Parquet Courts「Bodies Made Of」

新作のジャケットだけはどこかで目にした記憶があったけど、実際の音楽を聴いたのははじめて。レトロな映像と整っていないロックが絶妙にマッチしていてよかった。このParquet Courts(パーケイ・コーツ)はブルックリンのインディーバンドで、先日のフジロックでも初日のRED MARQUEEに出演。上のビデオは6月にリリースした3rdアルバム『Sunbathing Animal』に収録されている「Bodies Made of」(Bodies)のライブ映像。

最近、こういうナチュラルに整っていないロックが楽しい。

 

 

ぴっち(@pitti2210

サザンオールスターズ「東京VICTORY」「天国オン・ザ・ビーチ」

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先日のMUSIC STATIONで観た時からいろいろ考えているのですが、もういろいろすごすぎて冷静になれないのでいろいろ書いてみました。

サザンオールスターズ「東京VICTORY」

東京オリンピックをきっかけにして生まれた応援歌の形をしているけど、実際は過去を愛おしむタイプの曲だと思う。《海の青さに胸が騒ぐ》《人は出逢い愛を交わす》《わたしを抱きしめ守ってくれた人はもういない》の歌詞は、それぞれ青春・恋愛・両親に置き換えることができるし、さらに深読みするとすべて桑田さん本人の過去の出来事と捉えることもできる。その上で《みんな頑張って》と歌うのだから定年退職間近のおっさんソングとも言えるのだけど、全体的に死の匂いが漂っているから一筋縄ではいかない。

去年の「ピースとハイライト」もそうだったけど、今の桑田さんは明らかに90年代や00年代と違っていて、例えば社会や政治や風刺するにしても、ただ毒づくだけではなく「批判する側/批判される側」両方に対する配慮がある。だからライブの観客席に橋下徹が座ることができる。それはロック的にあまりかっこいい姿ではないのだけど、でも僕らはロックのストレートでわかりやすい正義感が必ずしも社会全体をいい方向に持っていくわけでもないことを知っているわけで……。すべてをわかった上で、音楽が無力であることを骨の髄までわかった上で、希望の象徴になることを引き受けている。そんなふうに見える。

アレンジ的には「この青い空、みどり」や「胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ」のようなフォーク/ロックを基本に据えたアレンジに「君こそスターだ」の夏とスポーツ成分が加わり、さらにソロの「古の風吹く杜」的なノスタルジック感や「それ行けベイビー!!」的な希望っぽい要素が加わった感じ。複雑すぎるけどすっと聴ける。でもジョン・レノンの「イマジン」や美空ひばりの「川の流れのように」のような生を超越した怖さもある。

あと先日ネットではサビでのオートチューンが話題になってたけど、歌詞を深読みすると「高音が出なくなるくらい俺も年を取ったけど、機械を使ってでも頑張るよ」というメッセージだと捉えることもできて、使用の意図が今でもわからないです。わざと使ってる可能性もあるから怖い……。

 

サザンオールスターズ「天国オン・ザ・ビーチ

シングルのB面でMUSIC STATIONに出演して、しかもMVにAKB48、ドリカム、奥田民生吉井和哉平井堅カエラ星野源.etcまで出演させるって……。ここまでやられると「アミューズ金あるな!!」というレベルではないと思う。にもかかわらず、歌謡ネタ満載で、自分がわかる部分だけでも明らかに郷ひろみ西城秀樹で遊んでいて、おまけにタイトルが「天国オン・ザ・ビーチ」って……。

楽曲的には初期を彷彿させるし、ただのおふざけソングなんだけど、死後の世界とも捉えることができるわけで……。深く考えるとサイケなのにJ-POPど真ん中のポップソングで、おまけにアレンジも軽くて逆に怖いです。

音楽だから思惑を深読みする必要は全然ないけど、なんか鬼気迫るものを感じた2曲でした。シングル、久しぶりに買おうかな。

 

 

ぴっち(@pitti2210

Ogre You Asshole「White House」

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アニメ好きはもちろん、音楽好きなら絶対引っかかりを覚えるだろう渡辺信一郎総監督の「スペース☆ダンディ」ですが、冬と夏の分割2クールのこの作品もいよいよ終幕に近づいてきました。2クール目はもっとぶっ飛ぶと言われていましたが、実際もっとぶっ飛んでいます。豪華ゲスト声優、クリエーター、音楽。毎回違うテイストで色取り取りの世界を見せてきた「スペース☆ダンディ」は20話以降、やくしまるえつこ「X次元へようこそ」ではない、一つ一つ違うEDテーマが流れています。向井秀徳が手がけたドロップキックス、DorianとZEN-LA-ROCKのタッグによる80sなディスコナンバーもありましたが、今回ピックアップするのは21話「悲しみのない世界じゃんよ」でのOgre You AssholeによるED「White House」です。

Ogre You Asshole「White House」

パロディ、オマージュとシュールを振りまきつつ毎回エッジーな世界観を提示してきた中でも、この21話はあの「メトロポリス」「天使のたまご」を手がけた名倉靖博さんが絵コンテ・演出・ゲストキャラのデザインなどを手がけられており、作品中でも随一と言っていいほどに圧倒的な雰囲気が醸し出された回でした。劇中サントラと、そしてその堂々たるED担当はオウガだったわけですが、かつて「蒼天航路」のEDで「ピンホール」が流されていた頃とは訳が違います。2011年の『homely』で舵を切って以来、孤高の存在となったオウガ。2012年の『100年後』でメロウサイドを露にし、2013年の『Confidential』で実験を試み、「見えないルール」でモードを開示した後の無敵状態の彼ら。来月リリースの『ペーパークラフト』を目前に披露されたのは、甘い甘いメロウサイケの極地。もはや異次元の領域です。

「White House」は来月発売のOST2に収録されるようですが(オウガの手がけたトラックは全5曲)、オウガのニューアルバムもミニマルメロウな指向になっているとか(前情報には数々の垂涎もののヴィンテージ機材の名前も)。「ペーパークラフト」初回限定版はカセットが付くみたいですね。いずれにせよ、両方とも楽しみで仕方ありません。そして「スペース☆ダンディ」、未見ながらも興味を持たれた方はぜひ視聴してみては!

TVアニメ「スペース☆ダンディO.S.T.2『Boobies Wonderland』TV-SPOT

 

 

KV(@sunday_thinker