2014年の音楽について話してみた part1
あけましておめでとうございます!ベストアルバムの集計は進めていますがもう少し時間がかかりそうです。しばらくお待ちください。
代わりと言ってはなんですが、昨年12月にこのブログで書いて頂いているメンバーで「2014年の音楽について」座談会をしました。元々は評論家のや音楽ライターの方々が年末に「シーン総括」的な記事を書かれていて、それに対して文句をつけたかったわけではないのですが、実際に「リスナー側の僕たちがやったらどうなるんだろ?」と思い、声をかけてみたところ、10人近くの方々が集まり、さらにはROM専の方々まで現れる不思議な座談会になってしまいました。今回は何回かに分けて、その時に話したことの一部をお送りします。四つ打ち、EDM、J-POP、インディー、Bandcamp界隈、そして2014年のおすすめの音楽についてみんなで話しました。正月の暇な時間にでも読んでいただければ。(ぴっち)
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ぴっち テストテストー。
かんぞう マイクチェックマイクチェックー。
ぴっち 反応がない中、かんぞうさん、ありがとう!せっかくだからいきなりかんぞうさんに聞いてしまいますけど、今年一年の音楽、どんな感じでした?
かんぞう うーん難しいなあ。
ぴっち ですよね。じゃあ日本のロック界隈で言うとキュウソネコカミ、KEYTALK、KANA-BOONのようにライブに強いバンドがいたり、パスピエ、赤い公園のようなJ-POPにも踏み込めるバンドがいたじゃないですか。
かんぞう ええ。
ぴっち その一方で銀杏BOYZ、椎名林檎、くるりといったベテランも傑作をリリースしましたし、中堅、有名所も作品をしっかりとリリースしましたよね。今思えば2012年、2013年はわりと震災色が強い作品をリリースする人が多かった思うのですが、2014年になるとそういう傾向も薄れたというか、「むしろEDMじゃね?」「四つ打ちギターロックじゃね?」的な、なんかやたらアッパーな一年だった気がして。多分、来年もさらにそうなりそうな予感がするのですが。
かんぞう cakesで公開された大谷さんと柴さんの対談でもそんな感じのことおっしゃってましたね。
ぴっち そうですね。
かんぞう 2014年のキーワードとしては「四つ打ちギターロック」って外せないのかなぁっとやっぱ思いますよね。
ぴっち そうなんですよね。それはもう好き嫌いに関わらず。
かんぞう そうですね。バンド界隈は四つ打ちが多いし、J-POPの中心他ではEDMだし、みたいな。EDMは詳しくないですけど。
EDMの盛り上がりについて
ぴっち EDMって確かに昔で言うハウスですよね。
Ai 今年は日本におけるEDM元年みたいなとこありますよね。海外からかなり遅れてやってきた。実際、もっと前からジャンルとして認知はされてたんだろうけどセカオワも、デビュー当時からかなり打ち込みだったけど、完全に波に乗った感じがありますし。ここにきていきなりオーバーグラウンド化したところあります。
草野 J-POPにEDMを取り入れた意味では今年で元年ですよね、EDM自体はもう3年以上前から確立してるところはありました。
ぴっち で、個人的に不思議なのが、例えば90年代の終わりから00年代のはじめのようなみんながダンスミュージックに参入して、結果「ダンスミュージックがディスられる」みたいなことにEDMはまだなってなくて。わりとみんな様子見的な。
草野 「これ食べていい?食べていいお父さん?」っていうクリエイターの心の中がすごく読めたのが去年でした。
Ai EDMに関していうと、ULTRA JAPANはやはり衝撃的でしたね。
ぴっち Aiさん、ULTRAに行ったんですか?
Ai いえ、チケットが取れなかったって意味で衝撃的でした!
