音楽だいすきクラブではディスを禁止しています。めんどくさいからです。
例えば僕はラルクが大好きで、好きすぎるあまりtwitterでは逆に貶したりしているくらい偏愛しているのですが、それをラルクのことが好きでもなんでもない人間にやられると宗教戦争に発展してしまうからです。まあそれも時には楽しいかもしれないけど、得る物と失う物を天秤にかけて「ディス禁止」というルールを決めました。時間がもったいないし、やっぱり疲れるし。そのエネルギーで記事をひとつ書けるし。別にその決まりを他の場所で押し付ける気はないです。僕もtwitterでは毒を吐いてるし。ただ「音楽だいすきクラブというブログでは止めよう」というだけの話です。
で、それに関わるのかはわからないけど、草野さんがtwitterで呟いていました。
「いっけん気持ちがいいと思わなかったが多少時間をかけてつきあうと良さがわかる」ものの蓄積と、快感原則に則って好きなモノばかりを取り込み、賞賛していくような場所は正直ウソだと思ってる。
— 草野こー 福島県いわき市生まれ (@grassrainbow) 2015, 3月 13
俺達はこれが好きなんだ!だから好きだと言わせろ!という本人たちの声を否定してるわけでもなく、全然構わないとすら思う。だけどそれは文化に繋がらない
— 草野こー 福島県いわき市生まれ (@grassrainbow) 2015, 3月 13
だからこそはっきり言うけども、音楽だいすきクラブは批評的でもレビューでもない、好きものの溜まり場としてみるべきで、その実『客観的なデータに基づいた』記事がめっちゃくちゃ人気だ
— 草野こー 福島県いわき市生まれ (@grassrainbow) 2015, 3月 13
主張の真意をすべて理解したわけではないのですが、「音楽だいすきクラブは批評的でもレビューでもない」という部分は「その通りでもあるし、それだけでもない」と思っています。批評における批判の側面を基本的に禁じているからです。でも「それだけでもない」のは、批評という言葉を辞書を引くとこう書いてあるからです。
事物の善悪優劣是非などについて考え,評価すること。
だから「善悪の"善の部分"を考えて、評価すること」も批評の一部だと思います。まあ「善悪の悪が抜けてるから批評じゃない」という考える方もいるでしょうし、そういう場合はあの、その、ほんと、ごめんなさい。このブログ以外でやっていただければ。今なら5分あればブログを作れますので。僕もそういう文章が嫌いなわけではないです。時にはニヤニヤしながら読んでいます。
ただ、音楽だいすきクラブではやらないだけです。「ウチでは取り扱ってなくて、すみません」くらいの気持ちです。変な話ですが、このブログはブログ名を先に思いついてその後にルールを決めました。「だいすきクラブでディスは無いんじゃない?」と思って。それだけです。でもこれで良かったと思います。
ただ「ディス禁止」でもいろいろ楽しいことはできるし、いろいろな物同士を繋げられるんじゃないかな。そういう思いもあります。
例えば草野さんはこのブログで2つの連載を手がけています。テーマは「アニソン」と「関東インディー」です。そこにわかりやすいつながりはありません。そして当然別々の連載ですので、そこに明確なつながりが存在するわけでもありません。しかし、そのテーマの根底には「一見遠く離れたテーマにも似通った部分はあるし、そもそも音楽のテーマやジャンル自体に偉い偉くないはない」を淡々と証明しているようにも見えます。本人に聞いたわけではないので真意はわからないのですが、僕にはそう見えました。
例えば先日のアニソン連載で草野さんはこう書いています。
音楽には"ここではないどこか"へ聴く人を連れて行く力がある。同様に、アニメにも"ここではないどこか"へと観る人を連れて行く力がある。なればこそ、この2つの媒体を行き来する声優には、大きな可能性が有ると見られても不思議ではない。良き声優ならばなおさらだ。
僕がラルクやロックが好きなのは「ここではないどこかへ」連れて行ってくれる作用があるからです。でもアニメにもその作用が存在し、なおかつアニソンにその可能性があることは目から鱗でした。堀江由衣の新譜を聴いてみようと思いました。僕の中でラルクと堀江由衣がつながりました。
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もし批評という言葉が「物事の善の部分を考え、評価すること」を含むのだとすれば、これも十分に批評として成立していると思います。もちろん、そうじゃないと考える人を否定するわけではないです。
そしてその記事の根っこには対象への「好き」があります。僕はそう信じています。もちろん、そうでなくても構わないのですが、でも「好き」という気持ちがないまま文章を書くのは苦痛だし、なにより不毛だと思うので。
そして音楽を語る楽しみは他にもいろいろな方法があると思います。
草野さんの記事は「いろいろな物同士を繋げる」「こういう楽しみもある」ことを示しているすばらしい記事だと思います。ですがそれ以外にもいろいろな形があっていいと思います。対象に対する「好き」にもいろいろな形があっていいと思うのです。それこそ「ラーメンの前に食べる高菜くらいすばらしい!」みたいな文章もアリだと思います。もちろんそれが実際に有効なのかについては微妙ですけどね。
音楽を語ることは本当に難しくて、それこそ中学生の頃にやった「最近、誰のCDを聴いてる?」「最近リンキンにハマったわ」以上のことを書こうとすると、音楽を語る沼に引きずり込まれて挙句の果てに「音楽を文章にすることはできるのか?」みたいな葛藤に悩まされます。書いてられなくなります。
それを逆手に取ったかんぞうさんのレビューだったわけです。
僕、結婚したら、これやります。(チャットモンチー「コンビニエンスハネムーン」のレビューより)
もはや位置づけでもなんでもない、優劣を論じているわけでもない。にも関わらずやたら共感を誘う15字レビュー。twitterの140字にすら届いてない超ショートレビューです。でも僕は大好きです。
それはまあ、極端にせよ、「最近何聴いてる?」「Twitterで知ったんだけど、Great Good Fine Okの新譜がいいかも」くらいの情報交換があってもいいと思うんですよね。
もちろんガチの批評をやってもいい。アーティストに対する思いの丈を語るのもいい。音楽に対する愛を書くのもいい。
批評性は足りないかもしれないけど、音楽について書きたいことが書けて、それを読んでくれる人がいる。そんな場所になればいいな。そんな感じで気楽にやってます。完璧ではないし、まだまだ不十分だけど、これもひとつの文化かと。自分で文化を名乗るのもおこがましいけどね。これからもよろしくです。
ぴっち(@pitti2210)