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隠れすぎた名盤 第2回 ラブジョイ『かけがえのないひととき』

レビュー コラム

こんにちは、クラークです。

隠れすぎた名盤シリーズ、第2弾は知る人ぞ知るスーパーバンド、ラブジョイのセカンドアルバム『かけがえのないひととき』です。

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ラブジョイというバンドについて簡単な説明を、まずは(リリース当時の)メンバー紹介から。

bikke(vo, g)
近藤達郎(kbd)
松永孝義(b)
服部夏樹(g)
植村昌弘(ds)

ボーカルのbikkeという名前をみてソウルセットの人?と思ったかもしれませんが、全くの別人(女性)です。bikkeさんはphewがボーカルを務めたことで知られる1970年代の伝説的パンクバンド、アーント・サリーのギタリストでした。

aunt sally

そんなbikkeさんを中心に映画/CM音楽で活躍する近藤達朗さん、元MUTE BEAT松永孝義さんなど凄腕のミュージシャンが集まり1993年頃にラブジョイは結成されました。

ラブジョイは1996年に1stアルバム『妙』をリリースし、2005年に今回取り上げる『かけがえのないひととき』、2008年に現時点で最新作の『あの場所へ』をリリースと寡作ながらマイペースに活動を続けています。

ラブジョイの音楽は、素晴らしいミュージシャンが素晴らしい曲を素晴らしいアレンジで演奏している、という点を除いて特に音楽的に大きな特徴はありません。陳腐なのであまり使いたくない言葉ですが、ラブジョイの音楽ほど「日常に寄り添う音楽」という言葉がふさわしい音楽はないでしょう。『かけがえのないひととき』は特に。

夜の自転車、春の山の道、オレンジのような女の子の匂い、台所の包丁の音、夕日の中の少年野球、土手の散歩、バリの青い海、誰かのための晩ご飯を考える夕方、かつての我が家、誰もいない部屋、夏の終わりの冷たい風。このアルバムにスナップされた風景はそういった何気ない日常の一コマです。

よつばと!」という漫画があります。僕も大好きです。毎回の帯のコメントが素晴らしいのですが、特に10巻の「毎日という宝箱を、今日もあける」というのがお気に入りです。よつばと!とラブジョイのこのアルバムに共通しているのはある優れた表現者が日常を丹念に描写すれば、それだけじゃない宝物のような何かが入り込むということです

よつばと! 10 (電撃コミックス)

よつばと! 10 (電撃コミックス)

 

『かけがえのないひととき』は単に日常の美しさを慈しみを込めて描写するだけでなく、そこに潜む悲しみや危うさまで素晴らしいポップスに忍ばせて僕たちに尋ねます。「こんばんは、君は今日どんなことをした?」と。全ての日常を生きる人達に聞かれてほしいと思います。

もう 誰にぶん殴られても 君がついている
夜の中 君の髪はオレンジの匂いがした
(ゼロ)

たどり着いてももうそこには
瓦礫の山さえなくなって別の誰かの家があって
窓の灯りが揺れてました

(家)

川の向こうでは 夕涼みする人
人の頬にそよぐ風
今晩 うちの晩ご飯は何しよ?

(at home)

ラブジョイ「at home」

 

 

クラーク(@kimiterasu

いまここでどこでもない