かんぞう 結構盛況だったみたいですね。
Ai ぶっちゃけ、ULTRAが立ち上がった時点で「日本でやってもそんな入らないっしょ。まだまだEDMがオーバーーグランド化してるわけじゃないと思っていたし、ラインナップもそこまで強くないしなぁ」とか思っていたので。
かんぞう 私たちは普段ロキノンやらJ-POPで生きてる人間なので、EDMを中心とした現場の熱さなんてわかりませんでしたけど、蓋を開けてみたらびっくりでした。
Ai あのラインナップでちゃんとソールドしたの見て、EDMが一般的に根付いた感を感じましたね。と、同時にやっぱりEDMは音楽に寄るというより、場に寄るんだな(少なくても日本では)と思いました。
ぴっち でまあ、なんていうかEDMがめっちゃ盛り上がっているのはわかるのですが、実際、どこまで俺らは楽しめるんだろう?っていうのがあって。
草野 どこまでも。
ぴっち というか、逆に言うと音楽好きをすっとばして、一般層に浸透した感があるんですよね。
草野 浸透したってのはすごく分かります。種まきは終えました!っていう程度かなと。まあEDMのシーン自体もビッグルームハウスやパワフルディープハウスとかいう細分化が始まってきているので、徐々に解体もあるのかなーというのが僕の声。
ぴっち というか、今のところEDMの主犯って見えないんですよね。海外だとAviiciiって感じがあるのですが、国内だと?って感じで。
草野 国内だと、トモ・ヒラタさんじゃないっすかね?
Ai あとはCTSくるんじゃないかな、とか思いますね。あのキック音かっこいいです。
草野 CTSわかる、あと中田ヤスタカが来年1月公開のアップルシードαに提供してるテーマソングがマジでEDM。
フェスに一体感を求めるということ
ぴっち つまりEDM=クリエイターの遊び場、的な感じなのでしょうか?
Ai 僕はEDMの日本の人気ってすごくロキノン的ノリに近い部分感じるんですよね。受けてる層は違うけど、根底は似てるかな。
かんぞう たぶん現場で起こっている事象としては同じですよきっと。
草野 わかる、フェスリア充がみんな足を運ぶ感じね。
Ai 大勢で一体感持って騒げる感じ、なのかな。ぶっちゃけ10-FEETの「goes on」でサークルモッシュやってることとすごく強雨性がある、というか。
草野 誰だったけかな、EDMフェス行って驚いたのが、踊るんじゃなく大声で歌うことのほうが多いって言ってっけな(笑)「オアシスじゃん!?」って。
Ai そこで鳴ってる音が四つ打ちだろうが、EDMだろうが、ギター音だろうがまわりとスクラム組んで騒ぐための手段なんですよね。今年は個人的に「一体感」ってテーマだったなって思いますね……。
かめ 「一体感」ってたしかに。ロキノンもアイドルも、ステージは置いといてフロアで勝手に楽しんでるって光景多く見たかも。
Ai あ、「一体感」ってふたつのベクトルがあると思ってるんです。ひとつはかめさんの言う通り、ステージの下で起きてる一体感。もうひとつは、アーティスト側も客との一体感を求めてる感じ。
草野 個人的には、前者ばっかが見えて、後者がなかなか難しい感じがみえる。
Ai たとえば、今年って合唱パート(ロキノン的に言うとアンセム??)が多い楽曲が洋楽邦楽問わず目立ったなぁと。
草野 合唱パートの話。
Ai U2の「Miracle」を聴いた時に、彼らでも一体感求めてきたか!!とか思いましたからね、真っ先に(あの曲は名曲ですよ)。
ぴっち でも多分、EDMにしても、ROCK IN JAPANにしても、やたらお祭り感を求めている人が押し寄せている感じはあって、
ntd 確かにやたらフェス至上主義なところありますよね
今のフェス至上主義に至るまでの流れ
かめ 全ての元凶はthe telephonesなんじゃないかと思ってます自分は
ゴリ 僕はthe telephonesよりもDOPING PANDAやと思う。
夢 「音楽=騒ぐための理由」みたいになってきてるっての本当にすごく思います。そうなってきたのの原因ってバンド?ジャンル?四つ打ちがどうとかそういうところなんですかねえ。
ntd 僕はBase Ball Bearが元凶かなと。速い四つ打ちで後拍にオイ!オイ!って入れるような曲は7年前のベボベが時代を先取りしてました。
かめ 今もフロアで騒いでる人ら割とthe telephonesとかで「ディスコ!」と歌詞の意味より響きの中で騒いでた人らが多い感じかなーと。DJでかけたら盛り上がる曲として今でもthe telephonesの曲が流れるし。
草野 BRAHMANでいいよもう……。
Ai 僕の大好きなBRAHMANを戦犯にしないでください(笑)
