ベスト平成ソング、ベスト平成アルバムを集計します!

性懲りもなく始めてしまいました。

twitterで友達と遊んでいたら、ベスト平成ソングのハッシュタグが生まれ、「なんなら俺集計するよ?」とか言い出してしまい、アルバムまでやることになっちゃいました。「どうして俺は自分で自分の首を絞めるんだ?」と思ったけど、なんかみんな楽しそうだったのでちゃんとやります。

平成といっても前半は自我が芽生える前のことはほとんど覚えてないので、30年間をフラットな目線で見てきたわけではありません。だけど別にいいじゃん。2019年の視点から眺めた平成の30年の記録があってもいいと思います。1年後10年後にはまた変わると思うけどそれでいいかなーって。そういうわけで、この遊びに付き合っていただける方がいたらぜひ一緒に遊びましょう。よろしくお願いします!(ぴっち)

 

例)

 

大体こんな感じで投稿していただけるとありがたいです。メモアプリや画像の貼り付けてでもいいけど、文字で書かれていると本当にありがたいです。何卒……!

 

追記(2019-4-22 18:00)

  • 集計はソングだと5曲以上、アルバムだと5枚以上のリストを対象とします。

追記(2019-4-21 15:56)

  • 同一アーティストが3つ以上重複するリストは集計から除外します。

例えば「アルバム」で同じアーティストのアルバムが3枚以上入っている場合は集計しません。ネタとわかっていても集計に偏りが出るためです。ご了承ください。 

ランキングについて

  • 今回は国内のみです。
  • ソング、アルバムで10曲、10枚まで挙げてください。
  • ソング、アルバム、どちらかだけの参加でも大丈夫です。
  • ソングについて、バージョン違いはまとめさせていただきます。(でもミスチルの「I'll Be」とかどうしよう……)
  • アルバムについて、EP、ミックステープ、シングル、ベスト盤、コンピレーション、すべて大丈夫です。
  • 今回は順不同で全作1Pで計算します。
  • リリース日は1989年1月8日から2019年4月30日の間に指定します。
  • 締切は4月30日23時59分です。
  • この記事のコメント欄とtwitterハッシュタグで受け付けます。
  • ブログをお使いの方はリンクを貼っていただければ。確実に拾います。
  • twitterで「#ベスト平成ソング」「#ベスト平成アルバム」を付けて投稿していただいたものはこちら側で勝手に確実に集計します。
  • twitterで画像のみでの投稿の場合、作品名の把握が困難な場合があります。作品名も投稿していただけるとありがたいです。

記事の公開について

  • 上位50か100か150かはわからないけど、レビューもやります。基本的にディスを除くすべての投稿を載せます。
  • 集計データは非公開です。
  • 個別の作品の獲得ポイントは公開しません。完成後の順位の転載を許可します。レビューの転載はお控えください。

大事なこと

  • あくまでこのランキングは記録用です。ネットの一部分の傾向を計測したものに過ぎません。作品の優劣には無関係です。本気になりすぎないでください。遊びです。それがわかる人だけお付き合いください。

その他

  • 質問は随時@pitti2210で受け付けています。

 

ではよろしくお願いします!

KOHH『UNTITLED』

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Apple Music Spotify

御徒町周辺はおもしろい。特にアメ横のカバン屋が。その店は閉店セールと称して定価数万円(らしい)カバンを3000円均一で売っている。そして実際に店を畳むのだが、しばらくすると何100メートルか離れた別のスペースで同じことをやり、それを幾度も繰り返す。実質同一店舗であることは呼び込みのおっちゃんでわかる。そのグレーな感じ。本物とパチモンが、大通りと風俗街が、蔦屋書店とCASTLE RECORDSが、さほど距離もない空間に併存しているあの感じがとても好きだ。

