みなさんはじめまして、くらーくです。この度、音楽だいすきクラブに入部させていただくことになりました。
軽い自己紹介をさせてもらいます。1988年生まれの25歳男です。音楽体験としては、14歳の時に通学途中に聴いた中村一義の「主題歌」という曲に「音楽ってこんな凄いんだ!」と宇宙の彼方へぶっ飛ばされたのが最初です。それから10年、たくさんの音楽に夢中になり現在に至ります。
最初の記事は僕の音楽的ファーストインパクトについて、つまりは中村一義の「主題歌」について書こうと思います。
中村一義「主題歌」
「主題歌」は、彼のデビューアルバム『金字塔』と2ndアルバム『太陽』の間にシングルとしてリリースされました。この曲はどのオリジナルアルバムにも収録されていませんが、ファンからの人気は根強く、人気投票では必ず上位にいます。くるりにおける「春風」や小沢健二における「ある光」と似た立ち位置と言えます。
サウンド的には初期の中村一義の集大成であり、ハイトーンボイスと自身が演奏する天才的なリンゴスター風のドラムが響き渡ります。
ロッキング・オン・ジャパンやクイック・ジャパンで新人ながら表紙に起用されるなど、強烈なラブコールをもって迎えられたデビューアルバム『金字塔』は「あぁ、すべてが人並みにうまくいきますように」から「あぁ、すべてが幸せに」という飛躍をドキュメントしたひとつの感動的な物語でした。『金字塔』にはおまけと銘打ったシークレットトラックが用意されており、感動的な弾き語りが収録されています。
冬の真っ最中に暑い日もある。
夏の真っ最中に寒い日もある。
気の持ちようで、人は山も動かせるのかなぁ?
(中村一義「おまけ」)
そう歌ってスタジオ、彼の言葉を借りるなら「状況が裂いた部屋」を飛び出すところで『金字塔』は終わります。
- アーティスト: 中村一義,山田とも子,井上鑑
- 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1997/06/18
- メディア: CD
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そして「主題歌」はそこから始まります。のんきな口笛からはじまりドラムがフィルインし、勇壮なホーンが鳴り響くオープニングから『金字塔』には無い大きな肯定の力を感じます。歌詞の全てがパンチラインのために引用すればキリがありませんが、14歳の僕がいちばん心動かされたのは
《見えない方へ、見えない方へ、進んでくんだっ!僕は。絶対、迷わない。十年前の僕も言いそうだ。》
というラインでした。こんな歌詞を彼の歓喜溢れる声で歌われたら、そりゃ14歳の中学生はひとたまりもありません。「絶対、迷わない」の部分の力強い言い切りと、その後のセルフツッコミ。そんな自問自答を繰り返し曲は進んでいきます。
そして25歳になった僕がいちばん心動かされるのは、自問自答の果てのこんなラインです。
《絶対、ウソじゃない。千年後の僕も僕だ。絶対、アセらない。万年前の君も君だ。》
これほどまでに「自分という存在」を肯定した文章を僕は他に知りません。
主題歌が啓蒙するのは、僕や君という存在が時代、社会、宗教、伝統、歴史、国家、家族、地域、時間、そういったあらゆる繋がりや壁の外にある自由な確固たる存在である、という唯我独尊でありながら博愛に満ちたものです。同時にどんな時も僕のケツを蹴り上げてくれる、友達のような存在でもあります。
僕は僕だ、僕でしかない、僕でいたい。10年後の僕もそう言っているのでしょう。
以下蛇足ですが、『金字塔』をアニメのテレビ放送と例えるならば、「主題歌」は感動的で壮大な劇場版だといえます。しかしここにはまだ続きがあります。後日談としてのセカンドアルバム『太陽』。物語が終わった後も続いていく日常。掲げた理想や大志が色褪せ疲労や怒りが色濃くなる中で、はみだすもの、みつけたもの。中村一義の最高傑作、ひいては日本の音楽史上最高の傑作と信じてやまないアルバムです。そんな『太陽』については、またいつか。
では、これからみなさんよろしくお願いします。個人でブログもやっているのでこちらも覗いてください!
くらーく(@kimiterasu)