ぴっち BRAHMANは最高だけど、あれは万人向けじゃないと思います(笑)
草野 BRAHMANとかの世代は、完全にハードコアバンドやパンクバンドの戦闘ですしね。
Ai BRAHMANの盛り上がりってちょっと違くて、まわりと「ともに」盛り上がることは全く観客も想定してないんですよね。馴れ合いとか仲良く、感はないんですわ。その辺がいまの四つ打ちシーンとの違いに感じますね(古くからのキッズとしては)
ぴっち Aiさん、でもあれ、BRAHMANだけですよね。
Ai そう、あれがBRAHMANの持つ特殊性なんですよね。ぶっちゃけ、あれは格闘技です(笑)
かんぞう BRAHMAN確かにって感じですけど、AIR JAM周りは「バンド対個人」ていうのがしますよねとても。
Ai だから彼らのライブって「盛り上がれるらしいぜ〜ダイブOKらしいぜ!」みたいなノリでくる若い子は大体潰れて帰ります。
ゴリ 僕も好きでBRAHMAN行くけどあそこは危険(笑)
ntd カナブンとかあのあたりは本人がいなくてDJで曲がかかってるだけでも盛り上がりそうですけど、BRAHMANはそうはなりませんもんねぇ
かめ 結論 歴史は繰り返される。そのスパンが短くなってるけど
今のフェスシーンを形作ったもの
草野 そののち、BRAHMANの世代を通過したASIAN KUNG-FU GENERATION、ACIDMAN、ストレイテナー、ART-SCHOOL、THE BACK HORNの2001〜2003年世代がきて、彼らがブレイクした後に、2006〜2007年世代のRADWIMPS、9mm Parabellum Bullet、the telephones、チャットモンチー、Base Ball Bearの世代。
夢 2006〜2007年世代に凛として時雨も入りますよね。
草野 ですね。そのあとにサカナクション、ONE OK ROCK、MAN WITH A MISSION……と。一連の流れはこんな感じかと。この2年で出てきたり頭角を現したバンドが未だに前線でトップを張ってる。みんなが大好きなPerfumeもそう。
Ai 時雨のシーンは特殊ですね。ファン層ががらっと変わりましたし、ライブでの楽しみ方のマジョリティも2005〜2006年でがらりと変わりました。昔から見てたので衝撃を受けたのを覚えてます。時雨は地元のバンドで僕が高校生くらいの時にイベントにも出てもらったことあるんですが(まだ中野くんいなかったけど)、『#4』までは地蔵で見るバンドだったんです。『#4』のツアーファイナルでダイバーが出てびびった記憶ある。
かめ それはあのタイミングでELLEGARDENの休止があったからだと思います。
草野 俺、こういうお祭り感の始まりは、エルレだと思うんだよ。
ぴっち Hi-STANDARDではなく?
草野 ハイスタも1999年のAIR JAM世代でBRAHMANと同じです。彼らの影響を受けたエルレがどんどんデカくなって、「狭い箱でギューギューだけど、大空の下でこれだけ騒げるのマジサイコー!」っていうノリがはじまりじゃないのかな?
かめ 個人的にはエルレの活動休止で騒ぎたい人を抑えてたダムが決壊していろんなところに流れたと思いますけど。
草野 だから、ROCK IN JAPAN FESTIVALの普及度合いも忘れちゃダメっていうんはある。
らいむ エルレって凄かったんですね。
草野 すごい。本当にすごい。ギターが怪獣の声だった。
Ai エルレは突然化けた感ありますね。気が付いたらダムが決壊してみんなのバンドになってた。
夢 実質最後のアルバムはリアルタイムで買ってたなあ。
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草野 『RIOT ON THE GRILL』かな?マジででかくなったのは。
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かんぞう 高校生の時、コピバンとかやってたなぁ……。
Ai 「supernova」を「新曲です」とか言ってた時代、まだその辺にいるバンドの中で少し人気があるバンド、くらいだったのに、『Pepperoni Quattro』で土台作ってで『RIOT ON THE GREILL』で化けた感じがします。
草野 2008年、山嵐が主宰する湘南音祭の時、エルレがトリ前に出てきて、エルレ終わったらエルレファンが出て行って3割くらい客が減った。最後ってそのくらいだった。
ぴっち つまりざっくりですが、BRAHMANにせよ、エルレにせよ、その頃に熟成された「騒ぎたい人」の集団が、EDMや四つ打ちギターロックで、一般層へ広まったという理解でいいですか?
