Iceage「The Lord's Favorite」

Lust For Youthに続いて貴方たちもか、と思わず笑みが零れる陽性のメロディ。進化を止めないIceageの新曲はまさかThe Smithsでも憑依したんじゃあるまいな、と勘ぐらせるほどのビタースウィートネス&ロカビリーテイスト。ギターが不敵にかき鳴らされる冒頭の時点で名曲決定という予感が聴き終えた頃には1000倍の確信で打ち返されてるこのマジック。何が起こった、というより彼らには常に何かが起き続けているのでそういう問いは無意味で野暮だ(でも驚きは隠せないけどね)。

「New Brigade」from 1st『New Brigade』

「Ecstasy」from 2nd『You're Nothing』

1st『New Brigade』でパンクの精神の下に幅広い音楽性を覗かせながらも単なるアマルガムではない何かを突きつけ、2nd『You're Nothing』で分厚い風の壁を貫く鉛の弾みたく屈強なエモーションで私たちを凌駕したIceage。元々剥き出しの美しき叙情の塊のような楽曲群を生み出してきたが、ここに来て更なる磨きがかかったか。ポップネスが前進したものの、ヒリヒリする空気も決して損なわれていないどころの話では無く、むしろ甘いアレンジも相まったことでより際立っているように感じるのは私だけか。来たる3rdについてはただあの一言が頭に浮かぶ。

「待て、然して希望せよ」

 

KV