様々なものが並列であるこの状況は何もオフラインに限らず、むしろオンラインの方が加速している。ストリーミングサービスが顕著な例だろう。場はあらかじめ用意されていて、その中から情報や物品を自由に選べる。フィルタリングやエコーチェンバーなどの問題はあるが、そんなのはオフラインでも同じだ。そう考えると、この数十年で私たちは(見かけ上は)フラットにモノを見られるようになったと言えるのではないか。

KOHHの新作は《みんなでひとつ》に始まり《全然見た目は違うけど同じ》で終わる。そう本来、誰も彼も大した差はない。気分が良いときも悪いときもあるし、生まれれば終わるし、もっと言えば死んでようが心に生き続ける人はいるし、逆もまた然りの存在だ。そんな私たちが存在すること自体に大それた意味などなくすべてはフラット。対義語をあえてリリックにいくつも並べることで、そのメッセージ性がより強まる。

加えてKOHHが繰り返し唱えるのは、あらゆる物に価値を与えるのは人だということ。そして、そのレッテル貼りこそが心地よく生きていくためには重要だということだ。彼はたまたま御徒町で純金のチェーンを買いマルセル・デュシャン『泉』に放尿する夢を見ているが、各々が価値観を見出せさえすればメッキのチェーンを誇らしく見せつけても『泉』を傑作として崇めても問題はないのだ。そうしたポジティヴなレッテル貼りはヒップホップにおいて幾度も行われるが、レッテル貼りによるネガティヴな側面も描いたリリックや一貫して不穏なビートは、2019年の今だからこそ切実に、半ば狂気じみた色合いをもって響いてくる。 

昨年末から今年の始めにかけて「俺たちは現実の存在か?それとも虚構か?」というテーマのヒーロー映画がいくつか公開された。そうした価値判断を巡る問題への回答はいずれも「そんなの関係ねえ」というもの。それらの作品と同様、価値は勝手に見出せ、気に入らねえ価値観は蹴散らせとアジテートする本作が、「平らかに成る」時代としての「平成」の終わりに生み出されたのは偶然ではない。

 

 

まっつ(@HugAllMyF0128

Black Boboi『Agate』

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多分これは新しいタイプのバンドなのだと思う。

小林うてな、Julia Shortreed、ermhoi=Black Boboiは全員が曲を書き、トラックを作り、なおかつ歌うソロアーティストのグループだ。そういう意味では昨年発表されたJulien Baker、Phoebe Bridgers、Lucy Ducusのバンド=boygeniusに似ている。ただ、エレクトロニカアンビエント、アシッドフォークなどのジャンルから「バンドとは?」と思われそうだが、それでもこれはきっとバンドだ。音の取捨選択がシビアで、発想がソロの時よりもランダムだが、何より共同で音楽を作る喜びに満ちている。

ところで小林うてなはD.A.N.や蓮沼執太フィル参加時のスティールパン奏者としての側面が強く知られているが、ソロで活動する時はそれを大きく取り上げたりしない。というか使っていない。Balck Boboiの今作では「I'm just into」でスティールパンが使われているが、すべての楽曲で用いるといったルールはない。同様にJulia Shortreedのギターが必ず使われるわけでもない。大まかなクレジットしか確認できていないので詳細はわからないが、おそらく曲を作る上で全員がプロデューサーとして関わること以外にルールはなかったはず。

結果、自身のアイデンティティを強く主張することなく3人それぞれの要素が落ち着いた。逆説的ではあるのだが、3人がそれぞれ自らの持ち味を強く投影しようとはしなかった結果、よりそれぞれの個性がうまく共存できたのだ。実際にソロの楽曲を聴いた上で本作を聴くとそれぞれの持ち味が驚くほどうまく同居している。

妥協点を探ったというわけではなく、曲ごとにエッジが立ち、それでいてソロとは違う場所に到達する。コラボとはまた違った形の、全員がプロデューサーとしてのバンド、これが2019年の新たな水準になると思う。

 

 

ぴっち(@pitti2210