草野 BRAHMANはジョーク!でもその認識で大体合ってると思う。
ぴっち まあEDMは違う文脈がアリそうな気がします。エイベックスやハウス的な。
かめ シンセの有無とかだと思いますその辺。
草野 ああ、レイヴ感 あるなしは大切かも。歪んだシンセでテッテッテーって鳴らしてBPM180で四つ打ちやってりゃ、ハードコアテクノに親しいし。
Ai 今ATARI TEENAGE RIOTを持ってきたらすごく受けそうな感じする。SiMとかの層にドンハマり。
KV 9mmがATRのファンを公言していましたね。
Ai そうですそうです!卓郎がベストの選曲してましたね!
かんぞう ATRに限らず、リンプもリンキンもレイジも受けそうなもんですけどね。
Ai あれもBPM早くてシンセグワングワン鳴らしてみんなでドーンですから。まああのバンドはそれのパイオニアである点がすごいわけです。
かめ シーンの高速化の裏でちゃんとまったりした曲もシーンを形成してますね今年は。ふと思いましたけど。
草野 それな
Ai そこですよね。実はもう四つ打ちに飽き始めてる層が出てきてるんですよね
草野 Aiさん、もしやそれオレのことですか?(笑)
Ai 僕のことでもあります(笑)
四つ打ちは体育
ぴっち でまあそれこそBRAHMANやエルレ、その後の9mm等で熟成されたシーンが、今のEDMや四つ打ちで一般層に拡大したというのが、さっきまでのまとめなんですけど、それってネット界隈であまり受け入れられてない気がするんですよ。この断絶って何なのでしょうか?
草野 ファン層の違いって言ったら味気ないかな。
かめ ライブにお金を積む人と音源にお金を積む人は割れるだけかと。
Ai 音楽だいすきくらぶ含め、ネットで音楽を「語る」人ってもともと四つ打ちシーンにポジティブな人少ないですからね。ネットで音楽「仲間を求める人」に圧倒的な支持を持つが四つ打ちシーンの印象です。
ぴっち というか、語る人が少ないシーンだということはあります?
Ai 音楽ブロガーで四つ打ちシーンを熱く語る人って少ないじゃないですか?みんな客観的に語りたがる。か、そもそも語らない。
草野 聴き浸るタイプが多いと思いますよ、音楽を「語る」人って。体で語ってるタイプが四つ打ち好きには多い印象?
かめ そうっす
Ai だから四つ打ちって学問でいったら体育なんですよね。
ntd それだ!体育!
Ai don’t think…….FEEL & ACTION!!的な!
ぴっち でも体育も超がつくほど科学なのが現代じゃないですか。
かめ 体育の科学化がすすむのはこれからです。
Ai 科学がつくのはスポーツですよね、そこにかける人たちが存在するっていう。みんなが等しく楽しく体を動かすという意味で体育です。
ぴっち 別にこの断絶を解消したいとか、そういう意識はないけど、でも体育と英語、それから古典だって好きな人もいるんじゃないかなーって。
草野 (クソ呑んで四つ打ちでクソ騒いで鼻血出しながら楽しむのも、ノーアルコールでフォークギターで弾き語りに聴き惚れるのも、どっちの楽しみも理解しているタイプ が僕です)古典かぁ。
かめ (クソ飲んで人の上を泳ぐところから、アコギ一つでステージに立つ人を超えて、アイドルに萌えるところまでが自分です)
ぴっち インディは言ってしまえば古典だと思うし。
Ai 僕もどっちも否定しないです、というか、多分生まれる時代が遅くて今若かったらあっちの人ですし、多分僕は(笑)
ぴっち Aiさん、あっちってセカオワ?
Ai というよりKEYTALKですね(笑)MONSTER DANCE!!
かめ 自分も。
草野 KANA-BOON最高やろ?
