いちごが染まる
一念発起して長年の夢だったイチゴ狩りへ。自宅から車ではるばる約40分。ストロベリー・フィールドとかいうソープランドみたいな名前の農園。バイトの女の子に説明を受ける。時間無制限。1800円。はぁ。いっそのことソープランドだったら良かったのに。イチゴ畑でつかまえちゃうぞ。腰をふるだけで、ただの女の子がガラスのプリンセス。コンデンスミルクが滲む。「ではビニールハウスまで案内しますんでー」。ああん待って聖子ちゃん。今夜、ホ別イチゴでどう?
楽しい妄想に耽りながら聖子ちゃんに着いていくこと数分。ビニールハウス到着。よっしゃ。狩って、狩って、狩りまくったるわい。カリパクしまくったるわい。赤く色づいたイチゴを千切っては食い。千切っては食い。内なる力は外へ溢れてゆく。キャッキャ言いながらイチャつく腐れカップル連中の首を千切っては投げ。千切っては投げ。眼下に広がる鮮血のレッドカーペット。所詮この世は弱肉強食。狩るか、狩られるか。それすなわち原始の理なり。
どうでもいい。1800円の元を取らねば帰れない。このために今日は朝飯も抜いてきた。俺の胃袋は、宇うぇっぷ宙だ。うぇっぷ?思い出した。俺って小食だった。小食系男子だった。普段から朝飯なんて食べてなかった。行儀よく真面目なんて出来やしなかった。どうしよう。お腹いっぱいなんですけど。
しかし起死回生の天啓。圧倒的ひらめき。夢にときめけ! 明日にひらめけ!つまりアレですわ。時間無制限。ということは腹が減るまで待てば宜しいのです。腹が減るまで待つ。イチゴ狩る。腹が減るまで待つ。イチゴ狩る。おいこれ完璧っしょ。煩わしいものはひとつもない。永遠に目を瞑っていれば生きることは容易い。はい来た。一生が約束された。夢の永久機関が遂に実現を見た。ストロベリー・フィールズ・フォーエバー。ジョンの魂、ここに眠る。
ぼうず(@bowz0721)