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ディスクレビューについて思うこと

コラム

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私は大学一年の時、音楽に救われた。

その時音楽がなかったら死んでたってほど重い話じゃないが、悩みが一気に解決されたのだ。それ以後、音楽鑑賞が趣味になったのだが、当時(今もそれほどだが)音楽に対してほとんど無知だった私は、どんな音楽を聴けばいいかわからなかった。

そんな時、たまたま行った本屋で、たまたま在庫があった音楽雑誌『SNOOZER』に、「日本のロック/ポップアルバム究極の150枚」という特集記事があった。結論から言うと、その一冊が、私の人生を変えてしまった。更に私を音楽馬鹿にしてしまったのだ。

この特集記事は、2007年当時の日本のアルバムを、150位までランク付けしたというシンプルなもの。私はこの特集記事を舐めるように読んだ。そしてその度に興奮した。このランキングに載っているアルバムを早く聴きたいと胸が騒ぎ始めたのだ。何故そうなったかというと、田中宗一郎、通称タナソー氏を始めとするライター陣が書いた各アルバムへの渾身のレビューが原因に他ならない。

命という名の廃車寸前の列車は軋みを立てながら、必死に祝福の汽笛を鳴らそうとする。

中村一義『太陽』)

ファンク、レゲエ、そして錯乱、錯乱、狂気、狂気、憤怒、憤怒、ゴミの街、とくにA面は完璧だ。この音楽で踊らずして何で踊るよ。

暗黒大陸じゃがたら『南蛮渡来』) 

喪失と落胆の洪水。狂おしく、張り裂けそうなソウルが詰まった、いまだ誰も超えることのない永遠の金字塔。

RCサクセション『楽しい夕に』)

この熱い文章の数々。これまで読んだ音楽雑誌にはなかった。

私はまず戸惑った。そして興奮した。祝福の汽笛を鳴らすって、喪失と落胆の洪水って、どんなアルバムなんだ? 誰でも気になるだろう。私はすぐに最寄のTSUTAYAに駆け込んだ。そしてここに載っているアルバムを片っ端から借りた。そして聴いた。文章の通り興奮するものもあった。逆に「どこがいいの?」と思うものもあった。

しかし私にそのアルバムを聴かせただけで、この記事には価値がある。そしてきっと同じようにこのアルバムを音楽を聴く指針としている人は多いだろう。事実、私はこの記事のおかげで楽しい人生を送っている。これを読まなければ、フィッシュマンズの美しいメロディーに酔いしれる事も、中村一義の世界を救おうとする意思に涙する事も、じゃがたらの「でも・デモ・DEMO」で踊りまくる事もなかったのだから。

私が何を言いたいかというと、私がこのブログに参加しようと思ったきっかけを話したいのである。それはただ一つ。私の愛する音楽達を、もっと多くの人に聴いて欲しい。ただそれだけである。タナソー氏は音楽ライターである以上に、音楽好きであろうとしている気がした。彼の文章は音楽への愛に満ちていた。好きなものには心酔し、逆に嫌いなものはとことんけなした。私はそれが羨ましかった。そして尊敬した。その姿勢こそが大切なのだ、と思った。仕事は人の役に立ちたいというヒューマニズムだけでは駄目だ。まずその仕事が、仕事の対象が好きである事が大切なのだ。それがあったから、タナソー氏の文章は私の心を動かしたのだ。

そして私も、私の愛する音楽たちを皆さんに紹介したい。愛の限りを文章にしたい。そしてそれがきっかけでこの音楽がより多くの人に聴かれたら、それほど嬉しいことはない。その思いが、私をこのブログに参加させたのだ。それを言いたかった。そして『空中キャンプ』の文章が予想外に多くの人に見て頂けたことは、私の思いが多くの人に届いたのかもしれない、と思うと非常にうれしい。とにかく感謝したい。見て頂いた人に、この場を提供して下さったぴっちさんに、そして何よりフィッシュマンズに。

 

 

HEROSHI(@HEROSHI1111