ばかり聴いている。

2013年に前作『大統領夫人と棺』、2014年にはソニー時代にお蔵入りになっていた幻の4thアルバム『REST OF THE WORLD』、そして今年も新譜が聴けるのは、『大統領夫人と棺』が8年ぶりの新作だったことを考えると奇跡みたいだが、毎回最高のアルバムを届けてくれるのだからさらに凄い。

元々はライブで演奏していた「The Orchestra」をシングルとしてリリースするためのレコーディングだったが、共同プロデュースを務める鹿島達也から、「バタフライ・ナイト」を現在のメンバーで録音してみてはどうか、との提案を受けてアルバムという形に変わったとのこと。とても高橋徹也らしいエピソードだと思う。前作の『大統領夫人と棺』も元々シングルとして作られた。*1

それにしてもアルバムとしては6曲、おまけにその内1曲がポエトリーリーディングとなると普通はボリュームに不満が出そうだが、高橋徹也についてはそれは当たらない。曲の元の分数が長いこともあるが(彼の曲は6〜8分が標準)、それ以上に一曲の密度が濃い。とはいえ音が過剰に詰め込まれているわけではなく、むしろライブで繰り返し演奏されることで、新録でありながら完成しているのだろう。

自分はまだ直接ライブを観たことはないのだが、先日放送されたネットの番組「Oil in Life」でも弾き語りとはいえ充実の演奏だった。*2

youtu.be

僕がファンになったのは2013年からなので偉そうなことは言えないが、やはり今の高橋徹也の楽曲の異様な完成度はライブに支えられているのは間違いない。デビューしたばかりのソニー在籍時から楽曲のクォリティは高かったが、ここ数年の作品は飛び抜けている。試聴音源がないのが惜しい。

そして今作『The Endless Summer』だが、6曲とはいえキャリアハイを示す充実の最新作だ。最初に聴いた時は一曲目の「The Orchestra」は地味だと思ったのだが、今では聴くたびに深い感動をもたらす。「微熱」「サマーピープル」で徐々に熱を帯びていき、「いつも同じところで」でのポエトリーリーディングを挟み、「夜明けのフリーウェイ」で興奮の坩堝に落とされる。

エンドレスサマー=永遠の夏」というモチーフが先行しそうなタイトルだし、実際確かな意味が込められているのだが、それを抜きにしても熱い演奏が堪能できるアルバムだと思う。個人的には高橋徹也の作品の中で一番好きだ。

試聴音源がないので躊躇するかもしれないが内容は保証する。相変わらず今作も入手困難になりつつあるので。

 

 

ぴっち(@pitti2210