ぴっち ちなみに、自分は今中学生なら絶対にセカオワにハマります(笑)
Ai そしてセカオワは今日絶対語りたいトピックです(のちに期待)
らいむ 私も今中学生ならハマってました、セカオワ(笑)
フェスシーンで勝ち上がること
ぴっち セカオワに行く前に聞きたいのですが、ゲスの極み乙女やパスピエはどう捉えていますか?
ntd 四つ打ちのロックという意味では近いですよね
ぴっち 自分には四つ打ちに対応したテクノなのかなーって思いがあって。要はくるり→アジカン→サカナクション→パスやピエみたいな流れなのかなーって思いがあって
夢 パスピエだいぶ最初の頃?と今とで印象違いますね~。
かめ ポスト相対性理論でしたからね
ぴっち 要は今、フェスに対応するってことが求められる時代で、それに対応するとああいう2組になるのかなと思って。
ntd ゲスも、パスピエも、ファンが増えていくに連れてだんだんKANA-BOON方向に寄ってってる感はありますよ
ぴっち だから僕からするとポスト相対性理論という評価がぱっとしなくて。
ゴリ ただパスピエってあえてそれを拒否してるような感じもある気がする。
ぴっち うん。いろいろ事情をわかった上でミックスさせているというか。
かめ パスピエは2011年くらいに見たときはライブ時のボーカルの動き方も相対性理論を意識しているようにしか見えなかったです
ゴリ 去年の『演出家出演』だけならその流れもくめる、けど今年出たアルバムってそれを拒否している感じ。あえて静かに良いポップス作ろうとしている。
ぴっち いろいろ試しているのはわかるのですが、どのへんに着地させようとしているのでしょう?
ゴリ 僕は最終的にはクラムボンみたいになるんじゃないかなって思っています。
草野 パスピエ、ライブで見た感じ、ベースとギターがすっごい腕があるんすよ。音楽学校通ってたんじゃねぇのってくらい、すごく綺麗に弾くから、ゴリさんの言ううように、優良ポップスメイカーとして売り出したいって感じは分かる
ゴリ ちなみに、パスピエのハネダさんは東京藝大出身ですわ。
かんぞう あのバンドって確かスーパーエリートの集まりでしたよね
ぴっち じゃなくて、ああでもJ-POPとして立場を作った上で、やりたいことをやるって辺りはサカナクションっぽい気がしました。本当にやりたいことはクラムボンってなんとなく腑に落ちます。
四つ打ちは勝ち上がるための手段
ぴっち つまり四つ打ちでもギターロックでもEDMでもフェスでもなんでもいいけど、要は勝ち上がるための手段みたいなことになってるのかなって。
草野 まさにそこですわ
ぴっち だとすると、それこそインディ界隈ってそこにまったくと言っていいほどそこにタッチしてませんよね?
ゴリ 勝ち上がる事を全然意識してないですね。
かんぞう わかる人だけわかってくれれば良い的な?
草野 資本主義のアウトサイド、というのがインディの根底の一部でもあります。ロック/ミュージックがそもそもポップミュージックの資本主義を色濃く受け継いでいる、だからそことは違う芸術肌のムーブメントもあると。
ぴっち 資本主義というより市場主義というほうが正しいというか。資本主義って産業ロック的な意味ですよね?
草野 え?ロックは産業でしょ?
ぴっち うん、だからそれが似合うのは要はミスチルやサザンなわけで。資本を蓄積したものが、大規模なプロモーションを行える。だから資本主義はJ-POPだと思う。
かめ 自分はこういう曲をやりたいんです。理解されようとか、人に言われた曲を作って売れたからやるんじゃなくて、今この曲を鳴らしたくて、このメンバーではこの曲が一番自分達「らしさ」なんです、って感じですかね。シーンに長くいようとかではなく、音楽好きなだけな若手って多いかもって思います。最近。だから商業的なメジャーにこだわらないと言うか。自分らで独立してる人が多いのもそうなのかなーと。
ぴっち というか、二極化してますよね。
かめ 間違いなく二極化はしてますね。
ぴっち 「勝ち上がろう!」というか「盛り上げよう!」?あるいは「そうでない何か」を作り上げる方向というか。
かめ 盛り上げようはShiggy Jr.で、そうでない何かは大森靖子。
草野 オルタナティブなものとしてのムーブメントについてかな。今の話は。
ぴっち もちろん昔から、勝ち上がりとか盛り上がりに興味を持たない人は一定数いたと思うのですが、これだけフェスが盛り上がりを見せている反面、逆にインディー界隈が濃くなったというか
草野 バンドやったり音楽を演る人が増えた、もしくはピックアップされる頻度が多くなったのは感じるね。
(続きます)